2017年度第3四半期 決算説明会

田川丈二氏:みなさんこんにちは。本日はお忙しい中、2017年度第3四半期決算発表にお越しくださいまして、ありがとうございます。

本日は2017年度第3四半期までの9ヵ月間の事業指標、グローバル販売実績および財務実績についてご説明をいたします。加えて通期の業績見通しに関しましても、ご報告させていただきます。

2017年度第3四半期 主要財務指標(9ヵ月)

2017年度第3四半期までの9ヵ月間は、前年に対し、販売台数および市場占有率を伸ばしました。

一方、連結営業利益は前年から減少し、国内の完成検査問題および米国におけるタカタに関わる集団訴訟費用から成る特別項目や、米国で想定以上の全体需要の落ち込みに対応して、第3四半期に販売会社在庫を削減する方策を取ったことが、減益要因となりました。

2017年度第3四半期までの連結売上高は8兆5,280億円、連結営業利益は3,642億円、売上高営業利益率は4.3パーセントとなりました。

当期純利益は5,781億円となり、売上高純利益率は6.8パーセントでしたが、これは2017年12月22日に決定された米国の税制改革による改善影響2,077億円が含まれています。自動車事業のフリーキャッシュフローは1,003億円のマイナス、12月末現在の自動車事業のネットキャッシュポジションは1兆3,114億円となりました。

前年との比較では、先ほど申し上げた国内の完成検査問題および米国におけるタカタに関わる集団訴訟費用から成る特別項目と、2016年度末に実施をいたしましたカルソニックカンセイ社の株式売却の影響が含まれております。

本件については、後ほど財務実績を詳しくご説明するとともに、さらにお話したいと思います。

2017年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)グローバル

まずは、販売状況をご説明いたします。

2017年度第3四半期までの9ヵ月間のグローバル全体需要は前年比2.0パーセント増の6,852万台となりました。当社のグローバル販売台数は前年比2.9パーセント増の410万9,000台に達しました。市場占有率は0.1ポイント伸び、6.0パーセントとなりました。

2017年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)日本

地域別に見ますと、日本国内の全体需要は前年比4.5パーセント増の366万台となる一方、当社の販売台数は前年比9.7パーセント増の37万8,000台となりました。

登録車の販売台数は完成検査問題を受け、前年比3.4パーセント減の25万2,000台にとどまったものの、軽自動車の販売が前年から50.6パーセント拡大し12万6,000台に達したことで、登録車の落ち込みを補いました。

昨年度に販売を再開した「デイズ」と「デイズ ルークス」が販売を牽引しています。国内の市場占有率は前年比0.5ポイント増の10.3パーセントとなりました。

2017年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)中国

会計年度が暦年ベースの中国では、1月から9月までの9ヵ月間の全体需要は、前年比2.6パーセント増の1,908万台に達しました。当社の販売台数は前年比9.8パーセント増の102万台となり、市場占有率は前年比0.3ポイント増の5.3パーセントでした。

1月から12月までの通年の当社の販売台数は、前年から12.2パーセント拡大し、152万台を記録しました。「エクストレイル」と「シルフィ」が貢献しています。通年のマーケットシェアは前年比0.6ポイント増の5.6パーセントとなりました。

2017年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)北米

北米の全体需要は前年比1.8パーセント減の1,597万台となり、当社の販売台数は前年比1.4パーセント減の156万1,000台となりました。

米国の全体需要は前年から1.9パーセント減少し、1,320万台にとどまる一方、当社の販売台数は前年比1.1パーセント増の117万7,000台に達し、市場占有率は8.9パーセントとなりました。引き続き、好調な「ローグ」と「ローグ スポーツ」が販売を支えています。

カナダの全体需要は前年から4.6パーセント増加する一方、当社の販売台数は前年比8.6パーセント増の11万3,000台に達し、市場占有率は7.0パーセントとなりました。

メキシコの全体需要は前年から8.3パーセント減少し、当社の販売台数は前年比13.7パーセント減の27万台にとどまり、市場占有率は23.4パーセントとなりました。

2017年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)欧州(ロシア含む)

ロシアを含む欧州における当社の販売台数は前年比0.3パーセント増の54万4,000台で、市場占有率は微減の3.7パーセントとなりました。

ロシアを除く欧州の販売台数は前年比2.2パーセント減の46万4,000台となり、市場占有率は3.5パーセントでした。

ロシアでは景気の回復基調が続き、当社の販売台数は前年比17.8パーセント増の8万台となり、市場占有率は6.3パーセントとなりました。

2017年度第3四半期 販売実績(9ヶ月)その他市場

その他市場における当社の販売台数は、前年比2.0パーセント増の60万7,000台となりました。中南米とアフリカ・その他市場を中心に台数が伸びたことに加え、「ダットサン redi-GO」や「キックス」をはじめとする商品が拡販に寄与しました。

アジア・オセアニアでは前年比2.0パーセント減の24万8,000台を販売しました。中南米の販売台数は前年比14.5パーセント増の15万1,000台、中東は前年比6.6パーセント減の13万8,000台となりました。アフリカ・その他市場では7万台を販売し、前年から11.7パーセント伸ばしました。

2017年度第3四半期 財務実績(9ヶ月)

