2017年度 第3四半期 業績サマリー

畑野誠司氏(以下、畑野):それでは本日ご多用の中、当社決算説明にご出席いただき、あらためて御礼を申し上げます。

当社2017年度第3四半期決算の総括をまとめております。

2017年度第3四半期累計の売上高です。7,503億円で前期比7パーセントの増収となりました。

事業別の状況は、このあとのスライドで詳しくご説明しますが、すべての事業セグメントで増収を達成しております。

営業利益は186億円で、前年同期に光学分野で特許関連の78億円の特殊要因が含まれており、前期比25パーセントの減益でした。

第2四半期までの事業の収益力の改善に加え、当社の事業ポートフォリオ強化施策が第3四半期の実質増益につながったと考えております。そういった点は、次のスライドで各事業セグメントの状況をご説明したいと思っております。

2017年度3Q 営業利益 増減分析

このグラフは、第3四半期営業利益の増減分析です。 セグメントごとの営業利益の対前年比増減を、事業要因、外部・特殊要因に分けてお示ししています。

昨年の第3四半期には先ほどお話した通り、一過性の増益要因として、産業用、材料・機器事業の特許関連収入78億円の計上がありました。

この一過性の要因を除いたベースで比較いたしますと、対前年プラス5億円の増益となっております。

まず事業の要因ですが、オフィス事業、プロフェッショナルプリント事業は、為替効果を除くと減益となりましたが、A3のカラー機、とくに高速機の拡充やプロダクションプリントの付加価値提案などで、採算の向上に努めております。この点は、のちほど詳しくご説明いたします。

北米向けのDRは、好調なヘルスケア事業が増益でした。計測機器ユニットがセンシングは、上期に引き続いて非常に好調な産業材料を牽引して、機器事業も大幅な増益となっております。

外部・特殊要因は、為替による増益効果が34億円がありましたが、バイオヘルスケア買収関連費用で、経費で25億円等のコストがかかっております。

それから、新規事業への先行投資などがマイナス要因となりました。

成長事業全体としては増益で、全社としても増益となったと認識しております。

次のスライドで、各事業のハイライトをご説明したいと思います。

事業トピックス1:産業用材料・機器事業 計測機器ユニットの好調持続

本年度、ここまで産業用材料・機器が好調になっている要因の1つである、計測機器ユニットの進捗状況をご説明します。

全体的には9ヵ月間を通して順調に販売を伸ばしており、9ヵ月累計で前年通期をすでに上回る売上を達成しております。

その要因としては、光源色の領域ではOLEDディスプレイの新規投資でアジアを中心といたしました複数社で新たな需要が高まったことにより、売上が前年同期比で倍増したことがあげられます。

その中でも、とくにこれまでに買収を行なったドイツのIS社(Instrument System)と、アメリカのRadiant社が大きく貢献して、売上を伸ばしております。

また物体色の領域も、前年比で2割近い売上の伸びを示し、着実に成長しております。

事業トピックス2:オフィス事業 A3カラー機販売モメンタムと高速機シフト

次に、オフィス事業のハイライトとして、A3カラー機販売のモメンタムと高速機シフトをご紹介します。

A3オフィスカラーMFPの販売台数に関し、対前年の伸長率をお示ししています。

販売台数は北米、中国を中心に伸びております。第2四半期に続き、第3四半期も前年同期比増となっており、第2四半期は9パーセント。当第3四半期は8パーセントの増加となりました。

その中でも、高採算の高速機はセグメント4以上の期首の伸びが大きく、第2四半期は(対前年伸長率が)11パーセント、第3四半期は14パーセントの伸びとなっており、採算の向上に寄与し始めております。

オフィスのハードも足元では回復してきており、高速機の未分により、回復を加速させたいと考えております。

事業トピックス3:プロフェッショナルプリント事業 差別化、高付加価値施策

事業トピックスの3番目として、プロフェッショナルプリント事業の差別化、高付加価値化施策をお示ししております。

当社が取り組んでおりますアプローチです。コニカミノルタグループの強みは、事業ポートフォリオのバラエティ差です。そういった事業ポートフォリオ間でのシナジーによって、生み出されたのが「IQ-501」です。

