オイルヒーターの異音の理由

ステファン・チン氏:小さな古いアパートの布団で眠りについている午前3時、大きな音がすることがあります。突然、金づちで金属をガンガンと叩いているような大きな音がして、巨大なしゃべる亀と話している夢からさめたり、これはお化けではないと自分に言い聞かせたりするでしょう。

その通りで、おそらくそれはお化けではなくラジエーター(この場合オイルヒーターのような暖房器具を指す)の音です。しかし、空洞の大きな金属の塊がどのようにそんなに大きな音をたてるのでしょうか?

それは、すべて内部を跳び回っている少量の水に関係があるのです。

蒸気ラジエーターは19世紀から建物内の暖房器具として使われていて、わりと簡易な作りになっています。

中枢のボイラーが水を沸かし、そこで作り出された蒸気は水が液体であったときよりも多くのスペースが必要になります。水が膨張するに従って、蒸気はつながっている一式のパイプに押し上げられていきます。

吸気弁を開けると、蒸気がラジエーターの中へ流れ込んで行き、反対側の小さな通気口から空気を排出します。充分な蒸気がラジエーター内に溜まると圧力が通気口を閉め、蒸気を中に閉じ込めます。

この通気口が、不快なラジエーターの音の原因になり得るのです。もし、ヒューヒューという音が聞こえたら、通気口に水の鉱物の残留物である石灰のカスが 溜まっているのかもしれません。

一方、ガンガンとなる音は蒸気が冷え、金属が熱せられるに従ってラジエーターの内部で起こることに関係しています。蒸気の分子のなかにはやがて熱を失い液体に戻るものもあります。

通常は、重力が蒸気が入り込んできたパイプへと液体を引き込んでいき、ボイラーに戻ってまた熱せられるのですが、これらの凝縮された小さな水滴がしゃべる亀との夢を邪魔するほどの大きな音をたてるのです。

例えば、金属が曲がっていたり床がぐらついていてラジエーターが変な方向へ傾き、ラジエーターに閉じ込められた水があると、そこへ素早く流れ込んできた蒸気が、ものすごい速さで水をラジエーターの内壁にぶつけるのです。

これは吸気弁が開き切っていない状態のときにより起こりやすくなます。それは蒸気が入り込むスペースが狭く、同時にそこから水が逃げようとするからです。

金づちで叩くような音は、閉じ込められた液体が蒸気を冷却し、水を素早く作り出す時にも起こります。突然、質量が減ってスペースが必要なくなり、蒸気があったところは真空空間になります。そうすると近くにある水がその空間を埋めるために引き込まれ、それが一番近い金属に当たります。そのため、叩いたような音は暖房をつけた直後により多く起こります。

暖房をつけてからしばらく経つと、多くの凝縮された水は熱せられて蒸気になり、投げつけられる水の量も減ります。

しかし、凝縮された水だけが音の原因ではありません。金属のラジエーターとそれにつながっているパイプは、熱せられるに従って膨張し、冷えてくると収縮するので、その際にラジエーターの近くにあるものにぶつかっているのかもしれません。しかし、何かにぶつかっているかどうかは目で見てすぐにわかると思います。

何が音の原因であろうとも、ラジエーターが大きな音をたてていたら、ゴーストバスターズではなく、配管工に連絡した方がいいでしょう。