音と音楽に特化した製品群

山田達三氏:おはようございます。株式会社ズームの山田でございます。私からは2017年12月期の決算の説明と、2018年12月期の通期の予想について説明したいと思います。

まずはじめに、弊社の概要について簡単に説明したいと思います。初めての方もいらっしゃるので、簡単に説明します。

弊社は1983年に創業しておりまして、音と音楽、他社製品と開発・販売するメーカーで、ファブレスの形態をとっております。すべての製品は、中国の台北工場で製作して、それを海外に売るということですので、取引としてはドルで仕入れてドルで売るという形態が中心になっております。

カテゴリー別の説明です。まず1番弊社の販売が多いカテゴリーが「Handy Audio Recorder」という、ICレコーダーです。非常に音がクリアで、ミュージシャン向けに開発したレコーダーです。

続きまして、2017年でいいますと、「Multi Effecter」が17パーセントの売上を占めております。こちらは、ギターとかベースの音をエフェクトをかけて変えます。例えば歪ませたり、エコーをかけたりということをする機械なのですけれども、エフェクトをかけることができるというのが弊社のMulti Effecterの特長でございます。

そして3番目に大きいカテゴリーが、「Handy Video Recorder」です。こちらはビデオレコーダーなのですけれども、弊社の製品の特長というのは非常に良い音で取れるということです。普通のビデオレコーダーでは比較にならないぐらいの音で取れるというのが特長でございます。

続きまして「Professional Field Recorder」は、屋外で映像関係の人が音を録音することを想定して販売した製品でございます。こちらの『F8』は、弊社の製品の中でも画期的なものとなっております。

今年に入って『F1』という廉価版というか、安い機種を出しておりまして、こちらについて少しビデオがありますのでご覧いただければと思います。

(動画が流れる)

このような感じで、屋外で自分の好きな音を録音できるという機械で、1月に発売を開始したのですけれども、弊社としては非常に期待をしている製品でございます。

続きましてカテゴリーといたしましては、「Digital Mixer」と「Multi Track Recorder」というカテゴリーになります。前は「Multi Track Recorder」だけでした。Multi Track Recorderというのは複数の録音トラックを同時に録音できるというふうな機械なのですけれども、去年『L-12』というDigital MixerにそのMulti Track Recorderの機能をもっている機種を発売いたしましたので、今年度よりDMX/MTRというカテゴリーでまとめて1つのカテゴリーということにしております。

続きましてのカテゴリーなのですけれども、「Mobile Device Accessory」ということで、こちらはiOS(を利用するデバイス)につけて録音します。例えばiPhoneは、非常にiPhone単体ですとピンマイクがそんなに良い音で録音でいないのですけれども、これを使うことによって非常に良い音で録音できるという機械でございます。

「Audio Interface」です。これはギターとかのアナログな音をパソコンに取り込むことによって、デジタルに変換しなくてはいけないということで、そういう変換するための機械です。逆にデジタルな音はアナログに変換するということもできるという機械でございます。

最後に、去年まではEDMというふうにいっていたのですけれども、「ARQ」という呼び方に変えております。こちらは去年末に発売した『AR-48』という機械です。ドラムマシンとかシンセサイザーとかの機能がある機械なのですけれども、これがちょっと映像を見ていただくのがわかりやすいと思うので、こちらにつきましても動画を見ていただきます。

(動画が流れる)

こんな感じなのですけれども、イメージいただけましたでしょうか。あまりこの分野に馴染みがない方は、こんなもんかなということを思うかもしれませんけれども、製品としては非常に画期的な機能が含まれている製品でございます。

2017年12月期 業績ハイライト

続きまして、当期の2017年の業績についての説明に移りたいと思います。まず決算ハイライトです。2017年12月期の連結業績です。

売上高が63億円ということで対前年比で6パーセントと対計画比に対しますと5パーセント増という着地になっております。営業利益につきましては、3億2,700万円です。こちらにつきましても対前年度比で48パーセント増です。対計画比で43パーセント増です。経常利益は3億6,200万円、対前年比で77パーセント増、対計画比21パーセント増という結果になっております。

