大企業と富裕層への課税強化などで、20兆円の税収増は実現できる

志位和夫氏:総選挙の日本共産党としての政策を発表させていただきます。このような形で、まとめております。

まだこれは仮のものですが、後でキレイな印刷になってご覧いただけることになると思います。

それでは中心点を私のほうから説明させていただきたいと思います。まず冒頭に、総選挙に臨む基本姿勢が述べられております。今度の総選挙、どういう争点で我々戦うかということですが、安倍首相のほうは「アベノミクス解散」と言って、もっぱらアベノミクスに争点を絞ろうという動きだと思います。

しかし国民が関心を持っている問題は、アベノミクスだけではありません。消費税の問題、集団的自衛権の問題、原発再稼働の問題、あるいは沖縄新基地建設の問題。その全体が争点になる。私たちは今度の選挙、安倍政治の全体を問う選挙にしていきたいと思います。

そして日本共産党の躍進で、安倍政権の暴走ストップの審判を下し、国民の声を生かす新しい政治を作ろう、ということを呼び掛けて、躍進を期したいと考えております。

総選挙政策では、日本の政治の5つの転換、ということを訴えております。まず第一は、消費税10%は先送り実施ではなくキッパリ中止を、そして消費税に頼らない別の道への転換、ということです。

今、深刻な景気悪化がおこっております。GDPが二期連続マイナスという、深刻な不況が起こっているわけでありますが、何故起こったのかといえば、円安による物価上昇に加えて、何よりも消費税8%を強行したという、増税不況にほかなりません。

これをまず指摘するとともに、この8%への増税を実行した人たちというのが、3党合意を進めた自民・公明・民主、3党が責任を負っている。ですから3党への審判が必要だということを、呼び掛けております。

そのうえでこの消費税をめぐる争点としては、安倍首相が1年半先送りしたあとは、景気がどうあろうとも、いわゆる景気条項を外した、と断言したという状況のもとで、消費税10%は先送り実施でなくキッパリ中止を、ということを大いに訴えて戦いたいと思います。

この10%を先送り実施していいのか、それとも中止なのか、これが選挙戦の大争点になってまいります。

そのうえで我が党の政策では、消費税に頼らずに財源を確保する、2つの改革の提案を行っております。この部分は、消費税に頼らない別の道、日本共産党の財源提案、という形で、まとまった政策を本日発表いたします。

ひとつは、富裕層や大企業への優遇を改め、能力に応じた負担の原則を貫く税制改革を進めることです。法人税減税のバラマキの中止、大企業への税制優遇の是正、所得税・住民税・相続税の最高税率を引き下げ前に戻すこと、証券税制を強化すること、富裕税の創設、等々の改革を実施することによって、それと歳出面の浪費を正すことと合わせて約20兆円の財源を確保する、というのが第一の内容です。

それから第二の内容は、大企業の285兆円にのぼる内部留保の一部を活用して、国民の所得を増やす経済改革を行い、税収を増やすと。人間らしく働ける雇用のルールを作る、等々の、大企業に滞留している285兆円のお金が、国民の所得、そこのキチンと還流するようなルールを作っていくことによって、所得を増やし、そのことによって税収を増やす、ということが2つ目の提案です。

私たちの試算では、このことをしっかりやることによって2%台の名目成長が達成できる、10年間で20兆円の税収増が実現できる、ということを試算しております。

ですから応能負担に基づく税制改革で20兆円、それから国民の所得を増やす経済改革でプラス20兆円、合わせて40兆円くらいのお金は、政治の姿勢を抜本的に変えれば作ることができる。これを社会保障の充実、あるいは財政再建に宛てていこうじゃないかと。ですから消費税に頼らなくても、別の道で財源確保することができますから、安心して増税中止の声をあげよう、ということを今度の選挙では訴えていきたいと思います。これが第一の転換の中味です。

