DeNAの未来はデザインにかかっている

南場智子氏:こんにちは。私は年齢制限を2倍オーバーしてまして、今日は、いろんな意味で居心地悪いというか(笑)。

もう一つ私が居心地悪い、緊張している理由は、私は「何か自分に才能がある人」「ものをクリエイティブできる人」に対して、すごくコンプレックスを持っているからです。

だからここにいる人のことをとても羨ましく思います。私が今日、そんなふうにちょっと居心地が悪いなかで、なぜ出てきてるかというと、今デザインむちゃくちゃ大事なんですね。

DeNAっていう私の作った会社なんですけど、おそらく、この会社の将来はデザインにあると思っています。それがなぜなのかということを話そうとやってまいりました。

「UI CRUNCH」はDeNAだけのイベントではないので、どうしようかなと思ったんですけれども、やっぱり自分が120パーセントDeNAのことに力を投入しているので、DeNAという文脈でなぜUI、UXデザインが大事なのかっていう話をするしか私には方法がないので、そうさせてもらいたいなと思います。

<img src="http://i0.wp.com/img.logmi.jp/wp-content/uploads/2015/10/gazou102800099.jpg" alt="gazou102800099" width="550" height="406" class="aligncenter size-full wp-image-102115" />

3つの質問を満たしたらGOサイン

「何故いまデザインなのか?」

その前に「DeNAって何?」って感じだよね。「DeNAは何やってる会社ですか?」、例えば「DMMとどう違うんですか?」とか(笑)。いろいろととにかくDeNAはわかりにくいって言われるんですね。

何でかというと、私たちは自分たちの挑戦する領域を限定しない、それをすごく大事なこととしています。

で、どうなってるかというと、事業領域はインターネットっていうものから少しはみ出したりしつつ、主だった事業領域だけでこれだけあります。ゲーム、エンタメ、自動車、ライフスタイル、ヘルスケア、コマース。

他にももろもろあるんだけど。こんなにいろんなことをやっちゃってる会社なんですね。

うちが新規事業を始めるときは「3つの質問がイエスだったらやろうよ」ということでやってるから、結果としてばらばらになっちゃってるっていう感じもするんですが。

何が3つの質問かというと、1つは「成功したときに十分にでかいか」ということ。大成功して事業規模が8,000万円ですっていうんだと、それは学生ベンチャーにしてもちょっと小っちゃいなと。うちの会社でやることではないなと。

成功したら十分にでかい事業になるかということ。もう1つはDeNAが「勝てるか」。

3つ目が「もうやりたくてたまんないっていう、目が輝いてるやつがいるのかどうか」。この3つがイエスなら大体やろうよっていうことで始まっています。

その結果論が今の姿です。今、主力というか収益の多くのポーションを占めてるのがゲームですね。ゲームって、DeNAのゲーム触ったことある人、手を挙げてください。

(会場挙手)

ありがとう、ありがとう。今の話題は何なんだろうね。何? 何やってる? シーン。誰か助けて。

(会場笑)

FFRK(ファイナルファンタジーレコードキーパー)やってる人いる?

(会場挙手)

少ないですね。やっぱりちょっと変わった集団だね。

業界をビックリさせた任天堂との資本提携

今、ゲームの領域で話題になってるのはこれですよね。任天堂との資本提携。これは先般、岩田社長がお亡くなりになって、大変に私たちも突然の訃報にとても驚き、また本当に謹んで哀悼の意を表しております。ほんの先週でしょうか、新しい社長も決まりました。

DeNAと任天堂は、ここに書きました通り業務提携だけではなく、資本提携を行っています。資本提携っていうのはお互いに株を持ち合って、1つの事業だけの取り組みではなく、「親戚になろうよ」ということですね。

これから我々のインターネットでのサービス、常にユーザーとつながっているサービスを作ってきたというスキルと、先方はどちらかというとパッケージをつくり込んで、それはゲームパッケージだったり、あるいはゲームプラットフォームだったり。デバイスですね。作り込んで出すという強みがあると。

その2つを持ち寄って、そして任天堂のこれまでのゲームのアセット、つまりキャラクターなどのIPを用いて世界に一緒に出ていこうよということで決まったものであります。

どのIPが出てくるのかなって気になると思いますけど、私も喋りたいんですけど喋ると怒られるんで。

(会場笑)

わかりやすい話としてはゲームはそんなところですね。

描きおろし作品が無料で読めるマンガアプリ

エンタメの領域でどんなことをしてるのかっていうと、マンガボックス知ってます? 知ってる人、手を挙げてください。

(会場挙手)

