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移民2世の少女を苦しめたアメリカの「美しさ」とは

移民2世の少女を苦しめたアメリカの「美しさ」とは

誰もが美しさには憧れを抱くものです。パキスタンからアメリカ移民とし移り住むことになったジラー・アシュラフ氏は2つの異なる文化の「美しさ」に戸惑い、アイデンティティが確立できませんでした。差別はしてはいけないことであるにも関わらず、美しさを追求するあまりその差別を助長してしまうテレビドラマ。自分たちの美しさ以外を認めないために起きてしまう人種差別的発言。このようなことは日常で起きています。異文化の狭間で揺れ、自分の目指すべき美しさを見つけられない人が今の世の中のはいるのです。この問題について、自分の経験を踏まえ、起こってしまう原因とその解決策について、高校2年生のジラー・アシュラフ氏が語ります(TEDxYouth@AnnArbor)。

スピーカー
ワシュテナウ・インターナショナル高校2年生 Zyrah Ashraf(ジラー アシュラフ) 氏
参照動画
Redefining the perception of beauty | Zyrah Ashraf | TEDxYouth@AnnArbor

移民に生じる美しさの並立とは

ジラー・アシュラフ氏 母のバスルームの棚には、脱色用のクリームがありました。彼女は、(白人的な白さを求める)脱色が人間的でない植民地主義を嫌い、そのクリームが体によくない化学物質であると知っていても、そのクリームを使い続けていました。私の母は、すべての人種の平等に関心があるリベラルな人間であるにもかかわらず、より白くなるよう、自分の顔を白く脱色するキャンバスとして使います。 私もアメリカ人になろうと髪を染めたいと思いました。と同時にテレビで見る首の長いアーモンドの目をしたパキスタン人モデルにも憧れました。私には、どちらの世界の最高のものも得られるかどうか、わかりませんでした。 私の両親は文字通りの第1世代の移民で、彼らは祖国からの習慣やカルチャー、物の見方を箱いっぱいにつめて、アメリカにやってきました。第2世代の移民として、私はその衝突する2つの文化の中間に立っていました。私の半分は純粋なパキスタン人を目指し、残りの半分は純粋なアメリカ人になりたいと思っていました。 このことは、私を核心的な懸念へと導きました。それは、美しさの基準の並立が、女性と男性をアイデンティティ・クライシスに押しやる、ということです。まず、この問題の原因をみて、その意味を考察し、そこから可能な解決策を話していきましょう。

白色に憧れを抱くパキスタン人と差別を助長するドラマ

最初の原因です。パキスタンは世界的にも文化的な多様性のある国の一つです。パンジャーブ、バローチスタン、ヒンズー、カシミールのようなタイプの地域から成り立っています。しかし国として、一つの色への憧れがあります。白色への憧れです。 パキスタンの家にいくと、絶え間なくテレビ番組やコマーシャルにさらされます。一番影響のあるコマーシャルが「フェア&ラブリー」というもので、黒い肌を持つことの不利な点を述べ、コマーシャルの冒頭では、悲しそうで、孤独で、落ち込んでいて自信のなさそうな女性が、いつも自分の体を友達と比べます。 「フェア&ラブリー」のチューブから手にクリームを出すと、彼女は白い肌を手に入れ、自信を取り戻し、幸せと成功をつかむのです。 ペソスのライター、ティームアマジェッドによると、「フェア&ラブリー」のような製品は、市場の需要無しには売れません。 パキスタンのポップカルチャーは2つの人種の間の差別を助長しています。それはドラマのなかのカムヒとハムサファにも見られます。 (色の黒い)主人公のカムヒは、両親に冷酷に扱われます。悲しく、孤独で、独身で人に望まれることのない生き方が描写されています。(色の白い)正直な家族の一員ハムサファは、社会的ステータスが上昇するように描かれています。パキスタンでの美しさへの認識の問題は、このように深いものです。

