連結ハイライト

竹内康雄氏(以下、竹内):オリンパスの竹内でございます。みなさまお忙しい中、オリンパス株式会社2018年3月期第3四半期決算の電話会議にご参加いただき、誠にありがとうございます。

それではさっそく、この第3四半期の決算概況について、ご説明を申し上げます。

スライドの4ページをご覧ください。 今回の決算における主なポイントになります。

第3四半期決算の実績ですけれども、為替の円安に加えて、医療事業が好調に推移し、第3四半期累計、この四半期のいずれも増収増益となりました。

とくに医療事業では消化器内視鏡の分野で回復を見せております。医療の3つの分野すべてにおきまして、この四半期では2桁成長を達成し、全社の業務を牽引しました。

通期の業績見とおしですけども、売上高、営業利益ともに従来の年間見とおしに変更はございません。

医療事業は第4四半期も、この好調トレンドが継続する見通しです。当期利益につきましては、米国税制改正にともなう法人所得税の減少を見込み、前回見通しから30億円上方修正しております。

それでは、これらのポイントにつきまして具体的にご説明申し上げます。

第3四半期の決算概況について、4月から12月までの累計実績を中心に、ご説明いたします。

2018年3月期 第3四半期実績 ①連結業績概況

スライドの6ページをご覧ください。 連結業績概況です。

第3四半期累計の連結売上高は、前年同期比8パーセント増収の5,721億円、営業利益は同7パーセント増益の598億円と増収増益となりました。

為替が円安になっていることもあり、医療事業が好調に推移し、増収増益に寄与いたしました。

税引前利益につきましては、医療事業による増益に加えて、金融収支の改善などにより、前年同期比14パーセント増の557億円となりました。

当期利益は米国税制改正にともない法人所得税が約30億円減少し、前年同期比22パーセント増の480億円となりました。

2018年3月期 第3四半期実績 ①連結営業利益増減要因

スライド7ページをご覧ください。 次に第3四半期累計の営業利益の主な増減要因についてご説明します。

(スライドを指しながら)左側からご覧ください。 医療事業では内視鏡外科処置具の全分野で増収となった結果、販売増加により110億円です。営業利益全体のプラスに寄与しました。

原価率は、医療事業におけるプロダクトミクスの影響により悪化し、全体では42億円のマイナス要員となっています。販管費の増加により、156億円、マイナスに影響しておりますが、これは主に医療事業において各機能部門の強化などにより、人員が増加していることによるものです。

これら人件費の増加に加えまして、上期に発生しましたM&Aや法務関連の対応費用など一時的な費用も販管費が増加する要因となっております。

その他で41億円プラスに寄与していますが、これは主に証券訴訟の和解等にともなう損失が前期から減少したことや、海外現地法人のオフィス移転等にともなう不動産売却益が発生したことによるものです。

加えて、為替の円安による効果が85億円プラスに寄与した結果、営業利益は前年同期比で38億円の増益となりました。

2018年3月期 第3四半期実績 ②セグメント別概況

スライド8ページをご覧ください。 セグメント別の状況になります。医療事業は第3四半期として過去最高の売上高を計上し、前年同期比9パーセント増収の4,473億円と全社の業績を牽引しております。

営業利益は前年と同水準となりました。科学事業は上期より順調な成長トレンドが継続しており、売上高は10パーセント増収、営業損益は88パーセント増益と、大幅増益となりました。

映像事業は売上高は前年並みとなりましたが、営業利益は15億円の営業黒字を確保することができました。

その他事業は、前期に子会社を売却した影響などもあり、減収減益となっています。全社・消去は訴訟関連損失の改善等もあり、損失幅が縮小しております。

2018年3月期 第3四半期実績 ③医療事業

スライドの9ページをご覧ください。 セグメントごとに個別にご説明します。

まず医療事業です。内視鏡外科処置具の全分野で好調に推移しており、第3四半期累計の売上高は前年同期比9パーセント増の4,473億円となりました。

とくに外科と処置具は上期に引き続き2桁の成長が継続しております。またこの3ヶ月では、内視鏡外科処置具の全分野で2桁成長となっており、成長がさらに加速しているものでございます。

