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「あらゆるモノがインターネットにつながる世界が来る」楽天・三木谷氏、IoTに秘められた可能性を語る

「あらゆるモノがインターネットにつながる世界が来る」楽天・三木谷氏、IoTに秘められた可能性を語る

全国の楽天市場出店店舗のオーナーが一堂に会するイベント「楽天新春カンファレンス2015」。今年度のテーマに「BEYOND」という概念を掲げた、楽天の代表・三木谷浩史氏は、IoTやビッグデータ、人工知能を例にあげて、あらゆるモノがインターネットにつながるテクノロジーの未来について語ります。

シリーズ
楽天新春カンファレンス2015
スピーカー
楽天株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史 氏

楽天新春カンファレンス 2015のテーマは「BEYOND」

三木谷浩史氏 今年のテーマは「BEYOND」ということで、「BEYOND」については、この後お話しさせていただきたいのですけども、まずは皆さんの方から、どんなことが知りたいですか? どんな質問がありますか? ということを、今回はお伺いさせていただきました。 一つ目、楽天市場が目指すべき方向は「とんがり追求」「安売り」のどっちでしょうか? 二つ目、楽天市場の未来について教えてください。 三つ目、楽天は今、世間的には、急成長から踊り場的な段階に来ていると言われているかと思いますが、私はそうは思っていないのですけれども(笑)、今後どのようなブレイクスルーポイントを想定されていらっしゃるでしょうか。 2020年はオリンピックの年ですが、そのときECはどうなっている画を描いていらっしゃいますか? お買物マラソン、スーパーセールなどの大型企画がこれからもまだまだ出てくると期待していますが、スーパーDEALがその候補なのでしょうか? 海外展開を強化しているところだと思うが、内需の拡大は今後どう図っていくのでしょうか? こういうご質問をいただきました。このへんのポイントについては最後にお話をさせていただきたいと思いますが、まずは今年の新春テーマであります、「BEYOND」についてお話をさせていただきたいと思っております。 今年は、基本的にはGROUND、TOGETHER、STORY、そして今回のテーマは「BEYOND」というテーマで設定させていただきました。 これは、先ほどの基調講演の久夛良木(健)さんのお話にもありましたとおり、今、まさしく80年代の前半から始まりましたインターネット革命、これがまさしく加速しつつある。そして今まで考えられていた、いわゆる既成概念を打ち破って、この次の段階に越えていこうとしている、というふうに我々が実感しているということでございます。 楽天市場は基本的には42,000の店舗さんが集まるネットワーク型のインターネットショッピングサイトであります。アマゾンとか他のサイトのようにひとつのサイト、あるいは自社販売を中心として巨大化していくということではなくて、あくまでもネットワーク型であるというところが極めて重要なポイントかなと思っています。 これからインターネット、また楽天市場はどういう形でいろんなものを越えていくのか、次の段階に進化していくのかということを皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

