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周囲の協力があれば障害は個性になる–学習障害をもつ13歳の少年が経験した学校の不自由さ

周囲の協力があれば障害は個性になる–学習障害をもつ13歳の少年が経験した学校の不自由さ

重度の視覚障害を持つ中学生の松谷知直氏が、みんなと同じように勉強できない葛藤から、不登校になってしまった過去を語ります。iPadとの出会いで学習スピードが飛躍的に向上した経験を紹介し、学びの場に多様性を認めて欲しいと訴えます。(TEDxKids@Chiyodaより)

スピーカー
中学生/学習障害活動家 松谷知直 氏
参照動画
Never give up on learning by yourself | Tomonao Matsuya | TEDxKids@Chiyoda

みんなと同じようにできなくて「自分には価値がない」と思った

松谷知直氏 こんにちは。これはなんでしょう? gazou28-compressor (1) そうです。iPadです。iPadは、写真を撮ったり、写真を撮って拡大したり、インターネットに繋いだり、絵を描いたりすることができる道具です。 僕は実を言うと、字を書くこと・読むことがとても苦手で、そしてiPadは僕にとって教科書であり、ノートであり、鉛筆であり、消しゴムです。 2015-05-23_150704 この赤いメガネをかけているのもそのためで、このメガネをかけないと、文字がこんなふうに見えます。 gazou24-compressor (2) (文字の)書きについては、自分の名前も間違えるほどです。 gazou23-compressor (1) この中には3箇所間違いがあります。これもいたって真剣に書いているものです。ふざけて書いたりはしていません。 もちろん、僕はiPadを使い始める前は、紙と鉛筆で勉強していました。ですがみんなと同じようにできなくて、自分には価値がないとずっと感じていました。 gazou22-compressor (1) そんな僕のために、お母さんがいろいろ計算ドリルとか、漢字ドリルとかいろいろ作ってくれていました。 でも、5年生の時に、どうしても勉強する量も多くなってきて、限界を向かえてしまいました。 gazou19-compressor (1) 結局こうなりました。

iPadとの出会い

僕はその後、お母さんがFacebookで「DO-IT Japan」のプログラムに参加する人の募集があることを教えてくれました。「こんなんあるけど、応募してみいひん?」と聞かれて「ここに行ったら、もしかして自分にも勉強できる方法が見つかるかもしれない!」と思いました。 「DO-IT Japan プログラム」とは「障害や病気のある子どもたちの進学と就労を支援し、将来社会のリーダーとなる人材を養成することを目的としたプログラム」とホームページに書いてありました。これは、ホームページのスクリーンショットです。 gazou16-compressor (1) そして、夏休みに入る直前に、プログラムに参加できると連絡をもらえました。そして、DO-ITでiPadと出会いました。 「これだったら勉強ができる! 作文が書ける! 本が読める!」と思いました。そして、この年の夏に、学習障害のことやiPadについての自由研究をまとめました。

学習のために浪費していたエネルギーを、やりたいことに使えるようになった

しかし、夏休みが終わって、しばらく経っても、iPadを学校には持っていけませんでした。なぜなら、学校がなかなかOKしてくれなかったからです。 先生からは「これが壊れたらどうするの?」や「ずるいと言われたらどうするの?」などと言われました。先生の心配はよくわかるんですけど「これがないとどうしても学校には行けない」とずっと言って、結局DO-ITの先生に来てもらって、僕の読み書きについて説明してもらいました。 そして、持っていけるようになりました。iPadを持っていけるようになり、宿題や勉強にかける時間とエネルギーが減り、その他のことに使えるエネルギーが増えました。 僕がもともと好きだった、ロボットの製作や鉄道模型などができるようになり、僕の生活は大きく変化しました。iPadを使い始める前は、居眠りしながら帰ってきて電柱に激突したりとか、あと家に帰ってからずっと寝てたりとか、宿題にかかる時間は普通にいつも4時間とかかかっていました。 ちなみに、これが、僕が作っているロボットです。 gazou11-compressor (1)

自分に合った学習方法を選びたい

しかし6年生の修学旅行の時、しおりをiPadに入れることが難しいので「しおりの書体を、僕でもなんとか読めるゴシック体に変えてほしい」とお願いしたところ聞いてもらえませんでした。 明朝体という、さっきの1番最初のサンプルの画像であった書体なんですけど、それで渡されてしまって、本当に全くどうしようもならない感じで家に帰ってきて、結局お母さんが徹夜でiPadに入れてくれました。 先生たちは「テクノロジーさえあれば何でも、どんな壁でも越えられる」と考えていたのでしょう。けど、テクノロジーでどんな壁でも越えられるわけではありません。 そんな経験をする中で、もっと学び方が選べるようになるべきではないか? と考えるようになりました。選べることで、自分にあった学び方を選択することができると思います。教科書や教材、教育の受け方をもっと選べるようになればいいと思います。 そして、教科書や教材はデジタルや紙媒体などから選択でき、僕のように読み上げ機能やキーボード入力が必要な人はデジタルを、さっと広げて学習したい人は紙を、というように、自分にあった媒体を選べるといいと思います。

「なんでできないの?」ではなく、一緒に考えてほしかった

そして、みんなに伝えたいことがあります。この中にも何人か、僕みたいに読んだり書いたりすることに困っている人がいるかもしれません。そんな人は、僕のことを思い出してください。そして、両親や先生にそのことを相談してみてください。そして何より、「学びたい」という気持ちを諦めないでください。 相談を受けた大人の人にお願いしたいことがあります。「もっと頑張ったらできるんじゃないの?」とか「なんでできないの?」とは言わないでください。「なんでできないの?」それがわかっていたら、僕たちはこんなに苦しい思いをしてこなくてもよかったと思います。 そして「なんでできないの?」ではなく「どうやったら一緒にできるようになるか、一緒に考えよう!」って、僕も言ってほしかったです。読み書きを頑張らせることで、学ぶ機会を奪わないでください。 それから、読み書きに困っていないお友達にお願いです。字を書くこと、読むことが苦手な子がいても、からかったり笑ったりしないでください。みんなが違うから、みんな助け合っていける、そして、自分らしく学べるのではないかと僕は思います。

障害は僕の中ではなく、社会の中にある

僕は、障害は僕の中にあるのではなく、僕の外、社会の中にあると考えています。「障害」は困っていることで、「障害者」は困っている人です。 学び方の選択肢が増えることは、学ぶことへの困っていることを減らすことにつながると思います。障害は、困っていることがなくなれば、障害は障害ではなくなり、個性になると思います。 そして、もっと自分らしく学べる社会へ。ご静聴ありがとうございました。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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