「20銘柄バスケット」から銘柄を選ぶ

内田まさみ氏(以下、内田): 後半は、(株式投資の)中・上級者の方々にもご満足いただける内容で、トレード手法や今後の相場を中心にお話しいただきます。

最初のテーマは、「投資のプロに学ぶ、勝ち続けるためのトレード手法」です。

松井さんはまだこれからということなので、プロのお三方にそれぞれ教えていただこうかなと思っています。まずは、Bコミさん……坂本さんからいきましょうか。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):僕が心がけているのは、「予習と復習をちゃんとやりましょう」ということです。いつも、この話をしています。学校の勉強みたいで、聞くだけで「いやだな」と思うかもしれないですけど。

さっき(第1部で)、「投資は過去の歴史を繰り返すので、そのパターンをどのくらい知っていれば、どのくらい勝率が上がるよ」という話をしました。「(それを)言っている人は、予習・復習をちゃんとやらなきゃまずいだろう」というのもありますし。

あとは、ラジオやテレビに出ていますので、そこでちゃんとした投資情報を、みなさんに提供できるかというのもあるので。常に、予習・復習なんですね。

内田:松井さん、学校の勉強とかだったら、予習・復習もやり方がわかる気がしますけど。投資や銘柄で予習・復習って言われても、なかなか難しいですよね?

松井咲子氏(以下、松井):そうですよね。

内田:なにをやったらいいんだろう?

坂本:そこで、僕は「20銘柄バスケット」というものを作っています。「20個の銘柄の中から、その日売買するものを決める」というやり方をしているんですね。そうすることによって、あらかじめ準備ができるんですよ。

「他の人に惑わされず、自分の力で銘柄を絞り込んでいく。それをずっと繰り返していくと、『投資力』がつくよね」ということを、実践しているんですけど。そこを、僕はけっこう大事にしています。

あとは、いろいろ忙しいんですけど、インプットの時間……予習・復習をして、情報をちゃんと入れる時間を、毎日確実に取るようにしています。これができないと、もう投資家としては失格で、成長はそこで止まると思っています。

内田:日々努力して成長し続けないと、トレードの世界では生き残っていけないと。

坂本:そうですね。だから、今は睡眠時間を削ってでも、絶対にインプットはするという。

内田:ちなみにBコミさん、どんな生活をされているんですか? 松井さんのは、さっき(第1部で)聞いたんですけど。

坂本:朝起きるのは、だいたい7時半くらいですかね。

内田:サラリーマンの方と、まあまあ同じような感じですかね。

坂本:会社に8時過ぎに行って、そこからトレードをしますね。

9時から始まるトレードをして、資料作りも(その時間の)中でやって、10時くらいまでポジションを作ってしまって。相場を見ながら資料を作ったり、「今日、ラジオでなにを話そうかな?」とかやっていると、「Bコミさん、資料まだですか?」「大丈夫かな」と電話がかかってきて。しょうがないから、「もうできました!」みたいな感じで出したり。

(そのあとは)15時までトレードをして、急いでラジオとかで話しています。あと、自分はトレードスクールで(講師を)やっていて、ほぼ週3回か4回くらいは日々の概況(の指導を)、1時間くらいやっているので。15時(のトレードが)終わったら、スタッフたちと資料を作っています。それを17時くらいまでやって、そこからまた(予習・復習をして、情報をちゃんと入れる)インプットの時間が始まるんですよね。

資料を作ったり、インプットしたり、たまに夜のセミナーに出たりするんですけど。それで、だいたい1時くらいまでになりますかね、会社に(いるのが)。

内田:1時って、夜中の1時ですよね?

坂本:インプットするものがたくさんあるので、そこでちゃんとインプットして。大事なのは、次の日の用意を前日のうちに終わらせてしまうことです。

内田:次の日にやらないで、その前の日に?

坂本:そうです。次の日に売買する銘柄を、前の日のうちに決めちゃうんですよ。

株式市場って、やっぱりアメリカ時間を中心に動いているので、朝は米国市場の値段を見て、調整すると。朝はそれだけです。

内田:逆に、アメリカとかの動きを見て、その日の朝に決めるというのでは遅いんですか?