創業当時の社員はたった5名

まず最初に少し振り返ってみますと、1997年2月に楽天株式会社は設立されました。当初5名の創業メンバーでありましたけれども、その当時はまだ今みたいにスマートフォンという世界ではなくて、いわゆるダイヤルアクセス。 gazou2 モデムを買ってきてギーコギーコとやって、やっとインターネットが繋がるという時代に始めました。周囲の反対を押し切って、インターネットがファーストフォンになるのだという強い思いで我々がこの楽天市場というビジネスを立ち上げ、さまざまな店舗の皆様と一緒にチャレンジをしてまいりました。まさしく、これが最初の楽天としての「BEYOND」ということだったのかなと思っております。 現在、楽天グループの時価総額は2兆円を越え、そして流通総額、国内流通総額が5兆3000億に近いレベルまで成長してきております。これは2013年ですから、2014年はまだ公表させていただいておりませんけれども、さらに大きな金額なのではないかなと思っております。 先ほどの質問の中にも楽天グループの成長は鈍化しているのではないか? と。あるいは踊り場に来ているのではないか? というふうに思っていらっしゃる一般論があるのですけれども、現実としては、毎年成長金額はどんどん上がっていって、そしてサービスもまさしくどんどんと進化しているということだと思っております。 ここで少し振り返って、今までの社会のハブ、産業革命についてお話をさせていただきたいと思います。一番最初の産業革命というのは、18世紀から19世紀にかけて石炭、または蒸気機関というものを使った軽工業を中心とした産業革命でありました。これによって蒸気機関車が発明されたり、あるいは蒸気船が発明されたり、あるいは人力によらない新しい動力というものを人類は得ることができました。 大量の荷物を動かしたり、あるいはすごくたくさんの人間が一気に移動するということが可能になったわけであります。そしてその次に続く19世紀から20世紀にかけて第二次産業革命が起こります。 これは化石燃料、ガソリン、石油、そして電気、モーターというものが発明されました。電灯、電車、電話、ラジオ、映画、自動車、さまざまな現代社会に欠かせない技術というのはこの期間に発明されたわけでございます。ここに劇的な人類の進歩がありました。 そして、1980年代にインターネットが本格的に登場いたします。1989年、インターネットをさらに一歩次のレベルにもっていくワールドワイドな、すなわちハイパーテキスト。なんとなくクリックしたらリンクにいく、次のページにいくというコンセプトが発明されます。 そして1990年代には、パソコンが中心となったインターネットが活躍し、そして2000年代には、モバイルが発明され、2010年代は、今度はスマートデバイス、スマートフォン、スマートテレビ、スマートウォッチというさまざまなかたちで展開していっております。 このインターネット革命というものが先ほどご説明しました第一次産業革命、あるいは第二次産業革命に比べて大きいのか小さいのか、これを比べるということはあまり意味のないことかもしれませんが、極めて、今までにないあらゆる物の定義を変えていく新しい革命であると思っております。

「ムーアの法則」のスピードを超えて成長する楽天市場

先ほど久夛良木さんの話の中にもありましたけれども、このコンピュータの世界の発展というのは、ベースには基本的には、計算機、コンピュータの能力の劇的な向上、加速度的な向上というのがあります。インテル社創業のメンバーであります、ゴードン・ムーアが提唱いたしました「ムーアの法則」というのがあります。 gazou1 1年半で、ハード体のスピードは倍速になるということでございます。すなわち15年で1,000倍、30年で100万倍になるという数字でございます。 それではこれを楽天市場というものにあてはめますと、楽天市場が創業出来まして今年で18年目、すなわち、17乗ということでございますが、これが約13万倍ということでございます。実際には、楽天市場の流通総額というのは17年間で18万倍になっております。よってムーアの法則を超えるスピードで成長しているといえるのかなと思っております。 この「BEYOND」という考え方なんですけれども、考え方を変えますとすべてのものが基本的には再定義されていく、というふうに考えられるのではないかと思っております。 すなわち、皆さんの流通総額もどんどん上がってきておりますが、これは当然、今までの通信販売というものを置き換えてきているというところも多少ありますが、それ以上に新しい需要を創造し、消費者の生活スタイルが大きく変わっているということかなと思っております。ただここで今日のポイントは、ショッピングということだけで捉えるとこの物事の大きさということを見誤ってしまうのではないかなと思っております。

