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「リクルート自体はすごくない。誰かがホームラン打ってるだけ」 “究極の個人技”を生み出す組織の秘密とは?

「リクルート自体はすごくない。誰かがホームラン打ってるだけ」 “究極の個人技”を生み出す組織の秘密とは?

リクルートグループで活躍する出木場氏と大宮氏、"元リク"で現在はKAIZEN platformを運営する須藤氏の3人がIVSの舞台で対談。リクルートを「究極の個人技の集合体」と称し、創業から50年を経ても勢いを増し続ける同社の強みについて語りました。(IVS 2014 Fallより)

シリーズ
IVS(Infinity Ventures Summit) > IVS 2014 Fall > リクルートの強さの秘密
2014年12月3日のログ
スピーカー
株式会社リクルートホールディングス執行役員 兼 Indeed Inc. CEO&President 出木場久征 氏
株式会社リクルートライフスタイル執行役員 大宮英紀 氏
KAIZEN platform Inc. 共同創業者&CEO 須藤憲司 氏

リクルートのために働いたことは1秒もない

須藤 面白いのは、「創業者を越えたい」とか「会社のためになんて働いてない」という人がすげえたくさんいて。 出木場 会社のために働いたことは1秒もないね。まったくない。 大宮 (笑)。 須藤 それ、僕もわかる(笑)。僕もそうだったし、自分が面白いと思ったらいいじゃないですか。究極的にいうとすごく個人に依存してて、個人を信頼してるというんですかね? 多少無茶かもしれないけど打席に立たせてやらせるみたいなことは、すごく良い文化なんだろうなと思ってるんですけど。 一方で、次にリクルートの成長とかって、誰かがホームランを打つっていうことをやってきてるから、いま成長してるわけじゃないですか。これって、個人というより仕組みっぽくなっていくのか、それとも個人で「また誰かがホームラン打つんじゃねえか」という感覚でいくのか、どういうふうに思ってるんですか。 出木場 いろんな事業がリクルートの中にあるんだけれども、いろんな事業をやりたい人たちの思いが詰まっているわけなので、やっぱり思いが強い人がいたらお金も人も出して支援すると。でも、新しい事業だったり新しい試みはいっぱい失敗する。 ある確率論の中で成功する確率に賭けていくというのは、新しいものを生み出すときに自然の摂理として……ホームランという言葉でいえば、何回も打席に立ってバットを振らないと当たらない。そういうところは変わらないんじゃないかな、きっと。でも、そこで打席を踏んで修羅場をくぐったやつらが増えることによって、ホームランになる確率が増えると。そういうのは確実にあると思ってて。 だから、俺が突然7~8年前に「アメリカの会社を買収します」と言っても、たぶん上手くいかなかったと思うんだけど、その中で何回も修羅場をくぐっていろんな経験をした上で今の打席に立っているので。比較的全力でクロマティみたいにバットを振って、ちょっと当たったというのはあるかなという感じですかね。 須藤 (ドラゴンボールの)サイヤ人的に、ズタボロになって這い上がる。 出木場 戦闘力が上がるみたいな(笑)。