坂本:だいたい(売買する銘柄は)決まっているので、水準だけ……大きいニュースがあった場合に、ちょっと入れ替えることはあるんですけど。ほとんどもうそこで、「今日売買したいな」という銘柄は、決まっています。

内田:じゃあ、朝はけっこう落ち着いて、慌てずに冷静な判断ができるということになるんですね。

坂本:そうですね。やっぱり、「朝から情報を入れてやろうかな」とすると、うまくいかないんですよ。アイディアが見つからなかったら、(そのまま)もう取引が始まる9時に近づいてきたら、めちゃくちゃ焦ってくるし。結局は、朝起きて1日が無駄になってしまうことが、やっぱりあるんですよ。だから、夜にちゃんと用意をして、次の日の準備をしておくという感じですかね。

あと、土日はだいたい夜の6時くらいから(夜中の)1時くらいまで、会社にいるんですけど。そこでは必ず、中長期のテーマを決めていっています。「こういうことを調べたいな」と思うことは時間がないので、調べられないことがたくさんあるんですよ。それをやります。

(ほかには)インプットをする作業とか、あとは書きものとかをしているかな。あとは、火曜日に忘れていたんですけど、火曜日は「トレードステーション」さんの提供で、ニコ生をやっていますので。

(会場笑)

坂本:マネックス証券さんにスポンサーをしていただいて、火曜の20時半からだらだらとニコ生をやっていますので、ぜひ観てください。

内田:無料で観ることができますので、ぜひぜひご覧になってください。

ロスカットはきっちりと

内田:じゃあ、東野さんもお願いします。

東野幸利氏(以下、東野): 私の場合は、「(投資で)勝ち続ける」というよりも、「(チャートから)当て続ける」ということになるんですけれども。

内田:そうですね、置き換えてね。

東野:でもね、売買で「ロスカット」ってありますけど。僕も予想や予測したものは、外れたらすぐにロスカットをするようにしているんですよ。

内田:ダメだったら……?

東野:すぐにごめんなさいと、方向転換しますという。

内田:前提が崩れたら、そうですよね。

東野:意地を張っていると、どんどん深みにはまってしまって。例えば、ずっと強気にいっていたのに、(チャートとしては)ずっと下がっていると。でも、下がっているからといって弱気になっても、最後には上がり出すことがけっこうあるので。売買でもそうだと思うんですけれども、やっぱりロスカットは、きっちりとやることが重要なのかなと思います。

内田:でも、株って需給で動くじゃないですか。そうすると、業績がすごく良くても下がる時って、あったりするでしょう? それでも、「いつか上がるんじゃないか?」と、持っていちゃダメなものなんですかね?

東野:やっぱり、持っていても買ってもダメですよね。やっぱり値ごろ感で買うと、どうしても、まだまだ評価損がどんどん広がっていくというケースがあるので。

私は例えば、相場が底入れするサインが出るまでは、絶対に買わない。買いのサインを発しないようにしているんですよね。

内田:そこって、見極めるのが難しくないですか? 天井も難しいけど。

東野:そうですね、見極めるのが本当に難しくて。いろんなテクニカル指標を使っても、全部を当てられるわけでは、もちろんないです。例えば、下がっているものをそのまま買うというのではなくて、やっぱりちゃんと底入れを確認してから買う。例えば二番底だとか、そういった動きを確認してから買う。そこからでも、ぜんぜん遅くはないので。

そうすると、意外と……確実ではないんですけれども、やっぱり勝率は少し上がるのではないかと思いますね。

内田:その他にも、なにか伝えておきたいことありますか? 分析方法で。

東野:そうですね、坂本さんも言われましたように、やっぱり経験値も必要ですし。今まで経験してきたパターンや、ほかにも「シーズナリティ」という年間の中で、例えば何月が上がりやすい・何月が下がりやすいとか、あるじゃないですか。

内田:特徴、ありますよね。さっき(第1部で話が)出た、配当や優待とかね。そういうのもありますしね。

東野:そういったものも頭に入れておくと、少しは投資のヒントになるでしょうし。情報の収集の仕方も、古いかもしれないんですけど、朝は必ず新聞を読むということ。しかも私の場合は、まだタブレットに移行できなくて。

内田:まだ、紙で読んでいらっしゃる?