あらゆるモノがインターネットにつながる世界

インターネット革命。革命というくらいですから、じゃあ何が買えるのか、ということでございます。 それは単純にショッピングがオンラインになることではなくて、生活、行動様式、当然ショッピング、また旅行、あるいは教育であったり勉強のしかた、そして医療サービスのあり方、出版、あるいは通信とかコミュニケーション、または金融、銀行、証券会社のあり方、あるいは中央銀行のあり方、マーケティングのあり方、そして場合によっては国家とか国境、こういう物も今までとは違う定義をしなくてはいけなくなる。 メディア、電力そして交通輸送。交通輸送ということでいうと、今一番注文が求められるのがインターネットサービスです。今までのインターネットの考え方は、画面のあるものがインターネットだったのです。メディアとかだったのですけれど、そういうことではなくて、基本的には動くものというのは全てインターネットに繋がっていくだろう。 あるいは電気を使うものというのは、これはすべてインターネットに繋がっていくだろうということでございます。 ここにいわゆるスマートメーターというものがあります。Google社がネストという会社を買収しました。私もアメリカの家で使ってみなくちゃということで、ネストを実際にインストールしました。極めて便利ですね。 gazou4 朝起きた時は、だいたいこの人は何時に起きる、あるいは何度くらいだとかというものを勝手に判断して温度を調整してくれるということでございます。日本みたいに、リモコンでチャチャチャとやらなくていいということであります。 また外出先から、寒いから温めておきたい、みたいなことも自動で出来ます。タイマーのセットも必要ないということでありますけれども、これは単にひとつでございまして、今後は自動車の自動運転。 これもやはり日本と違って、カリフォルニアでどんどん進めていこうということになっています。実際には自動運転の方が安全であるという統計学的な数字も出ているということでございますし、また、ウェアラブルデバイスが出ることによって血圧、あるいは脈拍、そして場合によっては血糖値、そういうものも自動的に把握をしていくというようなことも出来るということでございます。

Iotとビッグデータに秘められた可能性

一番身近なところでいうと、昔コンピュータに話しかけるのがSFの映画の中でありました。あれはもう完全に実現されたわけですね。 そして、楽天市場も将来的には居間にいながら、楽天市場か、楽天君か、楽天ちゃんかわかりませんけれども、お腹すいたからなんか届けて、あるいは寒いから服が買いたい、どんなものが有るの? と言うと音声で答えたり、あるいは画面が立ち上がったり、こういう世界がおそらく5年以内に実現するのではないかなと思っております。生活様式が全く根本から変わってくるということでございます。 それからもう一つは、ビッグデータ。 このスマートデバイス、あるいは生活様式が変わるというのは、ひとつひとつの端末が進歩しているということと共に、楽天市場がネットワーク型だから強いというお話をさせていただきましたけれども、ネットワークの中のデータを、あたかも一つのデータのようにして分析ができていくということでございます。 例えば医療サービス。今までは属人的な判断でやっていました。こういう顔色の人はこういう薬が必要である。こういう問診をしなくてはいけない。でも実際にはスマートデバイスを使ってやることによって、エビデンスがどんどんたまっていく。 こういう症状の人、顔色の判断。あるいは喉が腫れているかどうか、そういうことも画像認識で出来るようになってくるということも考えていきますと、おそらく、非常に特殊な例を除けばコンピュータのビッグデータで分析したほうが適切な治療手段が皆さんのほうに提供が出来るというふうになるということでございます。 つまり世界中のデータが集まってくることによって、今まで出来なかったような判断が出来る。これは何を意味しているかというと、例えばショッピングにおいても、今までのようなかたちではなくて、ある程度最初から判断された商品の提供、ディスプレイというのが自動的になっていくということが実現していくということでございます。

