全社実績

見浪直博氏:見浪でございます。それでは私より、2017年度実績および2018年度の業績見込みについてご説明させていただきます。

初めに、2017年度実績をご説明いたします。まず、全社実績です。国内たばこ事業は、厳しい競争環境を受け減益。海外たばこ事業においては、一過性の損失があったものの、海外たばこ事業、医薬事業および加工食品事業における堅調なパフォーマンスにより、全社利益指標である為替一定調整後営業利益は、対前年ほぼ同水準となりました。

この一過性の損失はUKにおける流通取引先の倒産申請によるもので、約200億円の損失を計上しており、その影響を除けば、全社為替一定調整後営業利益は2.8パーセントの成長となってございます。

為替影響を含む財務報告ベースについては、売上収益・調整後営業利益は前年比ほぼフラットとなり、海外たばこ事業における為替影響は限定的なものとなっております。一方、営業利益・当期利益については、不動産関連売却益の減少などにより減益となりました。

フリーキャッシュフローは、フィリピン・インドネシアおよびエチオピアにおける2,000億円を超える買収関連支出に加え、国内での高水準の事業投資などにより726億円の実績となりましたが、約6,000億円の買収関連の支出があった前年との比較では大きく増加をしてございます。

続いて、事業別の実績をご説明いたします。まずは海外たばこ事業でございます。総販売数量は、イラン・エマージングマーケットにおける堅調なパフォーマンス、およびフィリピン・インドネシアでの買収効果を、さまざまな市場における総需要の減少影響が相殺し、前年同水準となりました。なお、買収効果除きでも2.1パーセントと、緩やかな減少にとどまっております。

GFB販売数量については、エマージングマーケットでの力強い成長、複数の主要市場におけるシェアの伸長を背景に、0.8パーセント増となりました。

為替一定ベースでは、自社たばこ製品売上収益はプライシング効果を販売数量減少の影響が相殺し、対前年でほぼフラットとなり、調整後営業利益については、先ほど申し上げたUK流通取引先に関する損失を計上したものの、拠点最適化などによる製造コストの低減効果が着実に発現し、4パーセントの成長となりました。その損失除きでは、対前年で約10パーセントの利益成長を達成したと考えております。

海外たばこ事業実績 – 数量・為替一定ベース

続いて、海外たばこ事業の為替影響をご説明いたします。現地通貨対ドルの為替影響は、イギリスポンド、トルコリラ、新興市場などの通貨安のネガティブな影響がロシアンルーブル高のポジティブな影響を上回り、利益に対しては不利に作用いたしました。

一方、ドル円レートについては円安効果が有利に作用し、現地通貨対ドルのネガティブな影響を上回ったことから、利益に対する為替影響は若干ポジティブとなりました。

国内たばこ事業実績 – 数量・シェア実績

次に、国内たばこ事業の実績についてご説明いたします。数制限およびRRP市場の拡大により、紙巻総需要は対前年で12.9パーセントの減少となりました。たばこ市場全体に占めるRRP市場のシェアは通期で12パーセント程度、年末時点では18パーセント程度であったと見ております。

紙巻総需要減少の影響を受け、JT紙巻販売数量は対前年で12.5パーセントの減少となりました。紙巻のシェアについては、「メビウス」および「ナチュラルアメリカンスピリット」などの注力ブランドが堅調なパフォーマンスを見せ、トータルでは対前年0.3パーセントポイント増の61.3パーセントとなり、ナンバーワンポジションをさらに強化してございます。

「PloomTECH」につきましては、カプセル製造能力の上昇に伴い、段階的に販売エリアを拡大し、カプセルの販売数量は第4四半期に大きく増加をしております。

国内たばこ事業実績 – 財務実績

続いて、財務実績をご説明いたします。自社たばこ製品売上収益は、PloomTECH関連での100億円強の売上伸長およびメビウスなどの定価改定による単価効果があったものの、紙巻販売数量の減少により対前年で9.1パーセントの減収となりました。

調整後営業利益については、紙巻たばこへの投資水準最適化を通じたコストの減少などが減収影響を一部相殺したものの、対前年で10.7パーセントの減益となりました。なお、Ploom TECHにかかる基盤強化、販促等の投資については増加をしてございます。

医薬・加工食品事業実績

続きまして、医薬・加工食品事業の実績です。医薬事業では、導出品の販売拡大に伴うロイヤリティ収入の増加、および国内販売好調による鳥居薬品の売上伸長により、対前年で175億円の増収、144億円の大幅な増益となりました。

加工食品事業については、売上収益は対前年で減少しましたが、利益率が高い商品の販売強化およびコスト低減に努めたことなどにより、対前年で4億円の増益となり、5期連続の利益成長を達成いたしました。医薬・加工食品事業は合わせて約150億円の利益成長を実現し、グループの利益に大きく貢献をしております。

