介護施設向けカタログ通販「スマート介護」

宮崎英基氏(以下、宮崎):皆様、こんにちは。私、プラス株式会社の宮崎と申します。よろしくお願い申し上げます。今、吉井社長のお話を実は後ろで聞いておりまして、結構耳の痛いお話とか、やはり経営が結構いろんなことを言ってきたりとか、今、実はそんなステージにおります。

ここに書いておりますプラスから生まれたスマート介護ということで、介護福祉施設様向けの商品のデリバリーサービスということで、実は、去年の4月に事業をスタートさせていただきました。その中においては、いろいろインターウォーズ様にもご支援いただいたりしておりまして、今ようやっと進んできているというところです。

プラス株式会社、先ほど吉井社長のほうからも若干お話がありましたけれども、文具・事務用品ですとか、家具ですね。オフィス家具なんかをつくっている会社になります。プラスという名前は意外と皆さんご存じないんですが、アスクルと言うと皆さん「ああ」といことで、お話をいただくんですけれども。

アスクルっていう会社が翌日お届けするんで、アスクルみたいな会社なんですけど、93年に社内に事業部として立ち上がって、97年に分社をして、2000年に上場したという会社ですね。

もともと社内で意外といろんなことをやってみようという風土がありまして、今回もいろんな経緯がありながら、介護福祉施設様向けに何かできるんじゃないかと、かなり軽い感じでいろんな指示が出て、スタートしたということなんですね。

事業立ち上げのきっかけ

今、ここ704日と書いております。これは何かといいますと、トップのほうからも、私のほうも、介護市場に向けて、何かやっぱりビジネスができるんじゃないかというところを、ちょうど考えていたときに、実はインターウォーズ様にいろいろ教えていただける場があるということで。

イントレプレナー塾というのがあるよっていうことで、実はご紹介をいただいて、最初にお伺いしたのが、実は3年前の5月25日ですね。ちょうどこれぐらいの暑いときに、実はここのお部屋でいろいろ学ばせていただいて。

スタートをしたのが、事業のスタートは、去年のゴールデンウイーク前です。4月28日でした。ですので、実は起案から事業をした後まで、ちょうど704日ということなんですね。

これを長いとみるか、短いと見るかというのはあるんですけれども、この704日で事業をスタートできたという中では、いろいろ先ほど、吉井社長のほうからもお話がありましたとおり、いろいろなノウハウというところを、一緒に議論していったというところがございます。その辺のところをお話しできればと思います。

人口減少に伴う市場の縮小という壁

もともと私どものオフィス家具ですとか、文具・事務用品というのは、実は本業はここなんですね。これは人口の図ですね。子供の世代と、あと就業者人口と、これは高齢者人口。これは皆さんもよく見る図だと思うんですけれども、今まさしくこういう状態になっていて。

私どもの本業というのは、会社に勤めていらっしゃる方に対して物を売るという商売なので、文具・事務用品、家具。そのあたりは、黙っていても市場がシュリンクしてしまうよねという現実に、実はぶつかっておりました。

なので、ここの市場に対して、やはり何かをやっていかなければ、うちの会社も先がないよねというところが、実は今回のスタート、きっかけになっております。

5年間で500万人も減っちゃうよねというところで、ちょうど埼玉県の就業者人口が500万人だったと思うんですね。ですから、5年間で埼玉県1県の働く人の人口がいなくなっちゃうと。ですから、同じ努力をしていても、売上は当然下がっていくよねというところに直面していったということなんですね。

私ども、文具、事務用品、家具というのは、私ども、直接販売ではなくて、全国に7,000件ほど今もあります、文具・事務用品店さんがありまして、そこを経由して、販売をしているということなんですけれども、先ほど、フイルムの話じゃないんですけども、年々市場規模がずーっと下がってきていて。

2007年には、市場の規模が5,376億円あったんですけど、ちょうど私が、この介護のビジネスをケアする手前には、もう4,700億まで下がってきている。そんな現実が実はありました。ちょっと恐ろしくなる実態なんですね。

アスクルを支える2つの柱

加えて、実は就業者人口が減るので、そもそもの市場が減るということに加えて、タブレットですね。iPadですとか、いろんなものが、一気に普及し始めてきて、実はそのときに、アメリカで紙の使用量が、コピーペーパーですけれども、実は24パーセントも減るという現実がちょうど起きています。なので、間違いなく日本にもこのトレンドが来るだろうということだったんですね。ですから、使うほうも減るし、紙の消費量も減っていくと。

