安倍総理の解散の動機は不純である

記者:読売新聞です。2点お伺いします。まず1点目、この公約では今回財源をしっかり示されているということで、今までマニフェストというと民主党などに対しては「財源が足りない」などと言われてしましたけれども、今回この財源を明確にした、ということの意味を聞きたいというのが1点。

もう1点、総理が記者会見で「代表なくして課税なし」というアメリカ独立戦争の言葉を使って、民意を問うと語ったんですけれども、この言葉は本来、国民に負担を求める時に使われる言葉であって、先送りの時に本当は使うべきではないのではないか、という指摘もあるんですけれども、共産党としての税負担に関する考え方を、改めてお聞かせいただければと思います。

志位:まず今回、財源提案をこういう形でまとまって示したのは、やはり消費税が大争点になってくる、そして国民の多くは、出来るものなら上げてほしくない、10%にしてほしくない、という方が多いと思うんですよ。

しかし社会保障の問題、あるいは財政再建の問題、これを考えるとやむを得ないかな、という考えもあると思うんですね。そういう状況の中で、私たちとしては政治の姿勢を変えれば財源は作れる、ということをしっかり示すことが、国民の皆さんが安心して増税反対の声をあげることにつながると考えまして、財源のほうを示しました。

それから総理の「代表なくして課税なし」、こういう議論についてですが、私は消費税10%の実施を先送り、これは選挙の大義にならないと思います。これ自身は。

私はそういう点では、首相側が今度の選挙、なぜ行うのかという大義を国民に示せていないからだと思います。なぜ示せないかと言えば、首相の動機は別のところにあるからでしょう。つまり、首相が解散に打って出た唯一の動機は、先延ばしすればするほど追い詰められるから。

来年のことを考えてみても、原発再稼働の問題がある、集団的自衛権の法整備の問題がある、それから沖縄の新基地問題の矛盾がいよいよ深刻になる。いろんな問題が山積です。ですから、先へ行けば行くほどいよいよジリ貧になる、ということで今やってしまうおうという、こういう思惑だと思うんですね。

つまり今回の選挙というのは、国民の世論と運動が安倍政権を追い込んだ結果の解散総選挙だと思うので、私たちとしては、主権者である国民が安倍政権に暴走ストップの審判を下し、政治を変える絶好のチャンスがやってきた、という立場で選挙戦を戦いたいと思っております。

1票の格差を是正するためにも、比例代表中心の選挙制度を

記者:日本経済新聞です。1票の格差是正の問題をお聞きしたいんですけれども、今日、午後3時から参院の格差をめぐる判決が出るんですけれども、それを鑑みて、共産党さんも先ほどの公約で、定数削減については民意の切り捨てである、と仰っていますが、ではどうすれば格差是正につながるのか。

かねて小選挙区制の廃止などを主張されていると思うんですけれども、改めてお考えをお聞かせください。

志位:私たちの選挙制度に対する考え方というのは、原則はただひとつだと思っております。すなわち、国民の民意をキチンと反映すると。民意の反映。これがあるべき選挙制度の、唯一の尺度になると。ですから衆議院選挙について言えば、比例代表中心の選挙制度に抜本改革を行う。それをやれば、1票の格差の問題も抜本的な解決の道が図られます。

ですからそういう方向での解決が一番だと。やはり小選挙区制というのは、常に格差という意味でも絶えず広がっていく。そして何よりも小選挙区制の一番の問題というのは、大政党有利に国民の民意を歪める。

だいたい得票率3~4割でも6割~7割の議席を得てします。この民意の歪みというところに一番の特質がありますから、小選挙区制は廃止する、そして比例中心の制度に改革するというのが、私たちとしての基本的立場です。

沖縄では建白書をめぐる戦いになっている

記者:琉球新報です。沖縄の部分についてですが、前回の衆院選の改革ビジョンでは、日米地位協定の抜本改定や、在日米軍基地の全面撤去というのを盛り込まれていたと思うんですが、今回地位協定の部分と在日米軍の全面撤去というのが明記されていないようですが、なぜ今回省いたんでしょうか?

志位:まず日米安保条約、あるいは在日米軍基地の全面撤去、あるいは地位協定の問題。これに対する私たちの立場は変わりません。今回の政策でいいますと、私達の党の基本的な綱領を述べた部分で、日米安保条約については、10条に則した廃棄の通告で、日米安保条約、日米軍事同盟をなくしますと。そして対等・平等の立場に立った日米友好条約を結びます、というふうに述べております。

日米安保条約をなくすと、そして当然、在日米軍基地も全て無くしていく、ということは、私たちの変わらない立場です。日米地位協定の抜本改定も、立場は変わりません。ただこの沖縄の問題のところであえて入れなかったのは、今沖縄の戦いというのは、いわば保革の枠組みを超えて、島ぐるみで、建白書実現の1点での戦いとなっているわけですね。

建白書に書いていることはなにかといえば、県内移設はダメだと。それから、普天間基地は閉鎖・撤去と。オスプレイの配備の撤回と、この3点ですよね。ここで団結しているわけです。

ですから私たちの政策としても、ここでの団結を何よりも大事にして、第5の転換についてはまさに建白書実現ですね、これを日本共産党としても全面的に進める、というところに絞ったとご理解いただきたいと思います。その後には安保条約の廃棄、そういう大方針は明記されております。

「安倍政権打倒」が明記されていないのはなぜ?

