考え方や思想がシンクロするかどうか
曽山哲人氏(以下、曽山):鈴木さんにぜひお聞きしたいのが、いろんな業界からこうやって招へいされて、口説くっていうところの部分を、どういうふうに口説かれているのかっていうのをぜひ教えていただきたいんです。
鈴木健氏(以下、鈴木):正直今思い返してみると、口説いていないんです。入ってくれた人は。
曽山:そうなんですか? 勝手に入ってきたんですか?
鈴木:いや、そこまでじゃないですよ、もちろん。そこまで勝手に入ったってこともないんですけれど、でも、すごく強く口説いたっていうよりかは、シンクロしたみたいな感じです。
何かこう、考え方とか思想とか言っていることとかがシンクロしたから、「やらない?」って言った時に、素直に入ってくれるみたいな感じで、逆に一生懸命こっちが口説くことってあるわけです。一生懸命口説いたら、何かやっぱり逃げちゃったみたいな感じです。
曽山:なるほど。今日、先ほど写真何枚か出されていたじゃないですか。ニューヨークとかサンフランシスコの。例えば海外の例で、一番口説くのが大変だった方って、さっきパーカー着ていた方なんですか?
鈴木:いや、それがそのリッチは、本当は口説かなきゃいけなかった人なんですけれど、口説いていないんです。やっぱり。彼とか、何でうちに入ってくれたのかわからないような人なんですけれども。
何かもう面接の会場に来た瞬間からスーパーフレンドリーで、全然僕ら口説いていなくて、リッチに質問していただけなんです。次回口説かなきゃいけないなと思ったら、間に入った方が「もう入る気満々だから」とかっていうふうな話になっていて。
僕らは僕らで、自分たちはこういうことやりたいみたいなことは言いましたよ。自分たちはこういうことをやりたいとは言ったし、どういう方なのかって意見とかも聞いたんですけれど、口説くっていう行為はしていないんです。
無理矢理口説かず、ビジョンを伝える
曽山:なるほど。その出会いの間にいた方っていうのは、どういう職種の方?
鈴木:デニスっていうんですが、すごくおもしろくて。
曽山:デニスさんっていう人なんですね?
鈴木:デニスっていうのはすごくおもしろくて、益子焼が大好きな仏教徒なんですけれど。アメリカ人ですよ。もともとデニスを紹介してくれたのは、うちのエンジェル投資家にビル・ロースっていう人がいて。
その人はジフ・デイビスの元プレジデントなんです。ソフトバンクに買収されて孫さんにレポーティングラインを持っていたっていう人なんです。
その方の元部下なんです。デニスって。それでジフ・デイビスとかで働いていて、その後20年間自分の会社で、いわばひとりでフリーのリクルーターをやっていたんです。
同時に3社しか見なくて、その3社の1社としてうちを見てくれていたんです。で、ビルから紹介してもらって。その時に僕、アメリカに来てまだ今年2、3回目の時だったので、謎にテンションが高くって。
サンフランシスコのエアポートの近くでデニスに会った時に、ものすごいハイテンションで自分のビジョンを語ったんです。
今から考えても何でこんなに語ったのかっていうぐらい語ったんです。そうしたら、デニスが「これはすごい!」と、ものすごい一生懸命探してくれて、それでリッチを探してくれたんです。もう3ホップぐらい、知り合いの知り合いの知り合いみたいな形で探してくれたんです。
曽山:なるほど。
鈴木:それでデニスにそろそろ僕らもサンフランシスコに採用とかHRの人を採用したいんだと言ったら、デニスがその場で、「今このシリコンバレーで、やっぱりいいHRって本当に探すの難しいんだよ」とかって言い始めて「そうだよな」とかって思っていたら「うん。俺を採用しろ」とかって言って、入ってくれたんです。
「20年間リクルーターの仕事をしてきたけど、はじめて自分で自分を入社させたいと思った会社がスマートニュースなんだ」とかいって、泣かせますよね。
曽山:なるほど。そういう繋がりなんですね。
鈴木:そう。だから僕やっぱり思ったのは、その時口説いていないんですけれど、自分たちが何をやりたいのかっていうことに対して、とにかくビジョンをしっかりと伝えるっていうことをすると、本当にシンクロすれば巻き込まれていくというかという感じで。無理矢理口説くというよりかは、ビジョンを伝える。
曽山:きちんとやっぱり伝えるっていう。
鈴木:それですね。
エージェントには高い採用基準を要求する
曽山:なるほど。でもさっき東後さんの質問かな。人材紹介会社とのパートナーシップの組み方ってあったじゃないですか。私たちすごく、むしろ人材紹介会社さんの力をすごく使わせていただいているんですけれども。
どういうふうにしているかって言うと、なるべく大型の採用とか重要な採用の時は、私たちが出向いて、キャリアカウンセラーの方とかに、ビジョンとかのプレゼンをさせてもらうようにしています。
何で今回これだけ採用に力入れているのかとか、これ採用するとどんな環境があるのかとか、私はどういう思いで採用しているのかっていうのをすごい言うっていうのをやると。
そうするとやっぱり人材紹介会社のキャリアコンサルタントの方々が、むしろサイバーエージェントに入りたいっていうギャグが出てくるぐらいの感じになるんです。先ほどの感じですよね。
鈴木:そうですね。近いですね。あとすごい大事なことは、優秀なエージェントとかリクルーターの方って、稼いでいるんです。だから別に困っていないんです。だから、僕はビジョン語った後に、異次元に高い採用基準を要求するんです。
曽山:なるほど。
鈴木:そうすると喜ぶんです。
曽山:むしろね。
鈴木:そう。お金じゃなくって、何かちょっとこの仕事やりがいあるなってみたいな感じで、楽しくなっちゃうみたいで。
曽山:仕事のやりがいで引っ張るっていう。なるほど。
鈴木:そう。だからすごい採用基準高いんだよ。なかなか見つからないレベルだよっていうことを脅すんですけれど。
曽山:なるほど。
鈴木:そうすると、優秀なエージェントの方ほど、やる気満々になる。
曽山:なるほど。ありがとうございました。
南壮一郎氏(以下、南):小野さんはやっぱりそういう、ちょっとMな感じのお仕事の仕方をされているんですか?
小野壮彦氏(以下、小野):そうですね。ほとんどお客さん、そういう無茶振りするお客さんばっかりで、鍛えられているんですけれども。でも何かその、先ほどの話は、すごい共感するところでして。
経験上、僕のクライアントが、最後の最後に口説かなきゃいけないケースは、たいがい落ちない方が多いです。その時点で破たんしているっていうか。