売上の増加要因につきましては、為替のレートが円安に推移したということもあるのですけれども、新商品の効果によってハンディビデオレコーダーの販売が好調だったというものも、大きな理由でございます。

経常利益の増加要因なのですけれども、こちらにつきましては売上高に対前年の伸びが大きいかと思います。大きな理由は2016年が円高でございまして、そうなると弊社の粗利率が悪化します。例えば、1ドル110円で仕入れた製品が2ヶ月後に100円になりましたといったときに、110円で仕入れた製品を100円で売るしかないということになりますので、円高がダラダラと続いてしまうと、粗利率が悪化すということでございます。

もう1つが、2016年為替差損を大きく計上してしまいまして、それが2017年はそれほど出なかったというのが、理由になっております。

2017年12月期 連結損益計算書(要約)

続きまして、連結の損益計算書の要約になります。

売上高は、説明申し上げました通りプラスの3億3,100万円で、営業利益はプラスの1億600万円です。

こちらにつきましては粗利が対前年比で良かったこともりますが、販管費以外は少し増えてしまいまして、対前年比で1億2,400万円という影響もあって、着地としてはプラスの1億600万円になりました。

経常利益は、為替差損が対前年度比で減ったというのもございまして、プラスの1億5,700万円、3億6,200万円で着地しました。当期純利益は、ちょっと税金が去年よりは発生してしまったんですけども、それでも対前年比で1億900万円増の2億8,800万円という着地になっております。

EBITDAなんですけれども、これは弊社独自に計算しておりまして、営業利益プラス減価償却費、プラス持分法投資損益で計算しております。こちらプラス1億2,600万円の6億3,900万円で着地しております。減価償却以下の数値はご覧の通りになっております。

2017年12月期 製品カテゴリー別売上高

続きまして、カテゴリー別の売上の説明に入りたいと思います。

カテゴリーの中では、大きく伸びたカテゴリーが2つありまして、マルチエフェクター、こちらはアコースティックモデルのAC-2、AC-3というのを2017年に発売したことによる新製品の効果がありました。

(伸びたもう一つのカテゴリーは)ハンディビデオレコーダーなんですけれども、こちら対前年比で約倍ということで、大きく伸びました。これは2016年10月に発売開始したQ2nという機種が非常に好評で、予想を超える売れ行きで、大きく伸ばしました。

一方、プロフェッショナルフィールドレコーダーは、2016年の売上が良かったんですけれども、販売代理店もウチも需要予測を読み誤ってしまい、代理店に在庫が余ってしまって、その反動で2017年が減ってしまいました。

決して売れてないわけじゃないんですけど、弊社の売上が減ったという結果になりまして、その結果として対前年比で3,200万円のマイナスとなっております。

2017年12月期 地域別売上高

地域別の売上です。

大きくなったのがアメリカ・日本です。アメリカはレコーダー関係が販路の拡大もあって、ビデオレコーダーの販売が伸びました。

日本につきましては、もともとマルチエフェクターがよく売れる軸なんですけども、それが伸びました。

一方、減ったのはイタリア・フランス地区で、代理店の在庫が多かったという部分で、当期はあまり出ませんでした。

中国、中国は伸びました。中国は毎年伸びていってるんですけれども、2017年の大きな要因としては、プロフェッショナルフィールドレコーダーとマルチエフェクターの販売が好調でした。

U.A.Eも実は伸びておりまして、場所柄ハイエンドのハンディオーディオレコーダーが非常に良く売れるということで、対前年比で大きく伸ばした結果になっております。

2017年12月期 営業利益の増減分析

めくっていただきまして、営業利益の増減分析になります。 2016年度、2億2,000万円から2017年は3億2,700万円まで増減したという表なんですけども、まず未実現利益が増加してしまいました。

あとは為替の変動による売上増出荷増で、粗利益が改善しました。これは2017年の為替レートが安定していたということです。

2016年がある意味で異常に低かったということもあるんですけれども、その分の改善しました。あと金型の減価償却費を売上原価に計上した部分が当期若干あったということと、MP3の特許が切れて、その分のロイヤリティが減少したということもございます。

