経済成長を放棄したら終わり

記者:フランスの経済学者のトマ・ピケティ教授が最近来日されていて、まあいろいろ言っていることはあるんですけれども、富裕層への課税強化っていうことがちょっと論争にもなっているんですけれども、市長としては富裕層への課税強化っていうその考えに対して、どのようにお考えになってますか?

橋下徹 大阪市長:やり方はあの人が言っているみたいに、あれだけ資産に課税をするのとか、相続税にどんどん課税していけとか、まあ日本はもう相続税に相当な課税をしているし、そのやり方にはいろんな方法があるのかもわかりませんが、基本は所得の再分配をやらないと、世の中持ちませんよ。

だけど、所得の再分配だけで全て物事が解決し得るようなことを言うような今の民主党の考え方とか、朝日や毎日の論調というのも僕は違うと思っていますけれどもね。だから両方やればいいんですよ。

頑張る人をどんどんサポートして、それは経済が成熟したこういう状況のなかで、どこまで成長が出来るのかって、それはいろいろな議論がありますよ。もう成長は限界になっているとか、もう定常社会を目指さないかんとかいろいろあるけれども、でも今のこの行政をやっている時に、無責任な学者はいい加減に定常社会を目指せとか言うんだけど、じゃあ社会保障どうするんですかってことですよ。

毎年毎年予算編成をする時に、これだけの財源がいるっていうことを目の前に突きつけられるわけですから。やっぱり税収ってことは伸ばさないとやっていけないんですよ。

だからそのために、それは無理かもわからないし、3%や4%や5%の成長っていうのは難しいのかもわからない。だけど、僕が話を聞いて胸にすとーんと落ちる学者の話を聞くと、4%成長っていうのは充分あり得るって聞いてますよ。

それは出来るかどうかはわからないけれども、そこを目指すことを放棄しちゃったらね、終わりですよそれは。成長しなくていいんだって言った瞬間に終わりだと思いますよ。それは出来るかどうかわからないけれども、とにかく目指すと。

課税強化で海外に逃げる富裕層は極少数

橋下徹 大阪市長:それと同時に、所得の再分配をキチッとやると。それは現役世代の中だけの富裕層とそうでない人たちの間の所得の再分配だけじゃなくて、世代間格差っていうところで、世代間の所得の再分配っていうこともしっかりやらなければいけないと思いますよ。

財産をこっち側から奪ってこっち側に移すっていうのは、最後政治、権力した出来ないわけですから。それはしっかりやらなければいけないと思いますけれども、やり方にはいろいろな方法があると思いますけれどもね。

日本っていうのは、フローへの課税が非常に厳しく、資産については甘いっていうのは、それはあると思います。なぜなら資産の把握が出来てないから。これは資産の把握っていうのをキチッとやる仕組みを作って、然るべき所得の再分配っていうのを考えていかなければいけない。

もちろん、努力した人がやる気を失うとか、いろいろな議論があるけれども、10億円や20億円の貯金があったって、死ぬまでにそんな使いきれませんよ、普通にやってたら。

100億円の貯金に課税されたら外国行くっていうような人は、もう外国行ってもらったらいいんじゃないんですか? ある程度の、それが50億円なのか60億円なのか70億円なのか、頑張った人はその貯金はキチッと認めてあげて、老後それなりの生活が出来るところまではちゃんと保証はするけれども、それ以上稼いでいる人とかのところには課税したっていいでしょう。

それでシンガポールとかどこかに逃げていっちゃうっていうんだったら、もう逃げてもらってもいいんじゃないんですか? それは極少数の人なんですから。

日本のほうがよっぽど飯は旨いし環境は良いし気候は良いし、そんな逃げませんって。日本で。