Ⅰ.第3四半期連結業績サマリー

福永哲弥氏:それでは最初に、2ページの連結業績サマリーならびに、3ページの要約連結PLをご覧いただきたいと思います。

第3四半期連結業績の総括的な説明をさせていただきます。ご覧のとおり、上半期の決算と同様の、増収減益の決算となっております。

上半期決算のご説明の際、サービス提供型ビジネスへのシフトおよび戦略的事業の推進といった基本戦略の推進に加えまして、既存事業の強化を目的とする償却費、さらにはマーケティング費用といった各種の事業投資関連費用が、期初予算を上回って増加したこと。また、金融業向けの大型案件の立ち上がりが、期初想定から遅れたこと等により、増収に伴う増益はあったものの営業減益となったため、ご説明申し上げました。

また、製造業・流通業の受注動向は増加基調にあり、金融業・大型案件の受注遅れについても、一部受注が確定しました。一方、各種の事業投資関連費用については、販売管理費も含めて相応のコストマネジメントが可能であるため、下半期の業績は期初想定を上回り、上半期の収益予算未達部分をカバーします。従って、「上半期は減益となったものの、期初想定の通期業績は達成しうる」とご説明いたしました。

それでは、当時の収益予想に対して、この第3四半期の3ヶ月間の状況はどうであったかといいますと、従前より増収トレンドにありました、流通業顧客向けITサービス事業に加えまして、製造業顧客向けITサービス事業が、システム開発事業を中心に堅調に推移いたしました。

また、販売管理費を含む費用面につきましても、相応のコストマネジメントのもと、事業投資関連の費用について、ほぼ期初予定の支出を行った上で、全体の費用増については想定どおりに着地させることができております。

しかしながら、のちに詳細を見ていただきたいと思いますが、通信業顧客向けほかのITプロダクト販売事業や、金融業顧客向けのシステム開発事業の収益が、想定を下回る結果となり、第3四半期の四半期業績としては、減収減益の着地となりました。

以上の結果、第3四半期累計業績におきましては、2.4パーセントの増収、7.7パーセントの営業減益に着地しております。

Ⅱ.要約連結PL(第3四半期累計期間)

なお、3ページにございますが、純利益については25.9パーセントの増益となっております。これは、営業減益ではあったものの、上半期決算発表時にご説明しました株式会社クオカードの株式譲渡益107億円を、特別利益として計上したことによるものであります。

営業利益率につきましては、上半期における事業投資関連費用増等の要因により、前年同期比1パーセント低下の、8.8パーセントとなっております。

最後に、受注残高につきましては、システム開発ならびにシステム販売については、堅調に前年同期比で増加しているものの、保守運用・サービスにおける受注残高が減少しており、全体では前年同期比0.4パーセントの減少となりました。

詳細につきましては、のちほどご説明させていただきます。

Ⅱ.要約連結PL(第3四半期会計期間)

続きまして、資料の4ページ目になります、第3四半期の要約連結PLをご覧いただきたいと思います。

ただいま概要をご説明申し上げました第3四半期業績について、業績水準をもとに、少し詳しくご説明申し上げたいと思います。

売上高につきましては、製造システム・流通システムの両事業部門の売上が2桁パーセントの増収となるなど、製造業ならびに流通業顧客向けシステム開発売上が、堅調に推移しております。また、通信業を中心に、保守運用・サービス売上も順調に伸びております。

しかしながら、通信業顧客向け特化のシステム販売事業が、対前年同期比で大きく減少したこと等により、全体の売上としては、0.3パーセントの減収となりました。

営業利益につきましては、通信業顧客向けシステム販売事業の減収に伴う減益に加え、上半期に立ち上がりが大きく遅れた金融業顧客向け大型ITサービス案件について、第3四半期に入り、一部の案件が立ち上がりはしたものの、立ち上がりが遅れたことの影響が下半期に入っても残っております。これらの案件進捗の遅れを中心として、金融業顧客向けのシステム開発事業収益が、社内想定を下回って推移いたしました。

なお、費用面においては、先ほどもご説明いたしましたが、事業投資関連におきましてはほぼ期初想定どおりの支出となっております。原価部分を中心に、事業投資関連費用を予定どおり支出し、販売管理費についてもほぼ、期初想定に沿った支出となっております。

以上の結果、上半期の決算発表時点での想定では、第3四半期単独の業績は上半期の遅れを取り戻すべく、営業利益ベースで前年同期比でプラスの想定をしておりましたが、当該想定を下回った減益決算となった次第であります。