東野:ずっと新聞で読まないと。(新聞紙なら)どこになにが書いてあったかが、わかるんですよね。それで、ちゃんと新聞を読んでから会社に行って、会社に着くのがだいたい7時前くらいなんですけれども。そこから、ずっと情報収集をして、場が始まると。私の場合は売買ではなくて、分析コメントを書くということになるんですよね。

内田:場中も、いろんなところで発信されていますよね。

東野:そうですね。

内田:そういうのをやりつつ、夜も情報収集したりするんですか? 飲んじゃったりするんですか?(笑)。

東野:そうですね、飲むほうが多いです(笑)。

内田:そうなんですね(笑)。

東野:ただ、Bコミさんみたいに、朝は7時半までは寝られないですね。

内田:それは……歳とか、そういうことじゃないですよね?(笑)。

坂本:コメントを書かなきゃいけないからですよね。

内田:生活のリズムが、できちゃっているんですね。

東野:そうなんですよ。年齢とともに早くなっているんですよね。もう3時とか4時になると、目が覚めちゃうんですよね。

内田:本当ですか? まだそんなおじいちゃんじゃないから、大丈夫ですよ、東野さん(笑)。そうなんですね、本当に人それぞれですけど。

自動売買は「自動」じゃない

内田:本郷さんはいかがですか?

本郷喜千氏(以下、本郷):僕がやっているのは、「完全自動売買」というものです。あらかじめ売買のルールを決めておいて、その条件になったら自動的に注文を行う手法です。ピアノで言うと自動演奏であったり、車で言うと自動運転であったりというカテゴリーですね。

「勝ち続ける(ためのトレード手法は?)」という質問ですけれども、勝ち続けることはなくて。簡単に言うと、半分負けます。100回やって、50回負けます。

内田:それでも、利益が上がっていればいいんですもんね。

本郷:そうですね。負ける時の負け幅と、勝つ時の勝ち幅を比べて、勝つ時の勝ち幅のほうが大きければ、50回負けても勝てる。トータルでは勝っていると。

野球で言うと、1年をかけてのペナントレースみたいなもので、最終的に1位になっていればいいというゲームなんですね。

内田:トータルで考えて?

本郷:そうですね。そういう意味では、損益などは、年単位から半年単位で見直すことが多いですね。1回1回で負けても、自動運転・自動演奏は放っておくと。

「ふだん、なにをやっているのか?」というと、ピアノで言うと自動演奏の、「どうキーを打つか」というところを、プログラミングで入力して決めておく。1回決めれば、その通りに演奏するので。ただ、入力が間違っていたら、間違った曲を100回演奏することになるわけですね。自動運転で言うと、間違った自動運転プログラムをすると、衝突事故が起こって死ぬと。

こういうことにならないように、データを取って、プログラミングをブラッシュアップし続ける。

内田:調律をし続けて、微調整もし続けるという。

本郷:そうですね。事故が起こらないように調整するというのが、ふだんやっていることです。

内田:それって、私はすごく疑問に思うんですけど……相場に合わせていろいろ変えていくということを、してもいいものなんですか?

本郷:いいですね。そうやるべきなんです。勝っている人は、みんな途中で調整していると思います。

内田:「自動」とは言いながら、日々やらなければいけないことは、けっこうあるものなんですか?

本郷:けっこう、週1回や月1回とかで見直しています。僕はいつも、「自動売買は『自動』じゃない」と言っているんですけれども。

内田:だから、自動運転をしていても、なにかあった時にすぐ手を出せるように、ドライバーは乗っているみたいな?

本郷:そうですね、常に見ていなければいけないですね。ブレーキは、踏まなければいけない。

内田:「ブレーキはできる限り、自分で早めにかけたほうがいい」とか、そういうことになるんですよね。

本郷:決めたタイミングで踏むということですね。早すぎても、ダメなんですよね。

内田:ちょうどいいところで?

本郷:それを、あらかじめ決めておくと。

内田:なかなか難しい作業ですね。

本郷:それをしておけば、「このくらい失敗したら、こう見直す」と決めておけばいいだけで。損切りと一緒で、損切りラインを決めずにエントリーしたら、なかなか途中で損切りって、できないじゃないですか? 裁量トレードで言うと。それと、まったく一緒ですね。

内田:なるほど。最初から、出口を決めておくという。

本郷:なかなか人間って、自分が間違ったことを認められない生き物なので。「ここまできたら、間違えた」と決めておかないと、また「自分の都合のいいほうに、相場は動く」と思ってしまう生き物ですから。それで大火傷するので。

アイドルも「勝ち続けなければいけない」世界?

内田:勝ち続けるためのトレードをうかがいましたけど、アイドルも、勝ち続けていかなければいけない職業な気がするんですよね。可愛くてきれいだから、そんな世界だって言っちゃいけないのかもしれないんだけど。それでも、トップに近いところに居続けるとか、トップであり続けるとか、すごく重要でしょう?

