会社概要

近藤季洋氏(以下、近藤):本日は弊社のIRミーティングに足をお運びいただきまして、誠にありがとうございます。私は代表取締役を務めている、近藤と申します。本日はよろしくお願いします。

簡単に私の自己紹介をさせていただきますと、1975年生まれで同志社大学の経済学部を卒業しまして、1998年に日本ファルコムに入社いたしました。2006年に取締役を経まして、2007年の7月に代表取締役に就任させていただいております。もともと、ゲームの開発の現場の人間でございまして、オタクですから喋るの苦手なんですけども、本日はよろしくお願いいたします。

社名は日本ファルコム株式会社で、事業内容がゲームソフトの開発・販売、それから音楽ソフトの制作・販売、ライセンス事業となっております。このあたりにつきましては、具体的には後ほどご説明申し上げます。従業員数が、ただいま57名となっております。創業以来、立川市で運営をしております。

事業内容について

それではさっそく、弊社の根幹となっている事業内容につきまして、簡単に短い時間ではございますが、説明させていただきます。

弊社は主に、ロールプレイングゲームの制作と販売を手がけております。

ロールプレイングゲームというのは、ゲームの中でもメジャーなジャンルでございまして、『ポケットモンスター』とか『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』といった有名タイトルなどが、ロールプレイングゲームといったジャンルになっております。

基本的には主人公を操作して戦いながら、成長して物語を進めていくといったゲームジャンルになります。弊社は昭和56年の創業から37年間、現在に至るまでこのロールプレイングゲームを作り続けております。

ゲーム業界の中では、いわゆる老舗という呼ばれ方をしておりまして、規模も大きくないんですけれども、少数精鋭で長年ゲーム(事業)を進めております。主に、『軌跡』シリーズ……『空の軌跡』『閃の軌跡』とか、『軌跡』っていうタイトルがつくゲームがあるんですけれども、その『軌跡』シリーズ。それから、『イース』シリーズです。

こういったタイトルが長い期間、とくにイースシリーズなどは、30年に渡ってシリーズ(が展開)されているタイトルでございまして、弊社のソフトを買っていただくお客さまの中にリピーターの方が非常に多いというのが、大きな特徴となっております。大きく、グラフィックの技術であるとか、ゲームの規模であるとか、大手のものにはなかなか正面から太刀打ちできるものではないんですけども、内容・シナリオとかキャラクターとか、言語などの工夫であったり、そういったところで評価を得ている会社になります。

それから、音楽ソフトの制作・販売でございますれども、こちらは、ゲームの音楽になります。当然、ゲームを制作すると音楽というコンテンツが含まれます。弊社のタイトルにつきまして、ゲームミュージックの評価が非常に高く、弊社の曲が好きでゲームを買っているというお客さまも、たくさんいらっしゃいます。

もともとゲームの音楽というのは、音楽のジャンルとしては30年前は認知がなかったんですけれども、そこからキングレコードさんと組んで、ゲーム音楽レーベルを立ち上げたというのは、弊社が日本で初めてとなっております。

そこから、現在にいたるまで楽曲の制作(にあたり)、すべて自分たちで案件を管理しまして、現在までに4,873曲を所有しております。これらの音楽を使って、ライブやイベントを開催したり、CDそれからダウンロード販売といったところで、大きく売上にも貢献しております。それから音楽というジャンルに落としまして、ユーザーさまの囲い込みに役立っているという状況にございます。

それから、3つ目の事業としましては、ライセンス事業です。こちらは、当社が制作しましたゲーム用キャラクター、それからイラストを使った商品でそれぞれ各社さまにご提案・商品化していただいて、使用料をいただくといった事業になります。

具体的にどういうものであるかとご説明申し上げますと、例えば弊社の場合は「PlayStation」でゲームを作っておりますけども、それ以外の任天堂さまの「Nintendo Switch」や「3DS」といった、他の家庭用ゲーム機への移植です。こちらのライセンス事業になります。

もともとのゲームのリソースを提供して、「PlayStation」以外のゲーム機で出していくと。それから、ブラウザ・スマホアプリなどのプラットフォームへのゲーム展開です。こちらも同様に、弊社のゲームの世界観であるとかゲームそのものを、スマートフォンなどに利用(できるように)することで、使用料をいただいております。