シリコンバレーと生態系が似ている

須藤 じゃあ、今まさに打席に立っている大宮さんは、これから先「次の大宮さんがホームランを打ってくれるんじゃねえか」派なのか……。 大宮 自分で打ってみたいというのは、さっきの「何かを成し遂げたい」みたいので言うと、やりたいのはありますね。ただ、仕事って一人じゃできないし、そういうことをチャレンジする仲間がいたほうが面白い仕事とか、もっと世の中にインパクトをもたらすことが(できると)すごく信じてるので。そういう人たちと一緒に働きたいし、そういう人をいっぱい増やしたい。 なので、一応(自分は)組織長みたいな役割なので言うと、チャレンジしてもいいというか、死ぬリスクだけは排除しつつチャレンジできる場を提供するのが、組織を見てる僕の責任だなと思って。 「何をやれ」ではなくて、その人がのびのびチャレンジすることだけを必死にやれば、さっき言った「ある確率」の中で良いサービスとか(生まれるだろうし)、逆にそいつが他のところに行っても新しく何かを成し遂げる、やってくれる。進化論的に、(同様のケースが)ボコボコいっぱい出てくるというのが、当たり前に起きたらいいなと思ってる。 出木場 やっぱり、自分で起業するか、リクルートの中でビジネスを作るかみたいなところが、常に迷われるような会社でありたいなというのはありますけどね。その魅力がなかったら意味がないので。 新しいビジネスを生み出す力がある人がいて、中にはどっちかというと「規模を早く追いかけたい」という人もいるかもしれない。そのときは、リクルートみたいな会社とやってたほうがファンディングも早いかもしれないし、人も……。 須藤 そうですよね。どう考えても、「エースクラスがいきなり何百人必要です」ってビュンと来たりとか、「何十億円でやろうぜ」って投資がドーンと決まったりとか(は、リクルートだからありえる)。ダイナミックな投資はIndeedもされてると思うんですけど。 出木場 そのダイナミクスとかアグレッシブさがなかったら、みんな辞めて自分でやったほうがいいもんね。絶対そう思う。 須藤 僕、最初にシリコンバレーに行ったときに、むっちゃリクルートに似てると思ったんですよ。 出木場 生態系が?(笑) 須藤 そう。だってみんなノリ良いし、明るいし。「それいいじゃん、サービスになるじゃん、やろうぜ」みたいな。 出木場 どう話しててもバカな人たちみたいな(笑)。 大宮・須藤 (笑)。 出木場 今、(リクルートの)強さの話を……。 須藤 してますよ。

期限が決まっているから密度が濃くなる

出木場 逆に、あれはどうなんですか。「リクルートはどんなことやってんですか」とか、こういう仕組みでやってる、ああいう仕組みでやってるってよく聞かれるじゃないですか。それを入れたら変われるもんなんですかね? 須藤 それは皆さんが知りたいところだと思ってて。結局リクルートの強さっていくつかパターンがあるんだけど、他の会社がなかなか真似しづらいところの1個は、「人が辞めることを織り込んでる」というか。リクルートって、退職することを「卒業」っていうんですよ。僕も卒業って言われると、退職が急にカジュアルな感じになって(笑)。「そうだよね、卒業だし」みたいな。 出木場 でもウチ、よく戻ってくるからね(笑)。「あいつも戻ってきたの? いいじゃん」って言って。 須藤 それはそれで、辞めることを前提に人を採用するって結構難しいですよね。 出木場 例えば、俺は「3年で辞めたいです。3年で勉強して自分の会社作りたいんで、この会社に入りたいです」って就職のときに言った気がするんだけど、そんなやつが須藤の会社に来たら採用しますか? 須藤 「1回ちょっと考えさせて」って言いますね(笑)。でも、リクルートのときだったら絶対「別にいいよ」って言うんですよ。これは何かすごいと思ってて。それは別にいい加減に採ってるわけではないじゃないですか。 出木場 確かに、俺もIndeedで1個変えたことは、「辞める、他の会社に移ります」って人を気持ちよく送り出そうぜと。人事はその人のことを一番に考えてするべきだというのは、すごく昔から思ってるし。 会社のことを考えちゃうと「お前、もうちょっと残ってこれやれよ」って言いたくなるんだけど、でも本人のことを本当に考えると「辞めてこれをやったほうがいいかもな」っていうときがあるじゃないですか。タイミング的にね。須藤もそうだったかもしれないけど。だから、快く送り出してやる責任があると思うんですよね。 須藤 お二人に聞きたいのは、永遠にリクルートにいるって考えはなくて、お尻(期限)を決めて「とりあえずこの期間はここまでやりたい」みたいな感じでやってると思うんですけど、大宮さんはどんなふうに思ってやってるんですか。 大宮 これ、言っていいのかわからないですけど。今36歳で、去年のタイミングで会社を辞めて違うことにチャレンジしようかって真剣に考えてて。Airレジってプロダクトに出会って、ひとつの会社のように運営させてもらえる裁量権をリクルートから幸運にも得ました。 だったらこの舞台で、そのプロダクトとそれをもってカルチャーを作って、リクルートと新しいものを作りたいなと思ったので「もう3年やろう」と。3年先はわかりませんっていう。 でも3年先(という期限)があるから、1年経って残り2年で「もう2年しかない」「来年でここまでいかないとまずい」って思うし、仮に自分がいなくなってもこのプロダクトが永遠に成長し続けるためには、どんな組織をどう運営していくべきかをやっぱり真剣に考えるので。時間が有限じゃないと、そこの密度はどうやっても濃くならないなと。 須藤 それはありますよね。「3年」ってなんかいい感じなんですよね。 出木場 3年っていい感じだと思いますよ。高校が15年まであるって言われたら、1年で退学したくなりますよ。3年って言われると、もうちょっと頑張ろうかなと。 須藤 「3年しかないんだ」って感じになって、急に焦り始めますよね。 出木場 密度が濃くなる。それは大事かもしれないですね。 須藤 個人の働き方のときに、意外と短距離走的にすごい馬力でドカンとやっていく。それは終わりがあると思ってるから、「やり残したくない」みたいな感覚を持って働いてる人も多いんじゃないかな。 出木場 「就職」「入社」っていうか、プロジェクトに1個ずつ参加してるような感じになることが多いような気がしますね。 須藤 それはすごく思いますね。