一方、事業環境全般といたしましては、デジタルトランスフォーメーション進展の中、顧客自身の事業拡大目的の戦略的IT投資に加え、過去何年も先送りされてきた既存システムの更新投資や、働き方改革に端を発した効率化目的のIT投資が増加傾向にあり、第4四半期に入っての事業動向は、堅調であります。

受注高・受注残高の説明の際に、足元の事業動向等を説明させていただきたいと思います。

Ⅲ.売上高前期比較(売上区分別)

ここからはPL業績の詳細について、資料に沿ってご説明させていただきたいと思います。

まず、5ページの売上区分別の売上高です。システム開発につきましては、上半期よりデジタルマーケティング強化・オムニチャネル化に向けた流通業顧客のシステム開発事業・自動車関連ほかの製造業顧客や、一部大手キャリアほかの通信業顧客等の戦略的なIT投資需要が堅調です。

加えて第3四半期に入り、製造業顧客を中心といたしまして、顧客収益の堅調さを背景としたシステム更新事業を含むシステム開発需要が、増加基調に転じております。

一方、銀行や保険業向け等、今年度における大手金融機関の大型案件の立ち上がりが期初想定より遅れた結果、第3四半期においても金融業向けシステム開発売上高は伸び悩んでおり、全社のシステム開発売上高は、前年同期比で1.1パーセントの小幅増となっております。

今後につきましては、戦略的なIT投資案件はもとより、基幹系システムほかのシステム更新案件・効率化目的のシステム開発案件、さらには保険業向けを中心に、金融業顧客向けの大型案件も立ち上がってきており、堅調な推移を見込んでおります。

保守運用・サービスにつきましては、流通業顧客におけるデジタルマーケティング強化関連の各種ITサービス事業に加えまして、各種クラウドサービスほかのサービス提供型ビジネスを含む保守運用・サービス売上高が堅調に推移し、上半期決算発表時に申し上げた一部顧客の大型BPO案件の規模縮小等があったものの、前年同期比で2.7パーセントの増加となっております。

システム販売につきましては、第3四半期においては通信業顧客向けネットワーク案件ほかが大きく落ち込んだものの、上半期の全般的なシステム販売売上増を反映し、前年同期比で3.5パーセントの増加となっております。

Ⅳ.受注高・受注残高前期比較(売上区分別)

続いて、売上区分別の受注動向について、受注残高を中心にご説明いたします。6ページをご覧いただければと思います。

システム開発の受注残高につきましては、金融業顧客向け受注残が、昨年度の大型案件の反動減ならびに上半期における大型案件の立ち上がり遅れの影響もあり、前年同期比で減少となりました。一方、製造・流通・通信の各システム事業部門において、おのおの10パーセントを超える受注残増となり、全社では前年同期比4パーセントの増加となっております。

これは、戦略的ITシステム投資需要が変わらず堅調であったことに加えまして、先ほども申し上げておりますけれども、下半期に入ってからは製造業顧客を中心にERP案件ほか、各種のITシステムに関わる更新需要が顕在化してきており、受注高・受注残高の増加に寄与しております。

足元では、金融業顧客向け案件も受注案件数が増加傾向にあり、第4四半期、さらには来年度に向け、受注動向は堅調さを増していると言えると思います。

保守運用・サービスにつきましては、サービス提供型ビジネスの事業拡大等、基本戦略に応じた受注増は引き続き見られるものの、先ほど申し上げました従来型のBPOサービスにおける、一部顧客向け大型案件の規模縮小等があり、受注残高は前年同期比2.7パーセント減となっております。

システム販売の受注残高につきましては、第2四半期末では一部通信業顧客向け案件の影響が大きく、前年同期比で減少しておりましたが、第3四半期末においては、第4四半期に想定されるネットワークITプロダクト販売増等を反映して、プラスに転じております。

Ⅴ.売上高前期比較(業種別)

次に、7ページの業種別売上高・業種別の動向について、主なものをご説明させていただきたいと思います。

始めに製造業向けでありますが、従来型の車載組み込みソフトウェア開発を含む自動車メーカー向けシステム開発需要、効率化を目的とするシステム更新需要等、システム開発事業は堅調に推移いたしました。

しかしながら、一部電機メーカー向け製品検証サービス案件の減少や、BPOサービスにおける一部大型顧客向け案件規模の縮小等があり、前年同期比で横ばいとなっております。