松井:そうですね。でもAKB48は、すごく人数が多いグループだったので。「絶対にセンターを目指すぞ!」というメンバーも、もちろんいたんですけど。私は入ってすぐに「これはもう無理だ」というのを察して。

内田:人数が多すぎてもね。

松井:それもありますし、AKB48に入る前も、アイドルっぽい感じのキャラじゃなかったので。

内田:「素敵女子」って感じがしますけど。

松井:いやいや、ぜんぜん! 本当に普通に、埼玉の田舎のほうで育った人間だったので。こじはるさんやまゆゆみたいな、キラキラした感じじゃありませんでした。

内田:やっぱり近くで見ると、キラキラしているの?

松井:してます、してます!

内田:私から見ると、松井さんもキラキラよ?

松井:いやいや。女の子グループの中では、ぜんぜんそういうメンバーじゃなかったので、自分でポジションを決めて。決めてというか……「自分は王道のアイドルに徹するよりも、MCをがんばろう」とか。

内田:そうか、役割を見つけたのね。

松井:そうですね。役割を見つけて、自分の生き方をグループ内で探して。そうしていたメンバーは、やっぱり多かったと思いますね。

内田:自分の存在価値みたいなものを、しっかり自分で理解して、それでやっていくという?

松井:だから「勝ち続ける」というよりも、「いかに見つけてもらえるか」みたいな。自分のキャラの活かし方とか。

内田:そこにい続ける・あり続けるというのも、すごく大事なんですね。

松井:そうですね。

内田:Bコミさん、ちょっとトレードとも近いような気がしなくもないですけどね? そうすると。

坂本:そうですね。トレードの居場所って、どこなのかな。それは、自分で決めると思っているんですけど。「この銘柄にいく」とかには、やっぱり自分の好き嫌いがあると思うんですよ。だから、「出来高が多いほうが好きだな」「少ないほうが好きだな」とか。あとは、「過去にゲーム株で儲かったから、ずっとゲーム株が好きだな」とか。そういうのは、あるかなと思うんですけどね。

内田:4,000近い銘柄がある中で、まるっきり注目されていないというものも、そんなにないわけですもんね。どこかにやっぱり存在感があって、どこかにファンがいて……というね。

坂本:だいたい東証一部の銘柄は「商いが1日なかった」「値段がつかなかった」ということがほとんどないので、誰かが買ったり売ったりしているということです。

内田:その中からまた選んでいかなければいけないのが、投資なわけですが。

今年の株式相場の展望は?

内田:2つ目のテーマにいきましょうか。「今年の株式相場の展望」です。もう3月に入っていますが、「今年は(株式相場が)荒っぽいので、この先どうなっていくのかな……」と、けっこう不安な方々や、その反面で楽しみな方々もいると思うんですけれども。

じゃあ、Bコミさんから展望を。

坂本:年始にいろんな雑誌とかで、「今年の日経平均は何円まで上がる?」みたいな企画が、毎年組まれるんですけれども。

僕は去年も弱気だったけど、今年も弱気なほうにいるんですよ。

内田:今年も弱気?

坂本:それで、僕の今年の日経平均の予想レンジは1万9,000円から2万5,000円と話していたんですけれども。1月に2万4,000円を超えて上がってきた時に、「Bコミくんのレンジは、外れそうで残念だね」みたいな感じで言われたんですけど。

僕は「絶対に止まるよ」と言っていて。実際のところ、日経平均は調整して下がり始めたんです。根拠は、やっぱり来期の業績が不安すぎるから、そこまで買えないんじゃないかなと思っていて。

内田:業績が不安になるというのは、やっぱり為替の動きもあると思うんですけど。(不安要素は)そのあたりだけなんですか?

坂本:そこは、やっぱり良すぎるんだと思います。今年の業績が。

内田:ハードルが上がっちゃっているということですか?

坂本:発射台が上がっちゃうんですよ。僕は予想レンジを決める時は、需給と業績でしか見ないので。それが、たぶん一番当たると思って、僕は機関投資家時代からやってきていますので。

その予想レンジを見ていて、高くなってもPERで語る人が、どうしてもいるんですね。「アメリカは20倍くらいじゃないか」とか言って。

内田:「日本株、まだまだ割安じゃん」みたいにね、言いますけど。

坂本:「16倍だったら2万5,000円だね」「日本株は12倍から16倍のレンジで推移しているから、ぜんぜんおかしくないんだ」と言っている(人がいる)んですけど。16倍だった時は、業績がずっと伸びている時ですからね。来期の業績まで先取りしての、16倍ですから。

内田:そうすると、業績はそんなによくないのであれば、「割安だと思って買ったところが、割高になってしまうかもしれない」ということも、ありえるということですか?

