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地方が日本のインキュベート施設になる–福岡市長が語る、地域活性化への取り組み

地方が日本のインキュベート施設になる–福岡市長が語る、地域活性化への取り組み

グロービスの経営理念である、能力開発、ネットワーク、志を培う場を継続的に提供することを目的として、グロービスのMBAプログラムの学生・卒業生、講師、政治家、経営者、学者、メディアなどを招待して開催されるカンファレンス「あすか会議2015」に、福岡市長・高島宗一郎氏、カヤック・柳澤大輔氏、アソビュー・山野氏、横須賀市長・吉田雄人氏の4名が登壇。「起業家と首長が実現する“脱・東京一極集中"」をテーマに、福岡市をはじめ全国の各都市で生まれつつある、ベンチャー企業とタッグを組んだ、地域活性化の取り組みについて語り合いました。

シリーズ
GLOBIS(グロービス) > あすか会議2015 起業家と首長が実現する“脱・東京一極集中"
2015年7月4日のログ
スピーカー
福岡市長 高島宗一郎 氏
株式会社カヤック 代表取締役CEO 柳澤大輔 氏
アソビュー株式会社 代表取締役 山野智久 氏
横須賀市長 吉田雄人 氏

地域の遊びのプラットフォームを手がけるアソビュー

吉田雄人氏(以下、吉田) これ、モデレーターより絶対パネラーのほうがいいですね(笑)。とはいえ、モデレーターに戻りまして。本当に最先端の観光のサービスを提供している、アソビューさんの山野さん。もう、うずうずしていましたからね。 山野智久氏(以下、山野) いやいやいや(笑)。福岡市、横須賀市長、上場企業の社長さん、カヤックの社長さんがいらっしゃって「お前誰だ?」というのは大好物でございますので。私がやっていることを2つご紹介させてください。 私は遊びの予約のプラットフォームをやっています。要は、地域に遊びに来ていただけるきっかけをつくっていると。こういうことをやっています。地域に遊びに来ていただけるきっかけって、わかりやすいところでは観光があると思うのですが、観光って要素が5つあるんですね。移動、宿泊、現地での食事、現地での遊び、あとおみやげ。この5つが観光の構成要素です。 インターネット上に、宿泊施設の情報はたくさんあって予約ができる。移動も全く困らない。食事もプラットフォームがたくさんある。なぜか現地での遊びだけ、非常に困ると。皆さん困った経験ありませんか? 旅行に行くんだけど、「現地で何しようかな?」とか「そもそもどこに行こうかな?」と困った経験があると思うんですけど。 この部分を我々のアソビューで解決しようということをやっています。具体的な例を挙げると、鳥取県では鳥取砂丘、皆さんご存知ですよね? 鳥取砂丘は皆さん知ってらっしゃるんですけど、鳥取砂丘以外は何をすればいいのか全くわからない。インターネット上に情報が全く存在していないと。 そういうなかで、実は地域で細々と、あるいは密やかにやってらっしゃる、楽しい遊び・体験の情報を我々が一生懸命集めてきて、インターネット上で情報を整備してあげて、ワンストップで予約する仕組みを提供する。このようなことをやらせていただいています。 その先に、サービスのクオリティを上げるために、あるいは満足度を上げていくためにどうすればいいのかという課題に向き合うので、その際は人材開発のお手伝いをさせていただいたり。こういうことが、我々の会社がお手伝いさせていただいていることです。 吉田 ちなみにアソビュー知ってる人? (会場挙手) 吉田 あ、すごい。使ったことがある人?……あ、ゼロだ! 山野 ゼロですね(笑)。皆さん使ってくださいね。 吉田 絶対使うといいですよ。別に回し者じゃないですけど、アソビュー本当にいいですよ。特にお子さんがいる人なんかは。テーマを選ぶこともできますからね。 山野 はい。ありがとうございます。 吉田 でも、ゼロはちょっと辛いですね。 山野 まあ、まだそんなもんですね。 高島宗一郎氏(以下、高島) 認知度がこれだけあったというのがすごいですよね。 吉田 すごい。あと、狙いがあって。私がしゃべることじゃないんだけど。いろんな観光資源をいま発掘している段階なんですね。これを全部ストックして、体験型観光の材料は全部アソビューに集まっているという状況をつくることが野心ですよね。 山野 ありがとうございます。ビジネスは「卵・ニワトリ」があると思うんですけど、売るものがないと買う人が来ない。僕らはいまとにかく徹底的に売るものを集めよう、磨こうということをやっています。その満足度の高い売るものが集まってくると、買う人たちに対して価値を提供できる。こういう順番で事業を進めている状況ですね。 吉田 そのうち、皆さん気づかないうちに使っているみたいな状態になるんじゃないかなと私は思っています。

