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友だちの数で寿命は決まる!? 最も健康に悪いのはタバコじゃなくて「孤独」だった

友だちの数で寿命は決まる!? 最も健康に悪いのはタバコじゃなくて「孤独」だった

従来の健康づくりの基本といえば、バランスのとれた食事や運動、衛生管理が挙げられてきた。しかし、ハーバード大学院で健康づくりを研究した石川善樹氏は、もっとも健康に影響を及ぼすのは「人間関係」だと語る。人と人とのつながりがつくる健康的な人生を提案しました。(TEDxUTokyoより)

スピーカー
株式会社キャンサースキャン イノベーションディレクター 石川善樹 氏
参照動画
The Secret of Life: What Really Makes Us Live Longer

父からの教え「医者にだけはなるな」

石川善樹氏 怪しい情報もふくめて、これだけ健康情報が世の中にあふれている中で、本当に寿命を延ばすのは一体何なんだ、という話をさせていただきたいと思うのですが、そもそも、私が健康づくりに興味を持ったのは、ちょっと変わった私の父の影響が大きいです。 私は、広島県の瀬戸内海に浮かぶ、それはそれは小さい島で生まれ育ったんですけれども、よく、休日になると、父と一緒に海岸に出かけていろんな話をしました。男っていうのは不思議なもので、山とか海とか、そういう大きなものを見ると、良いことを言いたくなるんですね。 なぜか、私がその海岸で砂山を作っていると、父はですね、すっと抱き上げて、「ヨシキよ、海はひろいな」と「今私たちは小さい島に住んでるけれども、将来この海を越えて世界に羽ばたく男になるんだぞ」なんてことを父から言われまして(笑)。 まぁ、ただ目の前の海を越えてもそこ四国なんですけども。他にもいろんなことがありまして、同じようにこう作っていると抱き上げて、「ヨシキよ」と。「医者にだけはなるんじゃないぞ」っていうんですね。 「なんで?」って聞くと「人ってのは資格を持つと、資格に頼って生きるようになる」と、「だから本当にヨシキがやりたいことができたときに、その資格が邪魔をすることがあるんだ」と、「だから医者になんかなっちゃいかんぞ」って言われたんですね。 そんなもんかなぁと思っていたんですが、ちなみにそんな父親は、医者だったんですけれども。僻地医療といいまして、小さい島の唯一のお医者さんとして、住民の方の健康とか、命を守るっていう仕事をしていたんですね。

野口英世キタコレ!

医者にはなるなって言われたんですけども、蛙の子は蛙といいますか、やっぱり父親のようにいろんな人の命にかかわる仕事をさせていただきたいと思っていて、でもそれって何なんだろうかなって、ずいぶん悩んでたんですよ。 で、そんな私を見かねて、父親は野口英世の本を渡してくれたんですね。それを見て僕はこれだと思いました。これはきたぞ。現代風に言うと、「野口英世キタコレ!」ってことですよね。 何に感動したかっていうと、病気の原因を見つけて、治療法を作って、それで多くの人の命が救われると。こんなすばらしい仕事はないなと思ったんですよ。 ちょっと振り返ってみると、野口英世が生きた時代というのは、感染症が主な人類の健康を脅かす病気でした。例えば結核という病気があります。ちょっと前まで、日本では結核が日本人の死因第1位だった時代があります。 gazou1 これは日本人だけなく、ほかの諸外国でも同じで、例えばですね、これイギリスの事例なんですけども、縦軸が結核の死亡率をあらしてます。上に行くほど高くなります。横軸が年代ですね。 ご覧の通り、1940年代に、ストレプトマイシンという、結核を治療する薬ができたんですね。その結果、死亡率がガクンと下がって、さらに、医学の進歩はすごいですね、ワクチンまで出来たんですよ。 その結果、さらに死亡率がガクンと下がって、人類は結核を克服してきたと、そういう歴史があるんですけれども、このグラフご覧いただいて「あれ?」って思いませんか? 何かというと、治療薬ができるちょっと前から、結核の死亡率って下がってきてるんですよ。 じゃあ、もしこの年代を、ぐーっと昔に引き戻して歴史的大局的に見たときにどうなるかっていうのが、このグラフなんですね。 gazou2 確かに医学の進歩によって、結核の死亡率はすごい下がってきました。でも大局的に見たときに、本当に死亡率を下げたのは、一体いつだったんだって見てみると、栄養と衛生の改善だったというふうに言われています。 gazou3

