大量のコメントへの対応方法

石川佑氏(以下、石川):けっこう議論が深まってるので、このタイミングで聞きたいことはありますか? 質問ある方は挙手をお願いします。

質問者1:配信している側として、コメントに触れきれずにいます。「コメントをスルーされた」という声がけっこうあるんですが、どうやって対応していくのが一番いいんでしょうか。

小山大明氏(以下、小山):そうなんですよね。人気が出れば出るほどコメントの量が増えて、対応しきれずに悲しい思いをする人が出るというのは、けっこうあることなんですよね。

企業さんは嫌がると思うんですけど、さっき伝えたとおり、商品の説明をとにかく減らして会話をいっぱいする。

僕がおすすめしているのは、コメントが来たら、人の名前、話したこと、コメントの内容をとにかくリピートする。それで何かひと言を付け加えられるんだったら付け加える。

できれば2人体勢にして、1人はコメントを読む人、もう1人がいろいろと動く人という感じで分けてもいいかなと思ってます。

松岡洋平氏(以下、松岡):一応、昨日はそうしてたんですけど(笑)、1,000人を超えていたので、実際は「もう無理」という感じでした。

小山:中国の例はどうなっているかというと、中国の人ってむちゃくちゃ早口じゃないですか。もうひたすら「○○さん、こんにちは」「○○さん、こんにちは」と早口合戦みたいになってるんですけど、あれが行き着くところなんじゃないかなと思っています。

松岡:仕様として要望したいのは、コメントに対してこっちが「見た」とか「YES・NO」をSlackのリアクションみたいな感じで返せるような仕組みが、別途PCのほうであったりするとある程度の数をこなせると思います。

尾崎紗代子氏(以下、尾崎):「いいね!」みたいな。

松岡:別の画面でリアクションの管理ができて、対応ができると、聞く側も「YES・NO」で答えられる内容とか、聞き方の流儀ができてくる気がするので、そういう機能があるといいなという要望です。

小山:前向きに検討させていただきます。考えたことがなかったので、ありがとうございます。

コミュニケーション能力で勝負できるのがライブのよさ

石川:おさよさんは、コメントをぜんぶ返してますか?

尾崎:いや、それはぜんぜん無理ですよ。

石川:そうですよね。

尾崎:さすがに無理です。

松岡:返さないスタイルとかでもなく?

尾崎:返すときは返すし、返さないときは返さないという気まぐれスタイルなんです。でも逆に、律儀に返しすぎる人というか完璧な人だと、ちょっと欠けたところが気になるというか、「この人、私だけスルーしたんだね」となるので、基本的には全スルーで。

(会場笑)

尾崎:でも、質問に答えながらのほうが会話がはずむので、その会話をしてる間はちょっとスルーさせていただくと。それで、やっぱりその間に、「スルーされた」とか「ムカつく」とか、(コメントが)入ってくると思うんですけれど、「ああ、ごめん。ぜんぜん読めなかったんだよねー」って、そのくらいはもうご愛嬌ですね。

そこがライブのいいところで、人間力というか、コミュニケーション能力で勝負するところかなと思います。でも今よりもっと早口で喋って、本当に全力で返すときももちろんあります。その日によります。

松岡:ゴルフのクワイエットタイムみたいに、一瞬だけコメントができない時間とかあるとおもしろいかもしれないですね。

けっこうみんな知らないんですけど、スワイプするとコメントがぜんぶ消えるじゃないですか。ほとんどの人はあれを知らなくて、「ぜんぜんコメントで見えない」とか「モノが見えない」とか書くんです。

それと同じように、配信側が「どうしてもここは下までぜんぶ使って見せたい」と。コーディネートでもあると思うんですけど、下がコメントで潰れてると、もうそこはデッドスペースなんですね。

それを見せられるように、「1分間だけコメント消します」と言って、ピッって操作すると、「今、コメントが出ませんよ。だから見るのに集中してね」というような機能があるといいんじゃないかなという要望です。

小山:ありがとうございます。

ほしいのはNGワードやタイアップ表示機能

尾崎:今日は要望とか言っていいんですか?

