「消費増税の延期で国債金利が上昇する」は財務省が作りあげた話

小林史明氏(以下、小林):そもそも財務省のいろんな方ともお話をするとですね、増税を延期すると国債の金利が上がるんじゃないかと、このあたりもずっと言われ続けているわけですが。この点も実際に山本幸三先生も確認をされたということで、いかがだったでしょうか。

山本幸三氏(以下、山本):全く問題はありません。金利が上がるというのは、国債の買い手がいなくなるときに上がるわけです。売る人ばっかりで。ところが今は、日本銀行は大量に国債を買い取っていますので、そういう心配は全くありません。

特に日本の場合は、外国人がたくさん買っているわけじゃありませんから、そういう意味で全く金利高騰というのは、財務省が作り上げた神話でしかないということだと思います。

とくに私もしょっちゅう海外の投資家と意見交換をしているんですけれども、最近はむしろ、増税を延期したほうが日本買いだと。国債も買うし、株も日本買いだというように言ってましてね、全然外人が信頼を失うんじゃないかということはない。むしろ逆ですね。

むしろ伸ばして日本経済を立て直すということをはっきり示したほうが、世界から信頼が得られるし、そして日本買いだというように言ってます。

小林:ということでありますので、皆さんそこを理解いただいて、そういうことをいっている方がいたら、この動画をみてくださいというのが、一番いいですね。

村井ひでき氏(以下、村井):あの、すみません。横から申し訳ないんですけれども。アベノミクスのこの2年間で、驚くべきことに税収が10兆円以上伸びてるんですよね。

なので本来であれば消費税を10%に上げないと、PB(プライマリーバランス)の半減目標ってのは達成できなかったのが、まあ、私も本当にそう思っていたひとりなんですけども、蓋を開けてみると、この2年間で予想以上に税収が伸びたということで、財政健全化と経済成長の二兎を追わなければいけないわけですけれども、財政健全化のほうは、だいぶ2015年に対して道筋がたってきたと。

一方で、経済成長のほうはだいぶブレーキがかかってきてしまっているので、こちらを今度はふかしていこうと。この微妙なバランスを取って行くということだと思います。

小林:なるほど。ということであります。で、この後が気になるところで、じゃあ、そうは言っても、まあ、成長率がマイナスになったということは、先ほど山本代表がご説明された通りですね、実質賃金が追いついてきてませんと。今後はやはり、懐を温める政策を、今度はフォローとしてやっていかなければなりません。

円安で輸出の企業は伸びてるわけですけれども、輸入に頼っている事業者さんたちは、大変な負担を被っていると。じゃ、どういう政策を今後打っていくのがいいと考えていらっしゃいますか。

山本:先ほどお話したように、一番影響を受けているのは低所得者ですね。第一分類、250万以下の所得の方々。それから、30代とか40代、まさに子育てが始まったばっかりくらいの、まだ賃金が充分じゃない世代。それから地方の経済ですね。というのは地方は車社会ですから、ガソリンを使わざるを得ない。そういうところが多いわけですね。

したがって、そういうところに対してちゃんとした給付なり、あるいは、なんらかの支援をやるということが、一番効くというわけですね。だから、燃料費の補助とか、あるいは燃料費についての減税だとか。あるいは低所得者に対する給付金の増額。そういったことが非常に大事になるんじゃないかと思います。

小林:実際に給付もっていうようなコメントもありますね。そういうところが、効いてくると。村井さんのほうから、何かありますか。

村井:そうですね。おっしゃる通りで、今回5から8へ上げた時に、臨時給付金っていうかたちで、所得が低い方だとか、子育て世帯にですね、年間1万円ですか。っていうかたちでお支払いをしていったわけですけれども、やっぱりそれが不十分だったんだと思いますね。

そこの部分を手厚くしていく。そういう対策を、年末から年始にかけてしっかりと検討していかなくてはならない。そしてその財源はしっかりと確保ができるということが、今回の試算で明らかになったと。

小林:いいですね。目がギラギラ輝いてますね。

2020年に向けて景気は加熱していく

小林:もう一個、これはなかなか答えるのが難しい話だと思っていますが、5%に下げるという案はなかったのかというコメントがありました。実際いかがでしょう。

村井:まあ……私がいいですか?