坂本:割高までは、いかないと思っているんですけれども。ただ、来期の業績の伸びまで期待して買ってしまっている人が、たぶんいるので。

内田:先買いしちゃって?

坂本:そうそう。だから、そこまで……僕のイメージだと、今期はひょっとしたら、前期から20パーセント増益になるかもしれないんです。これはものすごいことなんですけれども、実は来期は、マイナスから始まるんじゃないかなと思っています。

アメリカの長期金利に怯えることはない

内田:なるほど。次は、東野さんの展望を教えてください。

東野:今年に入って(日経平均が)急落した後に、2万1,000円前後のところで止まっていると思うんですけども。ちょうど2015年の高値が2万とんで950円なので、おおむね止まったと。2回止まったなということで、明日以降に戻す可能性は、高まったかなと思います。

内田:2回止まったし、その節目でもあるしという?

東野:(Bコミさんが)おっしゃったように、僕も業績が悪くなっていると思うんです。だから、上がらないと思うんです。海外投資家も、「日本企業の業績は、株価懸念の要因になっている」と思うんです。

(今年の展望について)結論から申しますと、私も夏前ぐらいまではダラダラと調整が続いて、そこから円安が少し……「本格的に」とも言わずに、今のダラダラ感ではなくなって、少しずつ円安に振れてくると思います。

内田:そうなんですね。

東野:それで、日本株がまたちょっと買われ出して、年末の水準がだいたい今の……今年の2万4,000円ちょっとを超えるところまで、少し回復するかなと。

内田:戻ってくる……。その、為替が後半動き出してくる要因が、なにかあるんですか? (日米の)金利差や金融政策の違いとか。

東野:アメリカの長期金利が、少しずつ上がってくると思いますので。今は長期金利の上昇は、ドルが円売りにつながってないですけど。これがつながる時が、いつか必ず出てくるはずなんです。

それが、夏場以降ではないかなと思っていて。長期のドル円の日柄分析で見ると、早くて今年の7月ぐらいから少しずつ、ゆっくりゆっくり円安方向になっていく。

ただ、7月ぐらいまでは少しのらりくらりがあるので、日経平均ものらりくらり。その代わり、アメリカの株価がまたきていて、高値を更新してきていますので。そのあたりに助けられて、日経平均も2万1,000円ぐらいから上のほうの水準に、なるんじゃないかなと思います。基本的にはレンジですかね、今年1年間は。

内田:気になるのは、アメリカの株の動きなんですけど。金利がこれ以上どんどん上がっていってしまうことになれば、それはリスク要因だという捉え方をしないんですか? アメリカ株は。

東野:過去トレンドで見ると、アメリカの長期金利が上がった時に株価が下がった時って、ないんです。

内田:そういうことですか。

東野:要するに、スピードの問題なんですよ。

内田:早すぎたらダメ?

東野:そうなんです。早すぎたらビックリするので、「もう株を売っちゃえ」という感じになるんですけど。やっぱり過去の20年~30年とも、違った様子になります。

直近の10年~20年で見ると、例えばリーマンショック直後につけた2008年の安値からずっと見ると、金利が上がる時に、株価は下がってないんです。ですので、そういった意味では、ジリジリと上昇していくアメリカの長期金利に怯えることはないと思います。

内田:じゃあ、本郷さんにもうかがいましょう。

本郷:自動売買をやっているので、基本の過去データしか見ないので、なかなか先の予測とかはしないので……気の利いたことは言えないんですけど。

今年に入ってから3ヶ月ぐらい、日々のトレード結果から見て思うのは、やっぱり変動(が激しいことです)。日中のとくに日経225の指数先物取引をやっていて感じることは、日中に方向性が変わって、損売りして決済することが増える。

要は、日中に方向性が変わっているということと、あとは損切りする機会も去年よりはるかに増えているので、要は変動率です。(その)動きが激しいのを、今年は痛感しています。

内田:ここ足元の数日だけ見ても、日中の動きってけっこうありますもんね。

本郷:そうですね。とくに現物株だけをやってると、ショートできない。売りに対応できないので、キュッと下がると、たぶん慌てふためくことになっちゃうことになるんじゃないかなと思います。

内田:そうすると、その値動きの激しさに耐えられるようなやり方をしていかなきゃいけないと……いうことですかね?

