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メルカトル図法の問題点を解決 地球をより正確に一望する新しい世界地図「オーサグラフ」とは

メルカトル図法の問題点を解決 地球をより正確に一望する新しい世界地図「オーサグラフ」とは

三次元の球体である地球を、面積比を保ちながら二次元の平面に投影して作られた「オーサグラフ世界地図」。考案者の1人である建築家・鳴川肇氏らがTEDxKids@Chiyodaのステージに登壇し「オーサグラフ世界地図」から見える世界について解説を行いました。彼は「行き止まりのない世界地図」を作るとともに、日本科学未来館と協力して、さまざまなデータをオーサグラフを重ねあわせて世界地図を作り、インターネット上で共有できるサービス「ジオ・パレット」を製作するなど、いろいろ分野の垣根を取り払った、行き止まりのない活動をし続けています。(TEDxKids@Chiyoda2014 より)

スピーカー
建築家/構造家 鳴川肇 氏
参照動画
World without ends: Hajime Narukawa at TEDxKids@Chiyoda

新しい世界地図「オーサグラフ」

鳴川肇氏(以下、鳴川) こんにちは、鳴川と申します。よろしくお願いします。今日は、僕が中心になって作った新しい世界地図「オーサグラフ」というのを説明していきます。 オーサグラフ1 僕らが住んでいる世界というのは球面上にあります。球面に住んでいると、どこからどっちの方向に向かって、どれだけ歩いて行っても、飛行機で飛んで行っても行き止まりがありません。それは皆さん知っていますよね。 500年前、ヨーロッパの人たちは「世界には端っこがあって、そこにはこんな大きな滝が流れてて竜が泳いでいる」というふうに考えていたのですが、実はそうではなくて、我々の住んでいる世界というのは、地球という球面の世界なんですね。それをぎゅーって小さくしたのが地球儀なんです。 オーサグラフ2 地球儀を使うと……あ、これ日本ですよね。「日本って小っちゃいなぁ、日本ってこんな形してるんだ!」とか、 オーサグラフ3 逆に……これはユーラシア大陸というんですが「ユーラシア大陸って大きいなぁ!」ってことが分かります。

全世界を同時に見渡したい

地球儀を見てると大きさも形も距離も、全部巻尺とか物差しで正確に大きさやサイズや形や距離を測ることができるんです。でも、地球儀でも1つだけできないことがあるんです。 それは、今ユーラシア側を見てますけれども、その裏側にあるアメリカ大陸とかを同時に見る事ができない。 だから僕達人間は、僕達の住んでいる全世界をいっぺんに同時に見渡したいという気持ちになりました。それで、いろんな人達が世界地図を作ってきたわけなんですね。 ここで大事なのは、丸い地球を四角い紙に書き写そうとするとどうしても無理がでる。だからどんな地図でも必ず歪みがあるんです。 オーサグラフ4 この地図、僕らが一番よく使ってるメルカトル図法という地図で、みんな見たことありますよね。この地図にも、実はいっぱい歪みがあるんです。 今、右上に映っているこの島、グリーンランドというんですけれども、この島は確かに大きいけどオーストラリア大陸よりは実は本当は小さいという、それが間違って描かれてしまっているとか。 これは南極大陸というんですが、東と西にこんなに長いというそんな大陸の形ではない。 それから、成田空港から飛行機に乗ってブラジルに行こうとする時、何故か回り道してヒューストンに立ち寄ってると、間違えて理解してしまうという欠点が実はあるんです。 オーサグラフ5 それを直そうとする試みはいっぱいあったんだけれども、その中で1946年にバックミンスター・フラーって人がダイマクションマップという世界地図を作りました。 この地図だと6つの大陸、南極大陸も含めて大きさも形も正確なそういう地図を作る事ができるんですね。 ところが、3つに分かれちゃってるんですけど、これが太平洋です。エルニーニョという異常気象を起こすような海流を矢印で描こうとすると、途中で矢印が切れてしまう。そういう欠点がありました。

