起業家たちが語る、大企業での衝撃エピソード

溝口勇児氏(以下、溝口):衝撃的な出来事ですか、なんですかね……。前職の時に中間管理職だったんですけど、僕が上司の言うことを全く聞かない社員だったんですね。役職でいうとチーフって管理職だったんですけど。言うこと聞かなくて、反発ばかりしてたんです。

ある時社員が、会社の窓ガラスを割ったんですよ。僕の部下が。そしたら僕が降格させられたんですよね。これは生意気な溝口を降ろすチャンスだと。それが結構大きくて。

その会社って役職で必ず呼ばないといけないんです。そうすると役職でずっと呼ばれていたのが、下げられたら呼称が変わって目線が同じになるんですよ。チーフって呼ばれてたのが◯◯さんって。年上の部下ばっかりだったんで、敬称で呼ばれてたのがいきなりくんづけになったりして。結構衝撃的でしたね。

小林雅氏(以下、小林):理不尽な話ですね。他に理不尽な話とかありますか?

池谷大吾氏(以下、池谷):(挙手)

小林:お! きたきた。盛り上がってきましたね。

池谷:サイバーエージェントグループに転職するキッカケになった、上司との飲み会ってのがあって。僕、5年くらい働いてだいたいいろんなことできるようになってきて、ふと疑問に思ったことがあって。

コンサルタントなんでお客さんがいらっしゃるんですね。僕、お客さんの評価ものすごくよかったんですよ。HPは外資なんであんまりお客さんに合わせないんですが、僕が褒められたのは、早起き得意なんで、お客さんより早く行くってのをずっと4年くらい続けてたんです。

うちの上司は10時ごろちんたらやってきて、僕に上司の悪口を言うんですよ。「なんであの人あんな遅いの?」って。でもダントツで給料いいし、ってこう不満があるんですよ。なんなんだあんたは。で、飲み行こうよって飲みにいって。

まさに吉田さんの話じゃないですけど、このままちゃんとやってれば30で課長になるし。僕が25歳くらいの時、40歳くらい上司が「俺、家買ったんだよ。柿生に」って。柿生って小田急線ですよ、どうでもいいんですけど。

僕からすると40歳で、そんな夢語られても嬉しくもなんともないんですよ。レールが魅力的に見えない。ビバリーヒルズに10億くらいの別荘建てるとかならまだしも……どうでも良い話ですけど。ほんとそんな感じですよね。

ビジネスが比較的歯車でまわるようにできてるので、基本乗っかれっていうのが大きくて。そのほうが会社としても安定がとれるってことですよね。

池谷:僕らスタートアップは 景色がどんどん変わって行く。そこに入っちゃうとそこでしか生きられない人間になっちゃうよねって。

今ってみなさんご存知の通り、大企業でも安定の時代ではないじゃないですか。だからそこ仕様の人間になっても、全く意味がない。いばらの中でもどこでも生きて行けるようになるには、景色が変わるところにいた方が、生きる力にはなると思うんですよね。

まさに衝撃的な飲み会で、飲んでても全然酔わないような。酔わなくて、僕も早く帰りたくて「はいはい」って言ってたらどんどん家の自慢が出て来て、「風呂にこだわったんだよ」とか。それは衝撃的でしたね。

うつ病になる大企業、ならないスタートアップ

小林:僕も衝撃エピソード、言っていいですか。僕はまともっていうか結構外資のコンサルとかプロフェッショナルとかファームとかで、ほとんど上司の愚痴とかなかったんですけど。衝撃的な出来事が六本木ヒルズでありまして。僕はよくエレベーターとかで耳をすまして聞いてるわけですよ。

六本木ヒルズの森ビルのエレベーターで二人のビジネスマンが語ってたのが面白くて。「あのさ、村松ってケチだよなぁ」って。村松って人が出てくるんですけど。何かなって聞いてたら、飲み会で一人2000円を払わされたみたいな話をしててですね。

「2000円くらいおごれよな。10人くらいだろ。一人2000円で10人で2万だろ2万。あいつ給料いいんだからおごれよな」って愚痴を言ってるサラリーマンがいまして。

「おまえさ、そんな行きたくない飲み会いかなきゃいいじゃん」って話と、「2000円くらい払えばいいじゃん」って話があってですね。こんなしょうもない愚痴を、だれが聞いてるともわからないエレベーターで話してるやつがいるっていう衝撃を受けまして。