記者:NHKです。1点お伺いします。「自共対決」と謳っていますけれども、昨日自民党が公約を発表しましたが、これについて受け止め、感想がありましたらお聞かせいただきたいのと。また以前、志位委員長は安倍政権打倒を呼び掛けていらっしゃいましたが、今回その文言が無いのは、なぜかということをお伺いしたいと思います。

志位:まず自民党の公約ですが、拝見いたしました。一言で言いますと、これまでやってきた国民の民意に背く数々の暴走をそのままやろう、というものだと思います。消費税については、1年半延期したら10%に必ず上げると明記されています。

それから、アベノミクスはうまくいっているんだ、と礼賛を自分でやって、そして引き続きアベノミクスは格差の拡大や景気の悪化などいろいろな問題を引き起こしているにも関わらず、その部分は目をつぶって、この道を暴走すると。

また原発については再稼働がしっかりと明記されておりますし、ベースロード電源ということも宣言されて、いつまでも原発にしがみつく、という方向がハッキリと出ています。

それから集団的自衛権の問題は、「集団的自衛権」という言葉はないんですけれども、事実上、法整備という形で、閣議決定を具体化する方策が述べられているのに加えて、自民党としての憲法改定案、これを国会に提起して実現するということが述べられていますから、こうなってきますと憲法9条の、特に第2項を削除して国防軍を書き込むと、とんでもない方向ですね。

辺野古の新基地については、(沖縄県知事選挙で)ああいう審判が下されたにも関わらず、粛々と進めるということが明記されています。ですから私たちが5つの転換と言っているどの問題も、これまでやってきた暴走の道をそのまま進むということですから、私たちは本当にこれとは正面対決をして、政治の転換を求めて頑張っていきたいと。まさに自共対決の選挙だと考えております。

それから安倍政権打倒の問題でありますが、これについては7月の私の記念講演でこの問題を打ち出した際も、提起の仕方としては、安倍政権打倒の国民的大運動を起こそうと。運動の提起として、この問題を出しました。

その運動の提起としては、安倍政権打倒の国民的運動を呼び掛け、安倍政権を追い詰める世論・運動を、国民とともに進めてきましたと。ですから、安倍政権打倒の国民的運動をさらに広げていくという立場はいささかも変わりありません。

ただ選挙の、審判の訴えとしては、安倍政権が行っている、ひとつひとつの国民の民意を無視した暴走に対して審判を下そう、いうことをこの政策では提起しております。

消費税5%への引き下げは今回争点にしない

記者:朝日新聞です。消費税増税の先送りをきっぱりと中止を、とあるんですが、他党のほうでは5%に引き下げを、という主張もあるんですが、共産党としては8%に、ということで宜しいんでしょうか?

志位:私たちは、今度の選挙での争点としては、10%への増税の中止、これを訴えております。

ただ私たちの将来的な方向性としては、消費税を廃止していくということを、私たちの財源提案の中には含んでいるんですね。今回は書いておりませんが、これは経済提言を2年前に出した折に、歳出・歳入の改革、経済改革、これを進めることによって財源を作り出していく、ということでいずれは消費税を無くしていく、という方向性を明瞭しております。

ですから私たちは消費税廃止という旗を、今でも明瞭に掲げているということです。ただ今度の争点としては、10%は許さないと、ここで審判を下そうということを訴えております。

基地配備に対する住民投票の是非

記者:(聞き取り不明)です。2点お願いします。1点目が、今出ていた沖縄の基地の問題なんですけれども、沖縄の与那国で、南西諸島へ自民党の配備を受け入れるかどうか、という住民投票の動きがあります。

共産党として、こういった国防だとか外交というのは一義的には国で判断することであって、住民投票で問うということについては、どのようにお考えなのでしょうか。

あともう1点は全く別の話なんですけれども、今朝のしんぶん赤旗でも292人ですか、小選挙区の候補者を発表されていましたけれども、過半数を目指せる政党、今回の立候補を見ると自民党と共産党さんだけで、他の野党は単独で政権を取るというほどの候補者を立てていません。