それから、最近とくに売上が伸びておりますのが、海外向けの翻訳版です。こちらもライセンス事業の一部となっておりまして、とくに近年では北米と、アジア……具体的には台湾、それから香港、それから韓国。主にこの3つのエリアで、販売をしております。

それから、ちょっと細かくはなるんですけども、ゲームの攻略本であるとか、それからゲームの内容を漫画化したコミックなどの出版物です。それから、フィギュアやTシャツなどのグッズ販売を受託しておりまして、これらのものにつきましては、使用料がそのまま利益に直結いたしますので、利益率100パーセントの高収益な事業となっております。

日本ファルコムの特徴・強み

続きまして、弊社の特徴と強みについてご説明申し上げます。先ほど、ロールプレイングゲームという説明をさせていただきましたけども、このロールプレイングゲームは、けっこう作るのが大変なジャンルになります。

シナリオがあってプログラムがあって、音楽があってキャラクターたちがあって……と、ゲームに必要とされる技術とノウハウがすべて必要になるというジャンルが、ロールプレイングゲームでございまして、簡単に参入してすぐに作れるものではないんです。これ自体が、事実上の参入障壁となっている事実がございます。

近年では、大手がなかなかロールプレイングゲームでうまく売上を上げることができなくて、このジャンルから撤退しているというところもあって、逆に私たちとしてはチャンスかなと考えております。

このロールプレイングゲームですけれども、すべて弊社の場合はオリジナルのコンテンツとなっております。アニメーションのキャラクターを借りてきたりとか、他社さまの作ったものを使ったりということではなく、すべて自分たちで制作しておりますので、当然やはり、作り手の愛着というものが変わってきます。そういったことが、クリエイターや社員の意欲そのものに直結しているというのも、大きな強みかなと考えております。

それから、当社は今年で創立37年目を迎えますけれども、業界でも数少ない老舗のゲーム会社でございまして、非常に40年近く前から熱心な固定ファンも多く、これまで培ってきたブランドというものが大きな強みとなっております。

それから(3つ目に)「効率的な経営による高い利益率」でございます。弊社は先ほども申し上げましたけれども、現時点で50人強という少人数ですが、少数精鋭による効率的な経営で高い利益率を維持しております。

具体的に申し上げると、ロールプレイングゲームを作るスタッフ。例えば、大手の会社だとどれぐらいの人員が必要になるかと申し上げますと、80人から100人以上の人員が2年以上かけて1つのタイトルを作り上げるというのが、近年のゲーム制作の規模です。これは、海外だともっと大きくなります。そういう中で、確実に1年に1本新作のRPGを、スタッフを含めた会社全員で50人強という人数でやっているところに、弊社の強みと特徴があるかなと考えております。

具体的には、いちばん人数が必要になるのは、グラフィックの部分なんです。そういった部分で勝負を挑むのではなく、ゲームの内容をシナリオであるとか、ゲームの仕組みであるとか、そういったところで工夫してユーザーさまに価値を理解していただいて、リピーターになっていただくのが弊社の特徴でございます。

今ゲーム業界で生き残っている会社さまは、基本的にはユーザーさまから支持されたメーカーだけが、根強く残っている状況でございます。

これまで丁寧にゲーム制作を続けてきたことでその評価があって、さらに次のタイトルも買っていただけて、内容を見ていただくことで、いろんなやはり周囲のライセンスの提案をいただくという好循環が生まれております。そういった高いユーザーロイヤリティから派生するサイクルも、弊社はやはり強みとしております。

弊社ゲームタイトルの紹介

ここで、具体的にどんなタイトルがあるかを、簡単にご説明いたします。

まず、弊社には『イース』シリーズというタイトルがございます。こちらが『ファイナルファンタジー』と同じく30周年を迎えておりまして、北米・欧州・アジア各国で展開されている代表作の1つとなります。

最新作の『イースⅧ -Lacrimosa of DANA-』をはじめ、非常にロングセラーのタイトルが多く、10年前に発売したタイトルも、いまだに北米で20〜30万本以上売れたり、リピートが長期間続いたりするというのが、このタイトルの傾向となります。