あとは、減少要因として大きいのは、生産終了品の残部材と商品についての廃棄が、当期はたまたま多かったということです。支払手数料もソフトウェアの作成と改良の外注等により支払手数料が当期は増加しましたという要因で、当期は3億2,700万円になっております。

2017年12月期 連結貸借対照表(要約)

続きまして、バランスシートです。 こちら、いちばん大きな要因というのが商品および製品のところで、在庫が非常に大きく浮いています。

これは別に滞留した在庫とか、廃棄在庫とかそういうのが増えたというわけではありません。前期に、欠品による機会損失が多少発生したので、売れ筋の商品についてでできるだけ商品を多く取るということで、意図的に増やしたという結果になっております。

あとは株式、上場した部分で資本金が増えているというのが特徴でございます。

2017年12月期 連結キャッシュ・フロー計算書(要約)

連結のキャッシュ・フローは、前期と当期は似たような状況です。現金等の増加は1億9,000万円です。営業キャッシュ・フローの主な増加要因というのは、当期利益の計上です。減価償却費の計上と、あと運転資金のところでは、仕入債務が増加しました。

一方、先ほどの説明の通り、棚卸資産が増加したので、その分キャッシュが減りました。投資活動につきましては、金型を中心にした有形固定資産の増加と、あとイタリアの販売会社を子会社化することに先駆けて、一部貸付けしまして、その貸付けが1億7,200万円増えている。このうち半分くらいは、もう回収しています。

財務活動のところでは、上場しましたので新株発行で3億4,000万円増えています。一方、自己株式を取得しまして、その分が減っているという結果になっております。

2017年12月期 売上及び利益の推移

売上と営業利益の推移はご覧の通りで、だいたい、いつも第3四半期が増えて第4四半期が若干減るけど多いんですけど、今回第4四半期の売上が一部、第3四半期になってしまったので、第4四半期の減りが大きくなっています。

クリスマス商戦、年末商戦に向けて非常にモノが動くので、その上に当社としては、やはり第3四半期の途中から第4四半期の初めにかけて、売上が非常に大きくなるという特徴がありますので、こういうかたちになっています。

営業利益と四半期純利益は、キレイな段階に例年なって、これにつきましては説明が次のページにございます。

2017年12月期 経常利益変動要因

為替差損益に影響を受けました。とくに2016年の第1四半期まではヘッジということをまったくしておりませんでしたので、ちょっと動くと1億円や2億円の為替差損益が出てしまいます。

2016年の4月からドル資産とドル負債をマッチングさせるマリーというヘッジをしておりますので、今後はあまり気にしなくていいのかなと思います。

一方、 持分法投資損益です。これは持分法適用会社になる「ZOOM North America」と 「ZOOM UK」という持分法適用会社です。

こちらの2つの会社は、やはりクリスマス商戦に向けて、年末どんどん売上が伸びていくということもありまして、段階的に第1四半期か第4四半期に向けて、やはり出ていくという特徴でございます。

当期、第3四半期は、第4四半期に期ズレが出たのが一部あったので凹んでいるんですけども、基本的な利益の推移はこのような感じになっています。

株主還元方針

続きまして、株主の還元方針です。

配当につきましては、 一株当たり40円とする予定です。当初予想は33円ですけども、利益が思ったより出たため、上方修正ということにいたしました。

2018年12月期 連結業績予想

めくっていただきまして、連結の業績予想です。

2018年ということで、売上高から利益まで、それぞれ、だいたい10数パーセント伸びる予定にしています。大きな要因というのは、連結子会社が第2四半期から増えるということで、その分の売上を取り込むことによって、売上利益が増えるという予想をしております。

2018年度為替感応度につきましては、1円の円高で営業利益が約1,500万円減少、逆(円安)になれば増加するという予想にしております。

2018年12月期 連結カテゴリー別売上予想

連結カテゴリー別の売上の予想になっております。 ハンディオーディオレコーダーとマルチエフェクターについては、去年と、2017年と同じぐらいなんですが、ちょっと円高の影響があります。

