BtoBマーケティングの視点が重要に

岡田雄伸氏(以下、岡田):ありがとうございます。ちょっとテクノロジーの話を突っ込んだところで(次は)けっこう広義な質問なんですけど。「アプリに対して今後期待することはありますか?」。これをラストの質問とさせていただければと思います。

さっきから森川さん、金子さん、菅野さんと質問してるので、次は菅野さんからぜひご質問に答えていただければと思います。アプリに対して今後期待すること、いわゆる日本最大級の動画ネットワークを持つファイブさんとして、何かありますかね?

菅野:どう答えるといいかというのが難しいんですけど。そうですね。ちょっと繰り返しになってしまうかもしれませんが、1インプレッションの価値が違うんだろうなとは思っています。その価値をもっと対外的にマーケティングしていくことが大切かなと。

やっぱりアプリのほうが色んなコストがかかる。メンテナンスのコストもすごくかかったり、プロモーションも大変だし、開発の工数もサーバーだけで済むわけではなかったりします。

あとはアップデートして申請してという一連の開発プロセスがある中で、時間的なコストもすごくかかるものじゃないですか。そこで広告モデルをWebと同じようにやっていたらちょっとつじつまが合わない部分が出てくるのかなと思っていて。インターネット広告やアドテクノロジーは、アプリではなくウェブプラットフォームの世界が中心で進化してきた歴史があるからなんですけど。

さっきのデータの話もそうですし、森川さんがおっしゃったようにまるっと大きく評価されて買ってもらうみたいな意味で言うと、広告主さんとか広告代理店さんとかの認知度をしっかりと拡げていく、個々のアプリで特有の価値があることを知ってもらうことはすごく重要で。いわゆるBtoBの領域のマーケティングになるのかなと思うんですけど。

わかりやすい例で言うと、汐留駅の駅貼りジャックみたいなものってけっこう見るじゃないですか。個々数年でアプリメディアさんがやるケースも増えてきてるなと思っていて。そういうBtoBマーケティングの視点みたいなものをより取り入れるとマネタイズの部分にはもっとすごく働くし。

たぶん広告主や代理店の営業の方って忙しいし、扱うメディア媒体も多岐にわたるので、その人たちの頭の中に「この分野だったら、これ」っていうのがある。その2つ3つの中に入っていられるかどうかみたいなことって、実は売上とかにすごく直結するんだろうなと思っていて。

そのあたりの動きがもっと出てくるかなというのは個人的な展望としてはありますね。

IoTによるスマートホームに期待

岡田:ちなみに差し支えなければなんですけど、汐留駅で出てたところとかって?

菅野:例えば私がGoogleに在籍していたときに、汐留駅をエリアターゲティングというよりは電通さんをターゲットして広告出稿を仕掛けた時期がありました。

みなさん覚えていらっしゃるかもしれないですけど、YouTubeの「好きなことで生きていく」というキャッチコピーの広告があったかと思います。あれはけっこうデカデカと何週間か借り切ってYouTuberの方が出て。そういう施策があったんですけど。

今振り返ってみると、けっこうそのあたりからYouTuberという言葉がメジャーになって、1つのすごく大きな市場になっていくきっかけにはなっているのかなと思っていて。

そのときのメジャー感って何で演出されてるんだろうなと思って。もちろんテレビCMもそうだと思いますし、あとやっぱり代理店の方が「YouTuberという言葉があってね」とクライアントさんに説明できる。少なくとも覚えているみたいな。そのくらいのメジャー感みたいな。

口の端にちゃんと上るみたいな。どれだけドライブしていくかというところで言うと、けっこうあるのかなと思います。

岡田:おもしろいですね。なるほど。汐留ターゲティング、なかなかおもしろいですね(笑)。ありがとうございます。金子さんいかがでしょうか?

金子泰章氏(以下、金子):余談ですけど、私もテレビ出稿をするときに若干、汐留も考えました(笑)。

(会場笑)

アプリに対して期待するということでいくと、私メディアなのでメディアのスタンスとしてお答えすると。

最終的なアウトプットがどういうかたちになっていくかというのがあると思うんですけれども、メディアとしては情報の伝わり先とか伝え方はより広がっていくことはすごくウェルカムな話かなと思ってます。

例えばIoTによるスマートホーム、これは今やってる事業に近しい領域かなと思ってますので、そこにはすごく期待をしてますね。

我々のコンテンツというのはかなり後手にありますので、それをより生活に根ざしたところにどうやって届けていくかとか。情報を届けるだけじゃなくて、例えば何かマッチングで購買のサポートができるんじゃないかとか。

そういういろんな可能性があり得るんじゃないかなと思ってますので。そこにはかなりアンテナを張っていきたいなと思っていますね。

スマートフォンが進化しないとアプリの進化も止まる

岡田:ありがとうございます。森川さん、いかがですか?

森川亮氏(以下、森川):そうですね。アプリはスマートフォン上で動くのでスマートフォンの進化そのものがどうなるか心配でもあるわけですね。最近AppleのiPhoneもなかなか進化が少なく、僕もiPhone Xを買わずにいるという状況の中。

岡田:生産中止になったりとか(笑)。

森川:スマートフォンが進化しないとアプリの進化も止まっちゃうので、そこを期待したいです。一方でTencentがミニアプリっていうプラットフォームの中のアプリを始めたりしてて。

これはもちろんAppleとGoogleは嫌がると思うんですけど、日本からも何か出てきたりしたらまたそれはそれでおもしろいかなと思っています。

岡田:サードパーティーのマーケットみたいな、そういうことですね。

森川:そうですね。Appleの新作とかいまだに揉めたりすることもあるので、もう少しササッとやっていただけたらなと思います。

岡田:ありがとうございます。お時間もちょうどいいところなんですけど。ちょっとだけお時間があるので、もしどなたかご質問のある方がいらっしゃったら1問だけお受けできると思うんですが。いらっしゃいますでしょうか?

(会場挙手)

質問者1:ジャパンデジタルデザインの〇〇と申します。今日はありがとうございました。先ほど、今年はマネタイズみたいなものが具体的になってくるというお話が出たんですけれども。

マネタイズの最後の1歩で決済というところが出てくると思うんですが、決済の機能として「これがイケてない」とか「こういった機能があったらいいな」みたいなところがあれば教えていただきたいなと思います。お願いします。

金子:そうですね。なんて答えようかなという感じなんですけれども(笑)。まだ決済をやってない部分もありますので、そこに対してはとくに「何がイケてない」とかそこまで思考が至ってないのもあるんですけれども。

より買いやすい環境とか決済しやすい環境ですね。そういう文脈づくりとかを整えるのがメディアとしては最初かなとは思っておりますね。すみません、こんな感じの答えで。

司会者:ほかにもしご質問がある方いらっしゃいましたら……。

岡田:すみません。もうお時間なのでこちらで締め切らせていただきたいと思います。『加速するメディアのアプリシフト マーケットリーダーの2018年の戦略とは」というかたちで終わらせていただきたいと思います。みなさまご静聴ありがとうございました。

(会場拍手)