それから(スライドの)真ん中の『軌跡』シリーズです。こちらが、ストーリーに重点を置いたロールプレイングゲームとして、多くのユーザーさまから高い評価を得ております。

『軌跡』シリーズ全体で、ただいま累計350万本を突破しております。最新シリーズの『閃の軌跡』シリーズがこれまでに3作出ておりますけども、その累計販売本数が130万本と、弊社の中で今いちばん勢いのあるタイトルとなっております。

それから、『東亰ザナドゥ』です。近年どうしても、ゲーム業界の実績あるタイトルの続編が中心となっておりますけれども、こちらは完全な新規IPとして立ち上げた弊社のタイトルとなっております。

現在までに、まだ1作しか出ておりませんけれども、非常に好評でしたので、フランチャイズ化して今後の基幹タイトルの1つとして、立ち上げていきたいなと考えているタイトルになります。

業績推移

続きまして、近年における当社の業績についてご説明申し上げます。

遡って、2013年あたりからご説明申し上げます。まず、2013年9月期。こちらは『軌跡』シリーズの『閃の軌跡Ⅰ』の据え置き型ゲーム機のPlayStation3と、携帯型ゲーム機のPlayStation Vitaに向けた2機種同時の発売と、初の試みを行っております。

ゲーム業界で、2つ以上の機種で同時発売することを、よく「マルチプラットフォーム展開」と言われておりますけれど、そのマルチプラットフォームを初めてファルコムがチャレンジした年になります。

翌2014年9月期は、『閃の軌跡』続編の『閃の軌跡Ⅱ』を2機種同時。これも、1年前の2013年と同じように2機種同時に発売しております。

1年前は国内でのマルチプラットフォーム展開だったんですけれども、この年はいろいろパートナーシップの条件をクリアできまして、国内だけではなくアジア地域において、自社で展開するということを行っております。このため、2014年の9月期の売上高は、ここ数年の中でもトップクラスの数字を実現しております。

2015年9月期は、先ほど申し上げました新規IPの『東亰ザナドゥ』を、PlayStation Vitaに向けて発売しております。

売上高の数字を見ていただければわかるとおり、新規IPというのは、有名シリーズ・基幹シリーズと比べるとなかなか売れないという状況が、当時はございました。それにもかかわらず、大きく数字を落とすことなく、売り上げております。こういったことからも、『東亰ザナドゥ』というタイトルに関しては、我々は今後も大事にしていきたいなと考えております。

2016年9月期は、PlayStation Vita向けの『イースⅧ -Lacrimosa of DANA-』。これは『イース』シリーズの8作目になるんですけれども、こちらを発売しております。それから、『東亰ザナドゥ eX+』です。これは、1年前の2015年9月期に発売したVita版をPlayStation4用にバージョンアップして、発売したものになります。

2017年9月期は、『イースⅧ -Lacrimosa of DANA-』と『英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ』の2タイトルを、いずれもPlayStation4向けに出しております。この頃になると、携帯型のゲーム機の売上がやや落ちてきておりまして、それまでPlayStation3とPlayStation Vitaで展開していたものをPlayStation4に集約させるといったことをやっております。

着目していただきたいのは、利益率の部分です。やはり高水準で経営効率が高く、安定したいい経営をやっているというところを、ご覧いただけるんじゃないかなと考えております。

2018年9月期 第2四半期累計期間の業績概況

直近の2018年9月期第2四半期。こちらの業績概況について、ご説明申し上げます。期間としては、9月期決算ですので、2017年の10月から2018年の3月までの数値となります。

売上高につきましては、前年同期比で57.5パーセント増加の7億1,800万円。営業利益につきましては、同じく158.6パーセント増加の3億7,500万円。経常利益は、161.4パーセント増加の3億7,600万円。当期純利益は、145.9パーセント増加の2億7,200万円という結果になっております。対前年比で、増収増益を達成しております。

期間中の主なタイトル①

この2018年9月期の主なタイトルといたしましては、前期に発売しましたPlayStation4の『イースⅧ -Lacrimosa of DANA-』。それから、『英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ』はリピートで堅調に推移しております。

2018年3月8日には、同じくPlayStation4に向けて、『英雄伝説 閃の軌跡I:改-Thors Military Academy 1204-』を発売しております。