流通業向けにつきましては、オムニチャネル化に向けたデジタルマーケティング領域での開発案件や、アウトソーシング案件が引き続き堅調であり、前年同期比5.9パーセント増となっております。

金融業向けにつきましては、期初から申し上げております銀行業顧客向け案件の反動減の影響が大きく、加えて今年度の大型案件の立ち上がりが期初想定から遅れたこともあり、0.4パーセント減となりました。

足元におきましては、保険業顧客向け案件等大型案件も立ち上がりつつあり、今後は持ち直していくことを想定しております。

通信・運輸業向けにつきましては、大手通信キャリア・ケーブルテレビ事業所向けのシステム開発、および保守運用・サービス事業が好調であり、システム販売事業は前年同期比で横ばいとなったものの、全体では7.3パーセント増となっております。

以上、業種別売上高についてご説明申し上げました。

Ⅵ.セグメント別業績

ご説明申し上げました業績について、当社の組織区分・事業部門ごとに見たものが、次の8ページでございます。

まず、製造システムにつきましては、自動車業向け案件は引き続き堅調で増収となりましたが、不採算案件の影響等により、減益となっております。

しかしながら、先ほどより申し上げているとおり、第3四半期においては堅調な業績となり、四半期ベースでは増収増益に転じております。今後も、堅調な業績が続くものと期待しております。

通信システムにつきましては、昨年度案件の反動等があり、第3四半期累計では減収減益となりましたが、好調な大手顧客向けシステム開発案件を反映し、今後も順調な収益増を見込んでおります。

流通システムにおきましては、オムニチャネル化に向けてのデジタルマーケティング領域に対する顧客の投資意欲が、今年度は堅調であり増収となりましたが、サービス提供型ビジネスへのシフトを含む事業強化関連の費用増、あるいは一部不採算案件の影響等により、減益となっております。

金融システムにおきましては、売上は期初より織り込み済みの銀行業向け大型案件の反動減があるものの、証券業顧客向け案件および大型案件の一部立ち上がりがあり、さらには各種システム販売案件を反映し、増収となりました。

しかしながら、大型案件の立ち上がり遅れほかの要因で、想定の収益に届いていないのは、先ほどより申し上げているとおりであります。

セグメント利益につきましては、AI・フィンテック等新規事業立ち上げに伴う費用増や、不採算案件等の影響もあり、減益となっております。

ソリューションにつきましては、顧客企業の高収益状況を背景とする各種ERPシステム開発案件ほかの、システム更新・投資需要を取り込み、自社インテレクチュアルプロパティ技術のサービス提供型ビジネスも順調に立ち上がりを見せ、増収となりました。

一方、今年度より車載システム事業が当セグメントに含まれるため、事業投資費用が増加しており、減益となっております。

ビジネスサービスにつきましては、各種BPOサービスに対する需要は引き続き堅調であり、増収となりましたが、事業強化を目的とした新ECシステムの開発やBPOサービスの提供を目的としたセンター開設に伴う事業投資、およびマーケティング関連費用増等により減益となっております。

最後に、プラットフォームソリューションです。第3四半期では大幅な減収減益でありましたが、第3四半期累計期間においては、上半期の通信業顧客向け販売等の増加もあり、増収増益となっております。

以上、セグメント別の業績についてご説明申し上げました。

Ⅶ.営業利益分析

次に、9ページをご覧いただきたいと思います。

営業利益の増減要因について、主に費用面になりますが、口頭にて補足の説明をさせていただきたいと思います。

第3四半期累計期間におきましては、増収に伴う売上総利益ベースの増益が約14億円あったものの、原価・販売管理費を合わせて約32億円の費用増があり、結果として約18億円の営業減益となっております。

ここでは、この費用増についてご説明いたします。項目といたしましては、上半期にご説明したものとほぼ同様になります。これらの費用増のうち、期初より想定の費用増は、まず車載システム事業における戦略的事業投資関連で、主にBSW製品に関わる償却費増を中心とする、約8億円の費用増です。

なお、参考までに申し上げれば、前年同期の当該事業の費用9億円が、今期は17億円となっております。従いまして、8億円の費用増があるということです。

次に、サービス提供型ビジネスの立ち上げのための各種費用増ですが、関連の人件費・開発費・減価償却費といった費用の、約5億円の増加です。この費用増は、上半期時点での費用増額とほぼ同一でありまして、第3四半期若干の増加に留まっております。

