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なぜフランス人は服を10着しか持たないのか? 本当の自分らしさをもたらす、小さなクローゼットのつくりかた

なぜフランス人は服を10着しか持たないのか? 本当の自分らしさをもたらす、小さなクローゼットのつくりかた

ベストセラー『フランス人は10着しか服を持たない』の著者、Jennifer L. Scott(ジェニファー・L・スコット)氏はフランス留学時、「服を10着しか持たない」という文化に衝撃を受けます。“上質なものを少しだけ持つ”という価値観が、彼女のその後の人生にどのような影響をもたらしたのか?(TEDxStGeorge2014より)

スピーカー
作家 Jennifer L. Scott(ジェニファー・L・スコット) 氏
参照動画
The ten-item wardrobe

服がありすぎるのに、着るものがない!?

ジェニファー・L・スコット氏 今日は「10着だけのタンス」についてお話したいと思います。2、3年前に『フランス人は10着しか服を持たない』という本を書きました。その本には、私がパリで留学生としてフランスの家族と住んでいた時に学んだ、人生が変わった出来事ベスト20が書かれています。 本には色んな事が書かれています。片付けの方法から、運動、フォーマルな場においてどのように生きていくか。読者が人生のどの段階にいるかによって、本の中で興味を引く部分が違いました。 でも、ひとつだけ皆を引き付ける項目がありました。「10着だけのタンスで自分を解放しよう」というものです。「10着だけのタンス」これはたくさんの人の混乱を招き、興味を引く内容かも知れません。そして多分興味をそそられると思うのです。 なぜなら私たちは、服でパンパンになったクローゼットを持つことに慣れた人達だからです(笑)。これは事実です。私たちは買い物に買い物を重ねて、クローゼットに詰めて詰めて、ほとんどタンスの中がどうなっているのか、確認しません。 中に入っているものの取捨選択をして、持っている物が私たちにどんな影響をもたらしているのかを、まず確かめないのです。「それの何が問題なの?」と思う人もいるかも知れません。 服がたくさんありすぎると、「もう着るものがない」という副作用が現れます(笑)。この中で、何人それを体験したことがありますか? 仕事に行く時、友達に会いに行く時、服を着てみて気に入らなくて、他の服を試して。もう1着、あともう1着と知らないうちに、服を床からベッドまでばらまいてしまいます。 時間がないときは、とにかくただ選んで、少し自分の選んだ服に不満を持ちながら1日を過ごします。もっと多くの服を持てば、朝準備する時より楽だという誤解によって、私たちは動かされているのです。でも実際は、その逆こそが正解なんです。 より少ない服、より少ない選択肢で、タンスの中身を考えて整理すれば、もっと準備をするのが楽になります。 服でギューギュー詰めのタンスのせいで出てくる問題は、タンスの中身を見定めないので、衝動買いをしてしまうようになります。 セールでネオンのラベンダー色のレースのついたショートパンツを見たら、安くなってるから買ってしまう。自分に合ったスタイルかも、タンスの中身も考えずに。

本当のおしゃれに気づいたきっかけ

自分自身のスタイルは、ぼんやりしているという問題があります。一言か二言で、自分のスタイルの定義ができますか? できる人はそんなにいません。普通そんなことはあまり、考えないからです。 これは多くの人にとってハードルが高いので、あきらめて運動もしないのにジャージを着ています(笑)。だから問題なんです。 今から、2001年のパリに皆さんを連れて行こうと思います。私がこういう事を考え始めた時です。あるフランス人の家族と一緒に住みました。私は、シック(おしゃれ)一家と呼んでいました。 それは彼らの本当の名前ではありません。私にとっての彼らは、本当におしゃれだったのです。ギラギラした成金のような感じではなく、優雅で快適さを身にまとっている感じだったのです。 シックさんとシック夫人に会った初めの午後、リビングで座ってお互いを知り合うためにお茶を一緒に飲みました。彼らを見たところ、第一印象はとても良かったです。 シックさんはすごく素敵なスーツとおしゃれな靴を履いて、シック夫人はエーラインのスカート、シルクのブラウス、パールのネックレスと低いヒールをはいていました。その時「本当にうれしい。私のためにおしゃれしてくれたんだ!」と思ったのを覚えています。 でも彼らは私のためにおしゃれしたのではなく、いつものように服を着ていただけだったんです。彼らは、いつも最高におしゃれをしていたんです。