本郷:一番は、ポジションを大きくしないということでしょうね。掛ける金額を控えめにしておくというのは、大事かなと思います。

内田:小さくても大きく動いてくれる分、取ろうと思えば取れるわけですよね? うまくいけば。

本郷:「終わってみたら、始値に近いところにまで戻ってた」みたいなことは、とくに株価指数先物では多いです。

内田:やっぱり、判断の仕方が難しいですよね。

本郷:それだけ今の状況は、売り手と買い手で意見が分かれているということだと思います。だから(変動が)激しくて、戻ってくると。

内田:そういうのが落ち着いてくると、さっき東野さんが言ったような動きが少しずつ収まってきて、次の動きへ……となってくる可能性が、出てくるわけですね。

本郷:次に大きく動く時に、ちゃんとポジションを持っているかどうかで、成績が決まっちゃうので。

内田:その時に、しっかり本気で入れるようなマネー管理も、私たちはしていかなきゃいけないわけですよね。

本郷:そうだと思います。

内田:なるほど。そういうのも、今年は大きなテーマになるかもしれませんね。

気にしておきたいニュース・テーマ

内田:そんな相場の中で、Bコミさん。気にしなきゃいけないニュースや銘柄・テーマなどが、いろいろあると思うんですけど。どんなところを注目します?

坂本:日本は最近、またモリカケ問題(森友・加計学園問題)が沸騰しているんですけど。

内田:政治的に嫌ですね、こういうのは。

坂本:「麻生さんが(財務大臣を)辞めれば、問題ないんじゃない?」という人がいるんですけど。「麻生さんが辞めて、安倍さんの力がさらに強くなったらどうなる?」っていう世界も、ちょっと妄想したいと思うんですけど。

内田:はい。

坂本:(それが)「消費税(の増税を)やーめた」だったら、株はぶち上がりますよね。

内田:そこは、大きいでしょうね。

坂本:「もう消費増税をやめます」ってさっさと言っちゃうのも、1つかなと思うんですけど、それもあるかなと。逆に麻生さんが辞めたからといって、実はネガティブじゃないかもしれないなとか。

その結果を見ていかないとわからないんですけど、日本(で気にしておくべきこと)はそれぐらいかな? なにもないと言いたかったんですけど、それが近々出ちゃったんで。

内田:政治的なね。

坂本:一応、考えましょうというぐらいです。北朝鮮問題も、一応空気を読み始めているので、4月~5月まではなにもないかなと思います。

内田:それだけ苦しくなっているんでしょうね、北朝鮮。

坂本:それでも、「4月~5月に会談を入れるから、つなぎで飯をくれ」みたいな話もあるじゃないですか。

内田:出てきますね。

坂本:「支援してください」とかもあるし。あとは、軍事産業の株が大暴落してるのも、やっぱり北朝鮮情勢は落ち着いたという現れかなと思います。

米国は、やっぱり中間選挙でしょうね。選挙が11月にありますので、トランプさんが必死に経済対策や政策を打ち続けていって。この前に関税(の話があります)。

鉄鋼・アルミの関税の話も選挙に影響するので、それも救済策という感じで、一応ぶち上げたとなっていますので、矢継ぎ早に経済政策を打ってくるはずなので。「実はそんなに、米国株って下がらないかもね」みたいなところです。

欧州もいろいろあるんですけど、そんなに注目すべきイベントは……あったとしても、そんなに大きなものにならないと思っているので。金融政策だけですかね?

内田:そうですね。

坂本:それが、日米欧のイメージかなというところです。

マザーズ市場に要注目?

内田:東野さんは、どうでしょうか?

東野:今回のイタリアの総選挙に通じて、また今年も欧州で(選挙が)1回あるかなという気も、最近してきました。あと、アメリカの景気もかなりいいところまできているので、大きく減速するということはないと思うんですけれども。ちょっとピークアウト感が出てきた時に、マーケットはどう反応するかなというところが、気になるところです。

あと、地政学リスクとかは、もうなるようにしかなりませんので、なかなか読みきれないです。「夏場までは、為替市場で円安方向には動かない」とさっき言いました。そのような状況が続くので、主力はなかなか戻りが厳しくて。その間に私は、マザーズ市場に非常に注目してまして。

内田:マザーズは(もう)動き始めたようですからね。

東野:激しいですからね。去年のマネックス証券さんのセミナーのところから、「マザーズに全部変えてください!」っていうぐらい(笑)。ちょっと冗談(も交えつつ)見ておりますけども(笑)。

内田:そうおっしゃったんですか(笑)。

東野:マザーズ市場に、非常に注目しておりまして。

内田:どういう意味で、注目度が高いんですか?