地域にイノベーションを起こす、地方創生ベンチャー連合

山野 あともう1つ。実は7月24日の金曜日に福岡市のスタートアップカフェで正式な発足の記者会見をやるんですが、私、「熱意ある地方創生ベンチャー連合」という連合体を立ち上げて、ベンチャー企業のソリューション、あるいはベンチャー企業が地域に積極的に関わることで地域にイノベーションを起こして、持続可能な地域の経済活動をしっかりつくっていこうと、こういう取り組みをやっています。 私と共同代表でランサーズの秋好(陽介)さん。あとはスペースマーケットさんや、婚活の会社さんだとか。あとクラウドファンディングの会社さんも含めて、さまざまな会社さんが10社ほどいま集まっていて。年末までには50〜100社くらいの連合体にしていこうと思っています。 具体的にどういうことやっているかというと、2つあります。先ほど(高島)市長がおっしゃってましたが、そもそも、まさにいまこのタイミングで課題解決をするようなソリューションを、ベンチャー企業が実は持っているんですけれども、なかなか地域の方々はそれを知らない。 こういう課題があるなかで、チームを組んで、プロジェクトを組んで一緒に課題解決をしていこうというチャレンジを1つ、まずします。 もう1つは、先日横浜でプレイベントを開いたのですが。例えば地域にすごく熱意のある起業家さんの方々や、アクセラレーターの方々がたくさんいらっしゃるんですけど、なかなか、例えば私は経営者として8億円くらい資金調達をしていますが、自分たちが資金調達をしたいと思ったときに、なかなか地域にノウハウがなかったりするんですね。 そんななかで、ベンチャー企業が地域に積極的に関わっていくことによって、そういう創業やスケールといったところを支援・サポートしていくという取り組みを、いまからまさにやっていこうとしています。

行政がベンチャーを支援すべき2つの理屈

吉田 素晴らしいですね。この熱意ある地方創生ベンチャー連合、大きな期待が寄せられていると思います。その一方で、自治体側もいろいろな取り組みが高島市長のもとで広がろうとしているところなんですが、ちょっと紹介していただけますか。 高島 一歩前から話すと、さっきは理念的には行政とベンチャーが一緒になって世の中を変えていくんだ、ないしは世の中にフィットしていくんだ、というお話をしました。もう一方で、行政としてベンチャーと支援していくときにはきっちりとした理屈が必要なんですね。それは2つあります。 1つはまず、ベンチャーは大きな雇用を生むんです。できてから3年以内の企業は、全事業所のなかでおよそ8.5%です。この8.5%の新規事業所が新しく生み出している新規雇用者は、実は全体の4割弱なんです。 別の言い方をするならば、0〜10年以内の企業が全体の平均で見たら雇用がプラスで、10年以降は平均すると雇用はマイナスなんです。ですからやはり、新しい企業が生まれてこないと新規雇用が生まれないということがあるんですね。これはもう数字できっちりと出ている話なんです。 もう1つは、賃金がどんどん下がっていく、人が減らされる、ブラック企業だとかありますけども、より労働生産性が高い企業、より付加価値が高い企業に失業なく労働力が移動していくということが大事なんですね。延命措置だけではなくて、より生産力がある企業に皆さんが、労働力が移動していくことによって賃金が上がっていき、雇用問題もしっかり解決されていくと。このような理由から、ベンチャーの応援は行政的に見ても大事なわけですね。