フランスの「10着だけのタンス」文化

シック夫人はお茶の後、これから私が数ヶ月寝ることになる寝室に連れて行ってくれました。もちろん見るのが楽しみでした。寝室は期待以上でした。とてもかわいい寝室で、小さいツインベッドがあって、きれいな中庭が見える床から天井まである窓がありました。ランプのカバーとデスクにマッチするカーテンがあって、完璧でした。 そして彼女は、私がこれから服をしまう所を見せてくれました。それはこれまで、私がカリフォルニアで使っていたクローゼットとは違いました。小さなタンスでした。彼女が開けてくれて、その中には10個のハンガーがかかっていました。 私はパニックになりました。なぜなら、服でぎゅうぎゅう詰めになったスーツケースを、2つもパリに持ってきていたからです(笑)。それで「これからの6か月、一体どこに服をしまえばいいんだろう?」と思いました。 そんなことを言ったら失礼になるので、もちろん言いませんでしたが(笑)。 次の日、同じ留学プログラムで来ていた留学生に聞いてみました。私と同じタンスを使わなくてはならない不幸な運命になってしまったかどうか。そして、彼らも同じ状況だとういう事がわかりました。誰もカリフォルニアにいた頃のような、大きなタンスを使っている人はいませんでした。 みんなは、中に10個か12個ハンガーがかかっている、とても小さなタンスを持っていました。 フランスの人たちがとてもかわいそうに思えました。「どうやってあんな小さい収納スペースでやっていけるんだろう?」と。 そして彼らを観察してみることにしたのです。シック夫人はもちろん、留学プログラムで一緒だった他のお母さんたち、大学教授、地元のパン屋の奥で働いていた人たちも観察しました。 そして彼らを見ていて、気が付いたことがありました。彼らはみんな、高品質な服を何度も何度も、繰り返して着ていたのです。しかも苦しんでいるようには見えなかったのです(笑)。 (会場笑) それどころか、彼ら自身の個性に美しくフィットしていました。そして、「もしかしたら10着だけのタンスに何かあるんじゃないか?」とも思いました。

同じ服を着るのは恥ずかしいこと?

同じ服を何度も何度も着るという考えですが、私たちはそれを少し恥ずかしい事だと思っています。たくさんの人や過去の私もそうでしたが、同じ服を1週間に2回も着たくはありません。特に同僚の前だったり、学校では他のお母さんたちの前では。 これははっきりとした文化の違いです。もしフランス映画とアメリカ映画を比べてみたら分かります。フランス映画を見てみてください。女性の主人公役は、同じ服を何度も何度も、繰り返し着ています。なぜならみんなそうしているからです。 でもアメリカ映画を見てみると、典型的なアメリカ映画です。女性の主人公役が同じ服を2回着ることは、ほとんどありません。映画監督が、「彼女は落ち込んでいて、何度も失敗して精神的に不安定だ」という状態を見せたい時以外は(笑)。 最近公開された、ウディ・アレンの『ブルージャスミン』という映画ではこれが明らかです。ケイト・ブランシェットが演じている役は、お金持ちで順調に物事が進んでいた時は、全てのシーンで違う服を着ていました。 でも彼女が妹と一緒に住まなければならなくなった時ちょっと気がおかしくなって、彼女は10着だけのタンスを使っていました。 彼女は、高品質な服を何度も何度も、繰り返し着ていました。私は、そんな彼女をとても素敵だと思いました。私たちは本当に、同じ服をいつも着るのは恥ずかしいことだという認識を変えなければいけません。