ビデオレコーダーにつきましては、さすがに2017年の反動があるというところと、プロフェッショナルフィールドレコーダー、デジタルミキサー、マルチトラックレコーダーにつきましては、新製品効果で売上が伸びます。

あと、その他のところでイタリア子会社の、弊社以外の製品を取り扱っているということもありまして、その分その他のところが増えるという予想をしております。

私からの説明は以上になります。

1. 第1次中期経営計画の総括

飯島雅宏氏(以下、飯島):では続きまして、私CEOから今回新たに制定いたしました第二次の中期経営計画、2018-2020ということで、この説明を差し上げたいと存じます。

第二次中期経営計画の名前は「ZOOM5.0」と命名をいたしまして、その理由はこれから説明してまいります。

まず目次にありますように、最初に第一次中期経営計画の総括について述べたいと存じます。株式上場を目指す中で、制定いたしました第一次中期経営計画でございますが、目標を株式上場を目指し、100年続くブランドの礎を築くとしておりました。

結果は、ご存知のように昨年の3月28日に東京証券取引所JASDAQ市場へ株式を上場ということを成し遂げたわけでございます。

参考として、上場に向けての過程で新たに導入された組織や制度について、ここにピックアップしてあります。

まず、社外取締役の選任、それから監査等委員会設置会社への移行です。

それから、執行役員制度の導入によりまして、経営の監督と業務執行の分離を進めております。

また、法務部門・経営企画部門・IR部門といった新しい組織を設置いたしました。

内部監査制度の導入、それから内部統制報告制度(J―SOX)への対応も行なっております。

また、コンプライアンス・マニュアルというものを制定いたしまして、社員全員、派遣先から来ている社員も含めて、コンプライアンス・マニュアルの小冊子を配布して、周知徹底しております。

また、規程・ワークフロー・ガイドラインと、さまざま制定をいたしました。

定量的な人事評価制度も導入いたしました。

それから、予算についても総合予算書を毎年作成して、予実管理を行っていくということを、この中期経営計画の中で行ってまいりました。

2. 経営ビジョン

今回、策定いたしました第2次の中期経営計画のビジョンについては、1番上にありますように、『品質から品格へ』とタイトルを決めました。

補足説明が下に書いてありますけれども、過去、日本の『ものづくり』は高品質、それからコストパフォーマンスの良さで市場を獲得しました。

ところが、電子機器の製造拠点が特定地域、特定地域というのはご存知のように香港から入った華南地域でございますが、電子楽器も同様に集約化されておりまして、ここで製造委託をすることで、なかなか品質だけでは差別化が困難な状況に陥ってきております。

そこで、当社としては、品質だけに留まらない『品格』というものをブランドの競争優位性に位置付けてまいりたいと思います。

理屈から言いますと、会社の品格を上げるためには、商品の品格と社員の品格が必要だろうと考えておりまして、ブランディングの一環として、単にイメージだけでブランディングをするわけではなくて、ブランディングの本質的なところを高めていきたいと考えた次第でございます。

2. 経営ビジョン ( 商品の品格 )

最初の商品の品格をどう上げていくのかというのが次のページですが、当社では、従来より『商品開発5か条』というものが決まっておりまして、すべての商品でこの5ヶ条を満たすように開発を進めております。

最初、1番目ですが、商品はプロレベルのユーザー体験を提供します。

アマチュアからプロまでユーザーがいますけれども、まず、アマチュアには途中で挫折しない継続へのモチベーション、それから、プロには新しいなにかに挑戦するようなモチベーション、これを提供していきたいというのが1番目です。

それから2番目、世界初の『何か』を実現します。単なるモノマネではない、なにか新しい世界初のもの、これは機能でも性能でも価格、デザイン、いろいろあると思いますけれども、必ずその要素を入れますということです。

3番目は、自分で使いたい商品にします。主としてエレクトロニクスのエンジニアが商品を開発しているわけですけれども、必ずそのエンジニアも楽器を弾くという背景を持ちつつ、自分だったらこう使いたいというユーザーの視点で開発をしていくというのが3番目です。

