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スティーブ・ジョブズが1991年に語った、最強のマーケティング術 「NeXT」はいかにして革新的製品となったか?

スティーブ・ジョブズが1991年に語った、最強のマーケティング術  「NeXT」はいかにして革新的製品となったか?
PR Job Board
「最良のマーケティングは教育である」「大切なのは、市場をどう捉えるか」。故・スティーヴ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が、Appleから追い出された後に設立した新会社NeXTで、社内向けに行った「NeXT」のマーケティングに関するプレゼンを書き起こし。当時のパソコン市場を細かく分析し、参入の可能性を見いだしたジョブズ氏が、競合に勝つためのマーケティング手法について語りました。(この動画は1991年に公開されたものです) 【スピーカー】
Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ) 氏
【動画もぜひご覧ください!】
Steve Jobs talks marketing strategy in an internal NeXT video (1991)

本当の顧客が誰かわからない時代

スティーブ・ジョブズ氏 私の名前を知らない人たちもいると思うので、自己紹介させていただきます。スティーブ・ジョブズです。 jo1 これからやるのは、今年一緒にやろうと思っている数ある講義のうちの、1番最初のものになる。テーマはとても重要な内容で、誰が私たちの顧客なのか? なぜ顧客たちは競合他社ではなく私たちの商品を選ぶのか? 顧客に届くまでにどの流通経路を私たちは使うのか? ということについてこれから話させてもらいます。 私たちの商品を顧客がどのように使っているのか。幸運なことに、あなたたちのような同僚と一緒に多くの顧客に会って、私たちの企業のマネージメントに対して直接、情報を得ることができた。そのおかげで、この90日間でアイディアがいくつか浮かんでいる。 考慮を重ね、データを見ることで、ある瞬間に非常に重要なことが浮かび上がってきた。それを今日はみんなにシェアしようと思っている。私たちは歴史的に見ても、本当の顧客が誰かを理解するのが難しい時代にいる。これがなぜなのかを私は示したい。

ワークステーション市場の企業が見落としているもの

手始めに、ワークステーション(業務用の高性能コンピュータ)市場について考えてみよう。こういう風に。 jo2 ご存知の通り、ワークステーション市場で1番大きなプレイヤーはSUNだった。2番目がHP Apolloで、3番目がDEC。そして、IBMのRS6000も市場に今は参加してきている。また、ワークステーション市場の外部には、PCとMacintoshという古くから存在する、とても大きなパーソナルコンピュータ市場というものがある。 現在のワークステーション市場を見てみると、私たちNeXTはマルチタスクを可能にして、ワークステーションのような強力なネットワーク機能を持ち、UNIXを使用しており、かなり優れた開発環境を提供することに成功している。要するに、私たちの商品はこちら側のものと似ている。 jo3 ただし、こちら側の企業は、ユーザーインターフェースに対して、無頓着だ。少なくともSUNなどは、こちらの企業のワークステーションでは実行できないことばかりだ。なぜかといえば、優れたサードパーティのアプリケーションがない。ワークステーションは一般向けではないということだ。 つまり私たちの商品は、既存のワークステーションのものとも全く違うというわけだ。

NeXTが目指すポジショニング

ワークステーション市場からパーソナルコンピュータの市場に目を移してみよう。私たちはアプリケーションが他のパーソナルコンピュータ市場のものと同様の品質になるように努めている。 使いやすさを追求しているおかげで、現在のMacintoshよりも使いやすいくらいだ。つまり、既存のパーソナルコンピュータ市場の商品と私たちの商品は似ているのだが、マルチタスクが可能で、ネットワーク機能もある。そのおかげで、既存のパーソナルコンピュータができることを遥かに上回っている。 昨年、私たちはパーソナルコンピュータとワークステーション市場の間を行ったり来たりしながら、考えを重ねてきた。どちらに私たちの競合他社がいるのか? どうなるのが理想なのか? どこにポジショニングするのが正しいのだろうか? ワークステーションよりも私たちの商品は使いやすいのか? 他のパーソナルコンピュータよりもパワーがあるのか?  もし、啓示のような閃きが無ければ、5、6か月前のように今も、これからのNeXTの方向性について決めかねていたと思う。 誰かが市場を観察できるように顕微鏡のパワーを少しだけあげてくれたようだ。これは非常に重要な閃きだ。実はワークステーションの市場は、1つではなくて、2つあるのだ。1つ目は、昔からある私たちが認識しているワークステーションの市場。科学とエンジニアリングを愛する市場だ。 もう1つは、最初のものと似てはいるが、ワークステーション市場の半分側に新しく現れた市場。これを「プロ市場」と仮に呼ぼう。この「プロ」というのは、科学者やエンジニアではなくて、ワークステーションを必要としている別の人たちだ。 この「プロ市場」は、実はいくつかのサブマーケットに分割することができる。技術好きな人たちが集うハイエンドの出版業界、医療、データベースを使うアプリケーション、高等教育機関、などだ。法律に関する人たちもこの辺りにいるだろう。 とにかく、かなり、たくさんの人たちがサブマーケットの中に存在しているわけだ。