意外と大企業とか、居酒屋行くと愚痴言ってる人いるじゃないですか。すごい不幸だなって思うんですよね。なんでこんなに不幸なんだろうって。で、そういう愚痴を言ってると、自分の将来がものすごく暗くなってくるんですよ。なんで、そういう生活をしないようにするにはどうすればいいか考えないと。

給料がいくら高くても、飲み会で愚痴を言ってる人って不幸だと思うんですよね。思います? 思いますよね。サークルとかでもいるじゃないですか、愚痴しか言わないやつ。そんな文句言うなら自分でやれよって思うんですけど、そういうのは意外と治らないんですよね。あ、実は愚痴しか言ってない人ってどれくらいいます? ほぼメンタルの問題なんで。

溝口:僕思うんですけど。大企業出身の人、大企業で働いてる人って鬱って多いじゃないですか。ベンチャー周りで鬱って僕聞いたこと無いんですよね。はっきりいって大企業より圧倒的な時間働いてると思うんですよ。圧倒的にみんな働いてると思うんですけど、全然鬱とかにはならなくて。やっぱり時間数じゃなくて、生き生きワクワクやれる場所。

たぶんここにいる皆さんの会社そうだと思うんですけど、うちの会社だと毎日文化祭みたいな感じなんですよね。うちの会社って大きな会社落ちて来たやつとかいるんですけど、多分大企業に入社できる人って相当良いもの持ってるできた人ばかりだと思うんですよ。それが5年10年、愚痴ばっかりの上司の近くにいたがために、どんどんポテンシャルがけずられてしまって、つまらない人材になった。

さっき吉田さんがおっしゃられたことでほんとそうだと思ったんですけど、サイバーとか楽天とかのアーリーステージからいる人ってみんな活躍してるんですよ。その人たちがみんな優秀だったかっていうとそうじゃなくて、エネルギーが高い場でみんなワクワクしながら働いてて、そのコミュニティに所属して皆で切磋琢磨してきたからなんですね。

そういう意味では僕は、大きい企業ってどうなのかなって、どうしても思っちゃうんですよね。

小林:その通りだと思います。僕ね、大学時代にサッカーサークルを作ったんですよ。僕東京大学なんですけど。年に一回OB会ってのを開くとですね、歴代の東京大学卒のあらゆる職業がいるわけですよ。某有名銀行とか、某有名証券とか。だいたい日本の大手企業を網羅するくらいいるんですけど。僕は創業者なんで、いろいろ聞くんですよ。みんな何やってんのと。

ほぼみんな愚痴しか言わないですね。エリート路線行ってるけど、このままでいいんだろうかって。もう30歳になるんですけど、転職したほうがいいんですかね、どうですか小林さんって。そんな思うんだったら転職したらいいじゃん。でもうーん……みたいな。そんなに悩んでるんだったら俺に相談するなよと。俺に相談したら「やれ」としか言わないだろ、みたいな。

でも意外にそういう人が多いですね。ほとんどの人は、上司がイケてないとか、周りが馬鹿ばっかりだとか。お前が選んだ環境だろと。環境のせいにしがちですね。自分で選択できない選択を繰り返してしまうと、そうなってしまうんだなって思うんですよ。皆さん、今通っている大学をつまんないって思ってる人どのくらいいます? 逆に楽しいって人は? 楽しくないですよね、大学。

でも自分で選んだ道なんですよ。親に大学行けって言われたとか、いろんな学力の差とかありますけど、でも行くって決めたのは自分ですよね。でも大学つまんないですよね。それって教育って、高校までもそうだと思うんですけど、授業があって、それをうけて、それでやっていると。で、選択に特に疑問を持たずにうまくやっていけば、良い人生になるんじゃないかと。

でも実は現実は甘くなくてですね。何やったらいいかわかんないみたいなことになるわけじゃないですか。大学選ぶの簡単でしたよね。選ぶ基準で何が一番重要なのかって。偏差値なんですね。偏差値が高いのがよさそうだと。だから偏差値ロンダリングってのが起きてて、AO入試を増やしたりいろいろするらしいんですけど。大学の経営ってそうなんですよ。

だから皆さん、実は騙されてるんですよ。実は良い大学入ったと思ったけどそうでもないっていう。自分の人生リセットして、新しく生きて欲しいなっていう。僕話し過ぎですか?(笑)

10年間の差を埋められる可能性があるインターネット社会

小林:残り5分くらいになったんですけど、話したいトピックってありますか?

