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成功者が共通して持つ「グリット」という能力–才能でも、努力でもない第3の要素とは?

成功者が共通して持つ「グリット」という能力–才能でも、努力でもない第3の要素とは?

成功に必要なのは努力か、才能か? 長年にわたり議論されるこの問いに対して、心理学者のAngela Lee Duckworth(アンジェラ・リー・ダックワース)氏は、新たな説を提唱します。彼女が語った、第3の成功因子「グリット」とは?(TEDより)

スピーカー
ペンシルバニア大学 心理学教授 Angela Lee Duckworth(アンジェラ・リー・ダックワース) 氏
参照動画
成功のカギは、やり抜く力

教師がすべきは生徒のモチベーションを高めること

アンジェラ・リー・ダックワース氏(以下アンジェラ):27歳のとき、私は高度な技能が要求される経営コンサルティングの仕事を辞め、更に高度な技能が要求される仕事に転職しました……教師になりました。 ニューヨーク市内の公立学校で、7th grade(日本でいう中学1年生)の子供たちに数学を教えていました。多くの先生方がやっているように、質問や問題を出して解かせたり、テストをしたり、宿題を出して、子供たちが提出してくれた宿題を採点し、評価をつけていました。 すると驚いたことに、最も成績の良い生徒と最下位の生徒との違いは、IQだけでは説明がつかなかったのです。IQの数値は特別優れているわけではないにも関わらず、テストで上位の成績をとる子もいました。 逆にIQの数値は高いのに、テストでは点数が取れない子もいました。その経験から、私は次のように考えるようになりました。7th gradeの数学で子供たちが学ばなければならないことは、―割合や小数など、もちろんそれなりに難しいけれども―努力すれば理解できる範囲のもの、決して不可能なものではないはず。 それで私は確信しました。IQの数値に関係なく、生徒たちは誰でも皆、時間をかけて勉強に取り組みさえすれば、必ず出来るようになるということを。 数年の教員生活を通して、私は1つの結論を見い出しました。教育に必要なことは、心理学的な見地から、もっと子供たちを理解してあげること、もっと子供たちがモチベーションを高めながら学べる環境をつくってあげることだ、と。

成功の秘訣を探る4つの調査

教育現場において、IQは知的能力を計る最適な方法の1つとして知られています。しかし、学校や人生で成功するための秘訣は、時間をかけてじっくり取り組まなければ習得できないもの、IQテストでは測れないものの中にこそあるのではないでしょうか? それをきっかけに、私は教育現場を離れ、大学院で心理学を学び、心理学者になりました。私の心理学者としての研究は、様々な環境においてものすごく難しい課題に挑戦する大人や子供たちを研究することから始まりました。 複数の研究を行いましたが、どの研究においても共通テーマとして掲げていたこと、それは「1番の成功者は誰か? そしてそれはなぜか?」ということです。 私たちは4つの現地調査を行いました。まず1つ目に、私たちの研究チームは「ウェスト・ポイント・ミリタリー・アカデミー(アメリカ、ウェスト・ポイントにある軍事教育学校)」に行き、厳しい軍事トレーニングに耐えて生き残る入隊者と、耐えきれずに中途退学していく入隊者を予測しました。 2つ目に、「ナショナル・スペリング・ビー」での現地調査では、どの生徒が勝ち残るかを予測しました。 3つ目に、過酷な環境の中で働いている教育現場の先生方を調査し、「どの先生が年度末までその教育現場に残ることができるか?」「そのうち、最も生徒に影響を与え、その生徒が持つ学力を引き出し、結果に結びつけることができた先生は誰か?」を研究しました。 4つ目に、私たちは一般企業にご協力いただき、「どのセールス担当者がセールス担当者として生き残れるか?」「トップセールスを記録したのは誰か?」を調査しました。 これら4つの異なる調査対象について研究した結果、成功を収める人たちは、共通してある1つの性格を持っていることが明らかになったのです。