これからの「プロ市場」の成長予測

jo4 面白いのは、この市場に注目している唯一の企業はSUNだということだ。ここを足がかりに何とか事業を回している。私たちのデータによると、1990年にSUNは約40,000台のコンピュータを、このプロ市場で販売しており、シェアは約80パーセントだった。 1990年におけるプロ市場を見ると、シェアは、約50,000台であり、SUNがシェアの多数派となった。だから、この小さくて一時的な現象を見過ごしてしまっていた。既存のワークステーション市場や、パーソナルコンピュータ市場と比較すると規模が小さすぎる。 この時は、私たちの視界には入らなかったが、今ははっきりとこの市場を見ることが出来る。これは良いことだ。このプロ市場を私たちNeXTが占めることは可能であり、とてつもなく大きな市場に成長することが市場調査のデータから読み取れるからだ。 この業界で長年働く私の直感では、1991年、つまり今年、プロ市場のシェアが5万台から10万台へと倍に成長すると予想できる。 jo5 そして、来年の1992年には30万台へと3倍にもなると考えている。これは十分大きな市場だ。 jo6

プロ市場のシェアが拡大する2つの要因

ワクワクするのは、ここのプロ市場は、私たちNeXTの商品が一番力を発揮できるところだということだ。さらに、半分の5万台のコンピュータをこのプロ市場に出荷できたとすれば、シェアの半分を勝ち取ることができる。 しかも、このプロ市場は、コンピュータ業界全体を考えると、最も速いスピードで成長する市場なのだ。では、なぜこの市場が大きくなるかを説明しよう。 プロの市場が、5万から10万になり、10万から30万になるという成長を予想するのは、ワークステーション市場にいる顧客がエンジニアであることを辞めてビジネススクールにいき、プロ市場を盛り上げようとするからだ、と予測しているのではない。 そうではなくて、成長の理由は2つの要因からなっている。 1つめは、パーソナルコンピュータ市場にいた人たちが、新しくできるプロの市場に流れてくることだ。パーソナルコンピュータとMacintoshのユーザーは、洗練されたネットワーク環境と開発環境が必要だと感じて、ワークステーションにアップグレードしようと考えている。 2つめの要因は、3270ターミナルと、3270エミュレーターを使っている多数のユーザーが存在していることだ。 今は端末からメインフレームのデータベースを使うアプリケーションに接続しているが、多くのユーザーが端末よりもパワフルなデスクトップのワークステーションに移行したいと考えている。 もっと速い開発環境と快適なユーザーインターフェースと優れた経済性を得るため、メインフレームのアプリケーションをデスクトップで動かそうというのだ。2つの要因がこのプロ市場の24ヶ月に渡る成長を予測している。そして、私たちは市場の半分を獲得できるだろう。 興味深いのは、SUNは今、このプロ市場で80パーセントのシェア占有率を誇っている。個人的な感想を言えば、他の競合他社は、2、3年以内に参入できるとは思えない。SUNが、主要な競合相手として残るままだろう。 パーソナルコンピュータやMacintoshを使っているユーザーや、3270ターミナルを使うユーザーの両者が、共に、このプロ市場へと移動しようとしているということだ。SUNがこの移動を促すために宣伝広告費を使ってくれるなら私たちの味方になる。 もし、SUNがこのプロ市場の開拓に力をいれるのに本気になるなら、ユーザーを獲得できるのは、私たちになるか、SUNになるか分からない。競争相手として敵になる。 ただ、良いニュースがある。私たちは新しい商品でSUNに対抗できるということだ。ここ90日間で、15回の新商品リリースがありSUNに対して15勝している。