石川:もうぜんぜんいいですよ。

尾崎:テロップを付けて欲しいです。

小山:ああ、そうですよね。

尾崎:自分でぜんぶやらなきゃいけなくなるので、やっぱりそこの機能はたくさん欲しいところです。私はテロップがないから、自分で手書きで出しちゃうので。

小山:ありがとうございます。

松岡:我々も昨日フリップを用意して見せました。

尾崎:やっぱり生だから編集ができないので、ボタンをポンと押して、ワンタッチでいろんなことができるようになるとすごく助かります。さっきも言ったんですけど、購入画面とかポンって出てくれたらいいなと思います。

松岡:ジェスチャーで反応できたりするとすごくいいですね。コメントを見た瞬間に、(サムズアップのポーズをして)ピッてやると、「これはオッケー」「これはイエス」とか、そういう機能があるともっといいです。

小山:それいいですね。

松岡:昨日も商品を追加するときにできなくて、ユーザーに「右下からできるって」と教えてもらったんです。我々は初配信すぎてわかんない。初配信の人に優しいというのは、メルカリあるあるらしいんですけど(笑)。

小山:ありますね。

松岡:視聴者が優しく「右下のボックスから追加出品できる」と教えてくれて、そのとおりにやったんです。それがすごくいい空気だったなと思います。

石川:ありがとうございます。今ここでいろいろといただいたものは、たぶん数ヶ月後には小山が実現してると思います(笑)。

(会場笑)

尾崎:助かります。あとはコメント欄が荒れるので、NG ワードを入れてもらってもいいですか?

石川:やっぱりそれは気になりますよね。

尾崎:やっぱり見たくない人もいると思いますので、そこはクリーンにしてもらいたいと思います。最近のInstagramは、「どこの企業とタイアップ」と出るような機能があるじゃないですか。それがあることによってすごく助かってます。

その前までは、「# PR」と入れないと「ステルスマーケティングだ」と言われていて、良くないことだったので入れてたんです。だけど、もう今はInstagramがそれを認めていて、タイアップだとわかるように付けるところがあるので、その機能がすごく助かっています。

こっちでやるとすごく胡散臭くなるから、どんどんクリアに、「これはお仕事でやってます」というのが気持ちよく見えるようなかたちをつくってもらえたらやりやすいなと思ってます。

石川:おさよさんが配信してるときに、上に「ライザップさんPR」と付いているようなイメージですか。

尾崎:「提供はここ」とはっきりわかると、ツッコまれづらいというか。ちゃんとクリアになるので助かります。

小山:めっちゃ勉強になりました。

ライブコマースでの失敗事例

石川:時間もけっこうタイトになってきました。「ライブコマースでの失敗事例」ということで、「これは失敗したな」とか、「そこからこれを得たな」ということは感じますか? メルカリのほうでもいろいろと試行錯誤はしてるんですけど。

小山:繰り返しになっちゃうんですけど、コミュニケーションが大切だという話です。失敗事例というと、どうしてもディスみたいになっちゃってすごく言いにくいんですが、3人ぐらいで舞台っぽく、こういう(パネルディスカッションのような)感じで配信をすることがすごく難しかったなと思います。

どういう状況かというと、話が上手な3人が対談しながらモノを紹介する番組をやったことがあるんです。やっぱり、お客様が求めてるのは、モデルや配信者とのコミュニケーションなんですけど、3人でやっちゃうとぜんぜん(コミュニケーションが)できなくて、場が荒れちゃうというか、「なんか寂しいです」「コメントを読んでください」みたいな。

僕らとしては良かれと思って、「憧れの人たちが絡みあう番組はおもしろいだろうな」と思ってたんですけど、実情に画面に張りついて1on1でトークしてあげるほうがウケたというか、満足度が高かったということがありました。

石川:シンプルに今の(パネルディスカッションの)構図でライブコマースをやっても売れないという話ですね。おさよさんは失敗事例というか、「これはファンにウケなかったな」ということは何かありますか。

尾崎:普通のTV番組の感覚で見られちゃってると思うんですけど、ライブですし、私たちは素人なのでグダグダです。

例えば、友達と一緒に2人でライブ配信をやるんですけど、そのときに、いつものお酒を呑んでるノリで喋ってると、やっぱりグダグダしてるところが出てきてしまいます。(画面の)上にPV数が出るので、やっぱりそういうところで数字がどんどん減ってきちゃいます。「ああまずい……何かしないと(笑)」という雰囲気になるんです。

そういうところで数字が減るのは失敗例ではあるけど、それを改善するのはちょっと難しいですよね。なので、企画みたいなものがあるといいかなと思っていて、それが成功事例になるのかもしれないです。

見てる側の人は、何かしら得が欲しいということもあると思うんです。それで、プレゼント企画があって、「ダイレクトに自分に得があるかもしれない」と思うと、けっこう長い間見てくれるので、本当に見てる側の人が楽しんでもらわないときれいに失敗するというか、ダイレクトに数字に出てきちゃうから傷つくんですけど(笑)。

