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ダメなやつほど自己評価が高い–コーチングのプロがすすめる「3ステップの改善策」

ダメなやつほど自己評価が高い–コーチングのプロがすすめる「3ステップの改善策」

アメリカでリーダーシップコーチ、米組織心理学者を務めるターシャ・ユーリッチ氏は、世の中のほとんどのリーダーには改善すべき点があり、特に能力の低い人間ほど、自己の能力を過信する傾向にあると語ります。同氏が担当したエグゼクティブを例に、ビジネス、趣味、日常のあらゆる問題を改善するための「3つのステップ」を提案します。(TEDxMileHighより)

スピーカー
リーダーシップコーチ 組織心理学者 ターシャ・ユーリッチ(Tasha Eurich)氏
参照動画
Learning to be awesome at anything you do, including being a leader

何かを始めようとして手つかずになっていませんか?

ターシャ・ユーリッチ氏 最後に自分が一体何をしているのかわからないと思ったのはいつですか? まずは私から話しますね。数年前、友人達とメキシコに旅行に行くのに備えてスペイン語を学ぼうと思いました。 フランス語は少しできますので、スペイン語だってできるようになるだろうと思ったのです。21世紀の自尊心ある人が、新しい言語を学ぼうとする時に必ずやろうとするだろうことをしました。iPhoneで単語帳アプリをダウンロードしたのです。 そして数ヵ月後、2人の女友達と私はカンクンに到着します。空港を出てタクシーに乗り込みます。そこで私はタクシーの運転手とスペイン語で話をしてみようと思い、自信満々に言いました「……!(スペイン語)」。皆さんの中には私が今何を言ったかわかる人もいらっしゃるでしょうね。それを言った後のタクシー運転手の表情が、私が間違ったことを言ったことを物語っていました。私は「とても疲れているのでホテルに着くのが待ち遠しいです」と言ったつもりが、「結婚したばかりなのでホテルに行くことに性的に興奮しています!」と言ってしまったのです。とても恥ずかしかったです。 皆さんはどうですか? ご自身のビジネスを経営するのに四苦八苦している方もいらっしゃるでしょう。仕事をするために必要なスキルを習得しようと必死になっているかもしれません。またはゴルフのハンディキャップを下げようとしているのかもしれません。 メンターを探そう、クラスを取ろう、私の場合だとスペイン語の個人教師を見つけよう、と考え付いたにも関わらず、結局やらず終いになったことは? 誰でもこんな経験があるはずですよね。何かを習得したいと強く願うことがあるのではないですか? 皆さんが私のようにタイプAなのであれば、何か目標を掲げ、それをする為にやることリストを長々と並べるけれども、それに「完了」のチェックをつけることができない。なぜなら次々に先にやることが出来てしまうからです。経験があるのではないでしょうか?  皆さんがビジネスリーダーであれ、従業員であれ、趣味人であれ、取り組んでいることに対して最高の自分になるためにどの程度努力し、時間をつぎ込んでいるでしょうか? 自分が成長するためには、時間ができたらやろうだとか、誰かに助けてもらおうなどと考えてはなりません。皆さんのことについて皆さん以上に一生懸命になってくれる人はいません。 Tasha1

自分を変えるための3つのステップ

私の仕事はリーダーをより良いリーダーにすることです。私の仕事への情熱は、子供の頃に人々の人生を変えるリーダーの力を目にして以来のものです。私の両親が離婚してすぐ、母は自分のビジネスを立ち上げました。彼女は私達家族を養うだけでなく、彼女の下で働く25名の従業員の家族をも養いました。 Tasha2 今私は大人として、組織心理学者として、人間の行動の科学的原則をリーダーや会社が成功するために適用しています。しかし最近クライアントが私の仕事をものすごく的確に表現しました。 彼女はこう言いました「リーダーシップは私のエベレストで、あなたは私のシェルパね」と。これまで12年間エグゼクティブのシェルパ、またはコーチで有り続けた私はあるパターンを発見しました。 ビジネスリーダーシップに限らず、皆さんが改善したいと思うことすべてに適用できる劇的な改善をするための3ステップです。今日は皆さんとそのステップをシェアしたいと思います。その前に、きっと皆さんは「本当になんでもできるようになるのか?」と思っていると思いますが、それに対して短く答えるとすればイエス、です。 皆さんがボディビルダーであろうがバーテンダーであろうが、外科医であろうが映画脚本家であろうが、バイオリン奏者であろうがボランティアであろうが、何か改善したい、もっと上手になりたいと思うことについて、今からお話する3ステップで皆さんのゴール達成は間違いなしです。