全社業績見込

ここからは、2018年度の業績見込についてご説明をいたします。初めに全社業績の見込をご説明いたします。全社利益指標である為替一定調整後営業利益は、トップライン成長に回帰する海外たばこ事業がドライバーとなり、対前年3.7パーセント成長を目指してまいります。なお先ほど申し上げた、前年の一過性の損失がなくなることによる相対的な増加を除くと、為替一定調整後営業利益は前年同水準となります。

財務報告ベースにつきましては、売上収益は海外たばこ・医薬・加工食品事業の増収が、国内たばこ事業の減収を上回り、対前年で3.8パーセントの増収。調整後営業利益は、円高を主因に70億円程度と若干の為替の不利な影響を折込み、2.5パーセントの成長となる見通しです。営業利益・当期利益については、前年に発生した関連会社株式の減損損失の戻入益などがなくなること、および買収に係る償却費の増加を背景に、前年同水準を見込んでいます。

FCFは各事業の事業基盤を強化するため、約600億円の設備投資の増加を計画しており、3,000億円程度となる見通しでございます。

海外たばこ事業見込 – 為替一定ベース

続いて各事業の見込みについて、まずは海外たばこ事業からご説明をいたします。自社たばこ製品売上収益は、8.1パーセントと大きく伸長する見込みです。これはプライシングが牽引するトップライン成長への回帰に加え、地理的拡大による買収効果およびEmerging Marketsでの貢献を主因に、総販売数量・GFB数量ともに伸長すると見ていることによります。

為替一定調整後営業利益については、トップライン成長を主因としつつ、前年の一過性の損失がなくなることによる相対的な増加もあり、14.7パーセントと高い成長を見込んでいます。なおその影響を除いても、対前年で8パーセントと力強い利益成長見込みとなっています。また事業投資についても一層注力し、持続的な成長のための事業基盤強化に取り組んでまいります。

海外たばこ事業見込 – 財務報告ベース

続いて為替影響を織り込んだ財務報告ベースの見込みは、ご覧のとおりでございます。英ポンドやユーロなどについては、対前年ポジティブと見ていますが、トルコリラ・イランリアルはネガティブに推移すると見立てており、ドルベースでは利益の為替影響はニュートラルと見込んでいます。一方、ドル円レートは円高を想定しており、連結ベースでは若干不利な影響になると見ています。

国内たばこ事業見込

続いて国内たばこ事業の見込をご説明いたします。自社たばこ製品売上収益は、Ploom TECHの拡販効果などが紙巻販売数量の減少影響を一部相殺し、対前年で3パーセント減少の5,730億円を見込んでいます。この5,730億円のうち、10パーセント台の半ばはRRPが貢献すると見込んでいます。

調整後営業利益は、Ploom TECH販売拡大効果などの増益要因などがあるものの、紙巻数量減に伴う利益の現象、およびPloom TECH全国拡販に向けた販促強化などにより、マイナス13パーセント。303億円の減益を見込んでいます。2018年はチャレンジングな事業環境においても、2019年以降の成長に向けた事業投資を緩めることなく強化するため、減収減益となる見込みですが、反転攻勢に向けてPloom TECHの着実な成功、およびRMCの圧倒的なポジションの強化に努めてまいります。

売上収益・調整後営業利益の見込については、スライドにお示しした総需要、販売数量を前提として計画を策定してございます。また一定の前提を置いて、たばこ増税に伴う定価改定効果を見込んでいますが、増税時期が10月と残期間が短いこともあり、今期への影響は限定的なものと見てございます。

医薬・加工食品事業見込

続いて医薬事業・加工食品事業の見込です。医薬事業は、国内販売における薬価改定のマイナス影響などはあるものの、同質品の販売拡大に伴うロイヤリティ収入の増加を見込むことにより、対前年で4.1パーセントの増収。3.8パーセントの増益を見込んでいます。加工食品事業については、冷凍・常温加工食品および調味料の売上の伸長を見込むことにより、増収増益の見込でございます。

なお2016年12月に発表いたしました、供給能力拡充などに向けた設備投資計画は着実に 実施しており、2018年上期に新設工場が稼働する予定です。

Closing Remarks

2018年についてはチャレンジングな事業環境が継続すると見ていますが、このような環境においても、RRPへの投資や新興市場への地理的拡大などの、将来の利益成長に向けた事業投資を着実に推進し、持続的な利益成長を目指してまいります。株式還元につきましては、先ほど寺畠から申し上げましたとおり、強固な財務基盤を維持しつつ、安定的・継続的な配当金成長を目指してまいります。

その株式還元方針のもと、2017年の年間配当金は当初お約束どおり、中間・期末を合わせて140円をお支払する予定でございます。また2018年の年間一株当たりの配当金は、中長期の利益成長の見通しに応じ、7.1パーセント成長の150円を予定しています。私からの説明は以上でございます。ご清聴ありがとうございました。