新しい地図をどんどん切り出せる世界地図

オーサグラフ6 そこで僕達は、あることに気付いたんです。いろんな世界地図が長い歴史の間に提案されてきてるんだけど、四角に収めようとすると歪んじゃう。歪みを直そうとすると地図自体ギザギザになっちゃう。どっちかの欠点を持っていたんですね。 だから、それの両方のいいとこ取りができる地図を作ろうというふうに考えて、あるアイデアを思いつきました。それを今からアニメーションで見てもらおうと思います。 <映像開始> オーサグラフ7 鳴川 まず最初に地球を96個の細かい三角形に分けていきます。 オーサグラフ8 テロップ 球面を96領域に分割する。 鳴川 今、白いラインで見えてる細長い三角形1個1個は全部同じ大きさで、地球全体の96分の1ずつの地域面積を締めている。 オーサグラフ9 テロップ 球を太った正四面体に変形しつつ、96の球面領域から太った正四面体を96分割した領域にそれぞれ転写する。 鳴川 その比率を保ったまま、おにぎり型の形に変形して、陸とか海を描き直す。 オーサグラフ10 テロップ 太った正四面体の面を平らにしつつ、96の曲面領域から正四面体を96等分した領域にそれぞれ転写する。 鳴川 もう1回この出っ張ってるお腹のところをぺしゃんこにして三角形が4つでできたテトラパックみたいな形に、地球を書き写します。 オーサグラフ11 テロップ 正四面体を切り開き矩形世界地図ができる。 鳴川 そうすると、いろんな形の立体があるけれど、このテトラパックだけは唯一ハサミを入れて開くときれいな長方形の展開図というのができるんです。 オーサグラフ12 鳴川 今、絵で見てもらってるように、こんな四角い地図ができあがる、ということに気付きました。こうやって四角い面積の正しい世界地図ができるというアイデアを思いつきました。 でもこの地図を見ると、やっぱり世界には端っこがあるように見えてしまいます。それを直すにはどうすればいいか、という2つめのアイデアを今から説明していきます。 オーサグラフ13 テロップ この世界地図は隙間無く平面充填でき、隣り合う理図同士のつなぎ目でも地理関係はシームレスに連続する。 鳴川 この地図は、実はここを軸にして180度ずつ回転させていくと、陸地や海が繋がったまま縦横斜めにタイルみたいに並べることができて、こんな模様ができます。地図の模様です。 オーサグラフ14 テロップ 回転+連続移動するビューアーにより、各地を中心とした世界地図を創りだせる。 鳴川 それから横に長いこんな長い四角い地図を新しく切ることができたり。あと今日は会場にブラジルから来た人がいるかどうか分からないのですが「なんでブラジルは右端なんだ!」ってことになったら、スライドしてブラジル中心にしたり、変形して南極を中心にしたり、方向転換して南アフリカを中心にした、そういう世界地図をどんどん作り出すことができる。 オーサグラフ15 テロップ ビューアーは正三角形や縦横比が異なる長方形に変形させることもできる。 鳴川 世界中のいろんな地域を中心にして新しい世界地図をどんどん切り出せる、という特徴を持った世界地図です。 オーサグラフ16 鳴川 この地図を使うと、南極大陸ってこういう形をしてるんだ、こういう大きさなんだとか、グリーンランドってやっぱりオーストラリアより小さい。 成田から飛び立った飛行機は、ブラジルに行く途中でヒューストンに立ち寄るのは理に適ってるんだなっていうのが、よく分かります。 もちろん、この地図も他の地図と同じで、全て大きさ・形・距離が正しい、という訳ではないです。 大きさに関してはとっても正確なんだけど、実はやっぱりブラジルの先が尖ってたりして形に少し歪みがあったり、距離もそんなに正確ではないんだけど、さっき説明したみたいに、日本とアメリカのヒューストンとブラジルの位置関係というのは分かり易く理解できるような、そういう性格を持っています。

