月間34億PV、1万人/日の新規会員登録

pixivの片桐です。よく皆さん自己紹介から始めてるんで簡単に入れときました。

pixivってどういうサービスかというと、まあイラストに特化したSNSです。規模としては平均投稿作品数が30,000/日、総投稿作品数が4,000万作品、ユーザー数930万人、月でいうと34億PV、3,700万UUあります。

PVの比率で言うと日本80%、海外20%って感じで、海外の内訳は中・台・米・韓で75%以上占めてます。新規会員登録数は今だいたい10,000人/日くらいなんですけど、海外からの登録が半分超えてきてるような感じ。特にアジアですね。

友達とずっといっしょにいられる方法を探していた

グロースハックの話をする前に、ちょっと小話します(笑)。

会社とかpixivの始まりの話です。2000年に静岡県から東京に出てきました。高校生の時から会社作りたくて、東京に行こうと思ってたんです。学生時代は毎日のように友達が来てて、そういう状態を一生続けたかった。その時、1990年代の終わりに流行ってたのがいわゆる「裏原ブーム」で、(友達同士で仕事を立ち上げた)彼らを見て、あんな感じでやれば友達同士でも仕事として成立するんだなって思って。

それで東京来て、一緒に会社やってくれる人見つけよう! と思って、毎日インターネットやって、オフ会もいっぱい行きました。そこでデザイナー、カメラマン、プログラマーとか色んな人に会って思ったんです。自分で何かを作らないと、そういう人達と会ってもモノ作りも何も出来ないし、そもそも話すら出来ないってことに。

その時ちょうど「tomato」っていう、テレ朝のロゴとか「Underworld(英のテクノバンド)」のPVとかロゴとか作ってるデザイン会社を見て、「うわー簡単そう! これだったら作れるわ」って思って(笑)。それでデザインとか映像とかを自分で作り始めたんです。題材が必要なんで、色んなバンドのホームページとかをほとんど無料で作りまくりました。

それまではインターネットが一番好きだったんですけど、やっぱりデザインの業界に行こうと思ったんです。その頃、2000年~2004年くらいまでのインターネットっていうのは詐欺師の集団みたいで怪しすぎて(笑)。働く場所じゃない、自分が仕事にするもんじゃ無いと思ったんですよ。

そしたらその時ちょうど堀江貴文が出てきて、インターネットって格好良い、イケてるって空気になったんです。それで仕事にしてもいいなと思って、ネット上で出会った人達と2005年に会社作りました。でもただインターネットの会社やりたいと思ってただけなんで、pixivみたいな事業やりたいとか、ビジョンなんて何にも無かったです。

pixivはアイディア聞いた瞬間、ダメだと思った(笑)

とりあえず最初は受託開発の仕事をしてました。本当に厳しくて、毎日ラーメン代を稼ぐので精一杯。誰かが辞めたら会社終了、みたいな状況で。その時ふと、自分って何で会社やりたかったんだっけ、っていうのを回想したんです。それで尊敬出来る人と仕事をしたかったとか、すごいチームを作りたかったとかを思い出した。すごいチームを作るためにはすごいプロダクトが必要だっていうのも。

当時Web2.0ブームだったんですけど、YouTubeとかflickrとかBloggerとかmixiとかの急成長してるサービスを見て、「googleとかYahooは作れないけど、mixiみたいなのだったら作れそうだな」と思ったんです。悪い意味じゃないですよ?(笑)。宣伝費を投下して人気にするんじゃなくて、ユーザーに支持されて伸びていくサービスだったら、自分達でも出来るかなと。

それで2006年から自社サービスを作り始めて、CMSみたいなものとかを3,4個作ってた時にイラストレーター志望のプログラマーが「イラストレーターのギャラリー兼SNSを作りたい」って言い始めたんです。聞いた瞬間ダメだと思ったんですよ(笑)。流行るネットサービスっていうのはブログみたいに誰にでも使えるもので、対象が狭すぎるものは上手く行かないと思ってたんで。

でも彼が一人でやるって言うんで、任せていたら2007年9月10日にpixivが出来ました。そしたら開始2週間ぐらいでユーザー数が1万人くらいになって、今まで作ってたサービスと違って超人気あるじゃんと思ったんですよ。でも、驚きはしたけどあんまり感動はしなかったんです。

pixivに賭けよう、と思ったきっかけ

一番感動したのはこの時。ユーザーが勝手にpixivのキャラクターを創ろうっていう企画してくれて、こういう絵が投稿されてきたんですよね。

単純にユーザーが今まで書いて保存してた絵がいっぱい投稿されるんじゃなくて、pixivがきっかけになって新しい作品が生まれた。これだったらpixivに賭けてもいいな、賭けようと思ったんです。9月の終わりに。

