ベンチャーにおける仲間集めの方法

山内幸治氏(以下、山内):米良さんは、立ち上げの時っていうのは、最初、例えばどうやって仲間を集めたんですか?

米良はるか氏(以下、米良):私は大学院の1年生の時だったんですけど、学生の時から荒井監督のお金集めのページを作ったりとかしていた仲間というか、私は慶応だったんですけど、東大系のベンチャーにちょくちょく顔を出していたので、東大のエンジニアたちがまわりにいたんですね。

彼らに、ちょうど修士の2年の秋ぐらいだったんですけど、「あと卒業までもうちょっとだね」とか言って、「じゃあ、卒業までに何か1つ大きいことをやろうよ」とかいう、よくわからない誘い文句で、声をかけていました。

最終的には2人のエンジニアが一緒にやってくれて、それこそ修士の2年の3月の末の、うち3月29日にサービスをオープンしてるんですけど、その理由は彼らが卒業するからっていう理由(笑)。

山内:その前にサービスをスタートしないとできないと。

米良:立ち上げなきゃいけない(笑)。もちろん次のエンジニアは、もうすでに決まっていたんですけれども、そんな感じで本当に手弁当で始めてしまったっていうところはあったんですけど。でもオチがあって、今年の春に最初に作ったエンジニアは戻って来ました。

山内:1回卒業したけど戻ってきた?

米良:はい、卒業してDeNAで働いていたんですけれど、戻ってきました。

山内:それは嬉しいですよね。

米良:嬉しかったですね。

理想からすると成長スピードはまだまだ遅い

米良:本当にまだまだですけれど、少しずつ成長させていたことを、最初に集まってくれていた仲間たちがまた戻って来てくれるのはすごい1番嬉しかったことですね。

山内:今、サービスのREDAYFORを使っての資金調達の金額というのが、サービスを開始して3年半位で今10億円位まで。

米良:そうですね、9億円位ですね。 

山内:それってイメージしていたスピード感と比べた時にはどうなのですか?

米良:私は先ほどご紹介いただいた通り、本当に学生の時に始めたというのがあって、いわゆるビジネスとか事業が大きくなっていくっていうイメージ感が全然なかったんですよね。

どういうスピードで誰がどういう風にやっていくか、それこそ起業家スティーブ・ジョブズとかいうと本当の天才で、自分がそういう風になれるとか全然思えないし、どういうスピード感でやっていくと事業って大きくなっていくのかな、いわゆるエクセルをたたいて毎月1.1倍とかで成長したらとか、そういうことはあるけれども、実際手を動かして実現させていくのは自分と自分のチームなので、その感覚を掴むというのが最初は本当にできなくて。

何をやってもなかなか数字は上がらないし、でもこのまま自分が信じることをやり続けていいのか、あるいは違うことをやらなければいけないのかという、ディシジョン(決定)もすごく遅れるしというので結構バタバタしながらやっていたんですけれども。

でも今はある程度ユーザー数も、実行者、プロジェクトを立ち上げてくださるような方々というのもどんどん広がりを見せていて、そういう意味ではだんだんペースがわかってきたかなというので。

私たちもミッションとして誰もがやりたいことを実行できる世の中にするというものを掲げているので何か新しいことを始めたいとか、自分達の活動をより広げたいというようなすべての方々に使っていただきたい、と思っています。ある種の理想形からはまだまだスピードは遅いかなというふうには思いますね。

日本は起業を受け入れる文化ができていない

山内:そういう意味で何か、いつまでにこのくらいの規模感に持っていきたいとか、何か目標に置いているものってあるんですか?

米良:そうですね……、やっぱり市場を作っていくというのは結構難しいことだなというふうに思っていて。それこそ後でお話されるかもしれないんですけれどもアントレプレナーシップが日本にはまだまだ無いというところと、REDAYFORがやっているようなことっていうのは結構かぶるところがあって。

何かを始めるというときでも、海外でもクラウドファンディングのサービスがいろいろあるんですけれども、やっぱりアメリカのクラウドファンディングのサービスとかは本当にプレゼンテーションが上手で、自分がどういうビジョンを持ってやっているんだ、ということを語ることにすごく慣れていらっしゃる。

それは別に起業家だけでなくて、世の中全般的にアメリカってそういう教育を受けてきていると思うんですね。かたや日本では、自分がこんなことやりたいんだよねとか急に言いはじめたら、「ちょっとどうしたの?」「恥ずかしいからやめてよ!」と。