あらゆる歴史、統計を一望できる地図

じゃ、この地図を使ってどういうことを他にも利用できるかっていう話をしていきます。僕らが住んでる陸地っていうのは、常に移動しているんですね。大陸移動っていうのですが、様々な方向に動く陸地の移動の記録を分かり易く見る事ができます。 geo これは、アメリカのロン・ブラッキーさんという科学者にデータをもらって僕がオーサグラフの地図に変換して27個の6億5000年前からの大陸移動をアニメーションにしたものです。 この辺が南極なのですけれども、この辺りをちょっと見てもらうともうすぐインドが誕生します。 インドが生まれて実はマダガスカル島という島と分かれて、インド洋を泳いでユーラシア大陸に激突してヒマラヤができた。地質学というのですが、そういう科学的な出来事をわかりやすく、絵で理解することができたりします。 僕らの住んでいる地球というのは、始めに言ったみたいに行き止まりがない。そういう世界を四角い平面の長方形でどうやって表すことができるか。 それをタイルみたいな地図を並べていけるということで再現した、そういったアイデアになっているのですけども、この地図、見ただけではなかなか分からないので、できれば皆さんにも自由に使って色を塗ったり、自分独自の地図を作ってもらいたいと思っています。 それでお台場にある日本化学未来館というところが、インターネットで誰でも使える地図のアーカイブを作りました。 オーサグラフ18 日本未来科学館のスタッフとか、製作チームの人たちが協力しあって700枚近いいろんな地図データを集めました。 例えば人工衛星から撮った写真を集めて作った地図とか、文化というボタンを押すとインターネット利用者数が出る地図とか、エイズによる死亡者数とか、化学データで太陽の7月の日射量といったものを、いろんなジャンルを自由にブラウズしてもらって、好きな地図をこうやってアップロードしてオーサグラフで見る事ができる。そういう地図になってます。 で、自由に色を塗ったり、ハッチパターンを変えたり透明度を変えたりして好きな地図を自分で作ることができます。ジオパレットって言います。 なんで透明度を変えることができるかっていうと……これ、何故か離婚率っていう地図なんですけども、例えばある人が世界で一番幸せな国はどうやって考えればいいだろう?って時に、離婚率が低くて。 今アップするのが失業率ですね。失業率も低くてそれから、識字率ですね。文字が読める人の割合なんですが、そういう地図。あと平均寿命ですね。 オーサグラフ19 そういうものをどんどん重ねていった時に、平均寿命の長い失業者数少ない離婚率が低い識字率が高いっていう国を一番オレンジ色になるように塗っていって重ねあわせていくと、オレンジ色に輝いてる国が一番幸せな国なのかもしれないという幸せマップが作れる。そういうふうにして新しい地図が作れる。