佐々木:(挙手)

小林:お! きたきた。何ですかこの積極性。

佐々木:話を聞いてなんとなく思いついたんですけど。昔のコンテンツって、例えば良い車をどう作るかなんて、外に出てなかったんですよ。けど今は仕事に必要なことはたいてい、インターネットで検索すると出てくるんですね。10年くらい経験してる人と同じくらいの知識量を持てる可能性が、実はあるわけです。

昔、例えばベンチャーキャピタルってどんな仕事なんですかって小林さんのブログしかなかったのが、検索すれば、とてつもない数のベンチャーキャピタリストが、こういう仕事だ! とかいっぱい書いてるわけですよ。

で、それをどうやって最大限活用するかというと、日本語で検索しちゃだめで、英語で検索するんですよ。英語で検索することで、今まで日本では「すごいね」って言われてた人たちの裏技が、全部書いてあるんです。

じゃあこれって経験大事ってわけじゃなくて、知識はインターネット上に出てますと。じゃあそれをどう料理して、実行に移せるか。それがこれから必要になってくるスキルなんじゃないかなと思ってて。

そうなると、この人は何年やってるとかもう関係ない世界になってくるわけですよね。さっきの自発性ってとこと関係あるんですけど、なんかこれ面白いって思ったら自分で調べて、いつの間にか世の中の10年選手に追いつくことができる。そういった世の中であることをすごく活用してほしいな、っと僕個人では皆さんへのメッセージとして思ってる。

あと本当に英語で検索するってのは重要で、全然違う観点からいうと。ちょっと前に、なんで人間と馬の子供はできないんだって話をしてて、日本語で検索すると、そんなものはできないと。英語で検索すると、できるって書いてあるの。でもそれは倫理的にやってはいけないことですって書いてあるの。

吉田:できるの!?

池谷:それは遺伝子操作とかの話ですよ。やろうと思ったらできるんですよ。

吉田:へー。英語やったほうがいいですね。

池谷;そうですよ!

小林:吉田さんは猛勉強中。

池谷:そこの壁を超えないといけない世の中になってるんじゃないかな、っと思ってます。

やりたいことを必ず実現する方法

小林:はい。何か言っておきたいって人は。

山本:(挙手)

小林:お。すごい積極的ですねこの自発性の話。

山本:本当に、自発性とか当事者意識とかだと思うんですけど、さっき「愚痴が」って話あったと思うんですけど、僕、1年くらいで売り上げに飽きて、1年くらいぷらぷらしてた時期があったんです。

昼間から新橋で飲んでると、おじさんたちが日本の政治がどうだどうだとか言ってるんですけど、多分彼らは投票とか行ってないと思うんですよ。愚痴言ってるだけで。環境のせいにしているだけで自発的に何も動いてないと思うんです。それだったらまず働きなさいと。

意識の高い国民じゃないけど、国も会社みたいな物なので、自分自身から動くことから始めようと思ってて。愚痴を言ってる会社員もそうなんですけど、自分で始められることってあると思うんです。自分で始めようと思っても始められないの繰り返しで、だんだんそうなってくと思うんですけど。

そうなってくると人間全然前向きになれないし、走れないし、で結果的に成長しないっていうフェーズに入ってしまうと思うんで。僕ののんべんだらりとしてた1年なんて、本当になにも成長しなくてですね。今思い返しても他にやれることはあったなと思うんですよ。

小林:脂肪が増えたとか。

山本:もう本当に脂肪が増えたとか、ゲームを2周やり直すとか、そんなくだらない1年だったなと。例えば愚痴を言って、走っていない、環境のせいにしてる一年間をものすごく努力すれば、例えば英語だってできるようになるし、スキルだけじゃなくていろんなキャリアや知識って積み上げられるので。

自発性をもとめられるベンチャーって走らざるを得ないのね。という意味ではすごくいいのかなって思ってます。

小林:ちなみに、やりたいことって実現できるんですよ。自分がやると伝播します、必ず。最近溝口さんの影響でダイエットブームを起こして、ダイエットについて熱く語ってたんですよ。そしたら彼の売り上げに貢献しまして。

僕の影響でダイエット始めるって人多いんですよね。単純に僕やってみてすごくよかったんで、これで健康になったほうがよかったんじゃないかなっと思って投稿してたら、自然と影響されてる人がいるんですよ。