こちらはもともと、PlayStation VitaとPlayStation3で発売していた『閃の軌跡』の作品となっているんですけれども、この1年でいろいろなタイトルをPlayStation4に集約しておりますので、その系列に当たるタイトルのPlayStation4にバージョンアップして発売することに関しまして、お客さまからも大変要望があり、それに応えるかたちでの発売となっております。

これらが貢献して、2018年9月期第2四半期については増収増益となっております。

期間中の主なタイトル②

同じく、この期間中のタイトルとしましては、主に海外になりますけれども、PlayStation4とパソコン向け。日本ではなかなか厳しいんですけれども、北米ではまだまだパソコンでゲームを遊ぶ文化が根強くありますので、このPC向けダウンロード版も、非常に売上に貢献しております。

なので、日本国内で『東亰ザナドゥ』のパソコン版はないんですけれども、英語圏におきましては、PlayStation4とPC向けに(『東亰ザナドゥeX+』を)2017年12月8日に発売しております。

携帯型ゲーム機のPlayStation Vita向けに、『英雄伝説 空の軌跡SC Evolution』と『英雄伝説 空の軌跡 the 3rd Evolution』というタイトルを発売しております。こちらも『軌跡』シリーズのタイトルになるんですけれども、繁体字中国語版と韓国版を発売しております。

そのほかにもいくつか、PCゲームの英語版のダウンロード販売が非常に好調です。それから近年……大きくここ1年で変わってきているのが、「PlayStation™ Network」という、ソニーさんが運営するPlayStation Store、オンライン上でのダウンロード販売でのお店です。こちらでの販売が、堅調に推移しております。

以上の商品から、増収増益となっております。

期間中の主なトピックス

それから、弊社のタイトルとコラボレーションを行いたいという他社さまからの提案が、近年非常に大きく伸びておりまして、そちらの売上も大きく貢献していることから、簡単にご説明申し上げます。

今期の期間中のコラボレーションとしましては、スクウェア・エニックスさまの『乖離性ミリオンアーサー』と弊社タイトルの『閃の軌跡III』がコラボレーションを行っております。それから、NHN Entertainmentさまの『クルセイダークエスト』、NetEase Games社さまの『とある魔術の禁書目録 3DRPG』。これらのタイトルが、弊社の『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』とコラボレーションを進めております。

近年では、日本国内でだけではなく、韓国とか台湾で日本のコンテンツ同士がコラボレーションすることが増えております。非常に日本のアニメーションとゲームは現地で人気がありまして、国内ではつながりがなくても、現地の台湾とか韓国でぜひコラボレーションをお願いしたいという提案も増えてきております。この『イース』のコラボレーションは、そういったものにあたります。

それから、先ほど「楽曲を5,000曲近く収容している」というお話をさせていただきましたけれど、これらを国内とか有名なiTunesとかだけではなくて、中国・香港・マカオで配信するサービスを、今期から行っております。コラボレーションについては、以上となります。

2018年9月期 第2四半期の財務状況

2018年9月期第2四半期の財務状況を、簡単にご説明いたします。

総資産は、前事業年度末と比較しまして、1億7,200万円減少して48億5,100万円となっております。その内訳は、現預金が44億4,400万円、売掛金が1億4,800万円、固定資産が2億700万円となっております。

負債は、前事業年度末と比較しまして、3億6,200万円減少して2億5,000万円となりました。負債の主な内訳としましては、未払法人税等1億5,500万円、未払金3,100万円、買掛金が900万円となります。

純資産は、前事業年度末と比較しまして、1億8,900万円増加して46億円となっております。純資産の主な内訳は、利益剰余金が41億1,700万円、資本剰余金が3億1,900万円、資本金が1億6,400万円となります。

自己資本比率が高いため、「ちょっと硬すぎるのではないか?」というご指摘をいただくことがあるんですけれども。ゲーム業界は非常に流動性が高くて、明日にも「ゲーム機がなくなるかも」とか「全部スマホ(ゲーム)になっちゃうかも」とか、極端なことを申し上げると、そういう業界でございます。それに対して、これだけの足下があるとやはり経営の自由度が大きいという(ことで)、業界の動きの速さを考えると強みになると考えております。

