新国立競技場の建設計画は白紙に戻す

記者:新国立競技場の計画について、これまで政府はデザインを変更することについては国際的な信用を失いかねないのではないか、また工期が間に合わないではないかといった観点から慎重な姿勢を示されてきましたが、今回建設計画において総理からどのような決定を下されたのかお聞かせください。

安倍晋三氏:はい。2020年のオリンピック・パラリンピックの会場となる新国立競技場の現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで計画を見直す。そう決断いたしました。

オリンピックは国民みなさんの祭典であります。主役は国民、お一人お一人、そしてアスリートのみなさんです。ですから、みなさんに祝福される大会でなければなりません。

国民のみなさん、またアスリートたちの声に耳を傾け、1カ月ほど前から、計画を見直すことができないか検討を進めてまいりました。

手続きの問題、そしてまた国際社会との関係、オリンピック・パラリンピック開催までに工事を終えることができるかどうか、またラグビーワールドカップの開催までには間に合わなくなる可能性が高いという課題もありました。

そして本日、オリンピック・パラリンピック開催までに間違いなく、完成することができる、そう確信をいたしましたので決断しました。オリンピック組織員会の会長である森会長の了解もいただきました。

ラグビー・ワールドカップには残念ながら間に合わせることができませんし、会場として使うことはできませんが、今後とも、ラグビー・ワールドカップに国としてしっかり支援していく、その考えに変わりはありません。

オリンピックにおいて、まさに世界の人々に感動を与える場と新しい競技場を作らなければならない。その大前提のもとに、できる限りコストを抑制し、現実的にベストな計画を作っていく考えであります。

そして大至急、新しい計画を作らなければなりません。先ほど下村文科相と遠藤担当大臣に直ちに新しい計画づくりに取り掛かるように指示をしたところであります。

2020年のオリンピック・パラリンピック、国民みんなで祝福できる、そして世界の人々から賞賛される大会にしていきたいと思います。

記者:白紙に戻す原因となったのは何だとお考えですか?

やはりコストが当初の予定より大幅に膨らみ、国民の皆様、アスリートたちからも大きな批判がありました。このままではみんなで祝福できる大会にすることは困難であると判断したわけであります。

ただ工期の問題がありましたが、今日オリンピック・パラリンピックまでに完成できる、こう確信しましたので、決断をいたしました。