大きな声じゃないと通じない!

安河内哲也氏(以下、安河内):あと、3番目に言うのは、Speak in a loud voice.

西澤ロイ氏(以下、ロイ)ロイ:あ~大事ですね~。

安河内:声が小さい。聞こえないんだもん。とくにアメリカに行くと、アメリカ人って声がでかいじゃないですか。

ロイ:はい。

安河内:私の仮説なんですけど、音楽大きな音でかけすぎてちょっと耳が弱ってるなぁと思うんですよ(笑)。

ロイ:僕も同意です、それは(笑)。

安河内:音楽かけすぎ(笑)。

ロイ:それで聞き取れないから、「Hah?」とか言って、失礼な聞き方するんですよね。

安河内:そうそう。だからでかい声で言わないと通じないの。とくにマクドナルドとかで注文するときっていうのは、でかい声で「Big Mac!」って言わないと通じない。

「(小声で)Big Mac……」とか「I'd like to have~」とか言ってると通じないので。「Big Mac! One Coke!」って言えばだいたい通じる。

ロイ:(笑)。

安河内:だいたいアメリカの場合は、働いてる人自体もたいがいネイティブスピーカーじゃないから。あんまりネイティブちっくな発音で小さな声で言っても通じない。でかい声でバーンと言わないと。

ロイ:うんうん。

ネイティブスピーカーは意外と多くない?

安河内:まあそういう状況なんですね。ネイティブの英語をしゃべっている人は、英語の話者の中でそんなに多くないわけですよ。ネイティブスピーカーは半分以下なんですよ。英語の話者の中で。

私今、アメリカの会社とビジネスしてるんですけど、その会社の上層部もイラク人とかアフリカの人とかアメリカ人とかいろいろいるわけですよ。アメリカの会社の中でも経営決断をするときには、ネイティブスピーカーもちゃんとみんなに合わせてしっかり伝わる英語でしゃべったりするわけですよね。

世界というのはもう融合してきていますから、共通語は英語なんですけど、英語も必ずしもアメリカ英語でなくちゃいけない、イギリス英語でなくちゃいけないってわけではないんです。

例えば世界の人たちを相手にしているスピーチでわけのわからないアメリカンジョークでまくし立てて、みんながわからなかったらスルーされてしまうわけですね。

2020年東京にオリンピックが来ますよね。オリンピックが来たのは猪瀬さんとか安倍総理とかのスピーチが良かったんだと思うんですけど、あのスピーチはアメリカンジョークとかそんなに使わないで世界の人たちがわかるようにクリアにはっきり、語彙を制約してしゃべっていましたよね。

ロイ:はい。

安河内:そのスピーチが勝ったわけですから。来てるわけですから。東京に。世界で求められているのは、ああいう英語で。ネイティブの英語を真似てまくし立てるような英語ではないということなんですね。

憧れているものが、私は違うんじゃないかと思うんです。そう思わないですか?

ロイ:確かにそうですね。ついかっこいい英語でしゃべりたいとか思っちゃいますけど、無意識には。

完ぺきは目指すな!

安河内:まあ、かっこいいに越したことはないんだけど。ネイティブの人たち、つまりアメリカの人とか世界の人たちが魅力的だと思う英語と、私たちがしゃべると魅力的だと思っている英語はちょっと違うのかもしれないですね。

ロイ:そうですね。我々にはたぶん魅力的なコンテンツがいっぱいあるはずで。日本には。

安河内:そう! 日本人って英語ができれば最強だと思いません?

ロイ:うんうん。

安河内:食べ物はおいしいし。みんなすごく優秀だし。頭がいいし。

ロイ:技術力もあるし。

安河内:文化的にも非常に多様性があって魅力的なものが満載じゃないですか。英語で損している部分がけっこうあると思うんですよ。

ロイ:ありますね(笑)。

安河内:それもね、英語ができないわけじゃなくてある程度できるんだけど、「これじゃダメだ」って思ってるんですよ。いつも。

ロイ:「私しゃべれません」みたいな。

安河内:そう。やっぱり日本人は侍なんですよね。『ラストサムライ』って観ました?