自分を知る

ステップ1、自分を知りましょう。 Tasha3 このステップのポイントですが、多くの人が自らのスキルと能力を完全に思い違っています。 (会場笑) 研究者であるジャスティン・クルーガーとデイビッド・ダニングがこの現象を解き明かし、この現象を彼らは謙遜しながらも「ダニング・クルーガー効果」と名付けました。 (会場笑) 科学よりもナショナル・パブリック・ラジオが好きな人もいるでしょう。そんな皆さんは「レイク・ウベゴン効果(the lake wobegon effect)」という用語を聞いたことがあるかもしれません。 Tasha4 (会場笑) 4つの実験を通じてクルーガーとダニングはほとんどの人間が自己の能力を過信していることを発見しました。それ以上に恐ろしいことに-少なくとも私にとって-最も能力が低い人が最も自己の能力を過信するというのです。 私達はダメな人間なのでしょうか? そんなことはありません。私達はバカなのでしょうか? 大抵違います。これは私達の世界が真実を語らない傾向にあるということです。私達は真実を告げるには礼儀正しすぎる、忙しすぎる、恐がりすぎる。 「ちょっとアドバイスをしてもいいかな?」誰かにこう言われてその場から逃げるのでなければ、少し身構えるのではないでしょうか? 私の仕事はリーダーをコーチすることですが、その中には他の人達がその人にはとても怖くて言えないことを告げることも含まれます。 今日は私がコーチしたエグゼクティブ、スティーブの話をしますが覚えておいてください。今からお話する3つのステップはどんなことに上手くなろうとする時も当てはまるのですよ。 私がスティーブと出会った当時、彼は自分をものすごくデキる人だと思っていました。しかし、彼のチームに話を聞いてみるとすぐに実際はそうではないことがわかりました。彼はスマートかもしれないが、少し問題がある、はっきり言えばとても嫌な奴だと皆が言うのです。 彼はチームメンバーに上から物を言い、メンバーの能力を疑い、彼らに怒鳴り散らす。メンバー達は彼をプロフェッショナルではない、恐い人だと思っていました。これは本当の話なのですが、彼の下で働く人の中に彼のせいで血圧の薬を飲み始めた人がいました。 幸運なことに、彼に真実を伝える嫌な人の役目を私が引き受けました。皆さんが私と一緒にいたと想像してください。スティーブの素敵なコーナーオフィスで、私達はスティーブと物すごく大きな木製の会議机に向かい合わせに座ります。 彼の目を見て言いました「スティーブ、本当のことを言います。あなたのチームはあなたを嫌っています。驚きました?」彼の表情から彼がとても驚いていることは明らかでした。 「一体なぜ彼らは私のことをそんな風に言うんだ? 私がいつ彼らを怒鳴りつけたというんだ!!」 (会場笑) 彼はそのまま窓の外を眺めていましたが、私にはその時間が永遠に感じられました。「私はこの仕事を20年やってきた。これまで誰もそれを言わなかったのか」と彼。私は彼に良い知らせを伝えたくて仕方ありませんでした。 「スティーブ! 大丈夫です! この問題は解決できますから! たった今あなたは最も重要なステップを終えました」と私は言いました。「そうなんですか!? それはいい! でも一体私は何をしたというんですか?」と彼。「たった今あなたは現実を受け入れました。」 皆さんはどうですか? もしも自分に改善の余地があるとして、それを皆さんは知ることができるでしょうか? 自分の能力を過信することは素晴らしい自分になるための障害です。どんなに辛くても真の自分を知ることが欠かせません。 ではそれをどうやりましょうか? 皆さんにアドバイスがあります。皆さんにとってのステップ1は、今の自分の立ち位置、自分がどこにいるかを確認することです。まずは客観的に自分の成功を測ることができるものを考えてみましょう。外科医であれば、合併症の発生率がその目安になるかもしれません。庭師であれば、どの植物が生き続けどの植物が枯れてしまったか、かもしれません。その後自分の主観的な目安を確認してみます。これをするのに最も簡単な方法は皆さんについての真実を教えてくれる人を探すことです。 Tasha5 彼らに聞いてみてください。「私が自分が成功するためにしていることは何だろうか? 何がその邪魔になっているだろうか? 改善するためにどんなアプローチを取ったらいいだろうか?」大切なのは真実を模索することです。このようにして人からフィードバックをもらい、自分の今の状況を確認します。