2018年9月期 通期計画

続きまして、2018年9月期の通期計画と下半期の展開について、ご説明いたします。

2018年9月期は、売上高で18億円、営業利益で7億5,000万円、経常利益で7億5,000万円、当期純利益で5億円を計画しております。

2018年9月期 上半期進捗状況

先ほどご説明いたしましたとおり、2018年9月期第2四半期上半期の進捗状況につきましては、売上高が7億1,800万円、営業利益が3億7,500万円、経常利益が3億7,600万円、当期純利益が2億7,200万円となっております。

当期の計画より、売上高で2億3,600万円、営業利益で2億8,100万円、経常利益で2億8,200万円、当期純利益で2億900万円と、それぞれ上回っております。上半期については順調に推移しておりまして、引き続き下半期につきましても、増収増益を目指します。

2018年9月期 下半期のトピックス①

下半期のトピックスについて、ご説明します。下半期のタイトルとしましては、『閃の軌跡II:改 -The Erebonian Civil War-』を発売しております。こちらは2018年4月26日に、PlayStation向けに発売をしております。また、PlayStation4・PlayStationVitaで日本語版・英語版・フランス語版を展開していた『イースⅧ -Lacrimosa of DANA-』なんですけれども、こちらを2018年4月16日にパソコン向けに発売しております。こちらは、主にアメリカの市場となっております。

また、これは国内も含むんですけれども、Nintendo Switch版の『イースⅧ -Lacrimosa of DANA-』の今月(2018年6月)末の発売を予定しております。こちらにつきましては、日本国内と北米、それからヨーロッパといった地域を予定しております。

2018年9月期 下半期のトピックス②

また、アジア方面に関しましては、2018年3月と4月に発売いたしました『英雄伝説 閃の軌跡Ⅰ:改 -Thors Military Academy 1204-』、それから同じく『英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ:改 -The Erebonian Civil War-』の2タイトルにつきまして、繁体字中国語版と韓国語版を2018年8月17日に発売する予定です。

2018年9月期 下半期のトピックス③

それから、今期の一番の目玉となるのが、2018年9月27日(に発売予定の)、大型タイトルの『軌跡』シリーズ最新作です。こちらの『英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ THE END OF SAGA』を発売する予定です。『閃の軌跡』は、「日本ゲーム大賞」、それから「PlayStation Awards」「ファミ通アワード」など、非常に多くの受賞歴のある『軌跡』シリーズの中で、3作品連続で受賞しているんです。

東京ゲームショウにおきましては、来場者さまの投票によって選ばれる「日本ゲーム大賞 フューチャー部門」を3年連続、3作品連続で受賞しております。

このシリーズの完結作となります。3作続いてきて4作目となるんですけれども、ここで完結ということで、シリーズを長く遊んできたユーザーさまにとっては、非常に注目されるタイトルとなります。

『軌跡』シリーズは、もう14年目を迎えるんですかね。第1作目の『英雄伝説 空の軌跡FC』から、緻密なキャラクター描写と壮大なストーリー展開で、男女問わず、国内外で多くのゲームユーザーを魅了して、作品を重ねるごとにファン層を拡大させてきたタイトルとなります。『閃の軌跡』として完結作になるんですけれども、14年続いた『軌跡』シリーズの中でも、大きな区切りとなるタイトルでして。

やはり、過去の登場人物たちが大勢登場したり、これまでにない大きな展開を見せたりすることから、『軌跡』シリーズを遊んだことがあるユーザーさまにとって、ちょっとシリーズから離れている方にとっても、呼び水になるんじゃないかなとなっています。累計販売本数で130万本を突破していまして、弊社といたしましても、この9月に発売する『英雄伝説 閃の軌Ⅳ –THE END OF SAGA-』は、今期の一番大きなタイトルとして期待しています。

2018年9月期 下半期のトピックス⑥

それだけやはり注目度の高いタイトルですので、最近はダウンロード販売も伸びているんですけれども、『軌跡』シリーズは非常にコアなユーザーが多いことから、パッケージ版も非常に大きく期待をいただいています。

パッケージ版の内容としましては、豪華5大アイテムを特性アートBOXに同梱した永久保存版を予定して、すでに発表しています。700ページに及ぶシナリオの原案であるとか、DLC衣装付きのイラストレター。そういったものを限定パッケージで、通常版と同時に発売する予定となっています。