うちってずっとお金なくて、「ニコニコ静画」とかで虐めてくるドワンゴさんが100億以上あるのに、こっちは今でも1250万円しかない。ましてや当時は5~6人の社員に給料を払うと手元には現金が10万円も残らない状況でした。でもサーバーも買わないといけないし、データセンターも必要だし……。その時たまたまネットで見たのがgoogleの初期のサーバー。

これだったらPCがベニヤの上に載ってるだけだし、何とか作れそうだと思ったんですよ。でも200~300万ぐらいはかかりそうだったんで資金調達に行きました。消費者金融に。(会場笑)。本当ですよ? 銀行は審査期間長いし、僕らの信用度的にも貸してくれない。1日で金貸してくれるとこなんてここしか無いんで(笑)。お金借りたらそのまま皆で秋葉原に行きました。PCパーツ買い集めて組み立てて。

これで本当に3年ぐらい運用してました。googleの初期サーバーをイメージしてやってたんですけど、だんだんケーブルを纏める技術が上達して(笑)。これ作りながら、「pixivをすごいサービスにして、いつかはgoogleのみたいに米のコンピュータ歴史博物館に展示されたいな」って思ってました。

そしたら5年後の2013年秋に、pixivの初期サーバーっていって代官山蔦屋書店で展示されたんですよね。「Super Box Series pixiv "B-28型機"」って。このB-28って、ベニヤの上に乗ってたんでベニヤの略なんですけど。(会場笑)。

コンセプトは「お絵描きたのしす」

pixivが出来た2007年9月当時のコンセプトっていうのは、「より多くのイラストを集める」ってことでした。シリコンバレーの代表的なサービスであるgoogle、facebook、amazonとかのコンセプトの根幹って、「大量の情報を処理する」ってことだと思うんですよ。世界中の情報を集めて体系化するとか、世界中の人繋げるとか、あらゆる物売るとか。

でも運営しながら「大量の情報を処理する」ってのがコンセプトでいいのか、疑問に感じてきたんです。始めはより多くの人集めるで良かったんですけど、作りながら何か違うなと。そんな時、pixivが出来てちょうど1年後に、こんなイラストが投稿されたんです。

これ見たら僕、めちゃくちゃいい漫画だなと思って泣いちゃったんです。それで気付いたのが、pixivのやるべきことって「より多くのイラストを集める」じゃなくて「お絵描きがもっと楽しくなる場所を作っていく」っていうこと。ここでコンセプトを変えました。

というところをベースとして、これからグロースハッキングの話をしていきます。

グロースハックをやろうとしたきっかけ

これ2013年3月のビーダッシュキャンプで話したことの改良版なんで、思想がちょっと古くて今で言うと昔話になっちゃうんですけど、許してください。2012年からの1年で一気に伸びたんですが、その時にどういう施策をやっていたのかっていう話をします。

いきなり結論から言うと、「最高のグロースハッキングは"グロースチームを作ったこと"」なんです。

なんでグロースチームを作ったかというと、僕らの収益の大半は当時、Yahoo!のoverture広告で。僕らビジネスとか作れたこと無いんで、とりあえず広告貼っとけばいいってものしか収益化出来なかった。今でもそうなんですけど(笑)。

そしたらYahooが、pixivの広告止めるって言い始めたんです。ピンチだな、どうしようかなと思ってた時、ウォンテッドリー株式会社の仲さんって人がたまたまミーティングに来てて、「facebookにはユーザーを獲得するためには何でもやる"グロースチーム"ってのがある」ってのを聞いたんです。やった施策を全部データで見て解析・分析するチームがあると。それめちゃくちゃいいなと思って、僕らもグロースチームを作りました。実際やってみて気付いたのが、グロースチーム作ってグロースハックやるのは相当コストかかるんで覚悟がいるってこと。

それ以前のpixivの機能改善、追加の施策っていうのは感覚的にやってました。こういうのいいんじゃないかとか、ユーザーのお問い合わせから揉んでいって、良さそうな機能を追加してました。といってもお問い合わせから発案して付け足した機能ってほとんど無くて、結局、自分達が思ってる以上のことってお問い合わせから来ないんですよ。

だから新しい機能作っても、それがどうだったかとか特に見てないんです。Twitterとかで評判になってたら、あれ良かったんだなーとか、その程度。とにかく人・金とかのリソースが無いんで、施策をしても検証はしませんでした。それまでのpixivって無いよりあったほうがいい物ばっかりだったんで、検証する必要が無かったとも言えるんですけど。