為替を除く実質ベースでの地域ごとの状況につきましては、次のスライドでご説明します。

営業利益は前年並みとなる878億円、営業利益率は前年同期比で約2ポイント減となる19.6パーセントとなりました。これは主に、プロダクトミックスが変化したということにともなう粗利率の低下に加えて、欧米での修理・サービス部門の体制強化など、人件費の増加によるものです。

加えて、上期に発生したM&Aや法務関連の対応費用など、一時的な販管費の増加もございます。

なお、10-12月の3ヶ月間では、営業利益は為替の円安効果もあり、前年同期比14パーセントの増益。営業利益率は20.5パーセントと前年並みの確保をしております。

期末に向けて、消化器内視鏡のさらなる売上増加を見込んでいることから、通期で計画している営業利益率21パーセントは達成可能と考えております。

2018年3月期 第3四半期実績 ③医療事業

スライド10ページをご覧ください。 為替を除く実質ベースの成長率を地域ごとに、足元第3四半期の状況を中心に補足いたします。

消化器内視鏡分野では、上期は先進国ではマイナス成長となっていましたが、この第3四半期では先進国でも軒並みプラス成長に転じるなど、大きく回復を見せています。

日本では、新しいスコープを投入前ではありますが、セールスプロモーションの強化が販売増加に寄与しました。北米では保守サービスを含めた販売施策の強化に加えて、12月より新たにセールスプログラムを開始しています。

アジア・オセアニアでは中国が牽引し、第3四半期は21パーセント成長と好調に推移しております。新興国に加えて、先進国でもこの好調なトレンドを継続していけるよう取り組みを強化してまいります。

外科分野では、日本と欧州において新製品の「VISERA ELITE II」およびエネルギーデバイスの「サンダービート」がが好調に推移し、2桁の成長をしております。

北米は、 外科用主要製品の製品ライフサイクルが後半となる中で、4K外科内視鏡を中心に順調に推移したことから、エネルギーデバイスの仕込みを吸収して、前年並みの成長を確保できました。

処置具分野では、各地域で市場特性にあった製品が販売を伸ばし、引き続き全地域で堅調に推移しております。

2018年3月期 第3四半期実績 ④科学事業

スライド11ページをご覧ください。 科学事業になります。

第3四半期累計の売上高は前年同期比10パーセント増収の700億円、営業利益は約88パーセント増益の35億円となりました。

昨年投入した新製品が寄与したことなどから、海外を中心に産業分野の販売が好調に推移しております。とくに非破壊検査装置および半導体や電子部品検査向けの工業用顕微鏡が好調が売上を牽引しております。

営業利益は、この増収効果に加え販管費の削減などにより、大幅な増益となりました。その結果、営業利益率は前年同期比で2ポイント改善し、収益性が大きく改善しております。

2018年3月期 第3四半期実績 ⑤映像事業

スライドの12ページをご覧ください。 映像事業になります。

第3四半期累計の売上高は前年同期並みの473億円。営業利益は上期に続き黒字を確保することができ、前年同期比約2倍となる15億円の営業黒字となりました。

コンパクトカメラは前年同期比19パーセントの減収となる一方で、ミラーレス一眼は2016年後半に発売した「E-M1 Mark II」などOM-Dシリーズを中心に販売が増加し、7パーセント増収の366億円となりました。

収益性の高いミラーレス一眼や、レンズ等の増収効果に加え、販促活動、研究開発等を適切にコントロールしたことにより、収益性も向上しています。

なお、10-12月の第3四半期では1億円の営業赤字となりました。販管費のコントロールを継続していますが、ミラーレス一眼の販売減収により、営業利益が減少したことが要因でございます。