よかった。無料で人気漫画家の書きおろしが読めるっていうので、私もよく読んでます。「どのタイトル読んでる?」って言われるとちょっとびっくりされるんでやめときます。

インディーズも結構読まれてますんで、(参加者は)学生さん少なくてどっちかっていうと仕事してる人が多いのかな? もし漫画家として将来考えてる人がいたら、脱サラする前にこでちょっと腕試しをしてから脱サラしてほしいな、なんて思います。

コンテンツ系でいうと、こういったサービスって自分たちでずっと作ってるサービスですね。ゲームもそうだし、こういうマンガボックスのようなサービスも我々手ずから作ってるんですけれども。

iemo、MERY……はどうして仲間になったのか?

買収して仲間を増やすってこともあるんですね。例えばiemo、MERY、Find Travelなどは独立した会社で、それぞれのカテゴリーナンバーワンでした。

そこに声をかけて、独立した一国一城の主としてやるのもいいんだけど、我々に参加して「一緒に大きなビジョンを描いてみないか?」ということで、ここにあるようなPaletteって呼んでますけれども、いろんな生活シーンのコンテンツキュレーションサービスをプラットフォームに乗せて大きな展開をしていこうっていうことで、みんなで力を合わせているところです。

なぜ自分たちだけで上場できた会社がこうやって参加してくれるのかと。これらの会社すごいですね。上場なんて全然、朝飯前でできましたね。時代のヒーローですね。

何でDeNAに参加してくれるのか、業界でも驚かれました、何でなんだろうと。本人たちいるの? いませんね。今日は来てない。

私が代弁すると、1つには、1つのコンテンツよりでかい夢を見たいってのもあるんだけど、もう1つは面倒くさいことやりたくないと。

ペーパーワークとか契約とか採用とかそういうことをもし誰かがやってくれるんだったら、自分たちはサービスに没入できる。ユーザーを喜ばせることに没入したいということですね。

社長っていうポジションより、ユーザーだと。社長っていうポジションより、サービスだと。社長っていうポジションよりも、何をやってるかだということですね。

彼らが好きなことはサービスや事業を磨き込んでユーザーを楽しませるということなんで、それ以外のあまり自分が得意ではない法務的なこととか、手続き的なこととか、そういったことをしっかりと面倒見る機構が整っている企業に参加して、そして一緒にでっかい夢見ようぜということです。

例えばSEO得意な人は全てのサービスのSEOを見てます。例えばソーシャルマーケティングが得意な人は、全てのサービスのソーシャルマーケティングを見ています。

みんなが集まって一番得意なことを、私はCAFY担当とか私はiemo担当とか私はFind Travel担当ではなく、得意なことを全てのキュレーションサービスに対してやっていこうと。しかもシステムもむちゃくちゃ効率的に作ってやろうぜということですね。

そういうイキのいいスタートアップに参加してもらって、またチームDeNAが違う血も入れて多様な人材で育っていくということを重視してます。

南場氏の週末はSHOWROOMで始まる

次、SHOWROOM知ってる人。

(会場挙手)

ちょっと少ない。SHOWROOM、すごい楽しいですよ。SHOWROOMはライブエンターテインメントなんですけど、すごい楽しいので、あとで見てください。アイドルが多いんですけれども、リアルタイムで生配信するんですね。

あと最近だとおもしろいのは漫才師とか。私は大体土曜日の朝起きると眠いんで、目がはっきり覚めるまで何するかっていうと、SHOWROOM見てますね。

この間びっくりしたんだけど、鉛筆で絵描く魔術師みたいな人がいるじゃないですか。作品は見たことあるんだけど作ってるプロセス、描いてるプロセス見たことがなかったんですよね。

そしたらSHOWROOMで延々と描いてんだよ。うわ、こういうふうにぼかしって作るんだとか、さっき言ったみたいに私はクリエイターにコンプレックスがあるんで、ものすごく見入っちゃって感動しちゃって、ついつい投げ銭しちゃう。

投げ銭って応援ですね。小さいだるま投げたり、中くらいの大きさのだるま投げたり、大きいだるま投げたり。

それによって応援する金額が少し増えていくんですね。大きいもんだと東京タワー。東京タワー投げるとかなりお金かかるんですけど。

どうなるかっていうと、例えば私が南場さんですよね。この子がフミコちゃんだとすると、フミコちゃんが言ってくれるんですね。

「南場さん、無理しないで。東京タワーとかいいから」とか言ってくれるんですね。もうたまんないですよね、これ(笑)。

(会場笑)