ド素人メンバーでのスタート

グロースチームでやろうと思ったことは、広告以外の収益の柱を作るために新規会員数を伸ばして、有料会員数を伸ばすってこと。構成人員には1人執行役員が入って、あと開発マネージャー。それと施策によっては広告の位置や大きさが変わったりもするんで、広告の収益を管理してるマネージャーも入れました。あとはグロースの担当者2人。

今チームが何やってるかっていうと、新しい施策の効果とか、会員登録の増減とかを毎日数値報告して、また新しい施策を作ってます。毎日やるっていうのが重要で、週1のグロースミーティングとかだと全然スピードに間に合わない。後はデザインの提案とか改修とか。Google Analyticsや社内で開発したアクセス解析を使って数字のモニタリングもしてます。

チームを立ち上げた当初のメンバーは、開発・広告のマネージャー以外、元トラック運転手とか元大道芸人とか完全なる未経験者ばっかり。分析も普通にエクセルで数字をまとめるくらいしかやっていなかったので、会員数の増減くらいしかわかりませんでした。なのでスタッフを元facebookのユーザー獲得チームの講演会に行かせて、「より良い施策を考えつく方法は、たくさん失敗して試すこと。試していくうちにテストの成功率をあげることができる。」とか聞いてきました。

シンプルにやれとかユーザー目線でやれとか、そんなのわかってるわって内容だったんですけど(笑)、まあそれでいいかと思って、とりあえず施策案をいっぱいだして、優先順位付けて、どんどん施策打っていったんですよね。それと、分析もしっかりやろうと思って、社外のGoogle AnalyticsとかGoogle AdWordsの担当の人に来てもらって、ちゃんとした読み方とか使い方を教わりました。

Google Analyticsから始めて、オリジナルの解析ツール開発へ

基本的なデータはGoogle Analyticsから取得してます。PVとかUUとか、国別のユーザー属性とか、サイト内でユーザーはどう動いているとか、流入元とか。施策効果が高いページっていうのは結局、人がたくさん集まったとこなんで、そこから改善していくと。Google Analytics用の関数を用意して簡単にコードに組み込めるようにしたり、効率的に活用する体制作りしています。他にカスタムレポート作って数字見たりとかもやってます。

あとKISSmetricsっていう、もっと細かい解析サービスの導入も検討したんですが、コスト的に断念しました。その時に、pixiv用に作られたものじゃないと細かいことはよくわからないってことも理解したんで、もう自社で作っちゃおうと。それで「pixiv access history」っていう社内向け解析ツールを開発しました。

これ出来るまでは、1日のログイン数とかも僕らわかってなくて、わかるようになったのって本当に最近なんですよね。あと僕らSNSの他に、pixivのIDを使ったチャットや百科事典のサービスもやってるんですけど、それらサービス毎の新規会員登録数・有料会員登録数・ログイン数を見たり、国別、デバイス別で見たり、ユーザーがどのページから登録を行ったかとかの数値も取得出来るようになってます。

このうちの重要なデータはメールで飛んできます。これら2つのアクセス解析ツールでモニタリングするようになって、初期の頃のExcelと比べると、今はこれだけ細かく分析してやるようになりました。

とにかく毎日ミーティングをやること

そしてグロースチームのミーティングを毎日するようになりました。グロース策とかA/Bテストとかってめちゃくちゃ細かいんで、週1のミーティングじゃ進まないんですよ。毎日どころか本当は時間単位でやらないと大きい結果にはならない。後は広告とか開発とかのマネージャーが集まることで、そこで決まったことがすぐに実行出来る。そういう体制になってます。

スケジュールでいうと、1日目に施策を決めて、次の日速報を見てやるかどうか決めて、本番実装まで3日しか掛けません。ボタンの色とか細かいのも、15時に決めたら17時からテストするぐらいの時間単位でやってます。トップページの改修とか大きいことはやっぱり1~2週間かかるんで、1週間測定してそのままにするかどうか決めます。

重要なのは、チームに権限を付与すること、分析態勢を整備すること、毎日ミーティングすること。具体的にどんな施策をやったのかっていうと、本当に色々いっぱいやったんですけど、主にこんな感じです。

ステップ1:新規会員登録数を増やす

ポイントで言うと、新規登録会員数の高いページって結局トップページなんですけど、そのボタンの色や大きさを見極めます。次に新規会員登録導線を強調する。そして登録のハードルを下げること。

