希少性を失った「東京駅100周年記念Suica」

司会:では、最後の質問は藤原先生から。稼ぐ力はどうすれば身につきますか?

藤原和博氏(以下、藤原):同じように情報処理力から情報編集力へ、という流れで書きました。

とにかく希少性っていう、この感覚をものすごく高めることだと思うんですね。みなさん、これ知ってます? パッて見て「あーっ!」ってわかる人いたら手を挙げてみてくれますか?

今持ってるって人いる? 僕しか持っていないですか? すごい希少性ですよね(笑)。これ実は、JRが東京駅100周年で出した例のSuicaです。みなさん、これが出るまで知ってました? 知ってた人いる? いないですよね。僕もそうだったんです。

あれは(当初)1万5千枚だけ出したんですよね。それを買うためにそれ以上の人が並んじゃった。それで大騒ぎになったことで僕も知りました。結構デザインがいいと思って申し込んでみたんです。そういう人がなんと500万人ですよ。1万5千枚を1枚2000円で売れれば良かったのが、なんと500万枚も売れたんですよね。

あの女の子がこのデザインをしたおかげで、100億円を越えちゃったわけですよ。おそらく僕、誓ってもいいんですけど、ほとんどの人が使わないんじゃないかと思います。僕は今使いまくろうとしてるんですが、ほとんどの人は多分キープしますから、JRは大儲けですよね。

こういうことを知ったら、ビジネスとしてどういうことなんだろうと興味を持つでしょう。同時にね、1万5千枚だったら貴重だったものも、500万枚になっちゃったらユーザー側からしたら何の価値もないですよね。

直後にネットオークションか何かで高値になっていて、たぶんその時点で買った人もいたんじゃあないかなあ(笑)。とにかくもう今はこれはそんな価値はないですね。500万枚も出ちゃったら。このカードは希少性を失ったと言っていいと思います。

希少性っていうものに対しての意識を高めていって「ここだな」って思ったら、最後は1万時間続ける。佐々木さんと中西さんもビジネス始めたばっかりなので、悪いんだけどまだ信用しません。1万時間続けないと。

つまり、ビジネスを一緒にしようとはまだ思わないということです。いろいろ意見を言ってくださっていますが、思いつきの域はまだ超えていらっしゃらないと思いますね。

口で言うだけだったら何でも言えるんだけど、1万時間続けないとものにはできないから、その人の視点にはならないんですよ。だから希少性の意識を高めて1万時間続けるっていうことが、僕は鍵ではないかなと思う。以上です。

司会:はい、ありがとうございました。

藤原:すいません、『藤原和博の必ず食える1パーセントの人になる方法』を読んでくださいね。後でサインしますからね。

藤原和博の必ず食える1%の人になる方法

仕事は筋力トレーニングをやってるようなもの

宇田左近氏(以下、宇田):私はですね。エスカレーターを逆走するっていうことですね。

本当にやるとちょっと危ないんで、みなさんもちろん気をつけていただきたいんですが。絶対に止めてくださいね。何が言いたいかというと、例えばエスカレーターというのは止まって乗るものではなくて、そもそも逆走するものであると考えてみたらどうだろう、という比喩なんです。

逆走したら、たぶん結構しんどいですよね。どんどん向こうは降りてくるんですね。こっちは上らなきゃいけない。相当な勢いで上り続けないといけないんですよね。さらに、たどりつくかどうかもわからないけど。だけどもし逆走ってことが、あの機械が持っている本質的な意味だと思ってしまえたらどうか。

それに慣れて普通に乗ってみたらどう感じると思います? めちゃくちゃ楽ですよね。何もしなくても、さーって降りてくるんですからね。そういうときにエスカレーターっていうのは普通に乗ってみると、こんなに楽なのかっていう。そのためには常に逆走すると考えて人生を送れば良いんじゃないか? 

こういうことをやってみたらいいんじゃないか。つまり楽をしない。これを続けていくと終わった後に、きっと新しい世界が開けてるんじゃないかなと思うんです。普通の仕事をする時には、すごい楽に感じるんじゃないかと。

別にエスカレーターじゃなくてもいいですよ。本物ではくれぐれもやらないでくださいね(笑)。どういうことかというと、難しい課題に挑戦をするということです。あるいは大変なことがあったらどんどんチャレンジするんだということですね。別にいくらもらうかということは関係なく、まずチャレンジをしてみる。

そういう機会が大変ありがたいんですね。多様性のある人たちが集まって難しい問題を解決しようっていう機会があったらもっといいです。みなさんにとって良い機会になると思いますよ。会社の中でも、特に難しいプロジェクトとか、ややこしいやつとか、人がやりたがらないやつとか。

そういうものをガンガンやったら普通のプロジェクトは左団扇になる。こういう感覚ですよね。会社もそうだし仕事っていうのは筋力トレーニングをやってるようなものなので、これをやっていると終わったときにめちゃくちゃ楽になると思って10年、20年続ける。そうすると、気が付いたらかなりの筋力がついてるのではないでしょうか。

エスカレーターというものは普通に乗るものではなくて、逆に走るものだと。これからエスカレーターを見る度に、そういうふうに思っていただいたら良いんじゃないかな。本当にはやらないんだけどって(笑)。