自らの想いがあってもなかなか伝えられないっていう人たちもたくさんいると思うので、そういう意味ではある種、事業的には数字を掲げているところもあるんですけれども。

そういう一歩踏み出すということをどうやって環境として作っていくか。それはREDAYFORだけじゃなくて、たぶんこういう場に集まっていただくような方々にもご協力していただきながら作っていくことなのかな、というふうに思っています。

独自の問題意識から開発されるプロダクトは強い

山内:ある意味ETICもそういうものをテーマにしながら20年間やらせていただいたんですけれども、そういう意味では問題意識は持ち続けて何がどこまで本当に変わっていったのかというところは、自分たちでもいつもそこは問答しながら考えているところではあるので、是非そのトピックにここから先移っていきたいなと思うんですけれども。

お2人には今回のTOKYO STARTUP GATEWAYブラッシュアップメンターとか、講師として関わっていただいたわけですが、実際に今回の応募いただいた人たちのプランだとかをご覧になられて何か感想とか、佐々木さんのほうから最近のスタートアップの傾向とかを見ていて最近思っている問題意識とか、もし何かあればお伺いしてみたいんですけれど。

佐々木大輔氏(以下、佐々木):僕自身はなかなかこういうメンターみたいな形で参加された方の相談に乗るというか、そんなことをやってみたんですけれど、やっぱり僕自身がそういったプログラムを活用したわけではなかったので、どういったニーズがあるのかなというのはわからないところでの手さぐりだったから、逆にいうと難しかったなと思うのですけれども。

ただ、やっぱりその中でいろんな方のお話を聞いて、結局今回ファイナリストとして残っている方を見ると、やっぱり強くこういう問題を解決したい! という意識を持っている方っていうのは最後の所に残ってくるんだなということを強く思いましたね。

もちろん起業したいという中にいろんなモチベーションというのはあるんですけれども、何か自分が知っている問題に対して、これを解決したいなというところにコミットされてやってる方っていうのは人を引き付ける力もあるし、きっとそういうところなどで割と考え方もはっきりしていて、じゃあそれを実現させるにはどうしたらいいんだろうというところでビジネスのプランを作っていけばいいので、いろんなことがシンプルに出来るんだと思うんですよね。

だから例えばこれかっこいいからやりたいとか、これ儲かりそうだからやりたいだとか、そうするといろんなところがずれていっちゃうんですけれども、こういう特定の問題を解決したい! というふうなところがはっきりしている人っていうのは、すごい考えをまとめていきやすく、尚且つ人を引き付ける力があるというのを感じましたね。

IVSでの体験が大きかった

山内:人を引き付ける力というのは今の時代にはすごく大事ですよね。たぶんお2人とも仲間を集める時にFacebookだったりとか、まさにその思いで最初の仲間を引きつけてきているんだと思うんですけれども。

やっぱりそういうものが強い人というのはネットが発達してきた中での新しいスタートアップをしていくという時代においても、その前から変わらずそうだと思うんですけれども、改めて大事だなということは私たちもすごく感じます。米良さんいかがですか、ご覧になられていて。

米良:私はクラウドファンディングのセミナーを一度やらせていただいたんですけれども、3年半前くらいに、佐々木さんもご登壇されているIVSというテクノロジー系のベンチャーのイベントで、ピッチを6分間させていただいたことがあったんです。

あれは私が大学院の2年生の時でサービスを始めて3ヵ月後くらいだったんですけれども、はじめて大学とか以外で話す場だったんですよね(笑)。夜通し準備したのをすごい覚えてるんですけれども(笑)。

でもあの時に自分以外の人達のサービスのビジネスプランとか、自分も含めてですけれど、その時よりカテゴリーがやっぱり広がっていっているなというのはすごく感じていて、結構Web、インターネットの中のみたいなゲームが流行っていたこともあるんですけれども、インターネットの世界というのとリアルな世界というのを結構分けてビジネスを考えている人たちがその時はすごく多かったのかなとは思っていて。

今回は「社会、海外でこういう問題があって」とかいう、ある種のイシューみたいなところがどんどん広がっていって、もしくは生活に根ざすような形、それにテクノロジーをどういうふうに導入していくか、その中にインターネットがあったりスマホがあったりという、ある種のツールとイシューというのをちゃんと組み合わせて事業のプランを立てているような方々がどんどん増えてきているのかなと。

そういう意味では、本当の意味でのインターネットだったりとか、テクノロジーの可能性というのが、まさにここからスタートするのかなというふうに思っていました。

「好きなことをやりなさい」というアドバイスは危険

山内:その辺って、佐々木さんはどのように感じられます?