行政とベンチャーが生み出す全国規模のエコシステム

吉田 ここまで前置きね。 高島 前置き。福岡市はそんななかでベンチャーの支援を進めてまいりました。スタートアップ支援、やってきました。でも福岡だけでやっても、うちが農業の分野でどうなのか? もしくは工場をどんどんつくっていくようなところでどうなのか? と言うと、福岡市よりも強みがある場所があるわけですね。スタートアップと言っても、それぞれの地域の特徴によって強みがある。ですから、福岡市だけがチャレンジをしても日本は変わっていかない。 そんななかで、先ほどの横須賀市をはじめ、ベンチャーに力を入れている全国の自治体とタッグを組んで、「スタートアップ都市推進協議会」というものをつくりました。私が会長ですが、副会長は横須賀市の吉田市長に入っていただいて。それから広島県の湯崎(英彦)知事。この2人に副会長になっていただいて。三重県や浜松市、千葉市、奈良市などなどという感じなんですけど。 たくさんの自治体の皆さんと一緒にこういうものをつくって、それぞれのスタートアップ支援に関する尖った取り組みを共有したり、もしくはそれぞれの自治体が応援する5つずつのベンチャーを東京に連れてきて、首都圏の既存企業、大企業の皆さんとのマッチング大会をやったりということを、このスタートアップ都市推進協議会では行っています。 吉田 この狙いで大事なのは、いま高島市長がおっしゃったように、日本全体にエコシステムをつくっていくという考え方ですよね。福岡は確かにすごいんです、いま。九州全体で、「ベンチャーを起こすなら福岡で!」と。アジアにも福岡の名前が響き渡っているような状況ですけど、福岡だけが元気でも実は日本は変わらないと。 当然、福岡の敵は横須賀でもないし、大阪でも東京でもなくて、インドだったり、あるいはインドネシアかもしれない。そういうなかで、日本全体が同時多発的にそういう行政の分野からイノベーションを起こしていくというところも狙いとしてあるんですよね? 高島 そうですね。実は私自身がスタートアップに目覚めたきっかけは、いまから4年ぐらい前にシアトルへ出張に行ったんですよ。福岡市は人口が152万人なんですけど、福岡市の半分の人口のシアトルに行ったらそこにはアマゾン、スターバックス、マイクロソフト、コストコ、シアトルズベスト、こんなグローバル企業の本社があるわけですよね。 「なんで福岡の半分の人口の町で、これだけグローバル企業があるわけ?」「しかも、ワシントン、ニューヨークみたいな首都から遠く離れた西の港町で、なんでこんなことになるわけ?」と。それを調べたときに、リバブルというのがあったんですよ、テーマとして。Livable、住みやすい。 実は、住みやすくてストレスフリーな環境、そしてコンパクトシティであるといったところが福岡とそっくりだったんですね。福岡はそれまで住みやすい町だと言われていたんですけど、こことビジネスを結びつけるキーワードがなかなか見つからなかった。ですが、私はシアトルに行って「なるほど!」と。 要するに、首都に比べてビジネスコストが安いローカルであれば、失敗ができるわけですよ。同じ100万円があったとしたら、(ローカルなら)トライアンドエラーを何度も繰り返すことができる。テストマーケティングするのに、実はローカルはとてもいい。 言い方を変えれば、地方というのは日本のインキュベート施設なわけですよ、日本全体の。ここで新しい価値が生まれていって、チャレンジして、大きくなっていくという。だからそういう意味で、いまそれぞれのローカルがチャレンジしていますが、こういうふうにして日本を牽引するような新しい価値や商品やサービス、企業が生み出されるのを応援していくのに適切な場所なんだと。 地方をそういう見方にしてチャレンジの舞台にすることで、地方自身も輝く。もちろん、いま政府が進めている東京から地方への企業の本社機能の移転というのも一定の評価はできると思いますが、そんな大企業がいきなり田舎に行かないですよ。 だからやっぱり、そこで生まれてくるその地域の人間が中心となって、それで他所からこの地域でチャレンジしたいという人が集まってそこで生まれてくるものが本物じゃないかと思うんですよね。 吉田 なるほどね。(高島氏は)アナウンサー出身なので、切れ目ないので、切っていくのがすごく難しいんですが(笑)。 高島 これはどうしてかというと、(吉田氏が)視線に入ってるんですよ。切りたがってるなー、ってわかるから、あえて間をつけず言いたいことを全部言ってしまおうっていう。 (会場笑) 柳澤大輔氏(以下、柳澤) さすがですね。

