国立大学の医学部からLIG編集長に

鳥井弘文氏(以下、鳥井):鳥井弘文と申します。今回のモデレーターをやらせていただきます。よろしくお願いいたします。お二方がLIGブログ・編集長の朽木さんとサイボウズ式・編集長の藤村さんです。まずは自己紹介をしていただきましょう。朽木さんからお願いいたします。

朽木誠一郎氏(以下、朽木):皆さんこんにちは。

会場:こんにちは。

朽木:すごく元気よく答えていただいて。

(会場笑)

朽木:とてもありがたいと。私、朽木誠一郎と申します。LIGブログの編集長という形で。普段は企画、編集、執筆っていうのを担当しております。知ってくださっている方がいらっしゃると嬉しいなというところなんですけれども、もともとは国立大学の医学部に在学しておりました。

そこでフリーライターをやっていまして、卒業と共に、ちょっとお医者さんになりたくなくなってしまって、そのままLIGに新卒入社という形で入りました。それが去年の4月ですね。

今は先ほど申し上げたLIGブログの編集長。あと先日始まりましたベータ版なんですけれども、PooleっていうLIGの始める新サービス、人材サービスのほうでも、この先コンテンツ制作等を始めていくのでそちらでも編集長をさせていただきます。あとはサブでちょっと書籍編集とか、コラムニストをちょこちょこ続けているというところが僕の自己紹介かなと思います。とりあえず以上です。

新しい人との接点をつくっていくメディア「サイボウズ式」

鳥井:藤村さん、お願いします。

藤村能光氏(以下、藤村):はい、皆さんこんにちは。

会場:こんにちは。

藤村:真似しちゃいました。

(会場笑)

藤村:サイボウズの藤村でございます。自己紹介という形で少しキャリアを振り返らせてください。もともとITメディアに入りまして、ウェブメディアの編集記者をやっておりました。

ですから、キャリアのスタートはコンテンツ企画、編集、ライティングをメディアでやっていた形となります。具体的には、エンタープライズITと呼ばれるサーバーやストレージ、クラウドコンピューティングなどを扱うメディアの記者をやりながら、次はビジネス系の誠Biz.IDというライフハック系のメディアで編集者をやっていました。

自分で記事を書いたり編集したりする以外にも、ブロガーさんとの連携もやっておりました。『100円のコーラを1000円で売る方法』という本を書いていらっしゃる永井孝尚さんと一緒に、連載をやったりもしていました。ITとかライフハックに携わりながら、少しマーケティングにも踏み込んでみたいなという思いが強くなって転職することになりました。

そこで入社したのが、サイボウズ株式会社です。ここはグループウェアと呼ばれるチームで使うソフトウェアを作っているITの会社ですね。そこで製品マーケティングを担当していました。

サイボウズ式という、今日お話しさせていただくこのメディアを立ち上げまして今、2年半ぐらい運営しています。ちなみに、サイボウズ式見たことある方、どれぐらいいらっしゃいますか? 

(挙手の状態を見て)どれぐらいですかね。5、6割ぐらい。

鳥井:いや、もっといるんじゃないですか? 7割ぐらい。

藤村:はい、ありがとうございます。普段サイボウズはグループウェアを作っているんですけれども、そこだけをPRしていってもなかなか新しい方と出会えない。そういったのが課題だったんですね。そこをサイボウズ式というメディアを作り、コンテンツ運用によって、新しい人との接点を作っていくことをやっているのがサイボウズ式だったりします。はい、自己紹介終わりです。

鳥井:はい、ありがとうございます。

LIGブログへの寄稿者は全員がクリエイター

鳥井:では続いて、今日のディスカッションのテーマなんですけれども、5つ準備してあります。まずはコンテンツの特徴、あと皆さんの気になるところのPVであったりだとか。あとSEOとかソーシャルまわりはどのように運用しているのかっていうところ。