引き続き、費用を適切にコントロールしつつ、収益性の向上を維持してまいります。

財政状態計算書

スライドの13ページをご覧ください。 12月末の財政状況ですが、自己資本は当期利益480億円の計上により、前期末から573億円増加し、4,536億円となりました。

また、借入金の返済等により有利子負債を232億円減少させた結果、自己資金比率は前期末比で4.5ポイント上昇し、45.6パーセントとなりました。

資産の状況につきましては、棚卸資産が218億円増加しましたが、これは主に為替による影響と、期末の需要に向けた季節要因に加えて、医療事業においてBCP対応等の在庫を戦略的に積み増していることによります。

連結キャッシュフロー計算書

スライド14ページをご覧ください。 キャッシュフローの状況です。

営業キャッシュフローは、医療事業を中心とした事業活動からの利益を中心として602億円となりました。

投資キャッシュフローはImage Stream Medical社の買収にともない、87億円の支出があった一方、投資有価証券売却や、海外での不動産売却の収入等があり、前年同期から38億円改善しました。

フリーキャッシュフローは181億円のプラスを確保しております。財務キャッシュフローでは、前年9月に発行した社債や手元資金等で有利子負債約550億円を返済しております。

それでは 通期の業績見とおしについてご説明いたします。

通期見通し ①連結業績

スライドの16ページをご覧ください。 通期見とおしは、売上高・営業利益・税引前利益のいずれも、11月に公表した数値から変更はございません。引き続き、医療事業が全社の業績を牽引する見通しです。

当期利益は、米国の税制改革にともない、法人所得税が約31億円減少する見通しとなっていることから、前回見とおしを30億円上方修正しました。

配当につきましては、ご案内の通り期末配当として28円を予定しています。

通期見通し ②セグメント別業績

スライド17ページをご覧ください。 セグメント別の業績見とおしです。

医療事業は、足元の好調な業績およびユーロ等の為替前提を見直したことにより、売上高を30億円上方修正しました。第3四半期の好調なトレンドを継続していくことで、通期見とおしは達成可能と考えております。

営業利益は高い目標となっていますが、主力の消化器内視鏡の販売が期末に向けて、さらに拡大することで増益を牽引できることから、前回の見とおしを据え置いております。

具体的には、日本では1月に販売開始した新しい経鼻内視鏡のスコープに続き、超拡大内視鏡など複数の新スコープの販売を予定していることから、セールスプロモーションの強化と合わせて、さらに販売を加速させていきます。

欧州でも、旧世代システムの更新に向けたセールスプロモーション強化の効果が第3四半期より見え始めております。

北米では12月より新たなセールスプログラムを開始しており、効果が期待できます。外科分野では、北米で複数の新たなIDNと新規契約を獲得できておりますので、確実に売上につなげてまいります。

科学事業は、第3四半期までの進捗を踏まえて、売上高・営業利益とも前回見とおしを据え置いております。

映像事業は、足元の事業環境を慎重に見て、売上高を30億円、営業利益を10億円下方修正しました。通期で営業利益、黒字確保の見通しに変更はございません。

その他事業は、50億円の減収減益見とおしですが、主に前期に発生した子会社売却の影響によるものでございます。

以上、ご報告申し上げました通り、この第3四半期では医療事業では主力の消化器内視鏡の回復も見られ、おおむね好調に推移してきており、また中長期の成長に向けた研究開発投資、設備投資も着実に実行できております。

全体的に見て、ほぼ計画に沿った順調な進捗となっております。残り3ヶ月間、今期の取り組みを確実に実行することで、通期の業績見とおしを達成し、次年度に3年目を迎える中期経営計画「16CSP」の確かな手応えにつなげてまいりたいと思います。

引き続きみなさまのご支援をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。私からは以上です。ご静聴ありがとうございます。