2017年度第3四半期決算説明会

佐々木啓吾氏(以下、佐々木):住友化学の佐々木でございます。本日はお忙しいところ、当社のコンファレンスコールにご参加いただき、誠にありがとうございます。投資家のみなさま、アナリストのみなさまには、日頃から当社の経営にご理解・ご支援を賜り、ありがとうございます。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。それでは、ただ今から、2017年度第3四半期の業績についてご説明いたします。

業績概要(前年同期対比)

スライド4ページ、業績概要をご覧ください。第3四半期の連結業績でございますが、売上高は1兆6,213億円となりまして、前年同期比2,315億円の増収となりました。営業利益は1,311億円となり、前年同期比449億円の増益となりました。経常利益は1,712億円となり、前年同期比562億円の増益となりました。営業外損益に含まれます持分法投資利益は401億円となりました。

シンガポールのエチレンセンター会社、ペトロケミカル・コーポレーション・オブ・シンガポール(PCS)社は好調な業績が続きました。また、ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー(PRC)社も高稼働が維持されたことに加えまして、石油精製マージンの改善などにより、業績が改善いたしました。この結果、持分法投資利益全体では、前年同期比143億円の増益となりました。

為替差損益は17億円の利益となりました。前年同期は米国大統領選後の円安の進行により、多額の利益を計上したことから、前年同期に比べ48億円の悪化となりました。特別損益につきましては、特別利益として固定資産売却益68億円、投資有価証券売却益43億円。一方で特別損失として、事業構造改善費用78億円を計上いたしました。法人税等は256億円となり、前年同期に比べ8億円税負担が増加いたしました。

この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、1,086億円となり、前年同期に比べ532億円増加しました。いずれの損益段階におきましても、第3四半期9ヶ月累計として過去最高であり、また純利益が1,000億円に到達したのも初めてとなります。ROEは12.4パーセントとなり、前年同期の7.1パーセントに比べ5.3ポイント改善いたしました。

なお当社業績に影響を与える為替レートとナフサ価格につきましては、USドルの期中平均レートは1ドル111円69銭と、前年同期に比べ5円9銭の円安となりました。またナフサ価格はキロリットル当たり3万9,700円となり、前年同期に比べ7,400円上昇いたしました。海外売上高比率は63.6パーセントとなり、主に医薬品の北米での出荷増加の影響により、前年同期に比べ海外売上高比率は上昇いたしました。

セグメント別売上高

続きまして、セグメント別の業績概要をご説明いたします。5ページをご覧ください。売上高からご説明いたします。全社の売上高は、前年同期比2,315億円の増収となりました。セグメント別には、その他を除くすべてのセグメントで増収となっています。

売上高の前年同期比増減について全社で要因別に分析いたしますと、価格面では情報電子科学、健康・農業関連事業で販売価格が下落した一方、石油化学において原料価格の上昇に伴い、製品市況が上昇したことにより、売価差で285億円の増収となりました。また数量面では、その他を除くすべてのセグメントにおいて出荷が増加したため、数量差は1,512億円の増収となりました。加えて、円安による海外子会社の売上高の邦貨換算差が、増収要因として518億円ありました。

セグメント別営業利益

続きまして、6ページをご覧ください。全社の営業利益は、前年同期比449億円の増益となりました。セグメント別には、健康・農業関連事業およびその他全社費用等は減益となりましたが、それ以外のセグメントは、増益となっています。要因別に見ますと、価格面は石油化学における交易条件の改善の一方、健康・農業関連事業におけるメチオニンの市況下落や、情報電子科学での売価ダウンの影響により、35億円のマイナスとなりました。

コスト面では情報電子科学において合理化を進めましたが、医薬品において販売費用や研究開発費が増加したことなどから、155億円のマイナスとなりました。数量差等では、その他全社費用等を除くすべてのセグメントにおいて出荷が増加したことにより、639億円のプラスとなりました。

石油化学セグメント(前年同期対比)

続きまして、各セグメントごとの業績概要をご説明いたします。7ページをご覧ください。石油化学セグメントにつきましては、売上高は5,063億円となり、前年同期比922億円の増収。営業利益は381億円となり、前年同期比206億円の増益となりました。売上高は原料価格の上昇に伴い、石油化学製品や合成樹脂の市況が上昇したことに加え、メタアクリルやカプロラクタムなどの合繊原料につきましても、市況が上昇いたしました。

また、ラービグ製品の出荷増加や住化ポリカーボネートの子会社化の影響もあり、増収となりました。営業利益は、メタアクリルや合成樹脂などで交易条件が改善したことや、ライセンス収入の計上などにより増益となりました。

エネルギー・機能材料セグメント(前年同期対比)