三木谷氏が描く人工知能の未来

先ほど久夛良木さんのお話の中にも、人工知能、アーティフィシャルインテリジェンス、A.I.というのがありました。 女性の中でジョニー・デップが好きな人はいっぱいいると思うのですけれども、皆さん去年ジョニー・デップがやりました「トランセンデンス」という映画を見た人、手を挙げていただいていいですか。いますね? トランセンデンスというのは、基本的には、この人間の脳を実際にネットワークに乗せてしまおうということでございます。ここで人工知能の一番大きなポイントのひとつは、人間の脳のシグナルというのは実は全部電気であると。 電気であれば、別にコンピュータで置き換えられるのではないか? という発想であります。そしてもうひとつ大きなポイントというのは、もしコンピュータのプログラムが、1%でも自分より賢いプログラムを作れたとすると、これは自動的に再生産が出来るのです。 そうすると1.01の2乗、3乗、4乗、5乗というものが、加速度的にネットワークのスピードで発達していくということであります。そしてデータは全てネットワーク上にあるということを考えると、あたかもネットワークが一つの巨大な脳のように動いていくのではないかという発想であります。 ただ実際には、人間の脳が出来てコンピュータに出来ないことというのは、例えば目標を設定しよう、あるいは問題を自分で提起しようとか、じゃあ感情というのは何なのですか? と。そういうものもある程度分析が出来ていける可能性があるということでございます。 グーグルの中のフューチャーストーリーテリング、つまり将来どうなるか? ということでいうと、2045年には完全に人間の機能をA.I.で置き換えられる可能性があるのではないかと。中には、2045年には人間は死ななくなる、ということを提唱する人もいるわけでございます。 つまりA.I.というのが出た瞬間の次のステージで、インターネット革命はまた進む可能性があるということでございます。

バイバーの買収によって総会員数は8億人に到達

少し話を楽天の方に戻させていただきたいと思います。 こういう、爆発的に進化しているようなインターネットの世界の中で、店舗の皆さんが中心になっている楽天市場が、なんでこれだけ強いのかという話も含めてご説明をさせていただきたいと思っております。 インターネットが発達していった時にビッグデータ、あるいは検索をする、あるいは人を繋げていくということと共に、私はずっと、どうやれば店舗の皆さんがずっと商売が出来るようなプラットフォームを作っていけるかということを考えて、考えて、考えてきました。その一つがメンバーシップ、楽天の会員システムという概念でございます。 楽天スーパーポイント、これも普通のポイントだけではなくて、期間限定ポイントを使えることによって、皆様がいろんなマーケティングの工夫ができるような設計をしてまいりました。この楽天の会員のベースの上に、皆さんがやっていただいております楽天市場、あるいはコンテンツサービス、そして金融というのが乗ってくる。 すなわち自分たちの会員がそっちに行ってしまうのではないかと考えるのではなくて、ここのベースが広がって経済活動が広がれば広がるほど、皆さんの所のビジネスチャンス、商売のチャンスは広がっているということでございます。
例えば、居間にいながらショッピングをする。
gazou3 この画像はまだコンピュータで買っていますけれど、おそらく数年後はコンピュータはいらない。家にボイスディクテーションのセンサーがあって、今日ちょっとこんなものが買いたいと言うと、テレビが勝手に立ち上がって、そこにリコメンデーションしてくれるという世界が起こるだろうと思っております。 私の息子の話をしますと、iPad、僕は自分では音声認識は使えなかったのですけれど、いつもコンピュータに向かって、おばあちゃんにフェイスタイムで電話をかけるとか、今日の温度は何度ですか? 明日何時に起こしてと、iPadに話しかけているわけです。それがネクストジェネレーションのいわゆるインターフェースになるということであります。 また、楽天市場の会員さんが楽天トラベルに行ったり楽天トラベルで行ったりとか、お土産を買ったりということも可能になると。そして、この楽天カードを使って、あるいはEdyを使ってオフラインのマーケティングともフォーメーションが出来るということでございます。 当然、楽天ポイントを使って楽天ショップで買い物できるということでございます。現在楽天市場の国内の会員は9,600万人になりました。インターネットユーザーは9,700万人ですから、ほぼ楽天イコール全ての人がインターネットショッピングを使っていると考えていただいていいかなと思っています。 ただ、国内だけを見ていればいいという話ではありません。国内でのコミュニケーションをさらに密にしていく必要があるということで、楽天は昨年2月に世界最大のメッセージングアプリケーションであります、「バイバー」という会社を買収しました。 去年2月に買収したときは、ユニークユーザー数が3億人ちょうど突破した時なのですが、1年間で2億人増えまして、ついに5億人を突破いたしました。これによって楽天グループの総会員数、今8億人を超えていくということでございます。後でお話しますけども、国内だけでやっているのはもったいないということかなと思っております。

  
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