人類の健康を作ってきたのは普通の人

これを誰がやったんだって考えてみると、おそらく家族のために美味しい食事を作ったお母さんだとか、あるいは上下水道の整備をした工事の方ですよね。そういう普通の人たちの無数の努力っていうのが、人類の健康を作ってきたんだなということを勉強しまして、なるほどと。 伝記とかを読むと、たとえばコッホという研究者が、結核の菌を見つけてノーベル賞をとったという、そのあとに何10年か後に治療薬ができて、人類の健康がよくなった、そういう話を私たちよく聞くんですけども、その話の裏側を見てみると、こういうふうにいろんなストーリーがあるんですね。 これは20世紀前半までの話なんですよ。21世紀に生きる私たちにとって、何が寿命の長さを決める決め手になっているんでしょうか? 20世紀前半までは、結核のような感染症が主な健康課題でした。21世紀の今は、がんとか心臓病のような、慢性疾患だとか、あとはうつ病みたいな精神疾患ですよね。それが主な健康課題なんですけども、それに一体何が寄与しているのかっていうのも、野口英世以降のいろんな研究者が研究されています。 みなさん、朗報です。2012年5月20日現在において、いったい何が皆さんの健康に影響しているのか、今からお示ししたいと思います。 (会場拍手)

健康にもっとも大きな影響をもたらすのは「つながり」

gazou4 何かと言いますと、ちょっとこのグラフを見ていただきたいのですが、数字が0から0.6まで並んでます。数字が大きいほど健康とか寿命への影響が大きいと考えてください。まず最初に肥満を見ていきましょう。 肥満は良くないと言いますね。太り過ぎは良くない。で、太りすぎるということが健康に影響する大きさをだいたい0.2くらいとして、これをベンチマークとしてください。 僕らが今健康に生きるために何が大事かといわれると、たとえば体を動かせっていわれますよね。体を動かすことがどれだけ寿命にきくのかっていうと、肥満になるよりもちょっときくぐらいですね。 ほかに何かありますかね。健康にきく情報。僕らがよく聞くのは、たとえばお酒を飲み過ぎないというのがあるんですよ。で、これが体を動かすよりもうちょっとききますね。 他によく言われるのは、タバコ。タバコは健康によくないってもううるさいくらい聞きますよね。どれぐらいよくないかっていうと、肥満の約倍以上あるんですね。 でもこの4つの話っていうのは、みなさんよく聞く話だとと思います。今日ご紹介したいのは、もう個別の要因なんですよ。これは過去10年20年ぐらいでようやく分かったことなんですけども、21世紀に生きる私たちにとって、何が1番健康に影響しているのかって調べてみると、つながりがあることなんですね。 もともと社会的に孤独な人っていうのは、亡くなりやすい、早死にしやすいということが分かっていたんですけれども、一方で、家族とか友人とかとつながっている人っていうのは、ストレスがあってもそれを緩和することができるし、あとはいろんなコミュニティに所属している人っていうのは、自分自身のアイデンティティーが作られたりとか、生きる目的ということが得られるので、結果として長生きするんじゃないかと報告されています。