次に2017年度第3四半期までの財務実績をご説明しますが、これまでの発表と同様に、中国の合弁会社に持分法を適用する会計基準に基づき、ご報告いたします。

第3四半期までの9ヵ月間の実績は次のとおりです。

連結売上高は8兆5,280億円となりました。連結営業利益は3,642億円、売上高営業利益率は4.3パーセントとなりました。当期純利益は、主に米国の税制改革による改善影響から5,781億円に増加し、売上高純利益率は6.8パーセントとなりました。

2017年度第3四半期 財務実績(3ヵ月)

第3四半期の3ヵ月間を見てみますと、連結営業利益は824億円となりました。主に2つの要因が影響しています。

米国において市場環境を反映して減収になったことが418億円の減益要因となりました。モデルイヤー2017から2018への切り替えに伴い、販売費が増加したことに加え、販売会社在庫を削減して米国の全体需要の減少に対応したことが、米国におけるパフォーマンスに影響しました。

国内の完成検査問題は396億円の減益要因となりました。国内販売および輸出の台数減少、生産工程の変更によるモノづくりコストの増加、工場のラインスピードの回復に想定より時間がかかったこと、国内向けの車両販売に関わる営業費の増加が影響しました。その他の項目は92億円の増益要因となりました。

2017年度第3四半期 財務実績(9ヵ月)

第3四半期までの9ヵ月間の連結営業利益は、特別項目を除くと4,446億円となりました。増減要因は次のとおりです。

昨年度はカルソニックカンセイ社の営業利益238億円が含まれていました。為替変動は323億円の増益要因となりました。原材料価格は801億円の減益要因となりました。台数・車種構成および販売・マーケティング費用の増加は1,386億円の減益要因となりました。

購買コスト削減と商品性向上コストを含むコスト項目は1,397億円の増益要因となりました。引き続き研究開発投資を行っており、研究開発・生産費用は214億円増加しました。その他の項目は333億円の増益要因となりました。

国内の完成検査問題の影響と米国のタカタに関する集団訴訟費用を含む特別項目を入れますと、営業利益は3,642億円でした。

2017年度第3四半期 主要財務指標

中国合弁会社比例連結ベースの財務実績は次のとおりです。

連結売上高は9兆4,218億円に伸びました。中国の合弁会社の好調により、営業利益は4,748億円、営業利益率は5.0パーセントで、減益幅は持分法を適用した場合と比べ多少緩やかなものとなりました。

当期純利益は5,781億円に改善しました。自動車事業のフリーキャッシュフローは91億円。自動車事業のネットキャッシュポジションは1兆5,821億円となりました。

2017年度 業績見通し

当社は2017年度のグローバル販売台数および業績の通期見通しを修正しました。

国内、メキシコおよび欧州の台数減を、好調な中国とその他市場がカバーしきれない状況を勘案し、通期のグローバル販売台数の見通しを、5万台下方修正し、578万台に見直しました。

2017年度 見通し①

当社は、販売台数および事業の見通しを反映して、通期の業績見通しを修正し、次のとおり、東京証券取引所に届け出ました。為替レートの前提は通期で1ドル=111円で、中国合弁会社に持分法を適用した値です。

連結売上高は11兆8,000億円。連結営業利益は国内の完成検査に関わる追加影響と、米国において市場環境に対応する方策を採ったことに伴い、800億円下方修正し、5,650億円としました。

一方、当期純利益は、中国の合弁会社を含む持分法適用会社のしっかりとした業績と、米国の税制改革による当社米国事業への改善影響を反映し、7,050億円に上方修正しました。

2017年度 見通し②

(2017年)11月に見直した営業利益に対する増減要因は次のとおりです。

完成検査問題による減益を追加で300億円見込みました。販売会社在庫の調整は400億円の減益要因。原材料価格の上昇は200億円の減益要因。その他の項目は100億円の増益要因です。

2017年度第4四半期 見通し

第3四半期に進めてきた取り組みにより、第4四半期の業績は次のとおり改善すると見込んでいます。

第4四半期のグローバル販売台数は第3四半期に対し29万6,000台拡大し、167万1,000台を見込んでいます。売上高は3兆2,700億円に増加すると想定しています。

営業利益は、完成検査問題と米国における市場環境への対応といった第3四半期の減益要因2つが緩和し、事業が正常化に向かうことから2,008億円に改善し、売上高営業利益率は6.1パーセントに上昇すると見込んでいます。当期純利益は1,269億円、売上高当期純利益率は3.9パーセントの見通しです。

2017年度 株主還元

直面している課題はあるものの、2017年度の通期配当は引き続き前年比10.4パーセント増の1株当たり53円をお支払いすることを予定しています。

当社は、今年度に入ってからの9ヵ月間、とくに第3四半期は数々の課題に直面しました。国内の完成検査問題の影響、想定を下回る米国の全体需要、業界全体のインセンティブの上昇、原材料価格の高騰などです。

今後も市場の逆風と完成検査問題に起因する状況に対応する中、着実に基礎体力の向上を図るとともに、財務実績の改善を果たしていきます。

当社は、米国の市場環境に対応すべく在庫調整などの対策を行っている他、年度末までの国内の完成検査問題からの完全回復に向けた取り組みを順調に進めています。これにより、年度末までには事業を正常化できると見込んでいます。

事業の持続的な成長、確かな利益とフリーキャッシュフローを実現し、魅力ある株主還元を実施していくことをお約束いたします。

ご静聴ありがとうございました。