日本経済立て直しへ3つの提案

それから第二の転換は、格差拡大のアベノミクスストップ、暮らし第一の経済への転換で日本経済を立て直す、ということであります。それでアベノミクスが何をもたらしたか、と。これがもらたしたのは、格差拡大と景気悪化だけだったということは、これは疑いのない事実になっていると思います。

そういうことで、じゃあどこが争点かと言いますと、安倍首相が繰り返しているように、そういう状況のもとでも、なおも大企業が儲ければ、いずれは国民の暮らしに好影響を与える、いわゆるトリクルダウン理論にしがみついて、大企業の応援を続けるのか、それとも国民の暮らしを直接応援して、経済を良くしていくのか。

雇用・社会保障・農業・中小企業、ここを支援して、国民の暮らしを直接応援して経済を良くしていくのか、これが対決姿勢になってまいります。私どもの政策では、大企業応援から暮らし第一に経済政策の軸足を移す。この転換によって日本経済を立て直そうという方向を太く示し、具体的には3つの提案をしております。

第一は、人間らしく働ける雇用のルールを作ることです。特に、非正規から正規への流れを太く作っていく。労働法制の規制の強化、それが1つ。それから、長時間の過密労働を法律によって規制し、過労死を無くしていく。あるいはブラック企業、ブラックバイトをしっかりと規制していく。あるいは、中小企業への支援と一体に、最低賃金を抜本的に引き上げる、こういう改革を進めていきます。

第2の提案は、社会保障の連続削減ストップ。暮らしを支え、人間としての尊厳を守る社会保障の充実を図っていく、ということです。

特に年金の問題は深刻ですが、年金削減をストップし、低年金を底上げし、減らない年金、頼れる年金を実現する。それから高すぎる医療費の窓口負担、国民健康保険料の負担、これは日本中で大問題になっていますが、国の責任で軽減の措置をとる。

特養ホームの待機者、あるいは保育園の待機児童、国の責任でしっかり民間保育園などを増設して、ゼロにしていく。それから教育費負担の軽減を進めます。有利子奨学金の無利子化、給付制奨学金の創設、安心して使える奨学金にする、少人数学級の推進、こういう問題も併せて取り組みます。

3つ目は、TPP交渉からの撤退。農林漁業、中小企業と地域経済の振興であります。

特にこの点では、暴落している米価対策にしっかりと取り組むこと。農業については、安心して農業を続けられる価格保証と所得保障によって、日本の農業を再生するという方策が述べられています。

加えて中小企業の問題については、中小企業を日本の経済の根幹として位置づけて、一部の中小企業ではなくて、中小企業全体を視野に入れた振興策をとっていきます。国の中小企業の予算を1兆円に増額して、内面的な支援ができる体制を作っていきます。それから外形標準課税の拡大による中小企業増税には、断固反対です。

この3つを、暮らしを応援する手当をとっていきたい。雇用の問題、社会保障の問題、そして農業・中小企業の問題。この3つの点で暮らし応援の政治を行うことによって、日本経済を内需主導の健全な成長の軌道に乗せて、経済を立て直していこうというのが、私たちの、アベノミクスの路線に対する抜本的対案であります。

それから、東日本大震災からの復興、災害に強い社会、という問題を一項たてております。特に、被災地で一番問題になっているのは、個人財産の形成なる支援は行わないと、旧態依然とした災害対策の原則に縛られて、いろんな施策がうまく前に進まない。この壁を取り払っていく必要がある。

被災者生活再建支援法も、300万円から500万円に引き上げ、半壊も増額していく。こういう方向を打ち出しております。

9条の精神で平和と安定を

第3の転換は、海外で戦争する国づくりを許さず、憲法9条の精神にたった外交戦略で平和と安定を築くということです。

我が党の国会論戦を通じて、集団的自衛権行使の現実的危険は、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような戦争に際して、自衛隊と米軍が戦地まで行って一緒になって戦争を行う、これにあることはすでに国会でも明らかになりました。