成功者がもつ共通点「グリット」とは

それは高学歴や知能の高さではありませんでした。外見の良さでも、身体的能力の差でもありません。これこそが「グリット」です。 「グリット」とは、物事に対する情熱であり、また何かの目的を達成するためにとてつもなく長い時間、継続的に粘り強く努力することによって、物事を最後までやり遂げる力のことです。 グリットはスタミナを必要とします。1つの夢や目標を実現するために毎日毎日、朝から晩まで、夢中になって頑張り続けることです。それも1週間、1ヶ月といった短期間ではありません。 数年間ずーっとです。頑張って、頑張って努力し続ける、そうすることで、やがて夢や目標が現実のものとなるのです。グリットは短距離走ではありません。長距離走なのです。 数年前、私はシカゴの公立学校でグリットについて研究を始めました。数千人の高校2年生を対象にグリットに関するアンケートを行いました。 それらをもとに、1年以上に渡り追跡調査を行い、誰が中途退学せずに卒業できるかを研究しました。そこで明らかになったのは、グリットを持っている生徒は卒業する確率が極めて高い、ということです。 これは、その他のあらゆる要素や条件―例えば、家族の所得、学力テストの点数など―を揃えて考察してみた上で得た結論です。ですからグリットの必要性は、ただ単にテストで良い点数が取れないだとか、普段の生活で直面することのないような無理難題に関してだけの話ではなく、学校という私たちにとってとても身近なところに関係しているものなのです。

成功と生まれ持った才能・知能は関係ない

特に子どもたちにとって、これはとても重要です。学校を落第せずに卒業できるかということに関わっているのですから。私にとって最もショックだったのは、グリットについて私たちがいかに無知であるか、ということでした。 グリットは科学においてもほとんど知られていないのが現状です。毎日のように、私は保護者の方々や先生方から質問を受けます。 「どうしたら子供たちにグリットを持たせることができるのか?」 「自発的に熱心に物事に取り組む子供に育てるには、どうしたらいいのか?」 「どうすれば、子供たちのモチベーションを長期的に持続させることができるのか?」 正直なところ、その答えは私にも分かりません。 (会場笑) ですが、私が自信を持って言えることは、生まれ持った才能や知能はグリットに関係しない、ということです。生まれつき素晴らしい才能や知能を持っているにも関わらず、十分な結果が得られなかった人はたくさんいます。 それはただ単に、その才能・知能を伸ばすための長期的な、継続的な努力が足りなかっただけなのです。これは私たちの研究結果において、とても明確に証明されています。実際、私たちの研究結果によれば、グリットは生まれ持った才能・知能とは基本的に関連性がなく、先天的な才能・知能を測る方法としてグリットを用いることはできません。

まずは失敗を恐れず挑戦

ではここで、グリットを持った子供を育てるために1番役立つと思われる、「グロースマインド・セット」という考え方を引用します。 「グロースマインド・セット」というのは、スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック博士が発展させた考えで、内容としては「知能は生まれつき固定されたものではなく、後天性のもの、努力を重ねることによって変えることができるものである」という考え方です。 ドゥエック博士の研究では、子供たちに脳と知能の発達について予め学習させ、知能は生まれつきのものではなく、挑戦し続けること、努力することによっていくらでも伸ばすことが可能であると教え込んだ後に難しい問題を解かせると、子供たちは難しい問題に対しても失敗を恐れず、自ら進んで挑戦しようとすることが分かりました。 なぜなら、彼らは失敗することについて、永遠に続く致命的なものではないと知っているからです。ですからこの「グロースマインド・セット」という考え方は、どうすればグリットを育てられるかを説明する上で、とても素晴らしい考え方です。 でもこれだけでは不十分ですね。ここからもう少し発展させなければなりません。ですが私が現段階で皆さんにお伝えできることはここまでです。直感を信じて、自分の能力を試してみましょう。何をどうすれば成功できるのかを知るために、失敗を恐れずに積極的に挑戦し、失敗を重ねてみなければなりません。 たくさん失敗して、失敗から学んだことを次に生かして、何度でもやり直しましょう。言い換えれば、まずは私たち大人が見本となり、グリットを持った人間にならなければなりません。そうすれば私たちの子供たちも、よりグリットを持った人間に育つのではないでしょうか。 ありがとうございました。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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