株主還元

続きまして、株主還元についてご説明申し上げます。

弊社の株主還元につきましては、2018年9月期に応じて、記念配当を検討する予定です。ご覧いただいているとおり、普通配当を5円と設定いたしまして、毎年その年の業績に応じて記念配当を付与しています。だいたいご覧いただいているとおり、2円から5円、その年の利益とかそういったものを見ながら、後ほど適切な配当を検討しまして、IR等を通じてご連絡させていただければなと考えています。

経営環境

それから、足元となるゲーム市場につきましては、引き続きワールドワイドで見た場合には、拡大しています。当社の主戦場であるPlayStation4は、全世界の累計販売数が、昨年(2017年)年末の時点で7,360万台、国内で600万台を突破しています。また、昨年3月に発売したNintendo Switchは、現在も好調な売れ行きを見せていまして、3月末までに1,779万台と、こちらも好調が続いていると考えています。

とくに、海外でのハードの売れ行きが非常に好調です。今後も海外展開に、我々としても大きく注目していかなきゃいけないかなと考えています。それから、モバイルゲーム市場につきましては、2018年も中国・北米・欧州におきましても、引き続き拡大を続ける見通しでございます。

弊社としましては、基本的にはコンテンツの制作会社でございますので、非常にオリジナルコンテンツに対する引き合いは、多くはありまして。家庭用ゲーム機・スマートフォン・PCはもとより、国内外を問わずに市場の拡大は、弊社にとって非常に大きなチャンスと捉えています。それを実現するには、もちろんもとのゲームが良くなくてはいけないので、そこをしっかり作っていくのは、僕らとしては一番得意とするところでございますので。

まずは、ゲームをしっかり作る。お客さんが評価していただけるものを実現するところもあって、海外への展開やライセンス提携につながっていくと考えています。

収益の拡大に向けて

今申し上げたことと、ちょっと重複してしまいますけれども。収益拡大に向けて、やはり丁寧に作り込んだゲーム。それがあって、当然好調な販売があって、認知度がアップ。そこから、やはりいろんなライセンスのオファーがまいります。これが非常に、最近アジア圏・北米からのオファーが大きく、弊社の中での海外比率が高まっていまして、ますますゲーム制作の重要性を強く認識しています。

当社が保有するIPコンテンツの認知度・ブランド力を引き続き高めることで、ライセンシーさまからの引き合いを増加するといったサイクルを作り上げて、それを続けていくことを目指してまいります。

持続的・継続的な成長に向けて

こちらもちょっと、これまで話したことと重複になるんですけれども。コアなファンを有する、人気シリーズの続編。それが一番安定した収益にはなるんですけれども。それをベースに、ゲーム市場にタイトルを投下しながら、保有するいくつものIPを有効に活用していくのが、基本的な弊社のスタイルとなっています。

具体的には、アジアと北米・欧州といった海外市場。それから、Nintendo Switch・PCゲーム・ブラウザゲーム・スマートフォンアプリといったものにも、積極的にマルチプラットフォームを展開することで、収益を安定させていきます。

日本ファルコムの本体には、非常に制作能力の高い人間がそろっていますので、自分たちがオリジナルコンテンツをきちんと作ると。ここからの水平展開につきましては、いろんな海外とかマンパワーが必要な市場でございますので、こういったものはパートナーシップをやはり重視して、いろいろなメーカーさまと協力しながら、展開を進めるかたちを目指してまいります。以上になります。

質疑応答:上期に上振れた要因は?