実は、文具・事務用品というのは、紙を切ったり、紙を貼ったり、紙をとじたりということで、全部紙繋がりなんですね。なので、ここの使用料が減るということは、人口が減るだけではなくて、さらにダブルで効いてくるということが背景にはありました。

こういう業界って、実はあまりないと思いますね。昨今で言いますと、車に乗る人が減って、エコカーが増えて、ガソリンの需要が減るみたいな。そのダブルというところはあるかもしれませんけれども、どちらかというと、あまりほかの業界にないような現象が起きているということなんですね。

そのときに、実際に7,000軒の文具・事務用品店さんが、私どものパートナーとしてここにありまして、じゃあどうやって生き残っていこうかということがございました。ちょうど、20年前までは、4万4,000軒ぐらい文具・事務用品店さんはあったんですけども、一気に減って、今7,000軒しかない。ただ、その販売店様と私たちはどうやって生きていくのかというところがございました。

それで、トップのほうからですね。非常に簡単な言葉で、実は私どもオフィス向けに、「smartoffice」という営業つきの通販の仕組みですね。簡単に言いますと、アスクルに営業がついているようなものを私どもはやっておりまして、「smartoffice」というのをやっています。

これは、官公庁ですね。人がいることによって、文具・事務用品をしっかり浸透させていける市場、官公庁についてはナンバーワンになっています。営業がいいということですね。

それともう1つ、「smartschool」という、学校版アスクルということで、当時立ち上がったんですけれども、「smartschool」というビジネスをやっております。これは小中学校のカバー率で言うと、97パーセントを実は持っております。

この2つの柱があるので、簡単に介護・福祉市場に対しても何かできるんじゃないのと。「ちょっと考えろよ」みたいな話がございました。

新規事業立ち上げ時の悩み

トップもそういう話はあったんですけれども、私のほうも実は病院ですとか、介護施設も実は祖母が入っていたので、そういうところに行くと、職員の方がいつも本業のこと以外のことをされているっていうのを待合室とかで見ていたんですね。

例えば、病院、クリニックなんかになりますと、ちょっとした掃除をされていたり、雑誌の何か手配を、こうそろえていたりとか、本来やるべきじゃないようなところで結構お仕事をされている。

介護施設様にもそういうところは言えていて、いろんな飾りつけをするのも、皆さん、職員の方がされたり、本来は介護にやっている時間というのは本業なはずなんですけれども、そんなことをされているというところに、若干疑問を持っておりまして。

そこにトップから「何か考えてみろよ」という話がありましたので、そこの検討を始めたというところが、ちょうど3年前です。これがきっかけになります。

ただそのとき、私も先ほどの文具・事務用品の市場が減る、販売店さんも減るという中で、いろんな新規ビジネスを考えろよという命題が実はたくさんありまして、その中で、新規案件もいろいろ山積みの状態で、加えてやはり経営が「あれはどうなるんだ、これはどうなるんだ」。

やっぱり、ここは気になるところなので、毎日のようにいろんな確認が起きてくるということですね。

これは新規事業の立ち上げのときの悩みというところが、先ほど吉井社長もおっしゃっていたようなことにつながると思うんですけれども、やっぱり既存の中で、とてもこういうことが起きてきます。集中ができない。そうですね。同じようなことを毎日毎日聞かれてしまうので、集中ができないと。そんな現状がありました。

そのときにお声がけいただいたのが、インターウォーズさんだったんですね。ちょうど、3年前ですね。5期のイントレプレナー塾に、参加させていただきました。

ユーザーのなかに答えがある

ここのお部屋で、ちょうど5月から8月、9月の頭までですね。9月1日まで全8回ということで、いろいろ参加させていただいて、特に私が非常によかったなと思うのは、いろんな業種の方と、いろんな会話ができる。会社の中で考えていても、もんもんするだけで、意外とアイデアですとか、新しいことが見えないんですね。

そんな中で、こちらにお伺いして、いろいろ学ばせていただきました。本当にそこで今回のビジネスですね。まだ生まれて1年ですから、成功というところまでは至っていないですが、実際に事業を立ち上げていくに当たってとてもよかった点というところですね。

やっぱり会社を離れて、いろんな業種の方と本当に会話をさせていただいて、ヒントをいただけるというところが、私にとっては、非常に大切な時間でした。その方たちと実はいろんなコミュニケーション、今でも連絡を取らせていただいています。

