オウンドメディアとは何か

後藤:本題に入りますが、じゃあ藤村さん。

藤村:はい。

後藤:オウンドメディアって何なんですかね?

藤村:今日のテーマですね(笑)。

後藤:ちなみに梅田さんはオウンドメディアって何だと思いますか。

梅田:僕の場合は、基本的に編集者って役割なんで、コンテンツを使って企業の認知度を上げたりだとか、具体的な商品をPRしたりだとかっていうことをやりますよっていうような言い方をしますね。

後藤:結構商品とかのPRっていうのが文脈として含まれるっていうイメージ?

梅田:そうですね。さっきネイティブアドみたいな話もありましたけど、今は皆バナー広告とかクリックしないじゃないですか。そのかわりに出てきたのがそのネイティブアドみたいな話で、そういうものを作る上で編集力っていうのが必要になってくるので、そこで僕の役割というか、編集者が出てくるみたいなイメージですね。

後藤:編集力って何ですか。

梅田:それはね、おいおいお話します。長くなるんで(笑)。

後藤:加勇田さん、編集力って何ですか。

加勇田:私は、編集力って削る力なのかなと思ってます。例えば、さっき事例でお話させていただいたPCスーツとかもそうかなと思っていて、疲労を回復しますとか、色んな機能がずらずら並ぶんですけど、それ一言にまとめると何ですかみたいなところを、一言に集約する力かなと思っていて、それがPCスーツだったりとか。

あと実はなんですけど、さっき燃え尽きランナーでさわりだけお話させていただいたと思うんですけど、あれ実は同じ商品なんですね。PCスーツで触れている商品と、燃え尽きランナーで触れている商品。という形で、場面場面によって「一言で言うと何?」みたいなのをまとめる能力っていうふうに自分は考えてるんですけど、ITメディアで編集とかされてた藤村さん、どう思います?

藤村:編集力ってなかなか難しいですよね。

後藤:オウンドメディアで執筆するメリットにもなると思うので、自社メディアって何だっていうところのお話しちゃってもいいですよ。

藤村:さっき商品とかPRとかっていう話もあったんですけど、サイボウズ式を運営している目的はそことは全然違う感じですね。具体的には、新しい読者とか、生活者の方とのコミュニケーションの接点みたいなものを作るっていうところが自社メディアであるというふうに定義しています。「サイボウズを知ってもらいたい」っていうところから始まったのが自社メディアっていうイメージなんですよね。

なので、今のお話で言うとPVっていうのは実はあまり気にしていなくてですね、企画とかコンテンツを通じて一人でも多くの読者とか、新しくサイボウズを知ってもらう方との接点を、コンテンツを通じて作っていく場所みたいな、そういうイメージになるんですよね。

なので、販売促進とか売り上げアップとかいうところはあまり考えていなくて、単純に僕達が面白いと思った切り口とかと、サイボウズでいう「チーム」とか「チームワーク」とか「働き方」を掛け合わせて、新しいコンテンツを設計して、お客様との新しいコミュニケーションの接点を作ってる。サイボウズ式はそういうイメージなんですけどね。なので、あんまり、何て言うんでしょう、一般的な自社メディアと違う感じですよね。

加勇田:今お話をお伺いしてて面白いなと思ったのは、デサントのオウンドメディアの考え方で、藤村さんとの共通項と異なる点があって。まず共通点っていうところで言うと、新しい人との接点みたいなとこって多分共通項だと思うんですよ。多分「コンプレッションウェアとは?」みたいなことを語っていると、多分さっきの、IT系の人達との接点って絶対無いはずなんですよね。

その人がランニングもしますっていう人だったら接点はあるかもしれないんですけど、でもデスクワーク中に履くっていうことは、一切考えないと思うんですよね。でもPCスーツって翻訳した瞬間に、「何だそれ」っていう話になると思うんですよ。で、さらに、リクルートとかも実は導入してるんですよみたいなのがニュースで話題になってたりすると、「あ、そういう使い方あるのね」が、具体的にイメージできる。そういう意味では藤村さんとことの共通項なのかなと思ってます。

ただ違うところでいうと、さっきのFNSって最後はストアになってたと思うんですけど、店頭に落とすっていうところはすごく自分は考えていて、それが無かったらオウンドメディアやらなくてもいいと思ってるぐらいなんですね。結局売ってなんぼなんです。事業会社なんで。

実はPCスーツっていうキーワードを出した時には、ヨドバシカメラを攻めていこうっていうのは自分の頭の中で逆算していて、JINS PCってもともとヨドバシカメラさんに置いてあったのを知ってたんです。で、JINS PCはIT企業で導入されているっていうニュースも見てました。マイナビニュースとかで。あ、これ使えるなって思ったんですね。うちも、どこかIT企業に導入してもらったら横に並べるじゃんと。そこまで逆算してオウンドメディア作ってまして、そういう意味では販促っていうところはかなり意識していますね。その点はサイボウズ式と異なる点かなと。

藤村:運営する会社によってスタンスが違いますよね。やっぱり経営課題とか事業目的とかがあって、そこから手段としてメディアを作るっていうところを事業会社はやっているなと思っていて。運営する会社によって多分色々見え方とか、考え方とか違うんだなっていう。

編集者・ライターに求められる資質

梅田:今日ここまで、どっちかっていうと事業会社寄りの話が多いと思うんですけど、例えばサイボウズ式さんに、書きたいとライターが売り込みに来たりっていうことがあると思うんですけども、どういうライターさんとかが向いてると思いますか。