山本:どうぞどうぞ。

村井:ではすみません。イギリスで実際そういう仕組みがあるんですよ。景気が悪くなったら付加価値税というか、消費税をですね1年間限定で下げるっていう、これを閣議決定だけでできるっていう、そういう仕組みがあって。

日本でもそういうのを導入すべきだっていう議論はあるんだと思いますけれど。まあ、なかなか、社会保障の負担も増えていきますから、下げたい気持ちはあるんですけど、これはなかなか難しいかなと思います。

小林:幸三先生、いかかでしょうか。

山本:そうですね、経済理論的に言えば、そういうことも当然考えられるんですけど、やはり、延期するということだけでも自民党内含めて政治的に非常に厳しいところがございます。したがって、ここは、もう、やったことは仕方がないけれども二度と過ちを犯さないように、そして、それを何らかの形で補っていくということが、現実的な解決ではないかと思いますが。

小林:ということですね。じゃ、実際に延期をします。2017年ですね、4月にまた再増税をするというのがちょうど良いタイミングなんじゃないかということですが、その時っていうのは、世の中はどういう状態になってる、イメージを想定しているのか、ここもちょっと共有したいと思うんですが、いかがでしょうか。

山本:私はですね、ここで次のブレーキをかけない。リスクを避けるということをちゃんとやれば、経済はこれから少しずつ回復していくだろうと思っています。それは円安、株高等でですね、企業収益が上がっています。

それから労働市場も非常にタイトになっています。その意味で企業は賃金は着実に上げていかなければ、人も採れないということになっていきますので、そういう方面では上がっていくと思います。

それから輸出が伸びてない、これは私が、前は増税しても大丈夫と言ってた、その時の根拠は輸出が伸びるだろうと言ってたわけですけども、これが全然伸びないというのが私の間違いだったわけです。それで、180度変えたわけですけども。輸出も最近の円安の進み方から見れば、ま、今回の7-9月でもちょっと伸びてきましたからね。急激な伸びはないかもしれないけど、少しは伸びていくと思います。

それから公共投資のほうも、少しずつ7-9月でも少し伸びてきましたから、そういう方向で動いていきます。

将来的には、2017年ということになると、オリンピック、パラリンピックが直前にきます。そういう意味では日銀もこれだけの金融緩和を追加してますし、2%達成しなきゃもっとするでしょうし、むしろ景気はある意味でオリンピック、パラリンピックに向けて少し過熱するようなことも、起こりうる状況じゃないかなと思っているところです。

したがってその時には逆に、消費税増税しても乗り切れるし、あるいは、経済のバランスを取るためにはいいんではないかなと期待しているところです。

小林:はい。村井さん、いかがでしょう。

村井:イメージはですね、山本先生と共有させていただいていて、時間も限られてるんで、1個だけ言わせていただきたいんですけれども。

私、政治の世界に出る直前、財務省の主税局で、まさに消費税がらみの仕事をしていたんですけれども、そこの時の議論で、何で2014年、2015年で5%上げるっていう結論になったかっていうと、当時、2011年、2012年に論していたとき、2015年にPB半減っていう目標を達成するためには、2015年までに消費税を10%に上げなきゃいけないということが先にあったんですよね。

それが先にあって、その中で実は民主党政権が、最後の満期までいくと、2013年の8月30日まで任期があったんです。なので、本来であればもうちょっと、1発目の引き上げと、2発目の引き上げの期間をあけたかったんですけれども、その関係で、2013年の8月30日まで上げないという方針が当時あったわけですね。

なので、そういう意味から2014年の4月が1発目になった。そうすると、2発目上げるために、どうしても2015年中にやらなきゃいけないってことで、1年半の間に2回っていう極めて厳しいスケジュールになったんですよね。

さらに、10月1日に上げるってことになると、今の時期に、9ヵ月前に決めなきゃいけないと。予算編成との関係で。かなり、つまり、はんどうげんから立ち直る前に次の話をしなきゃいけないっていう、もともとかなり、厳しいスケジュールだったんだということをですね、ちょっとこの場を借りて申し上げたいと思います。