美しさに異様なこだわりを持つアメリカ

ボリウッドでも一番美しい女優アイシュワリャ・ライが彼女のヘア・キャンペーンを始めました。黒い髪を明るくするものです。 パキスタンだけが明るい肌と髪の色に取りつかれている国ではありません。アメリカは、美の競演であるミス・アメリカの世界最大の貢献者です。 ミス・アメリカは、アメリカの社会が期待する美しさとフェミニン性を示す興味深い指標と言えます。2014年まで、多くのミス・アメリカの勝者たちは、金髪と青い目という社会の美しさへの期待に応えてきました。 2014年、ニーナ・ダヴュルリ(Nina Davuluri)は、ミスアメリカに選ばれた最初のインド系女性でしたが、彼女の栄光は長く続きませんでした。すぐに人々は彼女の民族性と肌の色についてコメントをし始めました。たとえば、「彼女はアメリカ人ですらない。どうやって彼女はミスアメリカになれたんだ?」と。 あるアメリカ人は、つい4日前の9月11日にもツイートしました。 「彼女はどうやってミスアメリカになったのだい?」 移民によって建国されたアメリカ合衆国は、信じられないほど、美しさについての認識に偏見と先入観があります。多くのメディアで金髪と青い目を持った女の子たちが、ビルボートや雑誌の表紙を飾ります。 社会問題リサーチセンターによると、理想の体型に近づけるのは、女性人口の5%以下ということです。多くの子供たちが、ゆがめられた精神的イメージのために苦しんでいます。自分の身体に批判的になり、実際はそうではないのに、自分が太り過ぎだと見ています。 アンケートによると10歳児の81パーセントもが一度ダイエットを経験したことがあるそうです。これは私にある指摘をしてくれます。

異なる文化の狭間で、アイデンティティの確立に失敗する

私のような第2世代の移民は、義務的にアメリカとパキスタンの美しさの基準に沿わなくてはなりません。学校から帰ると絶え間なくパキスタンのドラマやテレビ番組で劇的に体重を減らすダイエットの話がなされ、皮膚の色を問うてきます。 これはまだいいほうで、雑誌のVougueを読んで、私は自分のプロポーションや肌の色が大丈夫か自分に問いかけるようになりました。こうしたなかで、私はパキスタンだけでなく、アメリカとのつながりを絶たれたと感じるようになりました。 他の多くの第2移民世代のように、私はアイデンティティ・クライシスを経ています。アイデンティティ・クライシスとは、青年期のエゴ的なアイデンティティの確立に失敗したことを意味します。 第1移民世代がアメリカに来たとき、彼らには確固とした習慣と文化と物の見方があります。そして多くの第1移民世代は、彼らの子供たちを彼らの認識と文化とともに育てることを望みます。 しかし、その子供がパキスタン、もしくはアジアからやってきたとしても、彼らはアメリカ人なのです。アメリカ人に生まれること、アメリカ人であることは、たくさんの社会的規範と期待を持ち合わせているということになります。 アメリカのメディアは、できるだけ細い体、明るい肌を露出し、パキスタンのメディアは明るい肌と健康な体にばかりを取り上げます。 問題は、2つの文化の間の社会的アイデンティティを立てることです。 多くのパキスタン人は、濃い肌色をしています。多くのアメリカ人そうではありません。この存在する2つの美しさの基準は、第2世代の移民にとって、自分が所属する文化を見つけ、そこに関連づけさせることをさらに難しくしています。 その他の文化からきている移民の問題はどうでしょう? その2つの文化のはざまで引き裂かれている女性の問題はどうでしょう? モーリタニアでは、肥満は美しいと見られています。アメリカで肥満は、美しさどころか、醜くて不快と見られます。こうしてアメリカにいるモーリタニア女性は、アイデンティティ・クライシスに落ち込んでしまいます。

アイデンティティ・クライシスから脱却し、自分の美しさを確立する方法

ではこの問題の可能な解決方法を議論してみましょう。 まず1つめに、子供たちに自分たちの身体をただ、身体として愛するように教育するべきでしょう。身体を自分として認めるのです。尊重してさえいれば、両方の文化のすべての期待に応える必要はないのです。 2つめは、私の母がよく言っていたように、どの文化も尊重しなくてはならないということです。すべての文化は美しいです。そして文化の美しい部分を探し出して選び、その選び出した部分を使って個人的なアイデンティティを構築するのです。 3つめは、早い時期に、若い世代に多様性の中に美しさと強さががあること学ばせるということです。 ありがとうございました。 (編集協力 伊藤勇斗)

  
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