一度にひとつだけ集中して改善する

Tasha7 ステップ2、何かひとつだけ改善ポイントを定めます。私の経験から言って、周囲からフィードバックをもらった後、多くの人がそれを元に頑張ろうと張り切りすぎてすべてを改善しようとしがちです。やりすぎですね。1週間に5キロ減量を目指す過剰なダイエットをしようとするのと同じようなことです。 Tasha6 たくさんのことに手を広げすぎて何も成し得ないよりも、ひとつに絞ってそれを改善するほうがどれだけよいか考えてみてください。スティーブの話に戻りましょう。 彼には改善すべきポイントがたくさんありましたがたったひとつに的を絞れることがありました。何だと思いますか? 怒りの感情をコントロールすることです。怒りの感情をコントロールできるようになるまで、他の課題には何も手を付けないと合意したのです。 その後1ヵ月間、彼は自らの怒りの感情と向き合いました。声のトーンを柔らかくし、言いたいことがある時もグッとこらえる、問題が起きた時に責め立てるのではなく原因は何か質問する、これを彼は学んだのです。 数週間で彼はコツをつかみ始めましたので、次は聞く力にフォーカスし、その後コーチングへと移行しました。取り組む課題はひとつずつです。スティーブは何に気がついたと思いますか? この短期間で彼は新たな自信を得ました。これは自らの能力を取り違えた勘違いからくる自信とは違います。正しいことをすることで得る真の自信です。 スティーブのチームメンバーは何に気がついたでしょうか? 数週間という短期間のうちに、チームメンバー達は素晴らしいボスとなった「新しいスティーブ」について噂をし始めました。スティーブが少し元のスティーブに戻ってしまう時がありますね。そんな時周囲のメンバーは彼に「新しいスティーブはそんなことはしないんじゃないでしょうか?」と彼に直接言うようになったのです! 素晴らしいではないですか!  (会場笑) 皆さんへのアドバイスです。紙の真ん中に線を書いてください。左側に改善したいことをリストにしてください。そして右側には、それぞれに対してそれが改善したらどれだけ素晴らしい自分になるかを10段階評価してみてください。 Tasha8 最も高い数字をつけた項目から取り組み始め、数字の順を追って改善していきましょう。 自分を知り、ひとつずつ改善していくのです。リストをつくることに満足してやめてしまうことが多くの人が犯す最大のミスです。そしてとても危険です。私はこれを「まやかしの発展」と呼んでいます。待っているだけで成長できる、改善できる、変われるのではという無駄な期待です。私が単語帳アプリを使ってスペイン語を習得しようとしたのと似ています。それでは上手くいかなかったことは先ほどお話した通りです。

日々行動し、それを振り返る

Tasha9 この時点で、皆さんが素晴らしい自分になるためにやらなくてはならないことは日常的にそれをすることです。昔、人々は熟練した素晴らしさは生まれつきのものだと考えていました。例えば、科学者は最も優れたマラソン選手は生まれつき人とは違う肺と筋肉を持っているものだと信じていました。しかし近年の研究は優秀さや卓越した能力は生まれつき備わっているものではないと明らかにしています。 その分野でトップクラスの人々は日々の実践によってそれを自らの手で得ているのだと。実際のところ最も優れたマラソン選手たちの身体にはそれほど違いがある訳ではないのです。他の人と何が違うかといえば、本番に向けた練習量です。 スティーブの話に戻りましょう。彼は習慣づけることによって日々それを実践することを学びました。毎日仕事に行く途中、何を改善しようとしているのかを考えます。そしてそれを改善する為の計画を立てるのです。 そして帰宅途中にその日の自分を振り返り、次はもっとこうしてみようと考えます。これをするのにスティーブは1週間の内30分も使っていないはずです。これをしたことに対する見返りにはものすごい価値があったにも関わらず。 半年以内にチームは新たな契約を取り始めました。彼はより幸せを感じ、以前より自信を感じるようになりました。私を雇った彼のボスもとても喜んでいました。ある人達は生まれつき素晴らしい人々であることもあるでしょう。 しかしスティーブは努力と改善へのコミットメントによって自分を変え、彼のこのストーリーは誰でも同じように自分を変える事が可能であると物語っています。彼の場合は、より良いリーダーとして活躍することです。 ところで、96%のリーダーは改善の余地があると私はいつも言っています。残り4%は所謂「社会病質者」です。他者と基本的な部分でわかり合うことができない人々です。皆さんが社会病質者でない限り、もっと良いリーダーになることが可能です。 ステップ3のポイントは日々の実践なしに改善することはない、です。毎日起きたらこう考えてください「今日はひとつのことにフォーカスし、それを改善するぞ」と。あまり上手くいかない日もあれば、上手く行ってとても興奮する日もあるでしょう。 Tasha10 どんな日も皆さんはそこから学び、改善します。最後になりますが、想像してみてください。皆さんは自分が思う最高の自分に、自分の取り組むことに最高の結果を出せるようになりました。どんな感じがしますか? 皆さんの人生はどのように改善しましたか? スティーブはそれができました。彼は超人だったでしょうか? そんなことはありません。彼は自分が成長するために真にコミットした普通の人間に過ぎません。 自分を知り、ひとつだけを選び、日々実践する。これだけです。何千というクライアントとこのように一緒に取り組んできた経験から、この方法は確実に効きます。今この時が皆さんが自分で決断する時です。皆さんのシェルパとして道案内致しましょう。しかしこれは皆さんが登るべき山なのです。 覚えておいてください。皆さん自身ほど皆さんに時間や労力を惜しまず尽くす人は他にはいません。自分で自分に約束し、3つのステップに従えば、日々取り組んでいることがどんどんうまくやれるようになっていき、もう誰も皆さんを止められなくなります。今から始めない理由はないですよね?

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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