顧客をプロ市場に誘導する3つの方法

最初に、顧客をこのプロ市場に誘導させるにはどうすればいいか、について話をしたい。そして次に、顧客がプロ市場に移動した際に、なぜ私たちNeXTがSUNに勝つことが出来るかについて話をする。 主な理由は3つある。1つ目は、ここで話をしている顧客全員が、ミッションクリティカルアプリケーションを作る必要に迫られているということ。だから、開発環境が重要になる。 2つめの理由は、これらのアプリケーションはネットワークが集中しているので、非常に洗練されたネットワーク機能が必要になってくる。これらは、パーソナルコンピュータやMacintoshにはないものだ。 3つめの理由だが、さらに、これらのアプリケーションが私たちのデータベースを起動できるということ。デスクトップ上で、動作するアプリケーションを書きたいのだが、高度なネットワークを通してSQLデータベースを介し、アクセスする必要がある。IBMのメインフレームやOracleやSybaseなどが動くコンピュータだ。 洗練されたネットワーク機能と、絶え間ない大規模データベースと通信できる開発環境が必要だ。これらすべてを兼ね備えたことは、既存のパーソナルコンピュータ市場の商品ですることは出来ない。 つまり、私たちが最初に見るべきポイントはカスタムアプリケーション(Custom App)である。 jo7 カスタムアプリケーションが、パーソナルコンピュータやワークステーションからアップグレードさせる為の鍵となる。そして、この下の人たちも同じことが言える。 ミッションクリティカルアプリケーションを作る必要がある人たちは、メインフレームでアプリケーションを書いたり、ターミナルを経由したりしたくないと考えるだろう。もっとずっとマシな開発環境で作業したいと考えている。 アプリケーションをずっと高速に、しかもより良いユーザーインターフェースで。コスト効率もよくて、洗練されたネットワークを通して、既存のメインフレームのデータベースにもアクセスしたいとも考えている。だから、カスタムアプリケーションが、ここの人たちをプロ市場へと移動させる1番有力な理由だ。 2番目の理由は、最初の販売のタイミングで、副次的な要因としてすぐに生じてくるかもしれないし、2回目の販売のタイミングから、3か月か半年程度が経過すれば自然に生じてくるかもしれないが、誰もが持つだろう欲求に関することだ。 それは、優れた生産性を持っているアプリケーションを使いたいという顧客の欲求だ。これが2番目の理由。優れた生産性を持っているアプリケーション。 jo9 例えば、最初に商品を出荷した際に、企業は社員に対して、時間の9割はカスタムアプリケーションを使ってくれることを望んでいるが、残りの1割の時間で、優れた生産性を持っているアプリケーションもあわせて使って欲しいと考えている。 ユーザーは単にカスタムアプリケーションを使うだけならば、デスクに幅をとるワークステーションを置く必要がないと気づき始めている。これまで以上に管理部門やマーケティング部門の社員が同じネットワークで仕事をしたいと考えているのだ。 システムが提供する情報を内部のパーソナルコンピュータで共有できればと考えている。私たちが誇るパーソナルコンピュータで利用できる生産性を持つアプリケーションはこの変化のきっかけの1つになるだろう。 ネットワークを使う生産性を持つアプリケーションが、使うユーザーたちを結びつけることができれば、私たちは市場で勝利することが出来るだろう。好例の1つは、Lotus Improvだ。他には、WYSIWYGモードを備えたWordPerfectもそうだ。 そして3つ目の例としては、もちろん60日以内にこれから出荷予定のAdobe Illustratorだ。出荷直後での売上獲得には優れた生産性を持っているアプリケーションがあるかどうかが重要だ。 銀行のFirst Bostonの例を見てみるのが良いだろう。おっと、金融業界をここに書くのを忘れていた。

最良のマーケティング手法は「教育」

jo10 最初に、会社内の1つのグループがカスタムアプリケーションを気にいってくれて4、50台のNeXTを購入してくれた。3、4か月後には同じ会社内の別のグループが戻ってきて1000台以上のNeXTを購入してくれた。 別のグループは生産性を持っているアプリケーションに関心を持ってくれていた。そうやって、コンピュータが会社内に広がっていってくれるわけだ。 さて、プロ市場に人が移動していく3つ目の理由について話そう。顧客がコンピュータを購入する理由として、1991年、つまり現在の状況では最優先ではないが、24か月以内に最優先の理由になるのが、IPC(インターパーソナルコンピューティング)だ。 jo11 集団での生産性を向上して、洗練されたデスクトップコンピュータを使うことで共同作業を可能にするわけだ。私たちが顧客に会う際にIPCについて説明しているが、現在の段階では、顧客は、カスタムアプリケーションや生産性のあるアプリケーションに興味があるだろう。 しかし、セールスの間で、IPCについて教えこんでいく間に、顧客の中でIPCの価値が高まっていくのを目にすることになると思う。これから18か月に渡って価値を理解した顧客から顧客へと伝わるだろう。そして、何が大切かという顧客のテーマにおいて、IPCの重要性は高まる。 アドバイスを貰っているマーケターのRegis McKennaは、かつてこう言った。「最良のマーケティングは教育である」とね。私たちが教育に成功すればするほど、多くの顧客がIPCについて尋ねにくるだろうね。 IPCは、強力なデスクトップコンピュータと洗練されたネットワークに頼っているが、どちらも、既存のパーソナルコンピュータ市場の商品には出来ないことだ。
 