質問者1:日興証券のムラカミと申します。よろしくお願いいたします。

近藤:よろしくお願いします。

質問者1:ご説明の中で、「上期が計画を上回って推移しています」というご説明があったと思うんですけれども。この要因というのは、いわゆるゲームが出てくるタイミングのずれなのか、それともタイミングはその(計画の)とおりだったんだけども、よく売れたということなのか。そのあたりの上振れた要因というのを、教えていただきたいです。

それと、もし予想以上に売れたということであれば、下期の予算が当初の計画どおり出れば、上振れるんじゃないかと(思いますが)、そこで組み直されてない理由を教えてください。

近藤:まず、上期の計画が上振れた要因としましては、いくつかございまして。1つは、前期までに発売したタイトルの追加発注が堅調であったことです。

それから、上期の予定に当初入っていなかったタイトルがございました。『英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ:改‐The Erebonian Civil War‐』というタイトルがございますけれども、これは予定を公表したあとに急遽立ち上げたタイトルでございまして、その売上が入ってきたということが、上振れた要因となっております。

それから、海外のライセンスの関係でございます。こちらはやはり実際に上期に入ってから契約が成立して、そこから使用料や契約料といったものが入ってきています。そういったところから、大きく上振れたということになっております。

下期につきまして、どうかということなんですけれども、こちらはほとんど新製品の売れ行きがどうなるかというところに、大きく影響されてくるかと思います。

先ほどもご説明した『英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ‐THE END OF SAGA‐』が何本売れるかというところがございます。これの発注がこれからになりますので、当然僕らもまだ確信を持てるものはないわけですから、この下期につきましては新製品の売れ行き次第と考えておりまして、現時点では大きく上振れるとか修正するとか、まだそういったタイミングではないと考えております。以上となります。

質問者1:続きなんですが、御社の戦略自体はまったく変わってはいないと思うんですけれども、最近のゲーム業界全体の動向とか御社の現状の海外の売れ行きとかも考慮すると、少し戦略的に変えてもいいかなとも思うのですけれども。

自分でパブリッシャーとして海外に出ていくとか、そういったことも頭の中によぎったりはしていないのかなと思ったりするんですけれども。そのあたりの戦略変更があるかどうか、教えてください。

近藤:社内で、海外のパブリッシャーというのは、もちろん検討はしております。なかなか、現地の流通形態であるとかそういったところを調べていくと、思ったよりも大変であるというところから、現時点で大きくそういったことはまだ案件化しておりません。以上になります。

質問者1:最後なんですけれども、IPも長いのが出てきて、その中でいろんなところからオファーがあって……例えばアニメ化とか映画化とか、そういった話が出てきた場合に、御社としてはどういうスタンスで臨みたいとか。例えば、製作委員会に出資をするとか、それとも単にライセンスだけを出すとか。アニメ化とか映像化というところに対しては、どういうお考えでしょうか?

近藤:そういったことは、具体的なお話がきてからになると思うんですけれども、やはり内容を検討させていただいてからになります。

製作委員会に出資するというのは、やはり金額的には大きなものになりますし、僕らとしては、IPの活用という意味ではもちろん積極的にご協力はいたしたいと思いますけれども、そこに出資するかどうかということにつきましては、その内容を見て、慎重に判断していきたいと考えております。

質問者1:ありがとうございます。

質疑応答:グラフィック以外の領域でどう勝負する?

質問者2:まず、コストの出方について教えていただきたいんですけれども。この期間に関しては、ある意味すでに作ったもの(に関して)のiTunesであったりそこから買えるものであったり、ライセンス提供であったりといったものだったと思うので、その時はコストであれば全部出て、6月からこれまでの制作費をバランスシートに載せてコストを使っていくのか、それとも発生月ベースで計上していくのかという……コストの乗り方というのは、どういうふうになっているんでしょうか?

近藤:基本的に、弊社の製作費はほぼ人件費でございます。なので、毎月人件費として計上していくかたちになります。

質問者2:例えば、プロモーション費用とかも、けっこう発生別ということですか?

近藤:そうですね、タイトルごとということになります。当然、すでに出したタイトルのバージョンアップ版はコストは控えめですし、そこに動くスタッフも数名の時がございますし。

質問者2:例えば9月の(新作の)発売に向けて、コストが使われていって売上が末に立てば、回収が進むという売上とコストの入り方・出方という理念でよろしいですか?

近藤:基本的には、そうです。新作が出ると、その前あたりでプロモーションコストというのは、どうしても高くなっていきます。それ以外のときは、基本的に毎月予算を決めて、その範囲でというかたちになります。

質問者2:2つ目(の質問)は、ゲームを作る上でグラフィックだとか、お金をかければできるというのは、大手どころと勝負するのはなかなか難しいところなんですが。御社のゲームで『英雄伝説 空の軌跡 SC(セカンドチャプター)』が出ちゃってるんで、御社は2Dで生き続けていくつもりなんだなと、あのときは思ってたんですけど。でも結局、3DのCGを使ってという今の流れになったわけですが……とはいえ、大手どころとグラフィックで勝負は、多分できないという世界です。その中で、どういうふうに御社として戦っていくのでしょうか?