それから4番目、デザインは機能を表現するということです。昨今はインダストリアルデザインという、いわゆるデザインと設計開発は別々のものととらえる風潮もありますけれども、まず新しい機能を取り入れたい時には、設計するエンジニア自身がこんな形にしたい、こんな大きさにしたい、こんなパネルにしたいというようなデザイナーを兼ねることで、機能とデザインは必ず結びつけることとしております。

それから5番目、機会提供型の商品で新しい市場を創出するということです。世の中の新製品というのは課題解決型と言いまして、ユーザーが不便に感じていることを解決してあげると、これも大事な新製品の要素でありますけれども、それにさらに、新しい機会を提供して、こんな使い方もできるはずだよという、新しい機会で新しい市場を創出するというコンセプトで商品を開発していくということを行っております。

2. 経営ビジョン ( 社員の品格 )

次のページは、社員の品格をどう高めていくかということです。これも従来から『行動規範5か条』というのが行われております。多少文言を変えて、直感的にわかりやすくしました。

1番目が立場によって主義主張を変えない、部門や職位に依らず、会社の利益最大化を図るということです。会社とは、社会の広義でありますので、最終的に人としていいのか悪いのかということを判断するということを身につけさせたいと思っております。

2番目、悲観的楽観主義者として行動するということです。これは造語ですけれども、こういう計画にしろ、売上にしろ、目標については『何とかなる』はずだと楽観的にとらえる一方で、具体的に行動する時には、『もしかしたら』こういうことがあるかもしれないということです。交通標語に似ていますけれども、もしかしたら運転のようなことで、どちらかというと悲観的に取り組むと、この両方を兼ね備える必要があると考えております。

それから3番目、問題には『なぜ?』を3回繰り返して対策するということです。だいたいの問題というのは人為的ミスで発生するわけですけれども、誰か間違ったらポンと直しましょうではなくて、その背景を理解し、その背景が生じた原因までさかのぼってというか、解析して、根本的な対策をしていくということです。

それから4番目は、仕事の完成度に対して安易に妥協しないということです。私も『まあ、いいか』というのが口癖のようになっておりますけれども、この口癖と、妥協と格闘して、日程、予算、制度、こういった中で最善を尽くすという行動をとっていくということです。

5番目は、『させていただきます』と言わないということです。自分の意思で、納得した上で仕事をしていくと。受動的ではなく、能動的に仕事をしましょうということを意味しております。

この『商品開発5か条』『行動規範5か条』と、これらを実現することで、会社の品格自体を高めていきたいと考えております。

3. ブランドの永続性確立

次のページ、3番目ですが、ブランドの永続性確立ということです。

『ズーム5.0』という名前の由来でもありますけれども、『第5世代組織の構築と人材育成』というものを掲げております。

当社は創業から35年経っておりますけれども、第1世代『創業期』はちょうどバブルの時期でございましたので、それが崩壊した頃の第2世代が『危機克服』、それからバブル崩壊も一段落して、第3世代では『成長期』を迎えました。

私がトップについてからの第4世代で『株式上場』を目指してまいりました。次の、これから組織の変革をしていきますけれども、その第5世代の組織では『永続性の確立』というものを念頭に置いて、作り上げていきたいと考えております。

4. コーポレート・ガバナンス改革

次に、コーポレート・ガバナンス改革と先ほども申し上げましたように株式上場の過程でガバナンスを高めるということが必須の命題だったわけではありますけれども、さらにこの「経営の監督と執行を分離する」ということを決定していきたいというふうに考えておりまして、具体的には経営の監督を行う取締役会と、業務を執行する執行役員との役割分担を明確に提示してまいります。

取締役会の過半数、半数ではなくて過半数を社外取締役としまして、さらに日常的に、私でありますけれども、代表取締役に指示を仰ぐ立場の者は、取締役役会から除外していくということです。

それから取締役会の業務執行への関与というのは減らしまして、取締役会は経営の監督と「合理性の確保」というものに集中してまいりたいというふうに思います。

同時に執行役員への重要な決定権限を委譲いたしまして、責任範囲を明確化するとともに迅速で果敢な業務執行を行っていくことです。

参考ですけれども、当初の執行役員の構成、これは4月1日を組織変更をふまえたものでございますが、CEO、CFO。それからCPDO、Chief Product Development Officerの略でございます。