とくにセンシングとの連携ですが、インテリジェントクオリティオプティマイザーが当社独自の強みで、競合との差別化となっており、お客さまに広く受け入れられております。

具体的には、計測機器のカラーマネジメント技術をデジタル印刷機に組み込みました。現在、センシング技術を取り込んでいるのは当社だけです。

これまではオペレーターのスキルに依存していた色調整を自動化して、管理コストを削減するともに印刷送信の稼働率を向上させることで、印刷企業様の経営課題の解決を支援しております。

こういった、他社にはない価値がお客さまに受け入れられ、「IQ-501」の装備率は着実に向上しております。

色調整、カラーマネジメントのみならず、印刷用紙の位置調整機能の自動化がモノクロ機でも評価していただけることが、だんだんわかってきました。今後はモノクロ機での差別化、高付加価値化も進めたいと考えております。

2017年度 第3四半期 セグメント別売上高

セグメント別の売上高を前年と比較してお示ししております。

全事業で増収となりました。

とくに産業用光学システム事業は、3四半期連続で大幅増収を達成しております。

牽引したのは計測機器で、ICT、スマートフォンなどモバイルにおけるイノベーションの追い風が続いている状況です。

2017年度 第3四半期 セグメント別営業利益

セグメント別の営業利益、実績を前年と比較しています。

事業セグメントの増減は先ほどグラフで概要をお示ししましたが、第3四半期も新規事業・コーポレートではマイナスになっています。

この最大の要因は、将来の収益の柱となるバイオヘルスケア事業やワークプレイスハブなど成長のための新規投資の先行投資を、戦略的に実施しているためだとご理解いただけたらと思います。

オフィス事業の状況

ここからは具体的に各事業ごとに、ご説明します。

まずオフィスです。17年、9ヵ月間累計での売上高が4,277億円。営業利益は299億円でした。売上は前年比5パーセント増。営業利益はマイナス4パーセントと増収減益となっております。

ただ第3四半期、3ヵ月間だけでは前年比増収増益となりました。中国をはじめとした新興国が好調でした。欧州は、前年に大型案件の設置があったことや、受注残の影響を受けた結果です。

一方、注力しておりますOPSやGMA(Global Major Account)は引き続き順調に拡大しております。

GMAでは、とくに欧州で大手鉄鋼メーカーや世界的次世代エネルギー企業など、複数の大型契約を獲得しており、第4四半期以降の売上に本格的に寄与する予定です。

それからITサービスソリューションも引き続き伸びており、米国では医療機関向けのITインフラ管理サービスや、政府系向けの電子文書ソリューション販売(が好調でした)。

欧州・アジアでは中堅中小企業向けITインフラ管理サービスなどが好調でした。

プロフェッショナルプリント事業の状況

プロフェッショナルプリント事業です。

9ヵ月間累計の売上高は、1,550億円で前年比5パーセントの増収、営業利益は51億円で前年比25パーセントの減益でした。

オフィスと同様に、第3四半期3ヵ月のみでは増収増益の決算です。

まずプロダクションプリントです。

先ほどご説明した通り、印刷業務のワークフローの効率化を支援する当社独自の機能・出力調整自動化ユニット「IQ-501」の提供価値がお客さまに浸透して、対強豪との差別化要因となっております。

それからカラーデジタル印刷システムの最上位機種「AccurioPress C6100」シリーズは、商業印刷市場の商談が長期化しております。

本格的な利益への貢献は第4四半期以降にずれ込んでおりますが「AccurioPressC6100」を拡販する販売体制を日米欧で構築し、第4四半期からの販売化策をしています。

マーケティングサービスは、大口顧客でのマーケティング費用抑制が続きましたが、第3四半期では案件の獲得も増加して回復基調にあります。

キンコーズは日本で店舗で増設するなど、店舗・法人ともに好調を維持しております。

産業印刷は引き続き大きく伸長した欧米を中心に「AccurioJet KM-1」やMGI社製のデジタル加飾印刷機、ラベル印刷機の販売が拡大しております。

オフィス・プロダクションプリントの収益力強化の進捗

オフィス、プロダクションプリントの収益力強化の進捗をご説明したいと思っております。

オフィス、プロダクションプリントともに、第2四半期、第3四半期と前年比で売上高は伸長しております。

下期の重点取り組みである付加価値販売や、製造原価低減による粗利率改善施策が結果を出してきております。第2四半期より売上高は対前年増収をキープしつつ、粗利率が前年同期比で伸長しました。