佐々木:その辺というと?

山内:ある種、ITベンチャーの世界とソーシャルの世界って、そのITベンチャー系のコンテストと、僕らはずっと社会起業をテーマとしてやってきたわけですけれど、そこら辺の境界線がだいぶ無くなってきているような気もするし、そんな印象も持っているんですけれども。

佐々木:そうですよね。インターネットというのは、昔は「ちょっと面白そうな問題がフワッとある」みたいな感じだったんですけれども、それがリアルな問題解決というのに、わりとインターネットもそうじゃないものも境界線なく単なるツールだよねっていうかたちになってきたのかなと。

で、僕がすごく好きな言葉というか、アメリカのトップベンチャーキャピタリストでマーク・アンドリーセンというインターネットブラウザを開発した人がいるんですけれども、彼が最近強く主張しているのは、好きなことをやりなさい、自分が興味を持ったことをやりなさいというキャリアアドバイスはすごい危険だ、というんですよね。

そうじゃなくて、自分が何に対してだったら貢献できるかということを考えてビジネスを作っていった方がいいと。

その理由っていうのは、好きなことの方向性というのは結構決まっていて、みんなたとえばサッカー好きだし野球好きだし、音楽好きだし映画好きだし、結構決まっているんですよね。

なんだけれども、その人のたとえば生まれ育った環境、親の仕事とか、それまで育ってきた何かとか、属しているコミュニティとか、それぞれが抱えている問題の組み合わせっていうのは、たぶんきっとすごくユニークなんです。

それを見てきた結果をどうやって解決したいと思うかみたいなところは、すごい幅があったりだとか、みんなが目を付けていなかったところに目を付けられるようになるだとか、そういう可能性があるという話をしていて。

それはまさにその通りだなと思って。なんかそういった形で問題解決ベースで入ることによって、今までになかったビジネスの幅が広がっていくし、インターネットは楽しいものとかだけじゃなくて単なるツールになるし、世の中は進化していくんじゃないかなと思うんですけどね。

山内:ありがとうございます。

ミッションを実現するための箱が必要だった

山内:今日のテーマ、日本が世界に誇るアントレプレナーシップが溢れる国になる為にはという、とても大きなテーマで今日このパネルをいただいているんですけど、お2人がそれぞれやっている事業の領域から見ていることでも構いませんし、もっと広い視点からでも構いません。

どういうような可能性を今感じながらやっていらっしゃるとか、どういう可能性をもっと開花させていきたいと思っていらっしゃるとか、そのあたりのお話をお願いしてもよろしいですか?

米良:はい、私はREDAYFORというプラットフォームで、いろんな人たちが何かを始めたり自分の活動を広げていったりするために使っていただきたいなというふうに思っていて、課題としてはそういう方々の潜在層というのがまだまだ文化として育ってないよね、というところはすごく感じています。

ある種2020年みたいなところで、世界中の人たちが日本に注目するという時に日本がどうあるべきかと考えた時に、やはり日本からいろいろな活動がどんどん外に出て行くっていうような仕組みとか、あるいはその仕組みの中で動き始める人たちというのがどんどん出来ていってほしいなというのをすごく今感じています。

やっぱり起業っていった時に、私もそうだったんですけれども、REDAYFORを始めた時に起業をしようと思ったことは本当に無いんですね。

なぜ今回事業をスピンアウトさせたかというと、やはり私のミッションである、すべての人たちが何か自分のやりたいことだったり、社会に必要なものということを感じることに向き合って一歩踏み出すという社会を作っていくために、REDAYFORがどういうサービスになっていなければならないか、その為に会社という箱を作ることによっていろいろな選択肢を自分が取っていけるような状況にするということで、会社を作ったというのが理由なんですね。

起業したいという想いは本質的ではない

米良:なので、会社をやりたいとか起業したいというところはあまり本質的じゃないなって自分でもすごく思ったりしています。なので、もっとカジュアルに何かを始めるということが出来ていけばいいんじゃないかなと思っていて。

REDAYFORってそういう意味では、会社を作ってくださいとか、法人格とかは一切問わなくて、私達のサービスの中で1番多いのはやっぱり個人とか任意団体とか、そういう形をまだ取っていない、それこそどこか大きな会社で働きながら実は課外活動としていろんな仲間と集まって、教育、経営の何かをやっていますとかっていう人たちが結構いるんですね。

