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「アスペルガー症候群に対する見方を変えたい」高機能自閉症の女性がユーモアと共に語る未来への希望

「アスペルガー症候群に対する見方を変えたい」高機能自閉症の女性がユーモアと共に語る未来への希望

高機能自閉症(アスペルガー症候群)のアリックス・ジェネラス氏が自身の治療遍歴や内面の変化について語ったスピーチ。周りとのコミュニケーションがうまく取れなかった経験や、触覚が敏感すぎて、シャワーが針のように感じること、友人から性暴力を受けたことなど、高機能自閉症による弊害や、辛い出来事について振り返りました。しかし、高機能自閉症は悪い事ばかりではないとジェネラス氏は語ります。22歳でバイオ企業の共同創業者となったジェネラス氏を含め、革新的な考えを持ち、才能に溢れる人がたくさんいます。彼女は最後に「私のゴールは高機能自閉症の人に対する世間の人の見方を変えること」だと人々に語りかけました。(TEDWomen2015 より)

スピーカー
Advocate Alix Generous(アリックス・ジェネラス) 氏
参照動画
How I learned to communicate my inner life with Asperger's

言葉ではなく、視覚からものを考えている

アリックス・ジェネラス氏 今日は皆さんに夢についてお話したいと思います。私は生まれてからずっと明晰夢(夢であることを自覚して見る夢)を見ます。明晰夢は映画なんかよりもずっとカッコいいんですよ。 (会場笑) 空を飛んだり、炎を吐いたり、燃えてる人が突然現れたり……そんなのを遥かに超えています。 (会場笑) 私は本を読んだり音楽を作曲したりできます。事実、夢の中で大学への志望動機書を書いたら受かったんですよ。 私はいつも視覚から物を考えます。言葉ではなく、絵で考えるのです。私にとって、言葉とはもっと本能的なものであり、言語なのです。 私のような人はたくさんいます。例えばニコラ・テスラは、発明や思考やありとあらゆる問題を正確に視覚化し、デザインし、テストして、解決できます。 言語とは私たちのような人種の人にとっては相容れないものがあるのです。私はβ版のGoogle翻訳のように、もう少し旧式なんです。 (会場笑)

感情豊かな表情や抑揚のつけた話し方ができない

私の脳は、自分が興味のあることには過集中するという能力があります。例えば一度、ある有名人カップルの結婚生活よりも長い間、微積分学との関係が続いたことがありました。 (会場笑) 他にも少し変わった所があります。お気づきになった方もいると思いますが、私の声にはあまり抑揚がありません。だからよくGPSと間違えられるんです。 (会場笑) このことは人との基本的なコミュニケーションを難しくさせます。道順が知りたいなら別ですが。 (会場笑) ありがとうございます。 (会場拍手) 数年前プレゼンテーションをし始めた時、初めて頭を撃たれるような衝撃を受けました。カメラマンの女性が私にチャラチャラして見せてと言ったんです。 (会場笑) 私は彼女が言っていることの意味が全くわかりませんでした。 (会場笑) 彼女は「あれやってみて、ほら、目を使って……男の人を誘惑する時のやつよ」と私に言うので、私は「どんなやつ?」と聞き返しました。すると彼女が「知ってるでしょ、目を細めるやつよ」と言うので、本当に頑張ってやってみたんです。それはこんな感じでした。 gazou1 (1) (会場笑) まるでウォーリーを探せをやっているように見えました。 (会場笑) これをしなくてはいけない理由があります……ウォーリーが隠れなくてはいけない理由があるように。 (会場笑)

アスペルガーによる弊害と苦労

私にはアスペルガーがあります。見てわかるような基本的な社会技能に障害のある高機能自閉症です。これは様々な場面で生活を難しいものにし、私は子供の頃から社会に適応することにとても苦労してきました。 友人が冗談を言っても、私にはそれが理解できませんでした。私の個人的なヒーローはジョージ・カーリンとステファン・コルバートでした。彼らは私にユーモアを教えてくれました。 私の性格は、恥ずかしがり屋で照れ屋から、嵐のように罵りながら反抗的になる性格に変わることがあります。言わなくても、友達が少ないのは察していただけると思います。 それから、触覚も極度に敏感です。肌に水が触れる感覚はまるでピンや針が刺さるようで、何年もの間、シャワーを浴びるのを拒否していました。今では私の衛生の日課は普通になっているので、ご安心ください。 (会場笑)

性暴力を受けたことによってさらに状況が酷くなった

私も両親も、現在こうなるまで、たくさんのことをしてこなければいけませんでした。その上に更に、私が友人から性的暴力を受けたことで、手が負えない状況になりました。 困難な状況が更に酷くなったのです。治療を受けるため国を2000マイル(約3200キロメートル)も旅しなければならず、新しい薬を処方されるとすぐに、私の人生はウォーキング・デッドの一幕のようになりました。 偏執病になり、腐敗した死体が自分に向かって来るという幻覚を見始めるようになったのです。そしてついに私の家族が助け出してくれましたが、その時にはすでに私は3週間で19ポンド(約8.6キログラム)も痩せ、急性貧血を起こし、今にも自殺しそうでした。 その後私は、私の嫌悪感やトラウマや社会不安を理解してくれる、別の治療センターへと移されました。そのセンターはどのように治療すれば良いかを熟知していました。 私はやっと必要としていた助けを得ることができたのです。そしてそれから18ヶ月の辛い治療の後、信じられないようなことを始めるに至ったのです。 アスペルガーの特徴の1つに、とても複雑な内面生活というものがあります。私自身もとても多彩な性格で、豊富なアイデアや、とにかく色々なことが頭の中で起こっているのです。 しかしその部分と、周囲の世界とどうコミュニケーションを取るかという部分に大きな溝があるのです。そしてそれが、基本的なコミュニケーションを難しくさせます。