これとかは最初、ユーザーはpixivを色々使った後に、納得して会員登録するものだと思ったんですよね。だから旧デザインではログインしなくても色んなコンテンツが見れるようにしてました。改修したほうは、絵のサムネイルをクリックすると新規会員登録しろっていう風に出て、pixivの中身は全く見れないんです。新規登録させるんだったら、中身を見せるよりも登録を促したほうが良いと。

同じことをログインページでもしたんですが、こっちでは大きな効果は出ませんでした。

トップページとログインページだと来る人の人数が違うんで、同様の施策打つんだったら来る人の多いページでやったほうがいい。

余計な要素を削り「ドアを開けて待つ」

次に新規会員登録導線の強調です。元Facebook社のグロースハッカーの言葉で、「部屋に入ってきてもらいたいなら、閉じたドアに部屋に入ることのメリットを書いた張り紙をたくさん張るのではなく、部屋に入ってきてもらえるよう、ドアを開けて待ちなさい」っていうのがありました。

昔のインデックスページには、自社の他サービスのリンクを貼ったりしてましたが、削りました。facebookとかTwitterとかのトップページもほとんどコンテンツ無いんで、そういうの見ながらどんどん削っていったんですよね。つまり会員登録のボタン、これを押せばいいってのがすぐにわかるようにすると。

ログイン後に利用できる機能を表示

次に、新規会員登録導線の強調。ログイン後に利用出来る機能を表示し、導線にします。

登録画面まで進んでもらえたら、今度はその登録のハードルを下げることを考えました。facebookやgoogleのアカウントと連携したり、メールアドレスだけを先に入れて簡易に登録出来るようなフォームを作りました。ちなみにgoogleアカウントの方が、facebook連携よりも効果は高かったですね。まとめるとこんな感じです。

SEO対策

あとはSEO(検索エンジン最適化)の施策。僕らイラストのサイトなんであんまり文字が無くて、SEOが効きにくいんですよね。なので、イラストにつけるタグのポータルページを作って、pixiv百科事典から文字を引っ張ってきたり、強いキーワードだったらそれ用に新しく説明文を書き足したりとかしてまとめました。

ソーシャル運用は意味が無い?

あんまり効果が大きくなかった施策っていうのもあって、SNSの運用がそうです。

こんな感じでやってます。pixivのコンテンツを流して、いいね! が付いたりするってのは良いことなんで、色々調べてシェアされやすいものを探したりしました。でもSNSで話題になるのは意味があるとしても、フォロワー数が増えるとかに意味があるのか? って疑問に思ってるんです。pixivってTwitterで大体140,000人くらいフォローされてて、facebookだと約90万いいね!くらいある。実際にアクセスの流入元としてそういうサービスから人が来てるのはわかるんですけど、pixiv自体で運用する意味があるかっていうのは謎。

あとはEFO(エントリーフォーム最適化)もそう。確かにユーザー入力の補助を導入したことで離脱率は8%減少したんですけど、結局、pixivを本当に使いたい、登録したいってユーザーは一度離脱しても帰ってくるんですよ。なのでこれはあったほうがいい、程度。やること無くなった後にやるような施策でした。

ステップ2:有料会員を増やそう

有料会員の増加施策です。ポイントは、結局決済手段が増えれば増えるほど有料会員が増えやすくなるってこと。あとは有料会員向け機能の追加と、その認知拡大。

決済手段を増やす - キャリア決済追加で80%増

決済手段について、今ではこの2つで全体の3/4近くを占めてます。それまではクレジットカードとコンビニ決済くらいしか無かったんですけど、とにかく手段を増やせば増やすこと有料会員も増えるってことで、中国の銀聯カードとかもめっちゃ申し込みましたね(笑)。

有料会員機能を増やし、登録導線を最適化する

あと、実はpixivの有料会員向け機能ってほとんど無くて、キャプションを改行できるとかだけでした。でもちゃんと追加しないといけないなと思って、これを機に人気順検索機能を付けました。

人気順検索って本当はあんまり入れたくなかったんですけど、今だとこれを使いたいがために有料会員になる人が圧倒的に多いです。クックパッドもそうですね。

pixivって絵を見てる人よりも描いてる人のほうが情熱が高くて、絵を投稿したあとにみんな管理ページで自分が投稿したもののPV数とかを見まくるんですよね。自分の絵の評判にみんなすごく興味があるってことで、それ向けのアクセス解析機能を有料会員向けに追加しました。