ですから、私の会社で不足している部分について、いろんな連携、ビジネスのコラボの話なんかもさせていただいたりしています。

3つ目ですね。非常に大事な部分といたしましては、やっぱりビジネスプランを立てる上での、その肝の部分というのを非常に参考にさせていただきました。

どうしても、机上でいろいろ考えてしまいますと、合っているか、合っていないかわからないことでも、進んでいこうと思っちゃうんですね。そのときに、非常に多くの方にご指導いただいたのは「お客様に答えがあるはずだよね」と。

「お客さんに聞きましたか」っていう話は、かなりいただきました。本当にそこがとても、とても大事なところだなというところで、実際にこの2年間、ビジネスプランを立てる上で、とにかくお客様にお伺いするということをさせていただきました。

介護の新規事業が国からの支援案件に

もう1つ、実際に8月、9月までいろんなビジネスプランを一緒に立てさせていただいたんですけど、もう1つの加速したきっかけとしまして、実は翌年の3月の29日に経済産業省さんと「新事業創出のための目利き・支援人材育成等事業」、ちょっと長いんですけれども。

こちらに実は、支援者チームとしてインターウォーズ様から経済産業省さんにノミネートをしていただきまして、スマート介護、仮称でしたけれども、介護というものが支援案件として実は採択していただいたという経緯がございます。

ここで本当に会社も、やっぱりトップとしても、とにかく行こうじゃないかというところになった。私も当然、もうこれは成功するまでやるしかないという気持ちがしっかり固まったというところがこの3月29日なんですね。国からご支援をいただきながら、いろんなその立ち上げのところの支援もいただいたというところでございます。

ライバルは予想外のところにいた

そのときに、やはりいろんなご支援も頂きましたので、徹底的にお客様の声を聞かなければいけないなと思いました。実際に、実はインターウォーズ様とも、一緒にこう、実際のお客様に回らせていただいて、当時は介護市場向けのアスクルとかっていうようなイメージをとらえていたと思うんですね。

ところが、お客様はどうやって買っているんでしょうかというところを、本当に300軒近いお客様にみんなで手分けしてヒアリングしてまいりました。そうしますと、実はどのように商品を選んでいるかとか、発注担当者は文具・事務用品担当の人のようなデスクワークをしている方じゃなかったんですね。

介護をされている方が、合間、合間の時間を見て、実は介護施設でよくやっているようなレクリエーション、そのレクリエーションに使う創作用品の手配だったり、いろんな下準備だったり、そんなことをされているということがわかりました。

何に困っているんだろうということですね。この辺は、実は聞いていきますと、ちょうど2年前の今ぐらいの時期だったと思います。皆さんから「七夕の準備で大変なんですよ」みたい話がありまして。そもそも七夕の準備って何だというところが実はあるんですね。

介護施設様は、七夕納涼祭というのは1年間で一番のイベント事なんですね。そのときに、竹の笹を実はボランティアで取りに行ったりとか、そんなことをされていて、夜な夜ないろんな準備をされているということがわかりました。

加えて、誰がライバルなんだろうというところです。ちょっと実名を出しちゃいますけど、当初考えていたライバルは、私どもの会社から生まれたアスクルが、メディカルアスクルというのをやっていて。

彼らと、大塚商会さんがやっているたのめーるの介護用品カタログ「ケアたのめーる」がライバルなんだろうなと、勝手に想像をしていたんですけれども、お客様のところに行くとそんな話は一切出ず、「介援隊というところのカタログを使っています」みたいな話が出るんですね。

「カイエンタイ」の「カイ」は、武田鉄矢ではなくて、介護の「介」に、海援隊の「援隊」ですね。そんなところのプレーヤーが、実はユーザーさんに入っている。そんな事実も、やっぱりお客様にお伺いして本当にわかったというところです。ですから、お客様のお話を聞く。

実際にそこを確認するというのが非常に大事だなというのを、ここの皆さんのいろんなご指導、ご助言をいただいてわかったということなんですね。

ユーザーニーズを深堀りしてわかった意外な事実

その2年前ですね。スタート前に、実は経済産業省様からちょっとご支援をいただき、それでインターウォーズ様にもご支援をいただいて、ユーザーニーズの調査をしたんですけど。

冒頭にお話ししたsmartofficeという、オフィス向けの営業つきの通販で、実際に介護施設様は約5,000軒ほど使われてていたので、その辺のお客様にいろんな調査をさせていただきました。