私たちとしては、日本を殺し殺されの国に作り変える、憲法違反の集団的自衛権行使の閣議決定の撤回を求めます。それから、日米ガイドラインの再改定、あるいは閣議決定を具体化する法改悪、閣議決定具体化の一切の作業を中止することを求めます。それから、国民の目・耳・口を塞いで戦争に動員する秘密保護法はキッパリ廃止に、というのが私たちの主張であります。

そしてこの問題での抜本的対案としては、私どもが党大会で打ち出したように、憲法9条の精神に立った外交戦略として、北東アジア平和協力構想というものを提唱しております。

4つの目的と原則からなるものでありますが、一言でいいますと、ASEANの国々、東南アジアの国々が取り組んでいるような、東南アジア友好協力条約、TACというのがありますが、紛争を話し合いで解決する、平和の枠組みを北東アジアにも構築しようと。これが私どもの北東アジア平和協力構想の提唱でありますが、ぜひこれを促したいと思います。

この間国内外で、この提唱を広げる取り組みをしてまいりましたが、この方向にこそ、この地域の平和と安定を築く本当の道があると、憲法9条にたった本当の平和な外交戦略がある、いうことを大いに訴えて、選挙戦を戦いたいと思います。

原発ゼロの日本を実現する

第4の転換は、原発再稼働ストップ、原発ゼロ日本への転換です。まず私たちは、原発再稼働に反対です。これは、だいたい福島の事故の収束が出来ていない、原因究明も出来ていない、こういう下での再稼働は論外ですし、今問題になっている川内原発をとっても、巨大噴火への備えがない、避難体制もない、そういうもとでの再稼働というのは全く無謀です。

まず私たちは、無謀な原発再稼働に反対します。原発輸出にも反対します。この立場を明瞭に述べております。

それから福島切り捨てを許さず、全ての原発被災者に、国と東電の責任で必要な支援を行うと。今収束の問題でも賠償の問題でもあるいは助成の問題でも、上からの線引で切り捨てていこう、という被災地切り捨ての動きが起こって、そして現地の大変ないろんな軋轢な矛盾を引き起こしています。

これは、被災者を分断する上からの線引を押し付けるのではなく、完全賠償と徹底した助成を最後まで責任持ってやるということを、強く提起しています。

それから、原発ゼロの日本にこそ未来があるということを、最後に訴えております。私たちは再稼働をせずに、原発はそのまま廃炉のプロセスに入るということを提唱しておりますが、そういう即時原発ゼロの政治決断をやっていくことが重要だと。

これはあの、稼働原発はすでに1年2ヶ月にわたって0になっています。この間、国民の努力で省エネが行われて、原発13基分にあたる、と言われています。ですから日本の社会というのは原発なしでも立派にやっていける、というのがすでに証明されたというのが、この間のことだと思います。

そしてドイツの例を引用してありますが、ドイツでは再生可能エネルギーが2000年には6%だったんですが、今年は28.5%まで急速に普及しております。

グッと伸びたのは、3.11を受けて原発ゼロをハッキリ国策としてもより明確にして、それが再生可能エネルギーの急増につながっている。ですから、再生可能エネルギーへの大転換、原発ゼロの日本というのは実現可能なんです。ゼロの決断をやってこそ、そういう再生可能エネルギーへの大転換の道がドイツでやっているように開かれる、ということを大いに訴えて選挙戦を戦いたいと思います。

沖縄基地問題について

第5の転換は、沖縄の新基地建設を中止し、基地のない平和で豊かな沖縄への転換であります。この問題は、(11月)16日に行われた県知事選挙で、新基地建設の反対を訴えた翁長雄志さんが圧勝しました。県民の意思は、もう疑いようのない明白なかたちで下され、示されました。