究極の個人技の集まり

須藤 ちなみに、これからのリクルートを伸ばしていくときに「こんな人に来てほしいな」みたいなのって何かあるんですか。「こんなやつと働きてえ」とか。要は、次の出木場さん、次の大宮さんが来てくれないと困るわけじゃないですか。ホームラン打ってくれよと。 大宮 それでいうと多種多様であるべきだし、思いというかスタンス、要は「世の中をこう変えたい」とポジティブに思ってる。そこはコア、ベースとして絶対やらなきゃいけないんですけど。世の中は変わるし、それを発揮するテクノロジーも変わるし、そこは多様性があっていいなと思うので。 逆に言うと、自分が持ってないもの(を持っている)。ただ、ビジョンとかそういうものを一緒に共有できるやつ。そういう人に入ってきてほしいなと。自分じゃないやり方で世の中にインパクトをもたらしてほしいなというのがすごくあって、そういう人に逆に教えてほしいとか、その人から刺激を受けて自分もこうしたいとか思えるような会社になっていくのが良い会社というか……良い経験できたり、強い会社になるんじゃないかなとは思ってる。 須藤 出木場さんはどうですか。 出木場 これからはやっぱりエンジニアとか、テクノロジーがわかるマーケターとか、そういうのがすごく大事になってくると思うんです。でも、人間の根本としては情熱とか熱量があるっていうのが……本当に素晴らしいエンジニアって、ものすごくコードに対してこだわりがあったりするじゃないですか。 そのときその時代でどんなスキルが評価されるかはもちろん変わっていくと思うし、俺なんか完全にオワコンだと思うんですけど……。 大宮・須藤 (笑)。 出木場 でも、熱量があればいろんなことを学べるし、その時代に合ったことはまだまだやれると思うので、そういう方が来ると良い会社であり続けられるんじゃないかなと思います。 須藤 この前いろいろ話してたんですけど、リクルートって常に中のほうが先に変化してる感じがあって。最初の話じゃないんですけど、「やばいやばい」と言ってる人たちがなんか知らないけど会社を壊し始めるというか。あるいは、もしかしたら壊れてるのかもしれないけど。 出木場 壊れてるんですよね。そもそも出来がよくないというか(笑)。 大宮・須藤 (笑)。 出木場 全部有限のものだと思ってるし、その中で悪いところを直していくよりも、世の中は変わっていくんだから次に変えていこうっていう力のほうが強いんじゃないのかな。 須藤 結局この動画を見たいという人は、「リクルートの強さってどういうところなのか」を学べると思って、いろいろ聞いてくるじゃないですか。(でも)全然説明できなくて。 1個は、さっき言った生態系を持ってる。会社がシリコンバレーみたいな感じなんですよね。「あれいいじゃん、これいいじゃん、じゃあそれやってみよう」って言ってどんどん失敗して。でもその中からすごいのが出てきて、そこに対して乗っかるときのスピードがゴールドラッシュとかの比じゃなくて。「砂金があるぞ!」って言ったらドバーッと行くじゃないですか(笑)。ああいうところは、強さの秘密の1個。 あと、すごく真似しづらいんですけど、さっきの「期限を決めてる、密度を濃くしてやりたい」って人たちがたくさんいる。あとは、個を大事にしてるっていうか、ボトムアップをすごく大事にしている会社だなと思っていて。さっき「バカかもしれない」って話があったんですけど(笑)……リクルートは(チームとして)すごく強い会社のように見えるんだけど、実は誰かがホームランをいつも打ってるんです(笑)。 大宮 (笑)。 出木場 究極の個人技の集まり(笑)。確率論のもとにおける個人技。 須藤 いろいろ言って、いろいろみんな頑張って、(外部は)「すげえ」って言うんだけど、結論は次の誰かがホームラン打つのを(待っている)。 出木場 結局、リクルートとしては強くないってこと(笑)。 大宮 (笑)。 須藤 (笑)。待つしかないっていう。