当時から、2014年の3%アップ、2015年10月1日の2%アップっていうのは、ちょっとスケジュール的に厳しいよねって議論があったんですね、なので、やっぱりこれそうだったなっていうことなんですが。なので今回、総理が決断されることですけれども、冷静な判断がやっぱり必要だなと思います。

消費増税の延期を10%延期の

小林:なるほど。今日はもう、本当たくさんのコメントをいただきましたが、質問なくて大丈夫でしょうか。村井君の選挙区はどこなんだという質問がありましたが。

村井:埼玉1区です。(笑)。

山本:是非よろしくお願いします(笑)。

村井:さいたま市の浦和区、みどり区、岩槻区ですね。

山本:大変厳しい選挙区だそうですから、是非よろしくお願いします。

村井:(笑)。あんまり、あれですから。

小林:ご存知の方もいらっしゃると思いますが、山本先生の選挙区はという質問も。

山本:私は北九州福岡10区で、門司と小倉が選挙区です。よろしくお願いします。

小林:まあ、選挙区の紹介ですから。他にも何か質問がある方ですね、いらっしゃいますけども。幸三先生、これ、シャツとネクタイ、どちらで購入されているのかと。

山本:あの、シャツはですね、台湾で3枚1万円で作ってくるんです。ネクタイはもうちょっと高級で、普通はエルメスが多いんですけど、これは夏にイタリアにいった時にミラノの商店街で買いました。

小林:村井さん、スーツはどこで買うんですか。

村井:どこですかね。あの、誰かがどこかで買いました。

小林:すみません、なぜこんな話に。私は青山だろってコメントが。そうです。このネクタイはもらいました。台湾詳しいんですよね、先生。

山本:3枚1万円ですよ。

村井:年始、山本先生、台湾。

山本:そうそう。台湾のYPOという若手の社長さんたちの集まりがあるそうで、そこで講演してくれといわれてますよね。台湾に行く予定でおります。

小林:予定になってるわけですか。皆さん台湾好きですね。いいですよね。日本も大変お世話になってますので。

山本:はい。大震災の時に個人の方々で一番寄付していただいたのが、台湾の方々なんですね。もうそういう意味では私どもは感謝しなければいけないと思いますし、これから経済関係もしっかりやらなきゃいけないと思います。

小林:はい。ではそろそろ時間になりましたので、最後、お一人ずつコメントをいただいて、締めたいと思います。じゃ、村井さんから。

村井:世間は今、いろんなことで大騒ぎになっておりますけれども、このアベノミクス、スタートして2年間良かった部分、悪かった部分ありますけれども、良かった部分をさらに伸ばして、今ひとつ効果が出ていなかったところについては、しっかりと対策を打っていくという形で、アベノミクスのセカンドステージ、これを是非今年末からまた進めていきたい、こんな風に思っております。よろしくお願いします。

小林:ありがとうございます。では山本先生。

山本:私はアベノミクスで悪いところは一つもないと思ってますので。是非これを成功させないと日本は生き返ることができないと思いますので、全力をあげて一緒に頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

小林:ありがとうございます。そして最後ですね。皆様ありがとうございます。

本当に素晴らしい先輩と同期でして、ほかにも支えたメンバーがいたんでここに出てきて欲しいっていうお話をしたんですけれども、やる仕事もあるし、喋るのはこの2人でいいということでありました。でもこれ、大変大きな決断を投じた重要な政策提言になるんではないかなと。

山本:本当にね、若い方々が頑張っていただいて、本当にありがとうございました。

小林:リーダーがやろうと。ケツは俺が拭くからと言っていただけるというのは、すごくありがたいなって風に思います。どういう風な状況になるかわかりませんけれども、また同じメンバーでこの番組が出来るように、我々頑張ってまいりたいと思いますし、皆様のご支援とご指導がないと、なかなかそうはいきませんので、是非今後ともよろしくお願いします。本日はありがとうございました。