これら機能の認知拡大をしないといけないんで、有料会員向け機能のお試しキャンペーンをやりました。

あとは1ヶ月無料キャンペーン。サーバー会社とかよくやってるんですけど、これは毎月やることが意外と意味がある。

他には有料会員登録後に利用出来る機能を表示して、それを導線にしました。

もっと見たかったら有料会員になってね、ってことですね。

この施策は、ちょうどタグの並び順からとって「おっぱいファンタジー」って名付けました(笑)。ちょっとだけは使えるようにすることによって、有料会員を増やそうって狙いです。

スマホの場合はページを移動するよりもポップアップのほうが効果が高いと判断しました。 ポイントとしては、決済手段をなるべく多くして、みんなが使いたい機能を作ると。後は罠みたいな手法になっちゃうんですけど、ユーザーを有料会員の登録ページに行ってもらうような施策を作っていく。

ステップ3:外部向けPRで流入を増加させる

初期の頃はメンテナンスも多くて、やっぱり時間が長いとユーザーも怒っちゃうんですよね。だから遊び心のあるメンテナンスページにしました。

メンテナンスページでFLASHゲームが出来るようにしたり。

これをやったら、今まで怒ってたユーザーがそれ以降「早くメンテナンスしろ」っていうようになりましたね(笑)。

これ撮影時間20分くらいなんですけど、YouTubeにアップしたら(The Harlem Shake (pixiv Office Edition))日テレ系「ZIP!」に登場させてもらえました。

後はオフィス。

この机、1個で250メートルくらい繋がってます。でもオフィスに関してはPR目的で派手にしたり変な形にしたりするのは全く良くないと思うんですよね。じゃあオフィスはどうするべきか? っていうと、pixivのオフィスは壁がないこととか、机が繋がったりしてて物理的に人同士の距離が近いんですよね。あと自販機やコピーの前に人が集まるようなところを作って、そこでみんな弁当食べたり菓子食べたり色々してます。

どういうことかっていうと、チーム(組織)でのモノ作りってやっぱり様々な専門分野を持った人が集まってるんで、コミュニケーションを絶やしちゃいけなくて、そのためには物理的に近いほうが良い。あと赤が多いとこだとテンション上がりやすいとかあるんで、色もいろいろにしました。

最初はグロースハック(数字)よりも、感覚でつくっていったほうがいい

ここまでは以前に作ったパワポなんですけど、これからは今後どうして行こうかっていうのを話します。

今は細かい施策から解放されないと、と思うようになりました。うちはA/Bテストでうまく行っちゃったんで、開発者はすぐにA/Bテストをしたがるんですよ。良いか悪いか、何かしらの結果がはっきり数字で出るんで、楽しいんでしょうね多分。なので「A/Bテストやるな」ってかなり言うようになりました。それでもやりたがると、「何の意味があるの?」って言い続けてる。頭の良い人は分析が好きすぎるんですよ。

後は、SEOを考えない。何かサービスを作る時にSEOで集客するっていう考え方は、僕は元々あまり好きじゃなくて、pixivの流入キーワード見てても1~5位まで全部pixivなんですよ。アルファベットだったりカタカナだったり、打ち間違えだったりハングルだったり。サービス名で検索されるようなブランドあるサービスを作っていかないと意味が無いんです。

じゃあなんでpixivがSEOの施策をやり始めたかっていうと、うちはそれまであまりにSEOをやってこなかったので、タイトルをどうするとか、htmlのコードの書き方とかの基準が無かったんです。

そこでSEOの専門家を呼んだんですけど、専門性が高すぎるので社内ではキャッチアップせず、こうやって書いたほうがいいかな? みたいなどっちでもいいような物を、SEO的に正しいほうでやっていきました。それぐらいです。結果的にちょっと検索は増えましたけど、それはあくまで結果で、初めからユーザーを検索エンジンから呼ぼうとは考えてませんでした。

あと、始めたばかりのサービスにグロースハック的な手法はいらないんじゃないかと思っていて、僕らも新しいサービス作ったりしてるんですけど、初めからpixivでやってるような解析とか分析をするよりも、それよりももっと重要なこと、感覚的にわかるようなことをやったほうがいいと思うんです。結局グロースハックって、感覚を数字的に裏付けることなんで。

元々僕がウォンテッドリー株式会社の仲さんから聞いたのは、facebookがA/Bテストしてるって話じゃなくて、ユーザーを増やすためならどんなことでもするチーム、手法とかがグロースハックなんじゃないかってこと。今僕らの施策も、サイト内でやってることを変えて分析するっていうよりは、もっと大きな視点でユーザーが増えるとか話題になるようなことをやって、それを数字で裏付けるって意味合いなんです。そういう方向に向かって行ってます。

以上、ありがとうございました。