毎日のサイクルを変えれば人生も変わる

皆さんの多くは、「ジェニファー、あなたはアメリカに帰ってすぐ、10着だけのタンスのアイデアを取り入れたんでしょう?」と思っていると思います。その答えは、いいえです。もちろん元の服をしまう方法に逆戻りです(笑)。クローゼットには、どうでもいい服がたくさん詰まっていました。 この時点では大学を卒業して就職し、ある時点では3つの仕事を同時にしていました。私にとって、朝準備するのは、極めて重要なことでした。準備をして、服を選んで、自分の本当のスタイルを知らないまま、同じイライラを感じていました。 私の持っていた服はみんな洗練されていませんでした。自分らしさを表現できる服はなかったのです。ついに飽き飽きして、タンスの中の70%を処分することにしました。でも聞いてください。それを振り返ることは全くなかったのです。 この話題がくだらないと思っている人もいるかも知れません。毎日しなければならないことを考えた時、服は毎日着なければなりません。それを考えて整理をして、作戦を考えれば、完全に人生を変える事ができます。 じゃあ、どうやったら10着だけのタンスを使えるんでしょう? このタンスが必要な人に、どうやったら教えられるでしょう? あなたのルームメイトや、旦那さんや奥さんに。

洋服へのテストでタンスを10着だけに

最初にしなければならない事は、タンスの中の服を全部取り出す事です。何百もの服があれば、一度にじゃなくても大丈夫です。種類別に分けて取り出して、1つ1つ見てみてください。そして、このような質問を自分にしてみてください。 「これは私のサイズに合っているか?」 「これは自分の年齢に適しているか?」 「これは私の本当のスタイルか?」 「これが好きか?」 「これを着るか?」 服は、このテストに合格しなければなりません。合格しないなら、処分しなければなりません。あなたよりもその服が必要で、大切に使ってくれる人に寄付しましょう。 さらに残った服の中で、今の季節に合わない服を除いてください。今は秋になろうとしています。ニューヨークでは分かりませんが。とても今は暑いので(笑)。 だから、サッカー用のショートパンツや、すごく細いストラップのサンドレスは必要ありません。それらを除いて、しまってください。収納用の衣料袋入れてもいいですし、余分なクローゼットに入れてもいいです。もしスペースがなければ、クローゼットの空いているスペースに置いてください。 残った服全部、10の中心となる服で、タンスを構成できるようになります。 中心となる10着とは、毎日着る服のことです。女の人にとってはブラウスだったり、ワンピースだったり、スカート、ジーンズ、ズボンです。男性はもっと選択肢が少ないです。だからもっと簡単です。シャツ、ズボンと短パン、ですよね? 10着だけのタンスの、女性の秋用の服の一例を挙げると、ズボンとジーンズは1本ずつ、3つのワンピース、4枚のブラウスです。男性は7枚のシャツと3本のズボンです。いいですね? 皆さんの顔が、パニックになっているのが分かります(笑)。 (会場笑)

10着+余裕分でタンスをカプセルに

そんなの絶対無理だと思ってるんでしょう? もし難しいなら10着じゃなくてもいいです。15着でも20着でもいいです。大事なのは、あなたのタンスをカプセルのようにするということです。扱いやすいサイズにです。パニックにならなくても大丈夫です。 なぜなら、私の言う「余裕」があるからです。この「余裕」は、タンスの周りの手助けをしてくれます。 Tシャツ、セーターや、もし寒い所に住んでいるとしたら、何枚もセーターを着なければなりません。上着、例えばトレンチコート、ブレザーや、ジャケット。特別な時に着る服。 オペラを見に行く時に着る服などです。今日は先程、きれいなオペラ歌手がいましたね。休日のパーティー用の服、教会に着ていく服。毎日着る必要がない、特別な所に着ていく服です。 余分な服を入れたら、タンスをカプセルのようなサイズにする事を忘れないでください。10着をそろえたら、「余裕」分の服はすごく多い、なんて事はしないでください。それでは意味がないので(笑)。これは、生活のスタイル自体を変えることなのです。 10着だけのタンスのいい所は、どんな所でしょうか? 朝起きた時に、着るものを選ぶのが簡単になります。上手く考えれば、ただ2つの服を選ぶだけで、それらがマッチします。 これをする時に、あなたの本当のスタイルに焦点が合わされます。観察力が上がります。もう衝動買いをしないようになります。 たぶん私が、「10着だけのタンス」を1番気に入っている利点は、「常に人前に出ても恥ずかしくない恰好ができるようになる」という事です。