もう1人開発としてCRDO(Chief Research & Development Officer)を選任する予定でございます。それから営業のCSMO(Chief Sales & Marketing Officer)。製造のCPO(Chief Production Officer)。それからCLO(Chief Legal Officer)と、こういう構成で業務執行部がお集まりいただいたというふうに考えております。

5. 業績目標

次のページは業績の目標でございます。2020年度の連結売上高の目標を100億円というふうにいたしました。前期2017年が63億円でしたので、2018年は73億円、2019年が80億円と、2020年には100億円というようなカーブを描いております。 それにつれて、営業利益も7億円まで、ようするに営業利益率7パーセントというものも、目標に掲げてまいります。

業績目標 (売上高、営業利益のWFC)

次のページに業績の目標をどのように達成していくかというものを、チャートで少し詳細に説明しております。まず売上高ですけれども、2017年63億円だったところ、2018年2019年2020年、それぞれ単体の売上高を4億円ずつ増やしてまいります。

そこに連結子会社にする予定の、イタリア、フランスの販売代理店のZOOM以外の商品です。連結ですのでZOOMブランドの商品は消去されるのですけれども、ZOOMブランド以外の売上で10億円を見込んでおります。

そこからの上乗せ15億円については、まだ具体的な案はございませんけれども、新規事業であと15億円上乗せしていきたいというふうに考えております。

営業利益も右側にありますように、売上高の増加に伴う売上総利益の増加、単体が6億円。連結子会社の増加分が5億円。これに対しまして、研究開発費、人件費、販売直接費、その他費用というものが増えまして、それが減少要因になりまして、最終的に7.5億円の営業利益を獲得したいというふうに考えております。

5. 業績目標 ( ROEとROA)

次のページは、業績目標にはROEとROAを明確に掲げたいと考えておりまして、2020年で申しあげますとROEが11パーセントROAで7.4パーセントです。これを達成するように効果的に資本を使っていきたいというふうに考えています。

6. 地域別販売戦略

次のページからは、地域別の販売戦略とカテゴリー別の販売戦略が書いてありますけれども、お読みいただければわかると思いますので、私の説明は割愛したいと思います。

8. 強みを活かす成長戦略 ①

飛びまして16ページになりますけれども、そもそも売上を増やしていくのをどうするのかということで、まず強みを活かす成長戦略というものが、4つございます。

従来から挙げておりますけれども、このイメージにありますように社内のリソースはコアテクノロジーに集中します。

一方で、外注の優れたリソースを活用するという戦略であります。英語で書かれているのでわかりにくいかもしれませんが、コアテクノロジーに位置付けているものが5つあります。

デジタルシグナルプロセッシング、アナログサーキットデザイン、回路設計です。ユーザーインターフェースの設計、組込み型のファームウェア、ソフトウェアです。音を最終的に調整するボイシング。

これからは社内のリソースで行っていくという一方で、メカニカルデザイン、設計です。インダストリアルデザイン、見た目のデザインです。PCB、電子部品のデザイン、通信とか直接製品と関係のないミドルウェア、小型化したりする製造技術、実際にモノを生産する工場、EMSを使うわけですけれども、こういったものは優れたリソースを外部から取り入れて活用していくということでございます。

8. 強みを活かす成長戦略 ②

次が強みを活かす成長戦略の2番目、継続的に新しいカテゴリーへ参入ということでございますが、蓄積されたノウハウに新しいテクノロジーを付加することで、競争優位性を築いてまいります。

今までも同じような方針で、創業当時のマルチ・エフェクターという技術にさまざまな技術を付加して、ファーストラックレコーダー、ハンディオーディオレコーダー、ハンディビデオレコーダー、オーディオインターフェース、プロフェッショナルフィールドレコーダー、デジタルミキサーというふうに、カテゴリーを増やすことで売上を増やしてまいりましたので、同様にこれから新しいテクノロジーを付加することを必須として、新しいテクノロジーで参入するということで、成長戦略にしております。