ここで1回質疑応答を挟んだ後に、ちょっと抽象的な話としてブランディングとはどういうものなのかとか、ライティングとか編集のポイントは? というところをお話ししてもらおうと思っています。

ちょっと1つ質問なんですけれども、この中で「ライティング、もしくはブロガーさんや編集者さんとか、コンテンツを作る人です」という人はどれぐらいいらっしゃいますか? 実際に自分はコンテンツを作る立場だという。なるほど、半分ぐらいですね。それなら、本当にそのコンテンツを作るときにも参考になる話ですし、実際にマーケティング担当とか技術者の方にも参考になる話だと思うので、是非聞いてみてください。では、まずコンテンツの特徴とはというところ、朽木さんからお願いします。

朽木:すみません。ちょっと先ほど飛ばしてしまったスライドを。

鳥井:はい、出しましょうか。

朽木:先ほどちょっと紹介を飛ばしたんですけれども、そもそもLIGブログっていうのはなんぞやというところから。うちのコンテンツの話をするのにはここから始めたいなというところです。そもそも株式会社LIGというのはウェブ制作会社ですね。その認知を高めるために、ブログを始めたというところからスタートしています。

それで一般的なメディアと違うところ、変わったところとしては、LIGメンバー、LIGの社員であったりとか、あとこれはありがたいことにLIGが好きで書いてくださる方。パートナーというか。ほかのウェブ系の企業さんで寄稿してくださる方とか。そちらの方々が月に1本必ずアウトプットをする。そういう約束でコンテンツの運用をしています。全員がクリエイターですね。

例えばLIG側はもともとウェブ制作会社が母体なので、デザイナーもおりますし、エンジニアもおります。デレクターもいて、あと最近はメディア事業部としてメディア関係のことを専門にやる人間も多くおりますが、それぞれ全員がクリエイターとして記事を1本制作する。

LIGブログの目的は「ファンづくり」

究極的な目的といたしましては、LIGブログはLIGのファンを作る。おこがましい言い方にはなっちゃうんですけれども、LIGのファンになっていただくためのメディアなので、各自がその記事の中で自分が何を学んだのか、そういうことをアウトプットして、LIGのことを知ってもらう、好きになってもらうっていうのがLIGブログのコンテンツの特徴になっているかなというふうに思います。

今はいくつか中心となるカテゴリがあるんですけれども、基本的にはウェブ制作、あるいはビジネス系のまじめな記事というのが8割ぐらいになっています。

良くも悪くも、LIGのことを知ってくださっている方って、面白い記事というところで認知が進んでいるかなと思うんですけれども、それがこの先ちょっとお話しするSEOのお話ですね。これを絡めて紹介したいんですが、基本的にはまじめな記事が8割ぐらい。面白い記事っていうのは2割というふうに。

一応テーマをある程度割り振ってコンテンツ制作をしていくということですね。これらの記事が役に立つとか、面白いっていうイメージをユーザーの皆さまに持ってもらって、ファンになってもらうというのがうちのコンテンツの特徴かなと思います。

鳥井:ありがとうございます。

1番のビジョンは、世界中のチームワークを良くすること

鳥井:では次、藤村さんお願いします。

藤村:はい、サイボウズ式なんですけれども、タグラインがあります。「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイトです。サイボウズ自体はグループウェアというソフトウェアを作りながら、世界中のチームを支援する。チームワークを良くするということを、1番のビジョンに置いています。

ですから、チームとかチームワークに関する情報が出てくるというところから、このブログと企業名が一緒になっています。いくつか記事を見ていただければと思うんですけれども、例えばこんな形で。

ほぼ日刊手帳チームを取材しました。ほぼ日刊イトイ新聞さんですね。サイボウズ式という企業メディアを作る時に参考にさせていただいたというか、リスペクトしながらこういったメディアになりたいなと思って取材をさせていただいたメディアです。

最近は、ブロガーさんと連携をしながらコンテンツを作っています。ブロガーズ・コラムという名前で、チームに関するあるあるや課題をどういうふうに解決していくかというところを具体例、実践、理論から落とし込んでいくような企画です。