そういう小さなトライアルというのが一歩踏み出すことによって、やってみたことによって、自分が思っていたことが意外とあまりうまくいっていない、うまくいかないものなんだなとか、あるいはこれってすごくニーズがあるからもっと広げるために自分たちで、それこそ佐々木さんみたいに会社を辞めて、「よし! 本腰入れてやろう」というふうな決断が出来るかなというふうに思っていて。

だから会社を作るということが目的になるんじゃなくて、みんながもっといろんな自分がやりたいことっていうのを見つけられやすいような、そして見つけて一歩を踏み出しやすいような、そんな環境を私達は作っていきたいですし、ここにいらっしゃる皆さんも是非そういう一歩を踏み出してもらいたいなというふうに思っています。

東日本大震災によって変化した意識とは

山内:ちょうどREDAYFORがサービスを開始した時というのは3.11の東日本大震災のタイミングとすごく重なったわけですけど、実際に東北の方々のプロジェクトというのも多かったんじゃないかなと思うんですよね。何かそれをやって、ある種震災があったから感じている可能性とか変化みたいなものってあります?

米良:私はそういう意味では3.11の前からサービスを立ち上げていないので、急激に変わったっていう数字的根拠とかはないんですけれども、自分たちの周りの人たちを見ていると、やっぱり自分のことだけじゃなくて、私も東京にいた訳ですけれども、テレビで津波が大きく来るという映像を見て、自分たちの生活というのは実はいつ何が起こるのかはわからないんだなということに改めて気づく。

それによって自分たちの1回きりの人生っていうのをどこに捧げていくのかというのを、改めて自分と向き合うことが出来るようになった人たちはたくさんいるんじゃないかなというふうに思います。

震災のプロジェクトもすごくたくさんあります。でも被災地のプロジェクトって、最初のほうはボランティア的にヘルプっていう意味で被災地に行っていた活動も多かったんですけれど、今はほとんど町作りになっていて、やっぱりそういった津波で大変だったなというのをどうやってリノベーション、新しい価値が出せるような場にしていくか、そういうことで関わっているような人達っていうのはすごい増えてきたかなというふうに思います。

なので、やっぱり自分自身と向き合う時間というのを持てたことも、震災を通して生まれたことなのかなというふうに思います。

山内:ある意味、町作りのプロジェクトとかって地元の方がやっていらっしゃるのですか?

米良:地元の方だけじゃなくって、関東でそれこそ大きな会社で働かれていたんだけれども、震災を目にして、自分の人生というのはこういう所でパーツ的に働いているんじゃなくて、もっと誰かに貢献できるようなことをやっていきたい、というのに気づいて東北に行かれたという方は、私達のプロジェクトを見ているだけでもすごく多いですね

中小企業の運営コストを減らしたい

山内:ある意味アントレプレナーシップ、起業家精神というと、起業ということだけにフォーカスされやすいですけれど、もっと社会に対しての、僕らが良く使うキーワードは当事者意識という言葉なんです。

自分がその社会の一員としてここをやれるんじゃないかとか、行政にお願いするだけじゃなくて自分たちで作れることがあるんだったらやっていこうよとか、そういったことがもっとカジュアルに広がっていったらいいんじゃないか、というのがイメージしていらっしゃることですよね。佐々木さんいかがですか?

佐々木:僕はいくつかやっていかなきゃいけないな、と思ったことがあるんですけれども。まず1つは起業するとかビジネスを立ち上げて、その後にやらなければいけないことをやっぱり簡単にするというのがすごく重要だと思っていて。

たとえばこれはプロセスの話で、どれだけその後ビジネスを始めた人が自分のやりたいことにだけフォーカス出来ているか、というのが重要だと思うんですよね。

そうじゃない阻害要因っていっぱいあって、たとえば起業するとまずは定款とかを作ってそれを認証してもらいましょう、というので公証役場に行ってやってもらうんですけれど、これ一応紙でやるんですけれど僕は紙でやるのは絶対嫌だったんでデータで出来ないんですか? と。

一応そういう制度はあるんですね。電子認証っていうんですけれど、「電子認証をやらせて下さい」と公証役場に電話をすると、なんと言われるかというと「あーそういう制度もあるんだけどね、やめた方がいいよ! やめた方がいい!」というふうにおじいちゃんに言われるんですよ。