石川:意識するんですね。

尾崎:ちゃんと考えて配信しなきゃと思ってます。

ダレない機能と工夫が必要

松岡:中国では、ライブコマースを1時間でも2時間でも普通にやるんですけど、基本的にダレるので、どのくらいの頻度でイベントをやらないと視聴者が減ってしまうということが体感的にわかっているんです。

なのでライザップの場合は、企画的に「最初はこれをやる」「途中で『いいね!』がこれくらいになったらこれをやる」「このタイミングでイケメントレーナーが登場して、めっちゃトレーニングさせて、それで新しい商品を出す」という感じで、小さなイベントを入れておいたんですね。これはけっこう重要です。

あと欲しいのは、時間指定出品です。すごく欲しいけど、(メルカリチャンネルには)ないので、「ちょっと待ってくださいね」と言って、自分で止めるみたいなことをやらなきゃいけないんです。

Weiboは「ダレてきたなー」とか、熱量が落ちてくると、「何かやれ」みたいな感じでアラートが出るからすぐに対応ができるんです。でも、当然ダラダラやってもいいものもあれば、「ここでたくさん売りたい」ということで、一気に凝縮してやるケースもあります。それをダレないようにどう企画するか。

企画の型みたいなものはある程度決まってて「このタイミングでお得な商品が出る」「何かにチャレンジする」という、いろいろな型があるので、そういう知識がどんどん普及していくと、その中から新しい売り方が出てきて、ユーザーもそれを楽しめるような気がします。

尾崎:じゃあ、あれですね。ダレない機能をつくっていただくと(笑)。

(会場笑)

小山:本当にそうだと思います。がんばります。そのまんまリリースしようかなと思います。

松岡:逆に言うと、最初はいつやめていいのかわからない問題があって。

尾崎:そうなんですよ。

松岡:そうすると、「まだネタがあるんだったら引っ張ってもいいけど、もうそろそろやめたほうがきれいに次に行けるよ」みたいな、(シャッターが閉まるように)ガシャンという機能があってもいいかもしれないですね。

石川:ぜひ検討ですね。

ライブコマースのすごさは「時間の切迫感」

小山:今、聞いていて思ったことは、ライブコマースのすごさの1つに、時間の切迫感がすごくあるなと。おさよさんだと1秒で売れるという話があったと思うんですけど、「限定100個でこの時間にこの価格で出します」というものに殺到するんですよね。

普通のEコマースだったら、ここまでの迫力はなかったと思うので、「機能をつくってサポートしてほしい」ということは、もう迅速につくらせていただきますという感じです。今、販売戦略のテクニックとしてすごく使えるなと思ったのは、そういうところですね。

石川:時間も迫ってるので、最後は「今後の展望」ということで、まずはおさよさんから。今後のライブコマースはインフルエンサーから見てどう変わっていくのかとか、「こういう販売の仕方だったらやりやすい」ということはありますか。

例えばD2Cとか、おさよさんがブランドを持って、それをそのまま販売するといったところもあるかと思うんですけど。

尾崎:今のところブランドはそこまで考えていないです。さっきもメルカリチャンネルさんへの要望をたくさん言ったんですけど、やっぱり初めて使うアプリや機能、売るときのライブコマースの機能というのは、これから始まってくる時代だと思うんです。

なのでさっきも言ったように、指1本で購入画面が出てくるようなアプリになってくれたら助かるなと思います。

あとはすごく細かい要望ですけど、BGMが欲しいと思います。無音でライブをやらなきゃいけないと気持ち的にもけっこうしんどいです。

松岡:BGMは本当に欲しい。

石川:小山からは「ライブコマースをこうしていきたい」という今後の展望をお願いします。

小山:これからどんどん市場が広がっていくだろうし、それをつくっていくのは僕らかなと思っています。先ほど話があったとおり、中国ですごく広がっているということもあって、その流れは日本にも来るかなと思ってます。

実際にどういうことが起きているかというと、日本でもその片鱗が見えてきていて、1配信の1~2時間で数百万売れる人が、日本にもすでに出てきています。今後はその流れが加速するかなと思っていて、ものすごい人気者が、ものすごい短時間でめちゃめちゃモノを売るみたいなことが出てくるかなと思っています。

一方、中国はどういう形式になっているかというと、もともとインフルエンサーみたいなフォロワー数の多い人たちがライブコマースを使っているんです。

日本はちょっと違って、数百万を売った人というのも、もともと普通の一般の方なんです。そういう人たちが、今後メルカリを通じてヒーローみたいな感じになっていく世界観をつくれたらいいなと思ってます。

直近では、おさよさんが言われたように、諸々の機能改修をがんばっていきたいなと思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。