ワッフル・ハウスは私を雇わなかった

社会技能が欠けているせいで、私を雇ってくれる場所はそう多くありません。だからワッフル・ハウスの求人に応募したんです。 (会場笑) ワッフル・ハウスとは24時間営業のまれなダイナー(食堂)で……。 (会場笑・拍手) ありがとうございます。そこでは何通りもの調理法で作られたハッシュブラウンを注文することができます。それはもう、まるで誰かが人間の死体を始末するかのようです……。 (会場笑) スライス、角切り、胡椒がけ、厚切り、上に乗せたり、被せたり、覆ったり……。 (会場笑) ワッフル・ハウスには、夜中の怪しい時間にだけ行くべきなんです。 (会場笑) 一度夜中の2時に、私はウェイトレスの人と雑談していたんです。私は彼女に「この仕事をしていて一番驚いた出来事は何?」と聞いたんです。 すると彼女は「一度男の人が全裸で店に入ってきた」と教えてくれました。 (会場笑) そこで私は「それはいいわ! 深夜勤務で働かせて!」と言ったんです。 (会場笑) 言わなくてもわかるように、ワッフル・ハウスは私を雇いませんでした。

22歳でバイオ企業の共同創業者に

アスペルガーであるということは不利なことだと見られがちで、時にとても鬱陶しく思うこともありますが、その逆の時もあります。 それは才能であり、革新的に考える力をくれるのです。私が19歳の時、リサーチコンテストで私の珊瑚礁に関するリサーチが優勝したことがあります。 そして結果的に、そのリサーチを生物多様性の国連条約で発表することになりました。 (会場拍手) ありがとうございます。 (会場拍手) そして22歳の時、私は大学卒業間近で、同時にオーティズムシーズという名のバイオ企業の共同創立者になりました。 (会場拍手) ありがとうございます。 (会場拍手) しかし、こうなるまでに私がどんなことをしてこなければいけなかったか、考えてみてください。25人の療法士、11回の誤診、何年も続いた痛みとトラウマ。 私はこれまで、もっと良い方法はないのかとずっと考えてきました。私は方法があると思っています。それは自閉症補助テクノロジーです。このテクノロジーは、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人々を助けるために必須の役割を果たしてくれます。 私の会社であるオーティズムシーズが発売したこのポディウムというアプリは、コミュニケーション能力を自主的に判断し、発達させるための手助けをする能力があります。 それに加えて、カメラを通し視線を追跡し、演説や面接の場合に備えたシミュレーションも行えます。これでもう少し練習したら、もしかするといつの日かワッフル・ハウスが私を雇ってくれるかもしれませんね。 (会場笑)

高機能自閉症の人に対する他の人の見方を変えたい

そして素晴らしいことに、私は今日の準備のためにポディウムを使ったのですが、とても大きな助けとなってくれました。しかしまだまだです。 もっとできる事があります。多くの革新的な科学者や研究者やアーティストや技術者の人達が、ASDであると推測されています。例えば、エミリー・ディキンソンや、ジェーン・オースティンや、アイザック・ニュートンや、ビル・ゲイツなどもその一例です。 しかしそこで遭遇する問題は、コミュニケーション障害があるために、これらの素晴らしいアイデアが時々共有されないことがあるということです。 そして、自閉症の多くの人が日々見過ごされ、足元を見られているのです。自閉症の人に関する私の夢は、それを変え、彼等の成功を阻んでいる障害を取り除くことです。 私が明晰夢が大好きな理由の1つは、社会的そして身体的な結果に対する批判なしに、私を自由にしてくれるからです。 私が自分の頭の中で作り出した景色の上を飛んでいる時、私はとても安穏なのです。批判されることもなく、やりたいことが何でもできるのです。わかりますか? 私がブラッド・ピットといちゃいちゃしても、アンジェリーナ(ジョリー)は全然気にしないのです。 (会場笑) しかし、自閉症補助テクノロジーの最終目標はもっと大きく、もっと重要なものなのです。 私のゴールは高機能自閉症の人に対する他の人の見方を変えることです。なぜなら彼等は色々なことができるのですから。 例えば、テンプル・グランディン(アメリカの動物学者)を見てください。そうなれば、私たちは彼等の才能をこの世界で共有しようとし、世界を前進させようと思うでしょう。 それに加えて、彼等に現実の世界でリアルタイムに夢を追い求める勇気を、与えることもできるのです。 ありがとうございました。 (会場拍手)

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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