これじゃあやっぱり世の中前に進まないよなということを思っていて、これに限らず行政に関するいろんな手続きだとか経理とかそういったもののプロセスもそうですけれども、やっぱりビジネスを運営するなかで大きな負担になることっていっぱいあるなあと思っていて、こういったことをやっぱり無くしていくとか簡単にしていくということを社会全体として取り組んでいきたいなと。

毎日Tシャツで仕事をするワケ

佐々木:僕たちもそれはビジネスとして取り組んでいけるところでもあるので、なんとかインパクトを残したいなというのが1つと。あともう1つ、やっぱり失敗を恐れないカルチャーというか、そういったものを作っていかないといけないなと思っていて。

僕たちの会社の場合には2人で立ち上げたんですけれども、やった時に、1年経ってこれを続けていくことに自信が持てなかったら辞めようという感じでやっていたんですよね。

これって重要なんじゃないかなと思っていて、やっぱり日本って会社潰してたらいけないとかそういう考え方ってあるんですけれども、やっぱりもうこのモデルって、たとえばちょっと別の事業やってお金を回して、で、本当にやりたいことはだんだん出来なくなっていく、でも一応生き延びています、みたいなやり方をするより、やっぱりその後別の生き方をして立て直してまた挑戦しようとか、そういった考え方というのがどんどん広まっていくことで起業へのハードルというのも下がっていくんじゃないかなと。

あと3つ目なんですけれど、自分達、ぼくが今やっている会社というのもひとついいスタートアップの例として、ケースが、事例がどんどん出来ていくことでよくなっていくんじゃないかなと。それはビジネスを通してなんですけど、たとえばカルチャーとしてうちの会社って、僕もそうなんですけれど毎日Tシャツを着ているんですよね。

普通にうちのオフィスに来ても2~3割位の社員はTシャツを着て来ているんですよ。これってアメリカとかに行く結構当たり前のカルチャーなんですけれども、日本だと会社のものを付けるのは格好悪いとか、そういうのがあるんですけれども、そんなのもかっこいいじゃんと思える組織というのを作れたら、多分そのほうがスタートアップってやっぱりいいよねみたいな形の雰囲気を作れるんじゃないかなと。

そういう意味でもいろんな新しい象徴的なことに挑戦して起業っていいよねって作ってもらえることを自分たちの組織を通して実現していきたいなと思っています。

山内:ありがとうございます。

2020年に向けてのビジョン

山内:最後、佐々木さんに2020年に見ているビジョンみたいなものがあれば簡単に一言、そのお話を聞いて終わりにしたいと思います。

佐々木:2020年というキリでいうとオリンピックがあって、きっと外国の人がいっぱい来るだろうと。そんなような時に、僕が、iPhoneが出た後にサンフランシスコとかに行くとタクシーの運転手さんがみんなiPhoneを持っているんですよ。

あとYouTubeがインドで盛り上がっていた頃にインドに行くと、タクシーの運転手さんがYouTubeで自分たちのことを宣伝してるんですよね。

「タージマハルに行くんだったら俺のタクシーに乗ってくれ!」というのをYouTubeでビデオを流して宣伝していたりすると。そんな形で、単に海外に行って何か触れるものっていうのは、小さなビジネスの人がどういう振舞いをしているのかっていうのが、結構その国の印象というものにインパクトを与えるんじゃないかと思っていて、じゃあその時までに小さないろんなビジネスをやっている人が新しいテクノロジーを活用していてすごく効率的に出来ているとか、このやり方すごくクールだね、というようなことが世の中にポンポンできているといいなと思っています。

そんな中で僕が会計ソフトというのをやっているんですけれども、会計ソフトもインターネット使えばこんなに良くなるよね、っていうふうにみんなが思っていれば、他のものもインターネットなりモバイル端末なり活用して良くなるよねっていうふうに思う人はどんどん増えていくと思うので、そういった意味で日本ってやっぱりテクノロジーの国だよねというふうに思ってくれるような2020年を迎えられるようにしたいなと個人的に思っています。

山内:ありがとうございました。どうやったら日本に起業家精神・アントレプレナーシップが根付いていくのか、広がっていくのか、その中に1つは多様性みたいなこと、単に起業するだけじゃないもっと多様なもの、そういう意味でのハードルとかをいかに下げていけるか、失敗を恐れない文化を広げていけるか、まだまだやっていかないといけないことはたくさんあると思います。

ということで、我々も頑張って取り組んでいきたいと思っています。是非皆さんともご一緒に今後も取り組んでいければなと思っています。

ではここでパネルディスカッションのほうは終わりにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

佐々木:ありがとうございました。

制作協力:VoXT