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アクションゲームは脳や視力に良い影響が 教育やリハビリ分野での可能性を認知科学者が解説

アクションゲームは脳や視力に良い影響が 教育やリハビリ分野での可能性を認知科学者が解説

ゲームで遊ぶことは、子どもにとって悪いことだと思っていませんか? 認知科学者のDaphne Bavelier(ダフネ・バヴェリア)氏はゲームの持つ意外な効用を紹介していきます。「グレーの色を見分ける能力に優れている」「散乱しているものの中から小さいものを発見できる」そして、アクションゲームを好む人は注意力に優れているという研究結果が出ています。しかしながら、教育分野に活かすことができるゲームのポジティブな効果と、ソフトウェア会社がつくる魅力的なゲームの融合はまだまだはじまったばかりです。教育ゲームを楽しくするチャレンジは、これからも続いていくのです。(TEDxCHUVより)

スピーカー
認知科学者 Daphne Bavelier(ダフネ・バヴェリア) 氏
参照動画
Daphne Bavelier: Your brain on video games

ゲームをする人が、しない人より優れている2つの点

ダフネ・バヴェリア氏 私は脳科学者として、脳の学習のしくみについて関心があります。特に、脳がより賢くなるしくみに興味を持っています。 39 そういった文脈の中で、テレビゲームについてお話ししたいと思います。テレビゲームというと、子供をイメージします。実際に、90%の子供がテレビゲームをします。 108 私たちの生活にテレビゲームは浸透しています。日々の生活にも影響を与えます。 126 アクティビジョンによる統計について考えてみましょう。「Call Of Duty: Black Ops」が発売されて、たった1ヶ月で世界中で68000年分もプレーされたのです。これが線形代数学だったらどうでしょうか。 研究室で行なっていることというのは、これをいかに役立てるかということなのです。家に帰ると子供がゲームしていたという経験は誰にもあると思います。ゾンビを撃つシューティングゲームなどをみて、もっと知的なことができないものか、と考えた人も多いと思います。 226 でもそんな、ゲームに対するありがちなリアクションも、数独やシェイクスピアを楽しむ子供に対してだとどうなるでしょうか? きっと素晴らしいことだと思うでしょう。 ゲーム浸けになるのがいいことだとは言っていません。やりすぎはよくないので。しかし適切な量であれば、私たちの行動のあらゆる側面において、ゲームにもすばらしい効果があるのです。 ゲームがいいとか悪いとかいうヘッドラインをよく見るようになったのは、今に始まったことではありません。 325 飲み屋で話されるようなそんな軽いテーマではなく、研究室での話をしたいと思います。我々がやっているのは、量的なものを直接測定するような、脳に対するゲームの影響についてです。いくつかの事例をご紹介しましょう。 よく聞く話で、「画面を見続けると目が悪くなる」という話がありますが、これは視力に関する話ですね。これに関する調査方法を私たちは知っています。 ゲームをしない人は普通の視力があるということですが、週に5時間、10時間、15時間ゲームをする人はどうなのでしょうか。 415 実は彼らの視力は非常にいいのです。ゲームをしない人よりもいいのです。優れている点が2つあります。 444 まず1つ目。散乱した状況でも小さな詳細を見つけることができます。虫眼鏡なしで薬の処方が読めるということですね。 もう1つは、グレーの色を見分ける能力に長けているということです。霧の中で運転していても車を見分けられるということですね。我々はこれらを利用して、目の悪い人が、よく見えるようになるゲームを開発しています。 そしてもう1つ。ゲームをすると注意散漫になるという説についてです。研究室でしていることを、皆さんにも体験していただきましょう。ゲームなのですが、画面の言葉が何色かを言っていただきます。

アクションゲームプレイヤーが優れているのは、注意力

550 最初の例です。 会場 オレンジ、緑、赤、黄色……。 いいですね、こんな感じです。難しいですよね。なぜなら文字と色の対立を示しているからです。注意力によってこの問題を解決できます。若い人は早いと思います。そして、アクションゲームを多くする人はこのスピードが速いのです。なので、注意散漫という説は正しくないですね。 実は注意力という点で、アクションゲームをする人にはこの他にも多くの利点があります。それは対象を追う能力です。私たちがいつも使う能力ですね。運転中に、歩行者やペットの犬などの動きを見て安全運転するための能力です。 我々の研究室では、被験者にスクリーンの前で座ってもらい、こういったことをしてもらいます。黄色のハッピーな顔と、青の悲しい顔です。ジュネーブの学校での風景ですね。コートを忘れた残念な子とそうでない子。 729 730 それでは例をお見せしましょう。コートを持たない青い顔はひとつです。動きを目で追うことが可能です。動きが止まって、クエスチョンマークが出ました。 735 このクエスチョンマークの子は、コートをもっていましたか? または最初から黄色かったでしょうか? そうです、黄色です。皆さん脳みそはあるみたいですね。 (会場笑) 756 今度はちょっと難しいです。青い顔が3つ。目を動かさずに固定してください。追うと見失います。 802 これは黄色か青か?  観客 黄色 ダフネ そうですね。一般成人は3〜4個の点を終えます。 819 アクションテレビゲームのプレイヤーは6〜7個追えます。こんな感じです。 825 難しいですよね。 (会場笑) このようなテレビゲームによる効果と同じように、脳への効果を見ることができます。我々は多くの変化を確認しました。主な変化は、注意をコントロールする脳のネットワークに見られました。 856 注意の適応を司ることで知られる頭頂皮質。 900 注意を維持するための前頭葉。 905 注意を配分して、矛盾を解決する前帯状皮質。このように3つの実際の脳をイメージした時に、ゲームプレイヤーの脳のネットワークは遥かに効率的に働くのです。これによって、テクノロジーと脳についての文献に対する、反直感的な発見がありました。

