1.2017年12月期の連結業績

松原和彦氏:それでは、2017年12月期の決算業績につきまして、(決算短信に沿って)ご説明いたします。

決算短信に記載のとおり、2017年12月期の売上高は1,062億5,200万円となっています。(対前期比)19.9パーセントの増収という数字です。

各事業部門それぞれ、数量ベースで(売上が)増加したことに加えまして、(2017年)11月初旬にアメリカの黒鉛電極の製造拠点を取得したということで、そちらで約21億円の売上の増収がありました。

当初売上高予想としては、1,000億円ちょうどと予想していましたけれども、そのような北米拠点の取得と、各セグメントでの数量効果もありまして、(予想を)上回ったということです。

営業利益につきましては、114億8,600万円。こちらも当初の予想105億円に対しまして、約10億円程度上回ったということです。やはり各事業部門が、想定よりも好調だったということが大きく寄与しています。

セグメント別には、また後ほど、ご説明いたしますが、経常利益も132億4,900万円と、こちらも営業利益のプラスに加えまして、(増益要因としては)持分法の投資利益です。持分法適用会社の業績が好調だったということもありまして、増益というかたちになりました。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、118億1,600万円ということで、こちらも(増益要因は)特別利益です。土地の売却益や、上期に計上していますけれども、そのようなものも寄与しまして、約118億円という当期純利益になっています。

(1)当期の経営成績の概況

決算短信の2ページ目をもとに)セグメント別に説明いたしますと、主要3部門の、カーボンブラック事業部門、黒鉛電極事業部門、ファインカーボン事業部門とあります。

カーボンブラック事業につきましては、従来、中国の安価なカーボンブラック製品の勢いがありましたが、中国での環境規制の問題などで、中国のカーボンブラックメーカーの勢いが落ちて、数量面、価格面ともに、当社にとってプラスに働いたということで、数量は倍化、収益についても上振れたということです。

カーボンブラックの売上高は、前期比で26.6パーセントの増収、金額では100億円の前期比増収となっています。(カーボンブラック事業)全体で176億円の増収です。そのうちの100億円が、カーボンブラックの増収というかたちになりました。

営業利益も前期と比べますと44.4パーセント、68億6,800万円の増益です。こちらにつきましては、海外子会社、とくにタイの売価の改正と、とくに中国メーカーの影響が落ちたということで、従来の適正な売価といいますか、マージン確保ができたということで、海外子会社の収益改善が大きく寄与しています。

黒鉛電極事業につきましては、一昨年(2016年)まで、ずっと供給過剰という非常に構造的な問題を抱えていました。しかし、昨年(2017年)の中ごろ以降、やはり中国の環境問題(の影響が)がここでもありますけれども、中国での「地条鋼(ちじょうこう)」といわれる鉄の生産が規制されて、その分、電炉鋼の生産が上がりました。

さらに、電極の主要原材料は、ニードルコークスというコークスですけれども、こちらが、リチウムイオン電池の負極材としての需要が急増したということで、電極用のニードルコークスが逼迫しました。スポット的な市況といいますか、それ(ニードルコークス需要)が急上昇したということがありました。

数量面でも、価格面でも、非常に需給が改善されたことをプラスに、(需給が)逼迫してきたということで、プラス効果があったわけです。

実際に電極の売価交渉というのは従来、輸出の場合は1年間の価格決めというものが通常の商習慣でありました。昨年(2017年)1年間の売価はもうすでに、定常的な取引につきましては、2016年末の時点で、(売価は)ほぼ決まっていたということで、2017年の収益には大きく影響はありません。2018年以降にその辺りが寄与してくるということになります。

そうは言っても、数量面でも非常に好調であったということ、また、11月から12月にかけての2ヶ月間、北米拠点の売上利益への寄与によって、売上につきましては21億8,000万円の純増ということで、効果が出ています。

そのようなこともありまして、黒鉛電極の売上高は14パーセント増収の236億1,000万円です。営業利益は、2016年は約12億円の赤字でしたけれども、2017年は17億4,800万円の黒字ということで、収益が改善しています。

ファインカーボン事業につきましても、一昨年(2016年)は、大幅な18億円の営業赤字を記録していましたけれども、こちらも、外部環境が良くなりました。

電極もそうなのですけれども、2016年に、構造改革ということで余剰設備の削減や、固定費の削減などに取り組みましたので、収益的にその辺りの寄与が大きかったということです。

価格面でも(2017年)7月以降、黒鉛製品の15パーセントの値上げに取り組みましたし、外部環境が良くなったところ、数量面(の増加)、マージンの改善、加えて、一昨年の構造改革の成果などによって、ファインカーボンについても、大幅な増収増益という数字になっています。

その他の事業部門につきましても、いずれも増収増益と全事業部門で増収増益という数字で、2017年は終えることができています。

業績については以上ですが、バランスシート(5、6ページ目)やキャッシュ・フロー(11、12ページ目)等は、(それぞれ決算短信を)見ていただければと思います。

2.配当の状況

決算短信冒頭に戻って)配当の状況につきましては、大幅な増収増益ということで、2017年の12月期につきましては、2016年は6円でしたけれども、倍増の12円の配当というかたちになります。

3.2018年12月期の連結業績予想

2018年の12月期の予想につきましては、さらに上期下期で、100周年の記念配当を予定していまして、プラス2円の4円の配当を含めて、年間で24円の配当と、増配を予定しています。

2018年の業績の予想ですけれども、記載してあるとおり、売上高で1,740億円、前期比63.8パーセントの増収を予定しています。営業利益は430億円、前期比274.3パーセントの増益。経常利益も440億円、純利益も300億円ということで、大幅な増収増益を予定しています。

この増収増益となる事業部門別の説明ですけれども、増収となるのは大半が黒鉛電極の事業部門です。1,740億円(増収)の内訳を申し上げますと、黒鉛電極で860億円の売上高を予定しています。これは前期2017年が236億円でしたので、こちらだけで3倍を超える増収というかたちになります。

その他の事業部門でも、カーボンブラックで497億円、ファインカーボンで141億円という数字になりますけれども、突出して黒鉛電極の増収を大きく見ています。

これは、先ほども申し上げましたけれども、売価の改定が大きく寄与しています。非常に需給が逼迫している、原材料の価格が急上昇したということで、従来、1トン当たり2,000ドル台、3,000ドル弱という価格帯だったものが、2018年については3倍以上になると見込んでいます。

そうは言っても、とくに上期につきましては、旧契約部分の出荷時期がずれ込んでいますので、1年間通して、そのような価格帯というわけではありませんが、1年間平均しますと、おそらく8,000ドル台の売価になると見込んでいます。

それで見ても約3倍、3倍まではいかないですかね……そのような価格水準ということです。

一方で、主要原材料、ニードルコークスも大幅に値上がりをしていまして、その影響、他にもいくつか値上がり部分がありますけれども、(値上がり分を)吸収してむしろマージン拡大ということで、利益面でも営業利益を430億円と申し上げましたけれども、黒鉛電極だけで324億円の利益と見ています。

その他、カーボンブラックで70億円、ファインカーボンで21億円といった内訳です。

今期の業績予想の前提、為替レートはドルで105円、ユーロで125円を、予想の前提としています。

私からの説明は以上です。