東野:単純に、去年は上がってなかったんです。去年は上がってなかったというか、日経JASDAQ平均がけっこう上がりましたので。

内田:動きが、ぜんぜん違いましたもんね。

東野:相対比較と、あと2014年の節目の高値を超えたという事実があるので。なかなかマザーズ銘柄と言っても、時価総額の大きい銘柄がミクシィやサイバーダインとか、そのあたりに固まってしまっているので、下のほうはリスキーな動きをするんですけども。比較的マザーズの底上げというのは、今年注目しています。

内田:じゃあ、小型株・新興型株って、注意点がありませんか? トレードする時に、値動きが激しくないですか?

東野:板を見るとおわかりいただけるように、超薄いので。そのあたりはやっぱり、振り回されているということでしょうね。

内田:そこだけ頭に入れて、なんとか耐えられれば?

東野:買っても、逆に板は見ない・じっくり持つというスタンスの方がいいと思います。

内田:そうなると、個別でじっくり見て選んでいくことになると思うんですけど。注目のテーマみたいなものとか、持っていますか?

東野:テーマは、けっこう変わると思うんです。(一度)やったテーマは盛り上げても、もう株価はなかなか上がらないので。

内田:どう選ぶかってね。どこですか?(笑)。

東野:私も、それは決めかねているところなんですけど。ただ、もう業績とPERはある程度高くなっているので、業績とテクニカルで見るようにしながら、中身……成長性になりますけど。そのあたりは、いろんなレポートを読んでインプットしていくしかないということなんでしょうね。

内田:本郷さんは、テーマとか考えられたりするんですか。

本郷:業界とかですか?

内田:はい。

本郷:テーマとかニュースは、ぜんぜん考えなくて。個人としても、テレビも見ないし新聞も読まないので、もともとそういうものに興味はないというか。意識的に、ネタだけを見て判断するようにしています。昔は、テレビを見たり新聞を読んだりしていたんですけど。

内田:そうすると、やっぱりなにか偏っちゃうということですか? (テレビや新聞を)見ちゃうと。

本郷:余計な情報を入れたくないというのが、一番あります。困ったら、また(情報を)入れればいいと思っているんですけど、今のところは困ってないので。

内田:(笑)。

本郷:5年以上、そういう生活をしていますけど。

内田:なるほどなるほど。

本郷:テーマを決めずに、価格や出来高とかで、その都度スクリーニングをしています。「トレードステーション」で言うと、「スキャナー」という機能がありまして。3,700(もある銘柄)を簡単に絞れる機能があるので、そういうもので絞って、銘柄を決めます。

内田:わかりました、ありがとうございます。

オリンピック・パラリンピックの恩恵は?

内田:松井さんも、なにか気になるニュースみたいなものとか、ありますか?

松井:今年に入って、まだ3ヶ月ぐらいですけど。今年はオリンピック・パラリンピックがあったので、それはすごく(気になりました)。ニュースというより、応援してたし。

内田:2020年に、また東京でやりますからね。

松井:それも楽しみです。そういう世界的な大きいイベントがあると、値動きとかも大幅に変わったりするんですか?

内田:お、気になる。

坂本:とくにオリンピック・パラリンピックは、今度日本でありますよね。

松井:はい。

坂本:あれに向けての(施設の)建設ラッシュには、すごいものがあって。(それで)自国開催で恩恵を受けるというのは、大きいんですけど。イベントは、(例えば)オリンピック・パラリンピックだったら……オリンピック・パラリンピック関連だから上がった株って、今年はそんなになかった気がします。

長期的に、自国開催の建設需要はものすごい大きいですし。あとは、(オリンピック・パラリンピックを)開催したら、まず必要なものは警備です。警備会社の株は、間違いなく業績が良くなるだろうから。株はいつ上がるかわからないですけど、業績は良くなるだろうと思います。

あとは、訪日外国人の方もたくさん出てくるので。ホテルやお土産とか、そういう企業も、業績が上がるんじゃないかな。そういうものが、やっぱり自国開催のメリットかなと思っています。

内田:東野さん。オリンピック・パラリンピックが終わったあとに、景気がまた冷やされちゃうんじゃないかというところが……。マーケットって、先取りしていったりもするじゃないですか。

東野:特定の業種では、少し反動があるんでしょうね。ただ、小国でオリンピック・パラリンピックをやると、終わったあとにけっこう大きく株価指数を下げているんですけども。

(一方で)日本みたいな先進国では、反動はあると言っても、そんなに大きなものはないかなと思っていますし。また、東京(オリンピック・パラリンピック)の場合も、(建設物の)更新需要というのが、高速道路とか。いろんなところも、ポコポコじゃないですか。そのあたりを直していくということを考えると、しばらくはそのような需要が、(企業を)支える要因になると思います。

内田:そういうところは、また為替の影響も受けませんしね。

東野:インバウンド需要も、すごいじゃないですか。まだ拡大すると思うんですよ。

内田:去年も、数的には過去最高ですからね。

東野:まだまだ、これからだと思います。

自動売買と為替相場の関係は?

