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なくなっても生きていける7つの臓器

なくなっても生きていける7つの臓器

肺、肝臓、腎臓……。人体の生命を維持するとされるこれらの臓器ですが、実はなくても命がなくなるわけではないようです。人体に隠された、臓器のメカニズムとは? 今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」は、なくなっても生きていける臓器について解説します。

スピーカー
Hank Green(ハンク・グリーン) 氏
参照動画
7 Organs You Could Totally Live Without

なくても生きていける臓器がある?

ハンク・グリーン氏 人間の体は驚くほど複雑な機械のようです。すべての臓器が連携しあって、スムーズに動いています。そのうちの1つでもなくなれば全身が動かなくなると思うかもしれません。ところが実際には臓器がないまま生きている人が世界には大勢いるのです。 例えば、臓器が病気や障害の原因になっているなら取り除いたほうがいいでしょう。しかも重要度の高い臓器、肝臓や肺であっても同じことが言えるのです。確かに人体は精密に調整された機械ですが、幸いなことに急激な変化にも適用できます。今回はなくなっても生きていける臓器をいくつか紹介しましょう。 Image01 その1つは脳です。「そんなバカな」と思われるでしょうか。脳は他のどの臓器以上に、一部がなくなるだけでも大変なことになると感じるかもしれません。実際、脳は他のすべての臓器の基本的な部分を制御しています。 ですが中には半球、つまり脳の半分だけで十分生活が送れている人もいるのです。例えば脳の片側が原因でてんかんなどの発作が引き起こされる人がいます。 これは脳の成長が何らかの原因で阻害されたり、脳の片側が異常に大きくなったりする珍しい症状によって引き起こされます。脳の片側に起因する、てんかんは治療が難しく、進行していく可能性もあります。 そのため医師は時折、一部もしくは半球すべてを除去する「大脳半球除去手術」を勧めます。 極めて珍しく、当然ながらとてもリスクのある治療ですが、成功すれば比較的普通の生活を送れるようになります。大脳半球除去手術が成功した患者の50~90%は、てんかんから完全に解放されています。 除去された脳が司っていた半身に麻痺が残る場合もありますが、ほとんどの場合手術の前と同じように歩けます。 また手術によって知覚障害が起こることもありません。患者が若ければ、残った脳が成長を続けてなくなった脳の機能を補うため、後遺症は一層少なくてすみます。 依然としてリスクのある難易度の高い手術のため、医師は大脳半球除去を行うかどうか、他の選択肢の可能性を十分に検討したうえで決めます。ですが脳の半分を失ってもなお生き続けられというのは驚きですね。度肝を抜かれます。

正常な肺は1つでも事足りる

Image02 呼吸も生きていく上でなくてはならないことの1つなので、肺がなくなれば無事では済まないと感じるでしょう。ですが正常な肺は1つでも事足りるのです。 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がん、結核といった肺の病気になると肺の組織が機能しなくなってしまいます。そのため、肺の一部あるいは全部を外科手術によって除去する肺切除を行う場合があります。 Image03 片側の肺が切除されることによって空いたスペースには他の臓器がわずかに入ってくるだけでなく、残った肺が拡張する余地にもなるのです。 イヌやラットを対象に行われた実験では、残った肺にある空気を交換する小さな「肺胞」が新しく作られることがわかりました。肺除去手術が成長途中である子どもに対して行われた場合は、これと同じことが起こると考えられます。 ですが大人の場合は肺胞がわずかに伸びて大きくなり、それによって多くの空気が流れるようです。結局のところ1つの肺で、肺が2つあった時の70~80%、ほぼ十分な機能が保たれます。 年齢や他の体の状態にもよりますが、激しい運動を行うのは難しくなるようです。ですが中にはこの手術を行ったあとでも、私以上にマラソンできる人もいるのです。

胃がなくても必要なカロリーを摂取できる?

Image04 私たちの胃は、胃酸で食べ物を溶かし、小腸へ運ぶ十分な丈夫さを持っています。そのためにかなりの柔軟性があります。 ですが、その胃も機能しなくなったり病気になったりしてしまい、手術によって消化管を胃の別の場所に付け替えたり、取り除いたりする場合があります。不思議に思うかもしれませんが、消化の大部分は小腸で行われるため、こうした処置を行っても消化に大きな影響はありません。 ところが食べた物を蓄えておく胃がないため、患者はより小さく食べやすいものしか食べられません。 またビタミンB12やビタミンDといったビタミンを小腸が効率よく吸収できないため、時にはサプリを使って補う必要もあります。なかには「ダンピング症候群」という症状に悩まされる人もいます。「ダンピング(注:ゴミを捨てる、恋人を振るの意)」と聞いて、頭に浮かんだ意味ではないですよ。 糖やデンプンは胃で消化されますが、胃を切除した人は小腸に直接投入(ダンプ)されます。本来であれば腸はこうした物質を消化しないため、大量の水分が必要になり、血液中の水分が小腸に向かうことで血圧の低下が起こります。 ダンピング症候群になると、食後に腹痛やお腹の張り、貧血、めまい、低血圧といった、不快な症状が数多く表れます。 ですが基本的には食べ物の種類を変えることでこうした症状は予防でき、胃を切除しても必要な生きていく上で必要なカロリーは十分に摂取できます。