8. 強みを活かす成長戦略 ③

3番目が、グローバル・ニッチ市場を継続的に開拓するということで、これも従来から出しておりますけれども、ターゲット・ユーザーが最初のころの商品ではアーティストという楽器を弾く人たち、市場だけであったところに周りにありますように、ジャーナリスト、写真家、YouTuber、鉄道ファン、映画業界、放送業界というところに市場も拡大してきております。

ただこういった楽器以外の市場は、グローバル・ニッチ市場というふうに位置付けておりまして、必ずしもその業界のトップのブランドと競合するわけではないので、グローバル、要するに世界的に市場があるけれども、非常に一握り、音にこだわる市場だけでもいいと。それでも十分に当社の規模の会社にとって、魅力的な市場が存在しているはずだということで、この方針をこれからも継続的に行ってまいりたいというふうに考えております。

8. 強みを活かす成長戦略 ④

最後の成長戦略ですが、バランスの取れた提案型商品の開発ということで1番下に書いてありますが、楽器を演奏するエンジニアが演奏者の目線で開発を行います。当社のエンジニアの採用は主として新卒採用となっております。

応募の最低限の条件がなんらかの楽器を弾くことということになっておりまして、「商品開発5ヶ条」にもありましたように、自分だったらこう使いたいということを大前提が楽器が弾けるということで、このことの最大のメリットは人の物真似ではないということもありますけれども、「こういうふうに使ったら便利だろう」「こういうふうに使えばこの問題は解決できる」「こういう機能があれば新しい市場が開拓できる」こういう提案型の商品を開発していくことができるというふうに考えておりまして、この方針をこれからも継続していきたいというふうに考えております。

私からの中期経営計画の説明は以上となります。ありがとうございました。

質疑応答:増収増益計画に寄与するカテゴリーと地域、新規事業

質問者1:ありがとうございます。立花証券のニシハタと申します。一問一答でお願いします。今期も増収増益のご計画ですが、寄与するカテゴリーとすると、地域を詳しく教えていただけますでしょうか。

山田達三氏(以下、山田):今期というと2018年でよろしいですか。

質問者1:そうですね。

山田:カテゴリーにつきましては、決算説明資料の14ページにございますカテゴリーで、簡単に説明を申し上げましたんですけれども、もうちょっと詳しく説明申します。

ビデオレコーダー、マルチエフェクターにつきましては、基本的には2017年レベルなんですけれども、為替レートを今回2018年は108円で見ておりまして、2017年の実績より若干円高の水準になりますので、その分減ると見ております。

ビデオレコーダーにつきましては、Q2nという機種が非常に2017年は良く売れたと申し上げましたけれども、それの反動で多少落ちるのではないかと予想しております。

プロフェッショナルフィールドレコーダーにつきましては、ビデオで観ていただいたF1シリーズです。あのシリーズは現在も評判が良いということもありまして、新製品効果で売上が伸びます。

デジタルミキサー、マルチトラックレコーダーにつきましては、こちらもちょっと説明しました今期から、2017年に発売したL-12というデジタルミキサーのカテゴリーです。

こちらの販売の増加を見込んでおります。

その他につきましては、イタリアの子会社を連結することによって、当社以外の製品。例えば ギターとかドラムとかを取り扱っている会社でありますけれど、その分の売上の増加が見込めると考えております。

質問者1:イタリアが伸びるということですか。

飯島雅宏氏(以下、飯島):連結ベースはそうです。イタリアを取り込むことによって伸びるということです。

質問者1:ありがとうございます。もう1つ、20年に売上10億円となる新規事業、まだ決まってないんでしょうけれども、イメージだけでも教えていただけますでしょうか。

飯島:何か新規事業で100億円までということですが、実際に、具体的にはまだ決まっておりません。ご存知のように当社は今まで蓄積した豊富なキャッシュがありますので、これを用いたM&Aを視野に入れつつ、検討していきたいと考えております。