ボトムアップ型企業の完成形がリクルート

須藤 ただ、それが生み出される環境はすごいと思うんですよね。スティーブ・ジョブズがAppleを作って「すげえ」というのは、僕はトップダウンの会社としてのベストプラクティスだと思ってて。リクルートはボトムアップの会社のベストプラクティスなんですけど。 出木場 須藤さん、いいこと言いますねえ~。 須藤 でも、説明できないんですよ(笑)。例えば、いち営業マンが「この業界をどうしたい」って誰もが言えたりとか、リクルートの誰と話しても「この世界をこう変えたいんだ」とか言ってくれるところがすごく良いなと思ってて。これからもそういう会社であり続けてほしいなと。 出木場 さっきの「お前、本当は何がやりたいんだ」って(聞く)ところと実は繋がってて、本当に人間の個人がやりたいことって、会社の売り上げが上がるとか、会社が30年続くとか、そんなことじゃなかったりするじゃないですか。個人にとってはね。 だから、本当に突き詰めて個人でやっていくと、実は個人がみんな「この業界をなんとかしたい」とか、「このお客様をなんとかしたい」とか、そういうところに強い思いを持ってるので、そこをちゃんと引き出していければいいんじゃないかなって思います。 須藤 なるほど。これをご覧の方々が全然参考にならなかったというふうに……(笑)。 出木場 申し訳ない(笑)。 須藤 ただ、個人をすごく引き出していくってことと、あと「3年勉強して辞めてもいいですか」という人を採れるかどうかっていうのは、これを見てるスタートアップの方とか、僕も含めてですけど……。 出木場 一応、リクルートを越える会社を作ろうと思ってるわけでしょ? 須藤 めっちゃ作りたいんですけど。誰も強いと思ってないっていう。これがリクルートの強さの秘密の1個なんじゃないかって。(リクルートを)作ったのすげえと思ってて。何世代も……。 出木場 確かにね。50年経ってこれだからなあ。 須藤 50年経って「やばいやばい」って中の人がずっと言ってるわけじゃないですか 出木場 まとめに入りましたね。素晴らしいまとめで。 須藤 それだけお持ち帰りいただいて、あとはリクルートの中の人に聞いてみるといいんじゃないかと思っております。参考にならなくてすいませんでした(笑)。 出木場・大宮 すいませんでした(笑)。 須藤 「痛快オフトーク」、終了させていただきたいと思います。ありがとうございます。 出木場・大宮 ありがとうございました。

  

【主催】インフィニティ・ベンチャーズLLP

インフィニティ・ベンチャーズ・サミット(IVS)はインターネット業界の経営者同士が高い視座を交流し合う目的で2007年からスタートし、現在は国内最大級のインターネット業界経営者のコミュニティとなりました。新サービスを6分間でプレゼンし競い合う、スタートアップの登竜門「Launch Pad」に加え、様々な試練を乗り越えた経験者が次世代の経営者らに語り次ぐ場「IVS DOJO」などを通し、IVSはこれからの産業を担うリーダー達のコミュニティ形成と起業家の育成・啓蒙を提供する真のベンチャー・プラットフォームを目指しています。

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