次のページをご覧ください。エネルギー・機能材料セグメントにつきましては、売上高は1,870億円となり、前年同期比410億円の増収。営業利益は152億円となり、前年同期比100億円の増益となりました。売上高はアルミニウム市況上昇による販売価格上昇の影響がありました。

また、レゾルシンやエンジニアリングプラスチックスの出荷の増加に加え、前年度に実施したリチウムイオン二次電池用セパレータの生産能力の増強や、田中化学研究所の新規連結の影響もあり、増収となりました。営業利益は主に出荷数量の増加にともない、増益となりました。

情報電子化学セグメント(前年同期対比)

次のページをご覧ください。情報電子化学セグメントにつきましては、売上高は2,886億円となり、前年同期比168億円の増収。営業利益は133億円となり、前年同期比44億円の増益となりました。

売上高は偏光フィルムやタッチセンサーパネルの販売価格は下落いたしましたが、一方でこれらの製品の出荷が増加しました。また、円安による邦貨換算差の影響もあり増収となりました。

営業利益は販売価格の下落のマイナス影響を出荷数量の増加や、合理化等のコスト削減によるプラスが上回ったため、増益となりました。

健康・農業関連事業セグメント(前年同期対比)

次のページをご覧ください。健康・農業関連事業セグメントにつきましては、売上高は2,138億円となり、前年同期比219億円の増収。営業利益は157億円となり、前年同期比9億円の減益となりました。

売上高はメチオニンの市況下落の影響はありましたが、インドの農薬会社であるエクセルクロップケア社が新たに連結会社に加わったことや、円安による邦貨換算差の影響などにより、増収となりました。

営業利益はエクセルクロップケアの新規連結や円安による輸出手取り増加等のプラス影響はありましたが、一方でメチオニンの市況下落の影響が大きく、減益となりました。

医薬品セグメント(前年同期対比)

次のページをご覧ください。医薬品セグメントにつきましては、売上高は3,894億円となり、前年同期比597億円の増収。営業利益は580億円となり、前年同期比119億円の増益となりました。

売上高は北米でのラツーダを中心とした出荷の増加や、シクレソニド3製品の販売権を譲渡したことに加え、国内においてはトルリシティやアイミクスなどの出荷が増加したため、増収となりました。

営業利益は販売費用や研究開発費増加の影響はありましたが、出荷数量の増加により、増益となりました。

比較貸借対照表

続きまして、貸借対照表の内容をご説明いたします。2017年12月末の総資産は3兆1,233億円となり、前期末に比べて2,613億円増加いたしました。主に現預金やたな卸資産、投資その他の資産が増加いたしました。

有利子負債残高につきましては、前期末に比べて735億円増加し、9,488億円となりました。

純資産は1兆3,048億円となり、前期末に比べて1,422億円増加いたしました。利益剰余金、その他の包括利益累計額ともに増加いたしました。この結果、自己資本比率は29.8パーセントとなり、1.1ポイント改善いたしました。

キャッシュ・フロー

続いて、連結キャッシュ・フローについてご説明いたします。13ページをご覧ください。

営業キャッシュ・フローは1,409億円の収入となり、前年同期に比べ556億円の改善となりました。税金等調整前利益が増加したことが主な要因です。投資キャッシュ・フローは1,139億円の支出となり、前年同期に比べ545億円支出が減少しました。

この結果、フリー・キャッシュ・フローは270億円の収入となり、前年同期の830億円の支出に比べますと、1,101億円収入が増加しております。

財務キャッシュ・フローは202億円の収入となり、前年同期に比べ601億円収入が減少いたしました。

最後に年間の業績予想について申し上げます。

11月1日に公表した数値は、各利益段階で最高益を見込んだものでございますが、今回はこれを据え置いております。

この第3四半期の業績は、年間予想に対する進捗率が営業利益で71パーセント。経常利益で80パーセント。純利益では90パーセントとなっております。

当社は第4四半期が農薬の需要期であることを考慮いたしますと、高い進捗率になっていると考えております。

セグメント別の損益動向といたしましては、すでに年間業績予想を上回った石油化学、エネルギー・機能材料につきましては、相当程度の上振れが期待できます。

一方で、情報電子化学はディスプレイ材料等が第4四半期に不需要期に入るということから従来予想、これまでの予想を下回ることが見込まれております。

高稼働を維持しておりますPetro Rabigh社の持分法投資利益の改善や、また当年度は大きな特別損失は見込まれないことから、全体としては予想を相当程度上回ることが期待できます。

しかし、一方で足元の状況といたしましては、円高あるいは減量の価格動向によりまして、いろいろ今後最新の業績動向を見返す必要があるかと感じております。

したがいまして、必要に応じて業績予想の修正を行うこととしたいと考えてございます。

第3四半期の業績についての説明は以上でございます。みなさまからのご質問を承りたいと思います。本日はご参加をいただき誠にありがとうございます。