ヒューマンライツウォッチっていう人権団体があるんですけど。ガザで爆撃がおきて子供が死んでるとかあるじゃないですか。ああいうのよろしくないなと思って。僕自身は防ぐことができないけど、防ぐ団体は支援できるなと思って、チャリティオークションをいろいろやってたんですよ。

2年くらい前は僕1人しかヒューマンライツウォッチのチャリティーディナーに参加してなかったんですけど、今はテーブルが2つ3つくらいになるんですね。寄付金も何百万円ってあつまって、それが活動に貢献すると。

自分が興味あることをシェアするだけで、たまに興味持ってくれてる人が行動に移してくれるという、影響力がある人が周りに多いってのもあるんですけど、それだけでも世界は変えられると。皆さんも道端でゴミを拾うだけで違うんですよ。

あ、あと電車とか乗るじゃないですか。僕ダイエットしてるので階段歩いてます。でもほとんどの人ってエレベーターとかエスカレーター使ってるんですよ。階段使ってる人どのくらいいます? 階段とエスカレーターあったらほとんどの人がエスカレーター使ってるんですよ。それ筋肉使ってないんですよ。退化してますよね。

でもほとんどの人がエスカレーター使わずに階段上ってたら、階段上りますよね。なぜなら人間って、身の回りのものに影響されるんですよ。階段の方が健康にいいんです。で僕の話聞いたら階段歩くでしょ。だって歩かなかったら筋肉落ちるんですよ。そしたら何もできなくなります。

でもこうやって「いいですよ」って言うことで階段歩くようになって、国の社会保険料が減るんですよ。だから大事です。意識の高い国民。そういうことをやれば変わっていくし、ベンチャーが自発的に動いてるってのは、ベンチャーはそういう社員が働いてるから輝いてるんですよね。環境が大事。だからこういう5社に来ていただければいいんじゃないかという。

吉田:ちょっと補足なんですけど。今日ダイバーシティな感じでいろんな人が来てるんですけど、学生から役員になったメンバーもいます。他の社員でいうと、東大の文学部出てUFJに就職して2年目でうちに転職してきた高田と、九州工大出て楽天で6年働いてうちにきた長野がいます。結構多様なキャリアが多いので、ぜひ話を聞いてみてください。

毎日「新大陸」を見つけられている

小林:最後一言ありますか?

溝口:僕、ベンチャーって本当に面白いと思うんですよ。僕自身が中小企業に長くいたってのもあって、何が面白いかって、毎年毎年、当時からは到底想像出来なかった自分になれてるんですよね。前の会社辞めた理由の大きな一つが、5年後10年後が見えちゃうんですよ。このまま5年間一生懸命働いて、どこにいくか見えちゃうんです。

僕もゲーム好きなんですけど、ドラクエとか、ファイナルファンタジーとかで、新しい大陸行くときのワクワク感ってすごいじゃないですか。ベンチャーやってて思うのが、毎年毎年というか、毎日毎日常に次の大陸にいるんですよ。まったく想像できないところに。そしたらものすごい技を覚えたりとか、ものすごい自分を見つけたりするんです。それが楽しくてしょうがなくて。

IVPのこれに来てるってことは、相当に感度高いと思うんです。そういう意味では他の学生を置いてってると思うんですよね。だからせっかくなので、なにかチャレンジして欲しい。この中から3年後に世の中に大きな影響を与える人がきっと出てくると思うんです。そういう意味で、その可能性を殺さない生き方を選択して欲しいなって僕は思いますね。

池谷:皆さん、今日は大学の授業聞くみたいに聞いてると思うんですね。メモとってる人もいますし。1つだけアドバイスすると、いつも以上に今日はもう半歩くらい、頑張ったほうがいいです。なんかアクションしたほうがいいですよ。わざわざ土曜日に来てるのに。

大学の講義なんて出席すればいいじゃないですか。出席が目的じゃないですか。でもせっかくこの場に来たんであれば、チャンスだと思うので。

ここに大企業さんが来てるんであれば、そのまま出席して帰るのもいいですけど、僕からのお願いは、いつもと違うチャレンジを1つして帰ること。このお兄さんたちと話してみるのもよし。ただの座学で帰るのはちょっと勿体ない気がして。

1つアドバイスをします。いつもと違うことやったほうがいい。誰かと話すとか、話しかけにくい人は吉田さんと話すとか。誰でもいいんですけど、誰かと話して帰ったほうがいいかな。若手の社員や皆さんと年が近い人もいるので、ぜひ会話して帰るといいかなって。刺激受けたほうがいいかなって。

小林:ありがとうございます。