藤村:ああ、なるほどですね。向いてるかどうかですよね。まず、先にライティング的な話をすると、Webライティングが出来る人ってものすごい向いていると思います。ライティングではなくて、Webライティングです。Webライティングっていうのは、要するに情報がWebとかスマートフォン上ってめちゃくちゃ溢れていて、自分に関心のない情報って速攻素通りされるというか、箸にも棒にも引っ掛からない、そういうふうな環境があると思うんです。

そこで、そういった方にコンテンツを届けるための最初の導線ですとか、見せ方ですとか、編集の仕方をすごい考えられる人とか、一緒に考えていける人。多分まだ既存のやり方、というか新しい方法論とか全然無いと思うんで、汗かきながらそこを模索してくれる人とか、っていうのはすごい向いていると思います。

後藤:ライターって結局サービス業だと思っていて、編集者も同じだと思うんですけど、どれだけ相手が求めている企画を出すかと考えた時に、今のライターに求める資質ですし、かつライターにおける話はちょっと、求人広告のコピーライター出身なんですけど、キャッチコピー、タイトルの付け方ってやっぱりWebの世界で特に大事だなと思ってて、コピーライターやってるとタイトルの部分に集約するんですよね。全ての情報を。その中でいかに際立たせるかっていうのがあるんですけど、差別化を図るかっていうのがあるので、結構求人広告出身の人間はかなり向いているんじゃないかなと思ったりしますね。

後藤:梅田さんは。どういう人が向いていると思いますか。

梅田:従来の編集者って基本的にメディアの中で成立する仕事なんですけど、外に出て行って、例えばマーケティング会社の人と一緒にコンテンツを作るっていうことがありまして、そういう時にやっぱり編集者、ライター、両方そうかもしれないんですけど、翻訳するみたいな業務が主になると思ってまして、ライターとしてこういうことをやると面白いっていうのがあるんですけども、それをどうやって外の人間に分かってもらえるかどうかみたいなのはすごく意識していて、っていうところは結構考えますかね。

加勇田:梅田さんと近い考えかなと思っていて、自分の興味の外にどんな世界があるかっていうところを意識出来る人っていうのはすごく資質として必要かなと思っているんですね。例えばなんですけど、うちってスポーツメーカーなんで、当然なんですけどスポーツ大好きな人間ってやっぱりすごく多いんですよ。だから出来る限りスポーツが大好きっていうバイアスを外すように、外すように社内で仕掛けは用意しているつもりなんですけど、どうしても好き前提でコミュニケーション施策、戦略を考えちゃうんですね。

だから、自分がライターの方に言うのは、嫌いだったら嫌いって素直に最初に言ってくれたほうがいいです。逆に自分はそれを求めてますみたいなところがあって、だからそれって、ライターにとっての資質って何かって考えた時に、どうしても人間やっぱりバイアスかかってしまうと思うんですね。自分の興味の外ってなかなか興味が広がっていかないと思うんで。どういう世界が繰り広げられているのかみたいなところって。

なので、そこが意識出来る人っていうところは、ライターとしての資質として必要かなみたいな。多分事業会社って多かれ少なかれバイアスってかかってると思うんですよ。うちのスポーツの例とかもそうですけど。なので、そこの、「こういうバイアスかかってませんか?」みたいな指摘が出来る人っていうのは、少なくとも自分は一緒にお仕事させていただきたいなと思う人ですね。

藤村:綺麗に記事を書けるだけだと駄目なんですよね。

梅田:ライターならきれいな記事を書く人でいいと思います。編集者はおそらくそれだけじゃちょっと難しいと思うんですけど。

後藤:そうですね。僕は提案欲しいですね。企画に対して口出ししてもらえるくらいの。関係性としてはすごく欲しい。企画分って呼んでる、結果に対してお支払したいなと思うんですけど。

藤村:企画の持ち込みとか大歓迎?

後藤:大歓迎ですね。やっぱり編集長とはいえ、尽きる人は尽きるんです。だから加勇田君がこの前言ったように、バイアスかけずに、加勇田くんとか月に5冊雑誌買うっていう。あの話どうです?

加勇田:私、今、毎月雑誌5冊買うようにしてるんです。これマストで買ってます。なんですけど、買う時に一回大きな、代官山蔦屋とか、どこでもいいんですけど、大きな本屋さんまわっていって、ぐるーっと見て、初めの2冊は自分が面白いなっていうものを買うんですね。自分だとブルータスだとか、あのへんとかが好きなんですけど。似合う似合わないとかは別ですよ。

後藤:大丈夫ですよ(笑)。

加勇田:(笑)そういうの2冊買いますと。で、残り3冊何買うかっていうと、自分が興味全く持てなかったやつを買うようにしていて。例えば、男性の方に女性誌興味持ってっていうの結構ハードル高いと思うんですよ。仕事柄買わなきゃいけないっていうのはあると思いますよ。あるとは思うんですけど、純粋に興味を持てって、結構難しいと思うんですね。けど、敢えてそこは自分買うようにしています。自分の興味の外でどんな世界が繰り広げられているのか、みたいなところは意識的に情報として摂取しようかなというふうにはしていたりしますね。

後藤:Webライターに限らず、企画とかに携わる人間には結構大事ですよね。

加勇田:そうですね。

後藤:最近その興味の無い3冊って何だったんですか。

加勇田:いやいやいや(笑)。ちょっと、あの、すみません、私PRの仕事してるんで、ちょっとそれはNGで(笑)。

加勇田:あとでオフレコで、ログミーさんの録画が終わってから、お願いします。

後藤:わかりました(笑)。すごい聞きたいですね。