また、これも上半期において費用増となった、働き方改革を含む構造改革・事業強化・マーケティング費用増で、4億円ほど増加しております。

次に、不採算案件赤字額については、第3四半期累計にて、前期の7億円が今期は8億円と、1億円増加しております。

なお、通期では例年どおり、通期赤字想定額10億円の範囲内と考えております点を、ご理解いただければと思います。

また、第1四半期にあった高収益案件の反動減で、数億円の減益要因を期初より想定しておりました。

以上の5つほどの要因により、32億円強の費用増のうち24億円といった金額が、期初より想定の費用増でありました。

なお、期初想定外の費用増につきましては、32億円の費用増のうち、残りの8億円程度の費用増でありまして、これらはすべて、上半期に支出増となった賞与支給額の上振れならびに、流通業およびBPOサービス事業向け各種事業強化・マーケティング費用の増加であります。

以上、費用面におきましては、上半期決算発表時に申し上げましたとおり、第3四半期においても必要な事業投資は期初予算に沿ってしっかりと継続して行いながら、販管費を中心に、よりしっかりとしたコストマネジメントを行い、第3四半期における費用増は想定のレベルに留まっております。

費用増に関わる傾向性は、第4四半期においても変わらず、第4四半期における事業投資関連費用については期初計画線に沿って、昨年度(2017年)7月から数億円の負担増に留まるものと、現時点では想定しております。

以上、営業利益の増減要因について、主に費用面について補足説明をさせていただきました。以上が、連結PL業績についての説明です。

Ⅷ.要約連結BS

次に、10ページをご覧いただければと思います。

連結BSについて、2017年12月1日付で、当社子会社であった株式会社クオカードを株式譲渡したことに伴い、現預金・預け金の430億円を含むクオカードにかかる1,000億円強の資産・負債が、連結除外となっております。

一方、当該株式譲渡に関わる譲渡益107億円を含む、株式譲渡対価225億円を、現預金・預け金として受け入れたBSとなっております。

今期の業績に加えまして、当該クオカード株式譲渡の結果、各種財務比率は大きく改善しております。例えば、自己資本比率につきましては、前年同期末42.8パーセントから今期末は62.6パーセントへ、大幅に向上しております。

Ⅸ.通期連結業績予想の修正

次に、通期の連結業績予想についてご説明させていただきます。11ページをご覧いただければと思います。

第4四半期の事業環境といたしましては、顧客の事業強化・拡大のための戦略的投資はもとより、働き方改革に端を発した効率化・省人化・省力化のためのシステム投資、さらには顧客企業の堅調な業況を背景にした、各種業務システムに関わる更新需要・投資というIT投資需要が堅調であり、第4四半期におけるITサービス需要は全業種を通じて、堅調に推移すると判断しております。

とくに第4四半期において、足元の受注増が顕著である製造業といった、一部業種顧客向けITサービス需要は、期初想定を超える収益を得るものと想定しております。

しかしながら、第3四半期減収減益の主因となった通信業顧客向けシステム販売事業におきましては、第3四半期末の受注残高増から、堅調な通期業績は想定できるものの、期初想定をどの程度上回れるかは、現時点では未確定な状況です。

また、今年度業績を牽引すると期初に期待した金融業向けシステム開発事業におきましては、複数の大型案件が実際に立ち上がり、来年度に向けて新規の大型案件もパイプライン上にある状況で、今後の収益増が想定されます。

しかしながら、上半期における大型案件の立ち上がりの遅れの影響もあり、第4四半期において四半期ベースの期初想定収益には達するものの、期初想定を超えるということは難しいと判断しております。

以上を考慮し、期初想定を大幅に超える全社収益増を第4四半期単独にて実現し、上半期において想定を超える支出となった、各種事業投資・強化費用および収益増の遅れ等を全額カバーし、全社として期初想定の通期業績を達成することは、相応の困難が伴うものと判断される状況であります。

従いまして、第4四半期において四半期としての過去最高益、前期比20パーセントレベルの営業増益を想定するものの、第3四半期累計期間までの前期比営業減益をすべてカバーするのは難しいと判断し、通期の営業利益予想を20億円下方修正し、前期比0.8パーセント増の340億円としたものです。

なお、経常利益につきましては、営業利益の修正に伴う影響を反映し、営業利益と同額下方修正させていただいております。

また、純利益につきましては、クオカード株式譲渡にかかる税効果が一部想定以上であったこともあり、今回業績予想は変更しておりません。

以上、通期連結業績予想についてご説明いたしました。