つながりの多さによって死亡率が変化した実例

じゃあですよ。ここで知りたいのは、つながりがあることっていうのは、よく知られているタバコだとか酒という要因に比べて、どれだけ健康に影響するんだってことなんですよ。 色んな研究者が調べた結果、つながりのあることというのは、太りすぎない、体を動かす、お酒を飲み過ぎない、タバコを吸わないこと以上にものすごい私たちの健康に影響するっていうのがわかったんですね。 普段、私たちはなかなか「つながり」ってことを意識することがありません。どういうときに意識するかというと、危機が起こったときですよね。去年起こった大震災のときも、やっぱり私たちはつながりということを意識しましたし、個人で見てみると、いつ危機を意識するかというと、入院したときなんですね。 先日私の友人が、ある病気で入院したんですよ。入院した時に私は気づいたんですけども、1回ぐらい皆お見舞いに来てくれるんですよ。忙しい毎日の合間を縫って、2回、3回ってお見舞いに来てくれる人ってものすごい少ないんですね。 研究がありまして、急性心筋梗塞で入院した人が6ヶ月間に死亡するかどうかっていう見たものなんですけれども、お見舞いに来てくれるひと、サポートしてくる人の人数によって死亡率がどう変わるかという、有名な研究なんですが、ひとりもサポートしてくる人がいないと、6ヶ月以内になくなる確率が69パーセントだったんですね。 1人いると43パーセント。2人以上いると、26パーセントというようにですね、同じ心臓病で同じような手術を受けて治療しているにもかかわらず、サポートしてくれる人がどれだけいるかで死亡率が全然違うんですよ。

つながりが多い人の特徴

皆さん自分自身を振り返っていただきたいんですが、もし1ヶ月間入院したとしたときに、2回3回と足をはこんでくれる人って、どれぐらいいると思いますか。 逆に言うと1ヶ月入院している友達がいた時に、2度3度と足を運びたい友達がどれだけいるかってことだと思うんですけれども、先ほど紹介した私の友人もですね、彼は1ヶ月間で2度3度と足を運んだ友人が300人いたんですよ。すごいんですね。 で、彼はその病院にお見舞い名人と言われていて、ちょっとした病院の名物ですよね。いったい何がすごいんだと。確かに彼は人柄がすごい良いんですね。つながりをつくる天才的なところがあって、長い付き合いなのでいったいどういうところが優れているんだろうなぁって見ていたんです。 共通の友人Aがいるんですが、彼がどうしたかっていうと、すごい良い人なんですけど、部屋が汚いとか、だらしないところがあるんですね。それでも友人Aに「Aはだらしないけど、いい人だよね」って言うんですよ。 gazou5 ちょっと比べてみてください。上と下同じ情報を言ってるんだけど、下のほうがいいように聞こえませんか。なぜかというと、多分日本語の特性だと思うんですが、語尾に私たちの本当の気持ちがあらわれることが多いと思うんですよ。 彼が凄いところは、どんなに嫌いな人でも「でもな、あの人本当はいい人だと思うねん」っていって必ず肯定するんですよ。 で、「自分が好きになると、相手もきっと好きになってくれる」って夢みたいなことを言ってるやつだったんですけど、たしかに300人きたってことで本当にそうなんだなって思いました。

つながりづくりが21世紀の健康法

最後に私の話をまとめたいと思います。20世紀初頭までは、感染症が華やかしい頃だったので、健康づくりのキーワードは、栄養状況を良くするとか、衛生状況を良くする、もしくは医療の進歩ってことがキーワードでした。 21世紀、慢性疾患と精神疾患が主な健康課題の現在、健康づくりの1番のキーワードは、「つながり」だと言われてます。 ただ、人と人との関係ですから、嫌な人もいますよね。嫌いな人もいるでしょう。だからこそ面白いなぁと思うのは、嫌いな人がいるから、好きな人の良さも改めてわかるし、嫌いな人でも「いや、でもな、あの人本当はいい人だと思うねん」って言って肯定することで、自分が入院したときに、もしかしたら1番足を運んでくれるのは、その人かもしれないんですよ。 小さい頃ですね、私が海を見ながら父がよくこう言っていました。「難がない無難な人生を送るよりも、難があることをありがたいと思える人生を送りなさい」と。 gazou6 つながりづくり、衝突もあるでしょう。嫌なこともあるでしょう。難もいっぱいあると思います。そういう難をありがたいと思える、そして1人1人と関係を作っていくと、そういう新しい21世紀の健康づくり、皆さんも一緒に初めてみませんか? 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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