責任政党というのであれば、過半数の候補者を立てるというのが政治論としてはありなのかなと思うんですが、こうした共産党さんを除く他の野党があまり擁立がちゃんとしていない、というところについてはどのような問題意識を持っていらっしゃいますでしょうか。以上2点をお願いします。

志位:自衛隊の配備をどうするかというのは、沖縄県民の皆さんにとって非常に深刻な問題です。もちろん米軍の新基地を受け入れることは出来ないというのが沖縄県民の強い意志でありますが、やはり旧日本軍によるさまざまな犠牲を被ったという歴史が沖縄にはあり、ですから自衛隊に対しては強い批判があるわけです。

ですから私は、安全保障の問題や外交の問題があっても、その地域地域の民意を無視してゴリ押しすることは出来ないと。辺野古の新基地についても同様に考えております。

それから他の野党の擁立の問題については、あまり特にコメントすることはありません。これは党のそれぞれの判断ですから。

沖縄では全部勝ちに行く

記者:琉球新報です。擁立についてお伺いしたいんですが、共産党さんはいつも全選挙区擁で調整していて、前回選挙も(沖縄)2区については革新共闘ということで、自主投票を決めています。現段階で、(沖縄)1区から4区までたしか擁立の公認が出ていなかったと思うんですが、1区から4区の対応について、お願いします。

志位:これは明瞭な方針で対応します。沖縄1区ついては赤嶺政賢候補を公認で擁立しております。沖縄については、県知事選挙を戦った政党会派、勢力、それがその選挙戦の共同の枠組みを大事にして、今度の国政選挙も戦おう、という堅い意志の一致が勝ち取られました。大変嬉しいことです。

その結果、具体的には、1区は共産党の赤嶺候補、2区は社民党の照屋(寛徳)候補、3区は生活の党の(玉城)デニーさん。4区は仲里利信さん。新風会。自民党を除名された、県議会議長も務めてきた保守の方ですね。この4名の方の全員当選を協力してやっていこうというのが、沖縄の戦いです。

ですから共産党としては、公認候補は1区にしか立てません。2区3区4区は独自候補はたてません。ただ、1区も2区も3区も4区も、新基地建設反対の候補者の勝利のために全力をあげてがんばると。

多くの沖縄県民の皆さまの今の気持ちとしては、公約を裏切って新基地建設容認にまわった、自民党の4人の国会議員は全部落としたいと。NOの審判を下したいという思いが非常に強いですね。

ですから1区2区3区4区、全てで自民党に勝って、小選挙区で新基地建設に反対する、つまり建白書実現で頑張りぬく候補者が勝利を勝ち取りたいと思っています。沖縄の戦いは、新基地押し付けの勢力か、こういう戦いです。全選挙区で勝ちたいと思っています。

全選挙区へ擁立する意義

記者:東京新聞です。共産党として全選挙区で擁立することに意義、他の党というより、共産党としての意義を改めてお聞かせいただけますか。

志位:私たちとしては、今度の選挙で問われる問題は、先ほど言ったように安倍政権による暴走のストップ、そして日本の政治の5つの面での抜本的転換というのが、私たちの主張です。

で、この5つの転換を訴えることの出来る政党というのは、日本共産党しかありません。そして5つの問題それぞれについて、具体的に対案を示して対決するというのは、日本共産党しかありません。ですからやはり、今の政党状況のなかで日本共産党が躍進することが、安倍政権の暴走政治に一番痛烈な審判を下すことになるし、政治を変える力になる。

ですからそういう点では、全選挙区に(候補者を)立てて、国民の皆さまに堂々と選択肢を示す必要があるし、そして比例代表を中心に大いに躍進を目指しますが、小選挙区でも、全選挙区での勝利を目指して頑張りぬきたいと思います。

沖縄1区などでは、現実的に勝利の展望が赤々と出てきて、是非モノにしたいと思いますが、それ以外の選挙区でも今の組み合わせの中で勝利の可能性を最大限組み尽くして、小選挙区でも大いに戦いたいと考えております。

米価への緊急対策、その中味は

記者:日本農業新聞です。農業の関係で、米価への緊急対策ということを今回掲げられましたが、こういったことを掲げられた意味を改めて伺いたいのと、あと緊急対策の具体的な内容が決まっていましたらご説明お願いします。

小池晃氏:米価の暴落は全国を周っておりましても大変深刻な声が寄せられておりますので、これは農業立て直しの緊急課題として位置づけて、今回提起をしております。

余剰米の買い取り、それから民主党政権が定めた補助金を、自民党政権が半減とやりましたんで、これを直ちに元に戻す、こういった形で緊急の米価暴落対策をやっていくということで、農業を支えながら、抜本的には価格保証・所得保障、我が党がこの間訴えてきた中味で、自給率向上と合わせて日本の農業の再建を図っていく、ということを示しました。

(会見終了)