インターネットで新しい世界観を共有

皆さんにどんどん作ってってもらってコメントを書き加えてインターネット上にアップすると、そしたら他の人たちからのコメントが得られていろんな今までなかったような新しい世界観を共有しあうことができる。 そういうサービスを始めました、去年の1月から。オーサグラフなので、こうやって中心を自由に変えたり、あとヨーロッパの辺りはどうなってるかって、ズームして「スイスとかオーストリアはずいぶんオレンジが濃いから幸せなのかもしれない」ってことを調べたり。 オーサグラフ20 あとズームアウトして……もう1回ズームアウトして方向転換してスライドしてもう1回方向転換してスライドさせて、今までにみたことのない角度から世界全体を見渡すことができるようなレイアウトも考えることができるというそういうサービスになっているので、皆さんもぜひ使ってみてください。 例えばですね、国際宇宙ステーションは90分で地球を1周してしまうので、1枚の地図だと軌跡がどうしても途切れてしまうんですね。90分に1回。 オーサグラフ21 それをオーサグラフを使うと……これ、35枚のオーサグラフを並べたものですが地球を宇宙ステーションが1周しても2周しても3周、4周、5周してもオレンジ色のラインで一筆書きで描いて追跡する事ができる。 宇宙のテーマだけじゃなくて例えば世界の歴史の中で大航海時代というのがあるんですが。 コロンブスという人が西回りでインドを探してアメリカを発見した冒険とか、ヴァスコ・ダ・ガマという人が東回りでインドを発見したような大航海の軌跡を4人の大航海の軌跡を1枚の絵で表すことができたり。 オーサグラフ22 もっと時代を下って、マゼランという人が人類史上初めて世界1周した航海の軌跡を一筆で描くことができたり、もっと時代を下って……これはすごく長いんですけどイギリス人のキャプテン・クックという人が地球を3回の航海に分けて何周もした。 そういう長い軌跡も、こう、くるっと回ってハワイを発見したりアメリカの西海岸を探検したりして、本国のイギリスまで帰ってきたという長い軌跡も一筆で追いかけて一望することができる。 それからこの地図が同じ地図何枚も縦横斜めに繋いでいけるという特徴を持っているのだけれども、同じ地図を並べるのではなくて……こういう地図を作りました。 オーサグラフ23 50年単位で紀元前2700年から1枚ずつ、その時代その時代の世界地図を作って。1年かかったんですけど、それを繋ぎ合わせて、これが現代の世界地図なんですが4800年の世界の歴史を四角い長方形でいっぺんに見渡すことができる。そういう世界地図を作りました。 それを使って、こんなソフトウェアを作りました。これ、先程見てもらった地図なんですが、今50年単位で96枚の小さい地図を並べて4800年をいっぺんに見渡す事ができるそういうレイアウトになっていますけど、例えば1世紀単位で48枚の地図で世界を見渡す、200年単位で24枚、400年単位で12枚のアニメーション画像で世界を見渡すことができる。そういう画面も作れます。 オーサグラフ24 それから1個の時代を選んでその時代の……あ、これ古代エジプトだってこととか、メンカウラ王がピラミッドを作ったとかカウラ王がスフィンクスを作ったとか、そういうどこで誰が生まれて何をしたかっていうそういうポップアップの映像を見ながら、世界の歴史を見ることができる。 この世界必図は高校の先生を一緒に作っていったんですけども、高校の教科書に基づいて作った世界必図です。だから、エジプトの頃はすごく情報が少ないんですけれど紀元前700年ぐらいになると少し賑やかになってくる、そういうことが分かります。 オーサグラフ25 この画像を見てもらえばわかるんですが、例えば「インドでブッダが活動してて、中国で孔子が活躍してて、ギリシャではピタゴラスがいたんだ。この3人は同じ時代に生きてたんだっていう事を1枚の地図で理解することができます。 オーサグラフ26 それからこの地図を見てもらうと分かるんですが、みんなが知っている世界の歴史っていうには実はこの左半分に偏っていて、北アメリカと南アメリカは真っ白けだっていう時代がずっと続いていくんですね。 だから僕らの知っている歴史の知識っていうのはずいぶん地域的に偏っているんだな、ということも絵で分かるような仕組みになってます。 それから、古代エジプトの頃は情報が少なかったんだけれど、例えば近年代のアニメーションを見てください。 そうすると色々な人が色々な所で好き勝手に色んなことをやってるので、もう文字を読むこともできないくらい早いスピードで世界が動いているんだなっていうこともアニメーションで理解することができます。 <映像終了>

図画工作は指を動かす大事な数学

オーサグラフ27 こんなふうにしていろんな世界地図を作ってきたんですが、僕は幾何学っていう形の数学を使って世界地図を作ってきました。 gazou2 その時に僕は数式はあんまり使わずにこういう紙をハサミで切ってセロテープをペタペタ張りながらこの球体、地球を一旦こういうおにぎり型の形に書き写してあげて、 gazou1 それをここをぺっちゃんこにしてテトラパックみたいな形を作ってあげる。 gazou3 で、ここを切ったら「あ、やっぱり四角い長方形の地図ができるんだ」っていうことを一生懸命図画工作をしながら研究して作りました。 だから図画工作っていうのは指を動かす大事な数学だと思ってください。でも、いったんこの幾何学を使って世界地図を作ったあと、この地図作って何を表現しようと考えた瞬間に科学者だったり歴史の先生だったり色んな分野の人たちと話すような機会がたくさんありました。 で、今日は行き止まりのない世界地図っていう話をしたんですけども学問の世界でも色んな分野の垣根を取り払って、行き止まりのない活動をしていきたいなと思ってます。 以上です。どうもありがとうございました

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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