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本当は恐ろしい脳しんとう AI活用や血液検査は効果があるか

本当は恐ろしい脳しんとう AI活用や血液検査は効果があるか

ボディコンタクトが多いスポーツに起きがちな「脳しんとう」。日常生活でもたまに見られ、すぐ治るとされる症状ですが、本当のリスクとは? 今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」は、脳しんとうにまつわる問題点をまとめています。

スピーカー
Hank Green(ハンク・グリーン) 氏
参照動画
A Blood Test for Brain Damage, and AI Eye Doctors

脳しんとう診断の問題点

ハンク・グリーン氏 脳しんとうは非常に恐ろしいものです。強い頭痛、記憶障害、吐き気を伴い、意識を失うこともあります。脳内出血など、時間が経ってから命に係わる合併症の恐ろしさはいうまでもありません。もし、頭を強打したら、脳しんとうを起こしたかどうかを必ず調べる必要があります。 現在は、脳しんとうの診断は比較的簡単にできるようになってきました。脳しんとうの血液テスト診断薬が初めて開発され、先週、アメリカ食品医薬品局の承認を受けたのです。 脳しんとう診断の難しさはよく知られています。医師は「目を開けることができるか」「筋の通る会話ができるか」などの症状をベースにした、15ポイント制のスケールで重症度を診断し、全症状が重視されます。 1-051 その後、コンピュータ断層撮影、つまりCTスキャンでX線による3D画像を造影し、脳内に出血や腫れがないかを調べて検査を補完します。問題は、CTスキャンの被ばくリスクが高いことです。頭部CTは、胸部レントゲン100回分に相当するため、遺伝子の突然変異を引き起こし、後日ガンを発症する危険性が高まります。 また、脳しんとうを起こしていても、CTスキャンはそのわずか10%しか検出できません。つまり、まず頭部を打つだけに留まらず、さらには脳しんとうを見つけてくれるかどうかさえもわからない、大量の放射線を浴びる必要があるのです。 しかし、頭部CTスキャンを受ける医学的理由は十分にあります。一般的に、CTスキャンは脳しんとうを診断することは得意ではありませんが、脳の損傷、つまり出血や腫れなどを起こしている可能性のあるダメージを見つけることに長けています。患者は当然、自分の身に何が起こっているかを知り、外科医師に問題を解決してもらいたいはずです。

診断に新たな光

ここで新しい血液テストが活躍します。なぜなら、CTスキャンの結果を予見できるからです。このテストでは、脳が損傷を受けてから1時間以内に血中に現れる2種類のたんぱく質を検知します。 そのうちの1つがUCH-L1という神経内の酵素で、不要なたんぱく質を分解します。もう1つがGFAPと呼ばれる、アストロサイト内の構造維持を受け持つたんぱく質です。これは星型の脳細胞で、ニューロンを支えます。 正常な状態では、普段はこれらのたんぱく質は、脳細胞の中にきちんと納まっています。しかし、頭を強打して脳細胞が傷つくと、これらのたんぱく質が血中に放出されてしまうのです。血液テストは、これらのたんぱく質を検出してくれます。 2種類のたんぱく質の血中レベルに基づき、血液テストによりCTスキャンがポジティブなのかネガティブなのかを予見することができます。 アメリカ食品医薬品局 がこの血液テストにゴーサインを出したのは、約2,000人を用いた臨床試験で、CTスキャンで見つかった脳の損傷の97.5%を正しく予見できたからです。ネガティブな結果の予見においては、さらに良好な成績を示しました。 つまり、この血液テストを受けて結果がネガティブであれば、安堵できます。なぜなら、脳しんとうの可能性は残りますが、少なくとも脳内出血などは起こしていないことがわかったことになるためです。 そして、CTスキャンを受ける必要はなくなります。これ以上新たにわかることは恐らく何もないからです。一方ポジティブであれば、脳内で起こっていることを見るために、スキャンをする必要があることがわかります。 血液テストは、必ずしも脳しんとうをより正確に診断するものではありませんが、少なくとも、患者にとってプロセスをより易しくしてくれるものになるのです。 アメリカ食品医薬品局によりますと、血液テストにより、少なくとも3分の1の患者がCTスキャンを免れることができるそうです。しかも、毎年2,800万人のアメリカ人が脳しんとうでERに行っていることを考えれば、人数はもっと多くなるはずです。被ばくが減ることは喜ばしいことですね。 さて、脳しんとうの診断に血液テストが使われるのも未来的ですが、AIを医師として活躍させると聞けばどうでしょう。 今週、国際的な研究グループが、医療AIの最新の成果を公開しました。失明を伴う眼疾患の診断に特化するようプログラムされたシステムです。例えば、加齢に伴い網膜の中心部がダメージを受ける、加齢黄斑変性などの疾患です。 このタイプの疾患を診断する最善の手段は、光干渉断層撮影、別名OCTという造影技術であり、これは光を利用して網膜の3Dマップを生成するものです。 スキャンにより沈着物や分泌液が溜まっているのが見つかれば、患部の診断に役立ちます。場合によれば、その場で治療を開始することが可能になります。

AIは活用できるのか

さて、研究者たちは、AIにも同様の決断が下せるか試してみました。ニュートラルネットワークとして知られるタイプのAIをプログラムしたのです。 ニュートラルネットワークとは、簡単にいうと相互接続されたたくさんのコンピュータのことで、システム自体がデータを解析して学習していくようセットアップされたものです。ニュートラルネットワークをトレーニングするには、何であれニュートラルネットワークに学習させたい事柄のデータを与えればよいのです。この場合であれば、与えられるのは10万件のCTスキャンデータです。 AIは、問題解決のためのオリジナルのルールを編み出します。この場合は、画像を正しい診断と結び付けることです。すると、AIにそれまで読み込ませたことのない、OCTスキャンデータなどの新しい症例を与えれば、編み出した法則を基に、最適な診断を導き出すのです。 ニュートラルネットワークは、世界でも最前線のAIに投入されており、病理診断するようトレーニングされるのは初めてではありません。しかし、このシステムで特筆されるべきことは、トレーニングに投与を要したのがわずか10万件のCTスキャン症例だったことです。通常のニュートラルネットワークであれば、何百万件もの症例が必要であるところです。 このようなことができたのは、「トランスファーラーニング(注:転移学習)」というものを導入してショートカットをさせたためです。簡単にいえば、他のプログラムからいくつかの知識を拝借し、新しくてより複雑な問題である、病理診断に適用させたのです。 最終的には、この新システムは、眼のコンディションを96.6%の精度で30秒以内に診断することができるでしょう。これは人間の眼科医と同等のレベルです。 また、コンピュータは、この研究における研究者6人中2人よりも良好な成績でした。なぜなら、研究者たちは目の疾患にばかり注目していましたが、システムには胸部X線画像で細菌性肺炎とウイルス性肺炎の違いを学習するようトレーニングしたからです。同じような基本的なアプローチは、画像に基づく他のどんな診断にも転用が可能です。 このようなAIが、医療のスタンダードになるには今しばらく時間がかかりそうですが、ひとたび実現すれば、すべての患者にとって、より速やかに、より簡単に診断をしてもらえることになるでしょう。専門医不足の場合は、なおさらです。 さて、医療の未来について見て来ましたが、それは今まさに実現されようとしているのです。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

・公式チャンネル

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