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ある組織がIPCを使いたいとすれば、プロ市場へ強制的に移動しなければならなくなるわけだ。

SUNに対して、NeXTが持つ強みとは

私たちが知らなきゃいけないのは、NeXTの商品を買おうとしている顧客は、どこかのタイミングでSUNにも電話している。残念ながら逆はまだ無いのだが、逆転させるように仕向けるのが私たちのゴールだ。時間が経つにつれて、これを実現する為に私たちのマーケティングが精度を増していくのを見ることになるだろう。 SUNやNeXTが苦労して稼いだマーケティング費用をセールスの為に費やし、パーソナルコンピュータ市場にいるユーザーを、このプロ市場に移動するように仕向ける。 jo13 頭の良い顧客はSUNとNeXTの両方に電話をかけて商品の内容を比べるだろう。すべての商品に関して、SUNと私たちは競合するわけだ。SUNに対して私たちの強みになる部分はどこになるのだろうか? このホワイトボードに書いた3つの理由により、ユーザーはプロ市場に移動してくるということが明らかになっている。私たちはもっと良い状況にすることが出来ないか。ちょっと検証してみよう。 まず、カスタムアプリケーションだが、開発環境に関して言えば、SUNよりかなり優秀だろう。これは私たち自身ではなく、ソフトウェアキャンプから戻ってきた顧客の中でも最も優れた技術者たちが結論づけたものだ。 ホワイトボードに書かれた1番目のこれが、最も競合するのにあたって武器となるポイントだ。 jo14
 
1週間を使って最高の顧客であるデベロッパーを2、3社は獲得できる。顧客が、Redwood CityかPittsburghに行き、私たちの開発キャンプを経験して会社に戻ったら、NeXTSTEPについて、うなされたように語り、彼らの上司にSUNではなくて、NeXTSTEPならカスタムアプリケーションを3倍のスピードで作ることが出来ると語るだろう。
jo15 これまで様々な経験をしてきた。ソフトウェアキャンプをもっと活用するべきだと考えている。今までは、開発者とソフトウェアキャンプを通じて、交流を図れてはいなかった。潜在的な顧客に対してソフトウェアキャンプに最高の技術者を送ることが出来てはいなかった。 ソフトウェアキャンプに関しては、もっと利益をあげることが出来る部分だと思う。2番目だが、プロ市場のカテゴリーを考えた際にNeXTとSUNの生産性のあるアプリケーションを比較すると私たちに市場が合っているだろう。 NeXTが、持っている使いやすい生産性のあるアプリケーションの数はSUNに比べたらかなり多いし、革新的なアプリケーションも、こちらにはある。Lotus Improvや、WYSIWYGモードを備えたWordPerfectなど。たくさんある。 プロ市場に関して言えば、パーソナルコンピュータ市場が相手ではないし、SUNに対しても楽に勝つことが出来る。 第3がIPCだ。いかにNeXTの商品がすばらしいかを写したビデオテープがある。顧客とのコミュニケーションが容易になるだろう。

顧客にとって何が重要かを問うべき

ビデオテープを渡すので顧客との交渉で使ってほしい。使いやすさやマルチメディアの機能を考えたら、顧客を獲得することができると思う。ワークステーションのカテゴリーにいる人たちは、私たちのシステムを使ってIPCを使うことが出来る。 私たちの商品ならば、SUNのを使うよりも遥かに優れた成果を残すことができる。これらの3つの特徴があるからSUNに対する競争に勝利することが出来るし、プロ市場に顧客を移動させることができるだろう。 私たちが、ここ90日、もしくは120日で学んだことから、さらにより多くのことを一緒に学ぶチャンスがあると確信している。顧客がプロ市場に移動したことで私たちのこれからの立ち位置も明確になっていくと思う。 顧客の声を聞いたり、こちらから聞こうとしたり、このプロ市場の定義づけをしっかりとし続けて、何がこのカテゴリーの顧客に重要か、市場1番手のSUNに対して私たちの強みは何なのかを考えたい。 今回の講義が役に立つことを望んでいるし、今日のことについてどう思うか、コメントや考えなどがあれば聞けると嬉しい。どうやって未来に向けてプランを練るかについても磨きをかけていきたい。どうもありがとう。 もし、言いたいことが上手く伝わっているなら、フィードバックをもらえると助かる。またすぐに会えると思うけど楽しみにしている。ありがとう。

  
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スティーブ・ジョブズが1991年に語った、最強のマーケティング術  「NeXT」はいかにして革新的製品となったか?

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