複数のことを同時にこなすのは実は難しい?

929 マルチタスキングについては皆さんご存知ですよね。しかしそれに対する考え方には間違いがあります。運転しながらの携帯電話の使用は、やめましょう。かなりのバッドアイデアです。なぜなら、その時あなたの注意は完全に携帯電話に向いており、スムーズな車の運転への反応ができないからです。事故に遭う確率は高くなります。 それについての研究ですが、実際に交通事故を起こしたりはしていませんよ。でも、ミリ単位の正確さで測定できるタスクをデザインしました。いかに物事を早く切り替えられるかというものです。 1023 いざ実験をしてみると、ゲームプレイヤーは非常に優秀で、小さな犠牲で早い切り替えができたのです。 1034 テクノロジーを使用する他の利用者に置き換えてみてください。マルチメディア・タスキングに親しんでいる人たちです。マルチメディア・タスカーといい、チャットしながらインターネットをしつつ、音楽を聴くような子供たちです。 スタンフォードの同僚によってなされたリサーチで、そのようなマルチメディア・タスカーは、実はマルチタスキングがほとんどできないということがありました。研究室での彼らの結果は非常に悪かったのです。 こういった結果は2つの考えを提示しています。まず1つは、全てのメディアは等しくないということです。アクションゲームとマルチメディア・タスキングの効果を同じようには語れません。働きかける部分が違うのです。 アクションゲームの種類によっても効果は違ったりするのです。なので、それらをさらに詳しく調べました。 もうひとつは先ほど紹介したように、一般論が正しいというわけではないということです。あと、マルチメディア・タスキングを実践している学生は、テストでうまくいったと思っているのですが、実際は成績が悪く、それをいうと「信じられない」となっているのです。そしてそれは、テクノロジーの脳へ影響を測定する理由でもあります。 ある意味、テレビゲームというのはワインにも似ています。 1239 悪いワインの飲み方があるように、悪いゲームのしかたがあります。 1253 適切な飲み方であれば、ワインは非常に健康にいいものですし、長寿をもたらす成分さえ発見されています。そのように、ゲームにも、脳の適応性に有効な要素があるのです。教育やリハビリに活用するために、そういった要素を解明する研究にとりくんでいます。 教育やリハビリへのゲームの影響を調べているため、何時間ゲームしたかということは重要ではないのです。アクションゲームをして視力を回復してもらうことを考えているのです。それが肝心で、そのための研究を行ないました。

ゲームのポジティブな効果と、ソフトウェアをどう組み合わせるか

1417 1426 メンタル・ロテーションというタスクで、そのステップを紹介します。この形を見ていただきたい。これがターゲットです。そして今から4つの形を見せます。 1435 4つの内の1つは、ターゲットと同じ形です。 1440 どれかわかりますか? 答えは4つ目です。 1448 脳を働かせて……。今度はこれです。 1451 3つ目です。 難しいですよね? だから、やってもらいたかったのです。 1509 トレーニング・スタディでは、まず被験者に10時間分割でアクションゲームをしてもらいます。40分にわけて2週間でやってもらいます。 1524 一度トレーニングを終えて、数日後にまた同じような問題を解いてもらいます。 1537 これはトロントの同僚の仕事ですが、最初は年相応なものでした。 1544 1549 アクションゲームの訓練の2週間後には成績は上がり、5ヶ月後もその進歩は維持できていました。それは非常に重要なことで、なぜならそれは教育やリハビリのためであり、長く続く効果が必要だからです。「では、なぜまだ市場に出ないのか?」こう考える人もいるでしょう。 1636 我々は現在それに取り組んでいますが、そこには困難もあります。私のような科学者たちが気づき出している、ゲームのポジティブな効果。これをブロッコリーのサイドとしましょう。 1650 ソフトウェア産業が作るのに秀でている、魅力的な商品。これをチョコレートサイドとします。 1658 これらのサイドを組み合わせなければならず、食べ物のような感じです。チョコレートがかかったブロッコリーは食べたくないですよね? (会場笑) そのような感じで、教育ゲームを楽しいとはあまり思えないのです。我々が求めているのは、ブロッコリーから抽出された成分を持つけれど、美味しいチョコレートなのです。脳科学者やソフトウェア業界、出版社が一緒になって取り組んでいます。今のところ、こうしてうまくすすんでいます。ありがとうございました。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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