内田:ちょっとだけ、質問タイムを取れますか? せっかく今日お越しくださったので。

質問者:本郷さんは自動売買をメインに取引されているとのことですが、為替相場もプログラムの中に入っているんですか?

日経平均とドル円に、相関性があったりなかったりすると……だいたい指数は、外国人の売買で動きますよね。ボラティリティと言うんですか。為替は、かなり影響があると思うんです。

日本時間・ニューヨーク時間・ヨーロッパ時間で、どういう影響があるかを知りたいんですけども。

本郷:結論から言うと、為替を見ています。あと、アメリカの相場を見ています。もっと言うと、日経平均先物は取引をしていますけど、日経平均の価格はまったく見ていません。

要は、投資は相対的なものだと思っているので。日経平均自体が良いとか悪いとか、低いとか高いとかは一切気にせず、その周りがどうなっているか(を見ています)。周りが良ければ……典型的なのは、米ドル円もそうですし、ダウもそうですよね。

「そちらが上がれば、日経平均も上がることが多い」という仮説のもとにストラテジーを組んでいるので。結論から言うと、イエスです。

質問者:為替を見ているんですね?

本郷:見ています。

何年か経ったら、今度は先生として

内田:じゃあ最後に、ご登壇者のみなさんに一言ずついただいて、それで締めさせていただこうと思います。Bコミさんから。

坂本:今日の(トークショーの前に行われた)「トレードステーション」のワークスペースのコンテストは、非常に画期的な企画だったなと思っています。

多少のツールだったら基本的に自由度がないので、「どうやって並べますか?」で終わりなんですけど。(今日は)自分の目的別にシートを作り変えたり配置したりして、売買の多様性とトレードの未来をみなさんと共有できるイベントができて、すごくうれしいです。

今日のワークスペースは、マネックス証券さんのサイトで配ると思いますので、みなさんに使っていただいて、新たな発見があればいいなと思います。

内田:では、東野さん。

東野:本日は、どうもありがとうございました。それぞれの企画されたワークスペースを見ていると、(それぞれの)斬新さは、非常に私にとっても刺激になりました。今回は審査員ということで、お声がけをいただいて、本当に職業冥利に尽きるところだなと思っております。ありがとうございました。

内田:ありがとうございました。では、本郷さん。

本郷:本日は、ありがとうございました。ワークスペースというのは、「トレードステーション」の根幹的・中核的な機能であり、本当に自由度の高いものです。

自分の思想などが表現できる場でもあるので、プログラミングなどをマスターする一番の近道は、人が書いたプログラムを、そのまま写すこと。写経と言われますね。

それと同じで、今回はすばらしい10名の方の作品を、今後はみなさんも使えるということで。写経じゃないですけど、ワークスペースを自分の「トレードステーション」に取り込んで、それを使ってトレードをしたり、あとカスタマイズもしたり……みなさん、許してくださると思うので(笑)。

中には、オリジナルインジケーターとかも作って入れられているので、それを見て、「こういう思考回路で作っているんだ」というのを勉強するところから始めていただいて、どんどん自分のオリジナルなワークスペースを、作っていただきたいなと思います。

内田:ありがとうございます。最後に、松井さん。いかがでしたか? 今日参加して。

松井:本当になにもわからない状態でのスタートだったんですけれども、本当にわかりやすく優しく教えていただいて。本当に、ありがとうございました。

これから、「まずはやってみることが大事だ」と言っていただけたので、初心者なりに始めてみて、これからどんどん勉強していって。いずれ何年か経ったあとに、先生側として……(笑)。

内田:おー(笑)。

松井:それぐらいできるまで、(株式投資を)学びたいと思いました。本当にみなさま、今日はありがとうございました。

内田:ありがとうございました。「みんなで松井さんの成長を応援しよう!」みたいな感じで終わっちゃいますけど、いいですよね、これでね(笑)。がんばっていただきたいと思います。

それでは以上をもちまして、マネックス証券主催のイベント「オリジナルワークスペースコンテスト表彰式・特別トークショー」を、終了させていただこうと思います。

本日は長い時間お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

(会場拍手)