こんなコンテンツを作っています。ブロガーズ・コラムは、日野瑛太郎さん、はせおやさいさん、ファーレンハイトさん、3名の方に執筆いただいているんですけれど、たまたま皆さん、はてなブロガーということで、すごい力をいただいている感じです。

というような記事もあればサイボウズの良いところというか、にじみ出てくるものをコンテンツにして、作っていきたいというところをすごく意識してやっていると思うんです。社内の人もどんどん登場しますし、それをコンテンツにしていくところが強みです。

1番いじられるのがうちの社長ですね。青野という者なんですけれども、普段やっぱりビジネススーツを着込んでいて、ファッションに無頓着です。その社長をZOZOTOWNさんと一緒にコラボしながらビフォーアフターさせてみたらどうなるかみたいな。こういった記事を作っていたりするんですね。

この記事をご覧になっていただければわかるんですけれども、ビフォーのスーツの写真はiPhoneで、アフターの写真プロのカメラマンが撮っています。そりゃこうなるわという感じもするんですけれども、読者の方には「面白い」とか「何かいいね」と思ってもらえる。そういった企画や切り口、テーマをサイボウズ式というメディアで扱っている状態ですね。

こういった色々なコンテンツを出しながら「サイボウズって良い感じじゃん」とか「なんだか好きになった」と思ってもらえる。そういったメディアを目指しています。

自社メディアで完結しないっていうところもかなり力を入れています。サイボウズ式のページビューがあがればいいという感じではあんまりなくて、もっとサイボウズ式という自社メディアの枠を超えて多くの方とコミュニケーションの接点を作っていきたいと思っています。

多くのメディアさんと連携することもあります。こちらは2013年に東洋経済オンラインさんと「ブランドコンテンツ」という形で働き方に対する企画を作っていきました。

これは2014年のものなんですけれどもNewsPicksというニュースアプリを作られているユーザベースさんと一緒に、サイボウズ式で新しいコンテンツを作っていくことにチャレンジしました。

1つは、今日出たコンテンツですね。「グローバル教育は子供に有効か!?」みたいな。こういったテーマでNewsPicksさんと面白い企画を一緒に作っているのがサイボウズ式だよと。ということで、こんな取り組みを今やっています。

検索順位に影響が出ることはしたくない

鳥井:今回、この話とかNewsPicksの中で転載とかをしているじゃないですか。そういう転載に関するお二方の意見みたいなものって、あったりするんですか。

藤村:朽木さん、どうですか?

朽木:そうですね。じゃあ、僕の方から。今まさに伝わったかと思うんですが、僕はあまりプレゼンがうまくないです。ちょっとここは準備不足で申し訳ないんですけど、気になるコンテンツがあったら後で、正直ググってください(笑)。

そういう形で始めていければいいなと思うんですけれども、転載というのは基本的にLIGブログはなるべく控えていただくというふうにしています。もちろん、例えばアプリとかユーザー層を広げるというのはLIGブログとしても、目標にしているところではあります。

けれども、この後でお話するSEOという部分。今のLIGブログは本格的に始めてからだいたい3年位なんですけど、今2,500~3,000位のコンテンツがあり、その3,000位のコンテンツを毎日しっかりとなるべくクオリティーにこだわって敷き詰めていることで、今SEOが強くなっています。

LIGのドメインがすごく強くなっていって、いろんなキーワードでいろんなLIGの記事が、実はLIGと知らない人にも接触されるようになっています。LIGという企業の認知のため、ファンを作ることのために大事にしていきたいなと思った時に、なるべく検索順位というものに影響があるようなことはしていきたくないなというようなのが正直な気持ちではあるんです。

もちろんnoindexとか色んなやり方はあるんですけど、できるだけ転載というのをしないで、うちに来ていただくということを目的に運営しているというのは、ありますね。ただ、これさっきちらっと聞いたんですけど、やはりサイボウズ式さんはちょっと違うって言うことを……。