そうすると、とにかく皆さん、本当に熱心な職員の方が多いので、すごくアンケートに協力的で、実はこれは本当の写真なんですね。こんなにアンケートが来ました。これ、2,550件戻ってきました。

この冊子が、実は2万ぐらいしか配付していないので、10パーセント以上が戻ってくるって恐ろしいですね。通常だと、0.数パーセントというのが当たり前なんですけど、こんなことで非常に皆さんの意見を吸い上げることができました。

その中ですごく出てきたキーワードとしては、レクリエーション用品を充実してほしいというお話がありました。それで、近所のお店に買いに行っているというお話もあったりですね。お忙しい職員の方なので、何でそんなことが起きているんだろうと。ここも、非常に興味深いところだったんですね。

その辺でお客様の声を聞いていって、出てきた事実といたしまして、介護施設様は、どこか1カ所で物を買うということはできていなくて、9割の方がいろんなところから物を買っています。特に、忙しいのに買い物に行っていますという事実がわかりました。

300件の訪問と2,250件のアンケートということで、その辺の事実は実はわかるんですね。

99パーセントがネットを使わない

もう1つわかった事実がありました。これ、事業を始める上で、非常に重要だったんですけれども、アンケートはWebとFAX、2つを用意したんです。

ところが、実は99パーセントがFAXで入ってきました。FAXを非常に使う。インターネットはほとんど使わないんだなっていうのが、これは事実としてわかったんですね。

普通ですと、半分ぐらいがやっぱりWebとかから受け取って来るはずなんですけど、こんな状態になったということで、お客様のそういう、いろんな属性もここでわかったということが非常に重要なところです。

実際にスマート介護、文具・事務用品から、創作用品、そして、例えば車いすですとか、衛生用品ですね。アルボナースですとか、キレイキレイですとか、いろんなものを介護施設様で使われるものは、とにかく何でもワンストップでお届けしようというのがコンセプトでした。

そのときに、お客様にお伺いしたんですね。この表をどう見るかと言いますと、実はこれはカタログのカテゴリー、そもそもこういうカテゴリーで始めようと思っていたので、それぞれの分野について、どこから買ってますかというのを聞いた結果なんですね。

オレンジが通販、真ん中が出入りの業者さん、要するに営業系で回っていらっしゃるところ、それで、このグレーが実はホームセンターだったんですけど、非常に驚くべき事実として、リクリエーション用の創作用品というところが、アンケートにもちらほらあったんですけども。

実は毎日毎日施設様では、ご利用者さんに対して、レクリエーションをやっているんですね。いろんな絵を描いたり、体操をしたりとかいうことなんです。

そのときに使う創作用品、実は44パーセントの方が、買いに行っていらっしゃるという事実があります。お忙しいはずなので、普通買いに行くわけはないんですけれど、調達先がないということだったんですね。

その他も、非常に驚く事実としては、例えば、理美容用品、ちょっとしたシャンプーだったり、そんなものも、実は35パーセントの方が、ホームセンターに買いに行くということで、そんなことが事実としてわかりました。ですから、お客様の声を聞くということが非常に重要だなということが、この辺の事実からわかってまいりました。

当初の事業プランから修正を余儀なくされた

なので、先ほどもお話ししましたとおり、介護施設様向けの、ある意味通販ということで始めようと思っていましたが、それではだめだという事実が、ここではっきりわかりました。

とにかくお伺いすると、だいたい40から50代の女性の方が、介護が本業なんですけど、いろんな商品を探したりしていて、お会いさせていただいても、だいたいこういう方が出てくる。もしくは、事務長さんですね。上の方が出てきていらっしゃるということなんですね。

ですから、この辺のお客様に対して、アプローチをしなければいけないので、ここですね。通販ではだめだなと。この事実ですね。

やはり営業がしっかりサポートして、商品を一緒に探して、究極にはご注文を一緒にして差し上げるというところまで、サポートしなければだめなんだなということが事実としてわかりました。なので、事業プランの修正をここにも入れました。

もう1つ、当初はあまり考えていなかったんですけど、リクリエーション用の商品。この充実が不可欠だなっていうことが、そのお客様の声、実際の反応からわかりました。なので、実は私どものカタログの一番最初は、やはり切り込むアイテムとしてリクリエーション商材というのを入れていく。

ユーザーからの声で損害保険から介護車両のリースまで用意した

もう1つ、お客様から非常にお話をいただいたのは、とにかく必要なものは届かないと困るんですよと。ですから、商品だけ考えていてもだめですよというお話を非常に多くいただいたんですね。