近藤:まず、グラフィック以外のところでどう勝負していくのかというお話なんですけれども。これにつきましては、例えば『軌跡』シリーズだと、やはりストーリーが非常に評価されてます。ゲームユーザーの中でも、これは評価が分かれるところではあるんですけれども。買っていただいてるお客さまからすれば、「やはりストーリーが楽しみなので、ファルコムのゲームを買いたい」と。

グラフィックにつきましては、スクウェア・エニックスさまであるとか、カプコンさまと比べると、やっぱり見劣りはするんですけれども、「そこじゃなくて良いんだよ」という方たちに、気に入っていただいております。

「『空の軌跡』の頃、2Dだったじゃないですか」というお話もあったんですけれど、流石に古すぎるままだと置いていかれますので、やはりある程度のボトムアップは必要だと考えております。『軌跡』シリーズも長く続くと、大体ユーザーさまの平均年齢が上がっていくんです。やはり僕らは、10代とか20代の方を取りたいわけです。

そこを取りにいくと、やはり元の2Dの昔のドットのテイストの絵だと、10代・20代の方たちというのは目が肥えていますから、なかなか手に取らないと。そこは、3Dでやはりボトムアップしていかないとだめだろうという判断で、3Dを始めております。

これは、実にけっこう効果がありまして、初代の『空の軌跡』シリーズなんかは30代・40代の方がメインなんですけれども、『閃の軌跡』シリーズに関しましては、コアターゲットは20代まで若返っております。そういったところで、バランスを取っていきたいなと考えております。

質問者2:形態は?

近藤:いろいろな形態がございまして、北米でもそのままで楽しみたいというお客さまも多いです。なので、そのまま言語だけ英語で楽しめるようにして販売する場合もございます。逆に、これはどちらかと言うと中国やアジアの方なんですけれども、ゲームの仕組みとかグラフィックは、現地のユーザーがこのテイストで現地で作りたいと。

ただ、自分たちにはストーリーを作り込む技術がないので、そこは「『軌跡』シリーズや『イース』シリーズの使用権を売ってくれないか?」というかたちで(話が)きます。その場合は、ストーリーだけを供与して、残りの仕組みの部分を現地で作るといった場合もございます。

最近、実はアジア方面ではそういったご提案が、増えているかも知れないです。とくに、モバイル関係がそうです。モバイル用に楽しめる仕組みではないといけないので、キャラクターとストーリーは使わせてほしいと。条件的には、向こうのゲームの景気が良いので、使用料としては、あまり見劣りしないぐらい。そういったところは、僕らも重視しております。

質問者2:先ほど、海外パッケージは難しいというのを……例えば、PlayStation3・4でもPlayStation Vitaでもダウンロードオンリーでできるようになってきていると思うので、そこから「販売する」ということ(そのもの)を、ダウンロードだけでやるという面においてはできるのかなと、素人目には思ってしまったんですが。それ以外の部分がいろいろハードルがあるということなんですけども。

近藤:いや、できます。仕組みとしては非常にシンプルなので、英語版と中国語版を入れて、ファルコム(のゲーム)をダウンロードすることは、できるということはできるんですけれども。僕らの商品はおもしろいことに、北米でもアジアでも、けっこうマニアックな人たちがコアターゲットとなっているんです。

そういった彼らは、特典付きのパッケージ版が欲しいんです。単純に、ダウンロードだけで販売して彼らの心を掴めるかと言うと、まだそこまでには至っていないかなと。いずれそうなる可能性も、もちろんあると思います。ダウンロード版でも、いろいろなデジタルデータの特典をつけたりとかが、主流になってきますので。

ただ、マニアックな人たちは特典を楽しみにしている。アナログな部分を楽しみにしている方もたくさんいらっしゃいますので、まずはそういったところに向けて売り込んでいって、バズを発生させないといけないので、まだまだこういったかたちは続くかなと考えております。