サイボウズ式がコンテンツの転載を歓迎するワケ

藤村:そうですね。サイボウズ式は逆で、転載大歓迎ですし、力を入れていますね。具体的にはハフィントンポスト、BLOGOS、ITmediaさんの誠Biz.ID。この3つのウェブメディアでサイボウズ式の記事を転載しています。

その理由なんですけれども、やっぱり僕たちはサイボウズ式という自社メディアに完結してその枠の中だけでやる気はあまりなくて、作ったメディアとコンテンツをより多くの方に届けることを第1の目標として置いているんですね。

ですので、サイボウズ式という1つの単体のメディアだけでは、なかなかリーチできないところも、転載先のメディアを通じて別の媒体の読者の方にコンテンツが届く可能性がある。そういったところからサイボウズを知ってもらう、最初のきっかけができると思っております。

転載については、特にSEOとかもあまり考えずにどんどんやっています。実は検索をするとサイボウズ式のコンテンツよりもハフィントンポストの転載コンテンツの方が先に出てくることもあります。それでも、コンテンツに接してくれる方が1人でもいればそれはそれでいいことなんじゃないかなと思って、今はあまり制限をかけずにやっているところなんですね。

鳥井:ドメインを強くしていきたいのか、コンテンツをより多くの人に届けたいのかというところの違いだったりするということですよね?

朽木:そうですね。もちろんコンテンツを届けたいという部分はあるんですけれども、ある意味ではサイボウズ式さんのことが羨ましいという部分でもありまして。SEOというのを大事にしたいなと考えると、これジレンマなんですよね。

同じように考えている方もいるんじゃないかなと思うんですけど、そこである程度メディアとして運営の仕方、特に配信ということに関して制限がかかるというと、もっと自由にできる可能性というのは、あるんだろうなと思いながらやっています。

あとは、何を資産として何を強みしてやっていくかということで、予算組みとかメディアの運営の仕組み自体に関わってくることなのかなと思うので、これに触れられたらいいと思うんですけど。

今求められているのはコンテンツの質

藤村:LIGブログさんとしては、転載はやらない方向だと思うんですけれども、例えば朽木さんが個人でハフィントンポストのブログを作るとか、何か別のやり方は考えていらっしゃるんですか?

朽木:めちゃくちゃそれ狙って、ハフィントンポストさんに書かせてもらえませんか? とメール送ったんですけど、今返事が無いので(笑)。多分、落ちたんだろうなと思うんですけど。もっと立派なものを書いてちゃんとハフィントンポストに載れるような一個人のライターとしてもやってきたいなとは……。

今藤村さんに仰っていただいたように、多分色んなやり方があるんだと思うんですよね。LIGブログとして転載というのが出来ないとしても、LIGの例えば出張所という形で、オリジナルコンテンツを出したり、色んなやり方はあるとは思っています。

そこの施策を打つという段階なのかなとは思っているんですけど……。逆にハフィントンポストに載っているとか、BLOGOSに載っているというと、だいぶ普段じゃない層にリーチできる。

あと格式が上がると私は思っているので、そこがやっぱサイボウズ式さんが格好いいなという……。今日はもう「サイボウズ式さん格好いいな」という僕が本当にそう思っていることが伝わればいいなって思っています(笑)。

藤村:それでいくと企業が作った自社メディアと呼ばれるものでも、ハフィントンポストとかBLOGOSみたいな今おっしゃった格式高い媒体に載る可能性があるんですよね。

閉じたメディアを作る必要はないというか、そういった外部のメディアとも連携しながらより多くのコンテンツや、届けたいものを届けられる可能性があるというのが今の潮流だと思っているんですね。

転載される、されないっていうのは別に本質的ではなくて、そういったメディアへの転載ができるコンテンツを作り、自社メディアを運営するところが、すごい今焦点になってきているじゃないかなと思います。

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