ロイ:はい。

安河内:『ラストサムライ』で渡辺謙さんが最後死んでいくときに、「It's perfect」って言って桜の木を見ながら死んでいくじゃないですか。たぶんパーフェクトを求めて一生自分の人生を過ごしていくという侍精神がマイナスに働いていると思うんですよ。

ロイ:そうですね。

安河内:こんなパーフェクトじゃない英語を披露してはダメだと。

ロイ:恥だと。

安河内:こんなものを人の前でお見せするのは武士の恥だから間違ったら腹を切らなくちゃいけないっていう気持ちが、たぶん英語を話せない1つの理由になってると思うんです。だからもうどんどん間違いましょう。

英語を話すときにはパーフェクトである必要はありません。Everybody is imperfect. It’s OK. そういう感じのデタラメ英語でしゃべりまくる。っていう感じで、私はもう諦めました。英語の勉強は。

ロイ:(笑)。

ネイティブを目指す必要はない

安河内:完璧な英語をしゃべるって無理なことはもうやらない。一応ちょろちょろ勉強は続けるんだけど。だってもう48歳ですよ。これ以上英語を勉強し続けて人生終わりたくないので。

英語の勉強はこのへんでやめといて、英語を使ってビジネスをしたりとか、英語を使っていろんな人を喜ばせたりたりとか、そっちの方向に残りの数十年を費やすって決めたんですよ。最近。

もっと世界中を飛び回って、英語を使っていろんな人を喜ばせる。そのほうが、せこせこ英語ばっかり勉強してるよりは楽しい人生になるかなっていう。ロイさんもやめません? 英語の勉強。

ロイ:僕、実はけっこうしてないんですよ(笑)。

安河内:がんばらないもんね(笑)。

ロイ:英語の仲間の中で、飛び抜けてやってない自信があるんですよ。英語も普段しゃべってないし聞いてないし。なのでちょっと勇気いただきました(笑)。

安河内:もっと使わなくちゃいけないの。

ロイ:確かに。僕はちょっと使う量は少ないですね。

安河内:みんなネイティブって言葉に憧れるでしょ? なんでネイティブって言葉が好きなんでしょうね。

ロイ:う~ん。

安河内:日本語に訳すと、現地人という意味ですよ。

ロイ:土着とか(笑)。

安河内:そんなに現地人になりたいのかっていう(笑)。あれ本当不思議な感じで思うんですけど。ヨーロッパ系の言語だとけっこうネイティブって言うんですけど、アジア系の言語だと現地人って言ったりしますよね。「現地人の言い方を真似て」とか。

すごくコンプレックスが表れてると思うんですよ。ネイティブ、現地人って分けてることはね。

ロイ:なんかそうですね。

安河内:ネイティブがそう偉いか? っていう。私たぶん日本人の英語勉強スタイルっていうのは、最近やっとバットとグローブ買ったばかりなのに誰もが大リーガーになりたがってるみたいな。

ロイ:あ~よくわかります。それ。

安河内:別に草野球ができれば十分なわけですよ。

ロイ:楽しいんですよね、それで。

安河内:人生それで十分なのに、なんか大リーガーじゃないと野球やっちゃダメみたいな。ずっとイチローとかの技を研究し続けて一生が終わっていくみたいな。

ロイ:そうそう、自分では振らないみたいな。

安河内:本を読んで、本を読んで。例えば「こう言うと笑われるネイティブの英語」とかいう本をいっぱい本棚に置いてね。

ロイ:(笑)。

学ぶより使え!

安河内:全部研究して、助動詞はこういう助動詞を使うのがいいとか。研究してるわりにはまったく英語を使わないで死んでいくっていう人けっこう多いんですよね。だったらもっと使おうよみたいな。

オリンピックも来るし、秋葉原には外国人もいっぱいいるし。そのへんに飲み屋に入ると、ビール1本買ってあげるだけで1時間くらい話してくれる人がいっぱいいるのでどんどん使いましょう。もっと六本木に来い! 

ロイ:オチは六本木ですね(笑)。普段かなり六本木にいらっしゃるみたいで(笑)。

上村:なるほど、六本木に行けば会えるんですね。

安河内:今度学生のための英語村を作りますね。小学生、中学生、高校生が楽しめる子供たちのための英語村を今度東京都が作るんですけれども、大人のための英語村はもうすでにあります。六本木に!

ロイ:あ~。なるほど、なるほど。

安河内:働いている人もみんな外国人だし、道歩いてるのも外国人なので。大人のための英語村です。

ロイ:確かに、確かに。じゃあみんなそこへ行きましょうという感じで。

安河内:あのへんで遊んでると英語を使わざるを得なくなるので、そういう環境でやったほうがやっぱりいい。本ばかり読んでるよりはいいでしょう。

上村:というわけで、まだまだ話し足りないかとは思うんですがそろそろお時間が。

安河内:もう時間ですか! また呼んでください。ぜひともね。

上村:ぜひともまたいらしていただきたいと思います。というわけで、本日ゲストにお迎えしましたのは東進ハイスクール英語講師の安河内哲也さんにお越しいただきました。ありがとうございました!

安河内:ありがとうございました。Thank you.

ロイ:ありがとうございました。

上村:以上、『西澤ロイの頑張らない英語』。お送りしましたのは、ナビゲーター上村潤と。

ロイ:西澤ロイでした。Thanks for a lot listening. See you on June 13th.

一同:Bye bye!