質問者1:ありがとうございました。

質疑応答:為替の影響、2018年の市場環境、M&Aについて

質問者2:野村証券のタカスと申します。よろしくお願いします。

2018年の見通しについて、もう少しお伺いしたいのですが、M&Aの効果を除いても新商品の投下によって、それなりの増収を見込んでいらっしゃると思うんですけれども、その割に利益の伸びが少し弱音かなという気がしますので、為替の影響やコストの増加などもあると思うので、その考え方について教えてください。

山田:売上については伸びますが、最初子会社化して1年目というところで、そんなに損益に関しましては、トントンぐらいを見ておりまして、そういった意味で子会社化自体が2018年度に、すぐに利益に影響が出るとは考えていません。

質問者2:新商品による増益効果というのは、どんな感じで考えられていますか。

山田:すみません、新商品だけを取り上げるというのは……。

質問者2:M&Aを除いた分というか……。

山田:M&Aを除いた分というのは、利益だけを見ていただけますと、ほとんど子会社の増益効果というのは、2018年度はあまり考えてないので、それ以外の分につきましては、逆に言うと利益の伸びというのはほとんどZOOMというか、子会社化の効果を除いた分と考えております。

飯島:少々補足いたしますと、当社はだいたい年間に5、6機種という商品の種類の発売を今までも続けてきてまいりましたけれども、2018年に限らず、2020年の100億円を達成するにあたって、商品の開発の速度を高めなければいけないと考えておりまして、外注への支払いの増加、開発費ですね。

それから、それによる金型代の投資と償却費、それから人件費、社内の人件費もそうですけれども、外注に払う人件費、派遣社員の人件費、こういった主に開発に関する出費が増えるものと考えておりますので、少し営業利益の伸びは弱めの印象だろうと考えております。

質問者2:新中計の初年度ということで、最初はコスト先行で後半の伸びにつなげていきたいというイメージですかね。

飯島:そういう感じですね。開発費の方はほとんど今の体制で維持していこうと考えております。

質問者2:2点目なんですけれども、足元の市場環境についておうかがいしたいんですけれども、ギプソンの厳しい状況なども伝わってきますので、今のこの市場環境、2018年どう見ていらっしゃるのか、ご解説いただけますでしょうか。

飯島:市場環境全体といたしましては、アメリカの業界の代表的な雑誌でも、アメリカ市場を中心にだいたい3、4パーセントくらいずつ、リーマンショックの後、年々伸びてきておりまして、今後もそれが続くだろうと予測されております。

具体的に、ご指摘のあったギプソン社の厳しい状況というのは、北を中心としたビジネスについてはこれからと、業界の常識として言われております。

これは、ギターというのは弾いたことがある方はわかるかもしれませんけれども、それなりに弾きこなせるまで5年や10年はゆうにかかるという楽器です。なかなか今の若い世代の人たちが飛びついていくようなカテゴリーではないというのが昨今のトレンドです。ギブソンとかフェンダーとかの楽器を買っている世代というのは、おそらく40代、50代、それなりにお金を持っている人たちです。これに支えられているものと思いますけれども、いわゆる入門用のギターである数万円のギターというのは、非常に市場が縮小しております。その影響で、そういう入門用の非常に安いギターを量産してきた中国のギターのメーカーというのがほとんど淘汰されてしまっていまして、数が非常に減っております。

それが業界の状況ですけれども、当社は、幸いにしてそういう縮小傾向にあるギターそのものには手を出しておりません。マルチエフェクターがギター用の商品ですけれども、こちらは現状維持を目指しております。その他に、若い世代が好むETMや、それから楽器以外の映画業界、放送業界といったところで成長を図っていくというのが当社の戦略となっております。

質問者2:ありがとうございます。

最後に、先ほど少し言及のあったM&Aについての考え方を教えてください。当然、相手のあることなので、今回も計画上具体的なことはまだだと思うんですけれども、戦略的な方向性として、どういう分野で、あるいは御社にないどういうものを持っているものが候補になってくるのか、といった点のご解説をお願いします。

飯島:これは本当に、現状としてはノーアイディアです。例えばVR、バーチャルリアリティの技術、それから映像に関する技術、こういったものはまったく社内に蓄積をしておりませんので、こういったところを補完する技術を持っている会社というのが当然対象になってくるかと思います。

質問者2:ありがとうございました。