本当にたまんないです。あと、「フミコちゃん、前髪切ったの?」なんてコメントを書くと、「あ、南場さん、気づいてくれたの?」なんていうふうに言ってくれる。

みんな土日、アキバにかぶりつきってことはないですか? 皆さんやってませんか? やってない。皆さんのお父さんは間違いなく行ってますから。

でもちょっと恥ずかしいですよね。一流企業の部長さんになってアキバで土日かぶりつき、嫌ですよね。

でもアキバのほうからやってくる。こんな便利なサービスはないので、もし自らがはまらなかったらお父さんに勧めてください。SHOWROOMですね。ベイスターズのホームの試合も全部やってます。

カーシェアアプリに自動運転、車関係も続々

あと何やってるか、ちょっと飛んだサービス始めました。Anyca。カーシェアですね。これはレンタカーよりよっぽど安いから、ぜひ登録して替えてください。

私は絶対こんなの流行らないと思ったんですね。このアイデアを全力でつぶしに行ったんですけど玉砕して、やつらが勝ってサービスを投入し、「絶対うまくいかない」って言ってたのに、ちょっと悔しいんですけれども、2、3週間前に投入されて市場に出して結構うまくいってるんですよね。悔しいですけれども、会社としては良かったね。

やつらは私に車を出せって言ってくるんですね。テスラ買おうかなと思ってるんで、テスラ買って、出さない。

(会場笑)

さらにロボットタクシー。そんなもんあるかと。自動運転ですよ、自動運転。すごくないですか。全く触らないです。 全く触らないどころか運転席にも人を座らせなくても走るんですね。運転席に人を座らせるか座らせないかっていうのは、法律の問題だけですね。基本的に座っていても触りませんから。

私は行かなかったんですけど、うちの守安社長は名古屋までちゃんと試乗しに行きました。ノープロブレムですね。

それで日本のこの分野で最も進んだZMPという会社と合弁会社を作って、2020年東京オリンピックにはロボットタクシーを走らせたいな。どうでしょうか。

これも私、実を言うと全力で反対したんですね。でもこれやって良かったね。本当に。

病気にかかるリスクがわかる遺伝子検査

これ私が肝煎りで始めたマイコードっていう遺伝子検査サービスですね。20歳以上の人?

(会場挙手)

20歳以上の人は全員受けられますので、今日うちに帰ったらマイコード見てください。自分の遺伝子から遺伝的にかかりやすい病気がわかるサービスです。

病気になる前にケアする、そういう時代をつくりたいということで、これは東大の医科研と組んでみんなの遺伝子を分析するラボもDeNAが自ら作って。ATGCって聞いたことある? 

DNAってATGCの文字列の配列なんですね。それを読み込んだら、例えば乳ガンになりやすいとかガンになりやすいとかそういったことに対してメッセージを出すロジックが必要なんですね。

そのロジックも東大医科研と一緒に作って、日本人に最適な、アジア人に最適なサービスを作りました。ぜひ使ってみてください。

ということで、こんなことまでやってんのかと。

最後はロボットタクシーとか遺伝子検査とか、インターネットはみ出ちゃってるなということで、何をしようとしてるかというと、ネットのスキル、我々のインターネットで培ってきたスキルを用いて新しい産業にも入っていこうと。そんなことよりも何よりも、何でもありだよということであります。

根底に共通するのは「Delight」

何でもありってどういうこと? 何でもいいんですか? 1つだけ共通点が、私たちがものすごく固執してることがあります。それが「デライト」であります。デライト。こういう字書きますね。Delight。 デライトってどういう意味かっていうと、日本語の辞書だと普通に喜ばせるとかって書いてありますけど、ニュアンスとしてはちょっと驚きを持った、なんとなくポジティブな驚きを持った喜びを感じてもらうようなことをデライトするっていいます。

やっぱり世界中の人を我々のサービスでデライトしたいよね。その気持ちがさっき言ったいろんな事業に携わってる全員に共通して一番強いものとなっています。

DeNAではこれがない人は我が社にいてはいけないというルールがあるくらい、このデライトにこだわっています。

そのデライトの仕方っていうのはいろいろですね。デライトの仕方は何でもいいよと。

ヘルスケアであろうがオートモーティブであろうが、ライフスタイル、イーコマース、ゲーム、エンタメ、いろんな意味でポジティブにうれしく喜ばす。

そういうことを目指してる集団だよね。これがDeNAのアイデンティティです。DeNAって何ぞやっていう人にちょっと説明長くなりました。