地方創生ベンチャー連合の取り組みについて

吉田 お言葉ですが、(柳澤氏と山野氏の)2人はマイク握ってうずうずしてるんですよね(笑)。普通だいたいしゃべらない人は脇に置いてるんですよ。でも2人とも(マイク)握ってるから。 山野さん、いまみたいな同時多発的に起きようとしている自治体側でのイノベーションに、熱意ある地方創生ベンチャー連合の皆さんはこれからどんなふうにコミットしていこうと思っているのか、具体例がもしあれば、個別の案件でもいいですが、教えていただけますか? 山野 例えば、我々のメンバーのなかで、ピクスタという写真のプラットフォームを運営している会社さんと美人時計という地域の美人、美人というのは容姿ではなく輝いている女性という定義なんですが、その方々をプラットフォーム化していこうという会社さんも入ってるんですけど。 どういう課題が実際にあったかというと、素敵な行政発の冊子をつくりたいんだけど、なかなかクリエイティブにできないと。まずモデルが見つからない。いい写真が取れない。こういう課題がある。 そこに対して、ピクスタさんは、いま何十万人かわからないですが、カメラマンさんがそのプラットフォームに登録しているんですね。それと、その地域のいわゆる美人な女性の方々という被写体を掛けあわせていくことによって、素敵な行政の冊子をつくっていこうと。こういうような話がいま盛り上がっています。 あとは、いまもうすでに始めてるんですが、ジャパンギビングさんというクラウドファンディングの事業があるんですけど。ふるさと納税、皆さんご存知だと思うんですが、納税をするとその地域の特産品がいただけるという。 本来的には特産品がもらえるというよりも、その地域を応援するためにその地域に行って、その地域の良さを体感して、そしてその地域を好きになってもらうというのがコンセプトなので、これを体験化しようという話があるんですね。 我々は遊び・体験の予約をやっておりますから、その地域のなかでどういう魅力があって体験がつくられるのかというのを我々がクリエイティブさせていただいて。その取り組みをクラウドファンディングに載せて、納税システムを使って盛り上げていって、シェアをSNS上で発信していく。このような取り組みを実際にいまやっています。こんなことができるかなと思います。 吉田 いいなと思うのは、1つの自治体でできたことがほかの自治体でも汎用性があったりとか、日本のなかでのまた新たなローカライズが生まれたりとか。そんな可能性は感じてらっしゃる? 山野 汎用性という観点でいくと、先ほどの柳澤さんのやってらっしゃるカマコンバレーの地域展開もそうですよね。ちょっと振っちゃってみたんですけど、ダメですか? 吉田 それ俺の役割(笑)。 (会場笑) 山野 そうですか(笑)。なんかインタラクティブいこうっていう話だった……。 吉田 もうちょっと待ってよ。もうちょっと存在感発揮させて(笑)。 山野 大変失礼しました(笑)。

  

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