司会:厳しいといわれるような環境に身を投じてみろと。そういうことも必要なんですね。

人は自分が努力して越えられる問題にしか出会わない

司会:では、中西さん。

中西佑樹氏(以下、中西):よくやるんですけど、バカになる。

これはどういうことかいうと、行動しようと思ったときに考え過ぎちゃう。先ほどもお話があったと思うんですけど、考え過ぎてセミナーなんかに参加できなかったりする。でも、行こうが行くまいが死ぬことはないと思うんですね。

誰が言ったかわからないんですけど、「死ぬこと以外はかすり傷」という言葉が僕は好きで。要は一歩踏み出したらいいんです。

もう1つの視点は、赤ちゃんが住宅ローンの問題に出会うことは絶対にないと思うんです。これはどういうことかというと、大抵は自分が努力して越えられる問題にしか出会わないということ。だからとにかくやってみる。無駄に考えないで、とにかく1歩踏み出す。やれば大抵のことはできるんです。

組織内でも、これをやってはいけないとか、これをやったら上司に怒られるんじゃないかなではなくて、そういう禁止令をとっぱらう。だから、禁止令をとっぱらうためにも、無駄に考えすぎないためにもバカになる。バカになって行動する。そうなったら何かが新しく見えてくるって思います。

司会:楽観的な中西さんらしい。行動してみるために、バカになると。

中西:そうですね。

「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」

司会:では最後に佐々木さん。

佐々木あや氏(以下、佐々木):私はこれです。

ちょっと長いんですけど。「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる」です。そう思って私は仕事をしています。これは言い訳しないっていうことに繋がるんですが、全力でやりきるっていうのが、私の仕事のやり方です。人に対してとか、自分のやってしまったことに対して文句を言ってしまっても仕方がないので。

仕事っていうのは自分を変えるしかなくて、自分の人生をより良いものにしていくには、自分を変えていくしかないのかなと。「稼ぐ力を身につける」っていうのも、先ほど藤原先生や宇田先生がおっしゃっていたようなことをするには、自分を変えて自分の未来を変えていかないと何も起こらないと思うので、常に自分と未来を変えていきたいと思っています。

以上です。

司会:はい、ありがとうございました。

みんな正解主義の呪縛にかかって、チャンスを逃している

司会:最後の質問でしたけど、会場の方も考えていただきながら、ここまでやってきました。時間も差し迫ってきましたので、Q&Aと言いますか。

特に藤原先生や左近先生。BBT大学生に対してでも、結構です。みなさんから、これ聞いておきたいなというのがあれば、2人か3人ぐらい。時間の兼ね合いもありますけども、ご質問を受け付けてお答えしていただきたいと思います。

藤原:僕に対する質問は後から考えていただいても良いですよ。世の中ネットっていうホームページがあって、フォーラムっていう非常に古いタイプのツリー上に繋がるような掲示板があるんです。IDとパスワードなしで入れますんで本名じゃなくても、ハンドルネームで書いていただければ大丈夫なものです。

正解を問いかけるような質問には答えないと思います。自分はこう思うけど、という決意表明みたいなことであればウェルカムですし。私は「かず」というハンドルネームなのですが、みなさんの投稿に重ねて別の見方みたいなものも投稿していきたいと思っていますので。ぜひ。

だいたい講演やった後にこういうことを言って、ほぼやる人はいません。だいたいみんな遠慮しちゃって。正解主義に呪縛されちゃって、正しい文章を書かなきゃいけないんじゃないかとか。難しいことはかけないんじゃないかと思うんで。

100人、200人に講演してるのに書く人は1人もいないんだけど。もったないですよね。そういう機会。1000人ぐらい。非常にまともな人が見てるサイトなので。書いてみたらどうかなと思います。

今日を踏まえて明日をどう変えるのか

司会:最後まとめになりますけど、宇田先生のほうからお願いします。ここまで稼ぐ力、稼ぐ人の武器ということで、いろいろ話をしてきましたけども最後にひとこと。よろしくお願いします。

宇田:みなさん今日はどうもありがとうございました。常に司会の人に監視されてるみたいだった(笑)。本当にありがとうございました。びっくりしたのは藤原さんと私、話をしたのは今日が初めてだったんですよね。

途中でも何の打ち合わせもしてないんですけど、なんとなく話が噛み合ったんじゃないかなと思います。よくよく見たら小学校が近かったという。同世代の人を知っていたりという共通点もあったんですけどね。

考え方とか、価値の出し方とかクレジットのとり方とか、バリューの広げ方とか、そういう点に関する考え方が根本的にほぼ同じなんじゃないかなと思います。私としても今日は大変勉強にもなったし、みなさんもそういう中でそれぞれ考えたと思うんですよね。

みなさんが一人ひとり持ち帰っていただいて、明日からの向上に役立ててほしいです。昨日と今日と何が違うのか。今までとこれからとどう変えるのか。ということを考えて、明日以降、活動していけたらいいんじゃないかなと考えています。

BBT大学の学生さんは、発言のレベルが相当高くなったんじゃないかな。本校の学生でない方もこういう機会もあるので、BBT大学のことを頭の片隅においておいてくれたら良いんじゃないかなと思いました。本当に今日はどうもありがとうございました。

司会:はい、ありがとうございました。