ですからこの意志を受け止められるかどうか。日本の政治が問われます、日本の民主主義が問われます。これを無視して基地(建設)を強行するというのは、民主主義の国家では許されないことだと訴え、私たちとしては、新基地建設ストップ、普天間基地の無条件撤去、貴重な平和で豊かな沖縄、そしてオスプレイの撤去、こういうことを強く選挙戦で訴えていきたいと思います。

以上5つの転換を、選挙戦では太く訴えて戦いぬきたいと思います。

政策ではそれに加えてプラスワンの提起を盛り込みました。

企業団体献金の禁止、政党助成金制度の廃止。これを5つの転換プラスワンとして盛り込みました。これは転換というよりも、政党と政治家の基本姿勢が問われる大問題だと思います。この間の一連の政治とカネの問題。やはり根源にあるのは、その元根になったのは、原資となったのは、企業団体献金であり、政党助成金です。これこそ政治を腐らせる根源ではないか。ですから、この是非は選挙戦の大争点として問うていきたいと思います。

この問題に関わって、いわゆる身を切る改革論というものが一部野党から提起され、与党も同調する動きがあります。この身を切る改革論というのは、いわば消費税の増税をやるんだから、やる以上は国会議員の定数を削減する、という議論なわけですね。私たちはこの身を切る改革論というのは、二重に間違った議論だと言いたいと思います。

第一に、この議論というのは結局、国会議員の定数削減と引き換えに、消費税増税を押し付ける議論です。自分たちが身を切るんだから、国民も増税を我慢しろという、増税押し付け論です。これがひとつ。

もうひとつは、国会議員の定数を削減し、とりわけ比例定数を削減するというのは、国民の民意が国会に反映しなくなる、民意の切り捨てだということです。

ですから、身を切ると言いますが、切られるのは国民の暮らしであり、国民の民意だ、ということを言いたいと思います。本当に政治の特権を正す、というならば、憲法違反の政党助成金こそ廃止すべきだ、ということを大いに訴えていきたいと思います。

いよいよ「自民vs共産」の姿が鮮明になってきた

最後に、日本共産党の躍進こそ安倍政権の暴走をストップし、日本の政治を変える一番確かな力だ、ということを訴えております。

日本の政治の5つの転換、ということを申し上げましたが、この5つの転換のどの問題でも、安倍政権の暴走に正面から対決し、抜本的対案を示し、国民との共闘で政治を動かしているのは、日本共産党です。

ですから今度の選挙は、自民党対日本共産党の対決、自共対決がいよいよ鮮明になってきた、と私たちは考えております。

この点に関わってもう1点、最後の政策の訴えでは、日本共産党を伸ばせば、日本の政治が変わるということを大いに最後呼び掛けております。特に、昨年の参議院選挙での日本共産党の躍進は、日本の政治を変える大きな力となって働いています。

私たちは参議院で得た議案提案権を活用して、ブラック企業規制法案を提出しまして、現実にブラック企業を無くす方向での変化を作っております。厚生労働省にいろんな対策に乗り出させるような力を発揮しております。

それから秘密保護法廃止法案も提出しまして、第一歩ではありますが、この悪法撤廃の力になっていけると思います。ですから、参議院ではそういった変化が起きていますので、今度は衆議院でも日本共産党を大いに伸ばしていただくことが、日本の政治を変える一番確かな力になる。

日本共産党を伸ばせば、日本の政治が必ず変わりますということを大いに訴え、選挙戦を戦いたいと思います。

総選挙政策では最後に、そのうえで日本共産党というのはどういう党なのか、未来に責任を負う持つ党だということを、綱領という未来への確かな羅針盤を持っていること、92年の反戦・平和を貫いた確かな歴史を持っていること、そして草の根で国民と結びつき、国民とともに未来を切り開く政党だということ。

歴史・草の根、この3つの特質を最後に訴え、日本共産党への支持をお願いしております。私のほうからは以上ですが、後はご質問があればお伺いします。