感染と戦う白血球を生産する脾臓

Image05 胃の左側に位置する脾臓(ひぞう)はとても重要な臓器です。古くなった赤血球の破壊や除去といった血液のろ過や、感染と戦う白血球の生産も担っています。 ですが腹部を撃たれたり刺されたり、また私の義理の父親のように自転車事故などに遭ったりすると脾臓が破裂してしまいます。そうなると内出血を引き起こし命に関わるため非常に危険です。 脾臓が感染によって大きくなるのも問題です。肥大化すると正常な血球も留め置いたり破壊したりするため貧血になってしまいます。こうしたケースの場合、医師は一部または全部の脾臓を摘出します。 たいていは安全な手術ですが、脾臓は免疫システムを担っているために脾臓を摘出した人は特定の細菌に感染しやすくなります。そのため免疫を高めるために抗生物質を予防として飲み、予防接種を受け続ける必要があります。 ですが人体に備わった代替のシステムによって、免疫力も完全になくなるわけではありません。

肝臓は再生する

血液をろ過する役目も肝臓が担います。 Image06 というわけで次は肝臓の話です。肝臓は栄養素の代謝、血液の解毒、消化を助ける胆汁の生成など数多くの働きを持っています。 ですが、肝臓の病気を持っている人に対して、さすがにまるごとというわけにはいきませんが、半分以上を臓器提供できます。本当に驚きですが、他の臓器と違い肝臓は再生するのです。 肝臓はふだんは複製されない、肝細胞という特別な細胞でできています。ですが肝臓の一部がなくなると肝細胞が再活性化することで複製が開始され、新しい肝臓が作られていくのです。 肝臓の再生はとても効率がよく、最大で65%が失われたとしても1年以内に元の大きさに成長します。実際移植された患者の肝臓の4分の1は、まったく新しい肝臓です。 たいていの手術と同じく、肝臓移植にもリスクや合併症はあります。ですが健康で利他的な考えを持っているなら、肝臓のドナーになることができますし、術後も問題はほとんどないでしょう。

胆嚢も重要な臓器ではない?

Image07 肝臓の下に潜り込んでいる胆嚢(たんのう)という小さな臓器があります。この胆嚢の役割は胆汁を蓄積し、消化で必要になった際に分泌することです。 ですが、胆汁の成分が固まって小さな石のようになって問題を引き起こす場合があり、そうなった場合医師は胆嚢ごと取り除くことにします。胆汁はコレステロール、胆汁酸、また尿を黄色くするもとであるビリルビンという代謝物でできています。小腸で胆汁は、脂肪の消化や、ビタミンAやビタミンDといった脂溶性のビタミンの分解を助けます。 しかし、コレステロールやビリルビンが固まってできる胆石は、できる理由ははっきりわかっていませんが、胆嚢から小腸へつながっている管に詰まる場合があります。こうして胆石が詰まると強い痛みが走り、そのままにしておくと感染や炎症の原因となるばかりか、時には死につながることもあるのです。 尿とともに排泄される場合もある腎臓結石とは異なり、胆石は自動的に排出されません。薬によって治療できる場合もありますが、たいていは投薬をやめるとまた胆石はできてしまいます。 そのため胆石の治療はたいてい、胆嚢を完全に摘出してしまうことになります。この手術は1882年に初めて行われました。ドイツ人の外科医は、他の哺乳類が胆嚢を持っていないことから人間の胆嚢もさして重要な臓器ではないと考えました。実は彼が正しかったのです。 胆汁は胆嚢がなくなったとしても、貯める場所がなくなるだけで小腸に直接分泌されます。 Image08 胆嚢の摘出手術がスムーズに成功すれば、小さな傷口とわずかな消化不良が見られるだけです。

腎臓は片方あればいい

Image09 両側の腎臓は1万個以上の「ネフロン」と呼ばれる、血液中の老廃物を取り除き、ある程度の粘度を与えるフィルターで構成されています。その重要性がピンとこないなら、家で出るゴミが2ヶ月も回収されないとどうなるか想像してみてください。 体内でも老廃物が多くなると、嘔吐、下痢、脱水症状などの原因となります。全身に膨らみが見られたり、血圧の上昇、呼吸の乱れにもつながります。また、血液の流動性が適切でなければ化学物質のバランスが崩れ、骨や筋肉の萎縮といった深刻な問題になる場合もあります。 つまり腎臓の障害は命に関わるのです。ですが実際には1つの腎臓で事足りるのです。
2つの腎臓で毎日150リットルの血液をろ過し、1.5リットルの尿を生成しています。
しかし1つの腎臓でもその仕事はこなせるので、だからこそ腎臓移植のドナーになれるのです。片側の腎臓が摘出されると、残った腎臓のネフロンが大きくなってさらにろ過できるようになってなくなった腎臓の穴を埋め、結果的に2つの腎臓が行っていたのと同じ程度のはたらきをします。 また興味深いことに、はたらくなった腎臓を2つともそのまま残していても問題にはならないのです。移植を受けた患者は必ずしも悪い腎臓を摘出する必要がないため、中には3つの腎臓を持っていながら、きちんと機能するのはそのうちの1つだけというケースもあります。 もちろんすべての臓器がきちんとあり、機能しているに越したことはありません。ですが人体は変化にも素晴らしく対応できるため、中にはなくなったとしても健康的で比較的、普通の生活を送れる臓器もあるのです。 臓器が1つか2つなくなったとしても、「いや、片方の肺が大きくなってくれたから問題ないよ!」と言えるほどです。もちろんそうなりたい人は誰もいませんが、人体は本当に素晴らしいですね。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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