服に穴があいていることを指摘され…

最後に、パリで起こったことを話しましょう。パリにいた最初の夜、私はとっても緊張していました。フランス語があまり上手く話せませんでした。実を言うと、全然でした(笑)。私のフランス人のホストファミリーは、英語を話しませんでした。なので、夕食をあまり食べませんでした。 皆が寝てしまったと思ったので、パジャマのまま、何か軽いものを食べようと、こそこそ冷蔵庫に向かいました。シック夫人に途中で止められて、何をしているか聞かれました。この人たちは、夜食を食べる習慣がないという印象を受けたので、何か食べるものが欲しかったとは言わず、「コップ一杯の水をください」と言いました。 彼女は取ってくると言ってくれました。彼女は水を渡す前に、私のパジャマを変な目で見てきました。私はほとんど考えが及ばなかったんですが、彼女は1週間後、パジャマについて話をしてきました。 私のパジャマはとても快適な白いジャージでした。快適というのが強調されるようなパジャマで、少しダボダボしていました。大学のTシャツと一緒に着ていました。彼女は、私のパジャマの膝の穴を指さしました。 そうだ、パジャマの膝に穴が開いているという事を言い忘れました(笑)。そして彼女は「ジェニファー、それ洗濯した時に私が開けちゃったのかしら?」と言いました。彼女の気を楽にさせるように、私は必死に「いえいえ、そんなことはないです! これは何年も前からの膝の穴です」と言いました。 彼女は心配そうな顔から、混乱の顔になりました。そして彼女は「どうして膝に穴が開いているのに、まだ履いているの?」と聞きました。 その時、全てがはっきりしたようでした。 なんでか分かりません! 見すぼらしくて、古くて、穴だらけの、妹が運動着に使っていたと思っていた、ジャージをとっておいた理由なんて! (会場笑) しかもそれを、カリフォルニアからパリまでわざわざ持ってきて、他人の家でパジャマとして着ているのは、なぜかなんて(笑)! 私の洞察力はどこにあったんでしょう? ショックでした。

どんなときでも自分を大切にする

次の日、その古いジャージを捨て、デパートに行って、パジャマを2組買いました。それらは高くはありませんでしたが、大人になってから着た中で、1番素敵なパジャマでした。なぜならそれらは、パジャマとして着るために作られていたからです。 その日の夜のことは絶対に忘れません。ペルシャ製のベッドに横たわって、クリーム色のボタンの付いたパジャマを着ると、ものすごく気持ちが良かったです。 それは、どんなときも自分をきれいに見せて、自分自身を大切にすることができる事に気が付いた、初めての時でした。それは月曜日から金曜日、9時から17時まで、他の人に感心してもらうためにしているのではなく。 私は、このような生き方ができると思ったのです。これは10着だけのタンスの、素晴らしい利点の1つです。 10着だけのタンスは、スタイルや自分の人生の色んな面を使って、自分をどう見せるか考えるのに、とても役立ちます。もし10着だけのタンスを本当に試してみるなら、それ程嬉しい事はありません。 もし質問があれば、私はブログ、YouTubeのチャンネル、デイリーコノッサーというサイト、あともちろん『フランス人は10着しか服を持たない』があるので、どうぞ。ありがとうございました。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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