例えば今、私どもの商材として横に増やしているものとしましては、例えば損害保険ですね。東京海上さんと、実はジョイントしまして、介護施設様向けの保険を始めたりしました。

これは何かといいますと、ご利用者さんが徘回して、外に出ていってしまったりとか、施設内でけがをされたりすると、だいたい訴えられて施設は負けちゃうんですね。

実際に、今介護施設の保険の充足率って、実は4割ぐらいしかまだ入られていないので、その辺のものもご提供しようですとか、あとは毎日毎日の食の部分ですね。

実は、栄養管理だったり、塩分管理だったりというのをしっかりやりながら、厨房を持って経営されると、非常にコスト的に負担になるんですね。なので、ある会社さんと組みまして、実際にそこの栄養管理と献立をセットにしたものをお届けするというサービスを始めさせていただいております。

結構冷凍の商品を私もかなり食べましたけど、結構おいしいですね。湯せんして、溶かして食べると、ほとんどわからないぐらいです。非常においしいものが、今は出ています。そんなものも始めたりとか。

あとは、介護車両のリースですとか、いろんなものを今商材としては入れています。これもお客様から、「これがないとだめですよ」っていうお話をいただいて、追加したということなんですね。

なので、何が言いたいかと言いますと、頭の中で考えていたビジネスプランというのは、やっぱりお客様にお伺いしてみると、意外と違っているものがたくさんあるなという事実と、それを修正をかけて立ち上げないと、きっとこのあたりで、つまずいてしまうんだろうなということが非常にわかりますね。身に染みて思っている部分です。

立ち上げのメンバーをどうやって本気にさせるか

あとは、今のところまでは、実際に事業プランを立案して、立ち上げるというところなんですけども、きっとこのあたりが皆さんも、非常に気になるところだとは思うんですけれども、2年前に「じゃあやろうよ」ということで国の支援をいただいてスタートしたわけなんですけど、社内でプロジェクトを立ち上げました。

このときも、通常ですと「何とかプロジェクト」みたいな紹介者が多かったんですけど、やっぱり本気度を示すために、ちゃんとプロジェクト辞令を人事に出してもらいました。

それで、私どもインフラとしては、先ほど自社のインフラというところもありましたけれども、物流が全国に当時は4拠点ありました。今は5拠点なんですけれども、それとCRM機能ですよね。

あとはシステム、物流の面ですね。そんなチームがありますので、あとは営業系ですか。しっかりそこのメンバーを入れて、プロジェクトを立ち上げたところということですね。

私は今でも、本当にとても忘れられないんですけど、メンバーを本気にさせるということが、とてもとてもハードルが高いなということを感じています。

何かと言いますと、だいたいプロジェクトって、何となく「お前、やれよ」って言われて、メンバーになっちゃっているので、いつもこう思っているんですね。「本当にスタートするの?」と。当時は、4月にスタートというのを宣言していたんですけれども、4月に本当にスタートするのと。私はこれをみんなから本当に100回ぐらい聞きました。

確固たる想いがないと絶対くじける

「あとは、本当にカタログってでき上がるの?」とかそんな話が、実はプロジェクトのメンバーから出てくるんですね。これを打ち消していくのは、本当にプロジェクトを推進する人間のその想いですね。こういう世界をつくるというのがないと、絶対くじけちゃうなというところが、今あります。

私だけではなく、私の上に執行役員がプロジェクトのメンバーにおりました。ですから、その彼も絶対に成功するんだと。それは成功するまでやるんだ!ぐらいのことを言って、動かしていったというところがあります。本当に、とても大変なところなんだなというところを実感しています。

特に、プロジェクトを動かしていく中で、最終的に思ったのは、みんな「本当にやるの?」って言うんですけど、「これ、やばいよね、できないよね」っていうチームは必ず出てきます。

その時に方法論としては、「じゃあ、できないって、みんなに宣言するよ。いい?」って言うと、だいたいその人間というのは、自分が原因で破綻するとは言いたくないので。「いや、うちは何とか頑張る」って必ず言います。ですから、そうやって詰めていくしかないんだなと。

あとは、柔と剛じゃないですけど、とにかく忙しいときは一緒になって考えてやるということが必要なんだろうなというところが、苦難の道ということですね。実は、まだ苦難はいろいろ続いておりますけども、何とか今やっているということです。