オフィスは、カラー65枚機、75枚機の新製品投入と高速機シフト、ハイブリット販売、足元のノンハード収益改善、採算に注力した案件の選別といった施策が奏功しております。

また、プロダクションプリントも、第1四半期から3四半期連続で売上高が前年同期比で伸長しておりますが、粗利率も前年同期対比で改善しております。

ご説明いたしました『IQ-501』による付加価値、差別化提案、カラー最上位機である『AccurioPress C6100』の本格販売、ノンハードの継続的な増加、中国での販売拡大といったことが奏功し始めております。

第4四半期も継続して収益力強化施策の効果を出し続けていきたいと考えております。

ヘルスケア事業の状況

ヘルスケア事業の状況です。

ヘルスケアは、9ヶ月間の業績はデジタル製品の販売が伸び、上期の資産流動化による収益を除いても増収増益となっております。

第3四半期の概況は、ヘルスケアユニットではDRが米国大手X線メーカーとの協業強化により、システムと合わせて当社のDRを販売する戦略などが奏功し、販売数を伸ばしました。

また、北米ではCRからDRへの切り替えが進んでいることも好調の要因です。

超音波製品も国内の販売は引き続き好調で、アメリカ、中国においても前年比で販売数を伸ばしております。

保守の契約も引き続き伸長して、採算向上に寄与しております。

医療ITは、アメリカでの販売増加が売上に貢献し、保守サービスも順調に拡大しております。

産業用材料・機器事業の9ヶ月間の実績は、産業用光学システム分野が大きく販売を伸ばし、事業全体で増収増益となりました。

第3四半期の概要は、計測機器が光源色領域に加え、物体色領域でも着実に販売数を伸ばして、大幅な増収となっております。

材料・コンポーネント分野は、機能材料が液晶TVの画面大型化を背景に、TACフィルムの高付加価値製品販売シフトを加速して、価格の圧力を受けながらも前年並みの売上高を確保しております。

光学コンポーネントは、お客さま先での最終製品需要減少の影響で、前年比やや減少です。

IJコンポーネントは、今期においては欧州/アジアの販売が牽引したことで増収となりました。

産業用材料・機器事業の状況

産業用材料・機器事業に属するビジネスユニットの、9ヶ月累計売上の前年同期比を、グラフでお示ししております。

詳細は割愛しますが、計測機器が昨年同期間と比較して、売上が大幅に増加し、そのほかのユニットはほぼ前年並みの売上を維持しております。

3Q 新規事業の進捗 プレシジョン・メディシン

第3四半期の新規事業の進捗について、簡単にお話ししたいと思います。

プレシジョン・メディシン分野への参入については、本格参入のため「AmbryGenetics社」の買収を10月に完了いたしました。「Invicro社」も11月に買収を完了して、連結子会社としております。

当社の人材・技術と合わせ、グローバルな戦略策定・実行およびアメリカを始めとする各地域の事業戦略の策定・実行のため、プレシジョン・メディシン本部をアメリカに設立し、常務執行役・ヘルスケア事業本部長である藤井がCEOに、同じく常務執行役・技術担当の腰塚がCTOとして就任しております。

1月には合同で従業員を全員集めてタウンホールミーティングを開催しました。

当社の人材や技術と、AmbryGenetics社・Invicro社の人材と技術を融合し、一体感を持ってミッションとビジョンに取り組んでいくという、熱意と意気込みが共有される場となりました。一体運営が本格始動したと考えております。

全社バランスシート:Ambry社、Invicro社買収の影響

全社のバランスシートをお示ししております。

バイオヘルスケア事業の買収による当社の資産、負債への影響について記載しております。

12月時点では、2社の買収により、のれんおよび無形資産が1,282億円増加いたしました。

AmbryGenetics社は、産業革新機構との共同出資で、出資比率は当社が60パーセント、産業革新機構が40パーセントとなっております。産業革新機構の40パーセント分はプットオプションが付帯されていることから、IFARSの会計上は金融負債の振替を行っております。

買収資金は、昨年12月にハイブリッドローンなどにより調達しております。このローンは資本と負債の中間的な性質を持ち、負債でありながら利息の任意繰延や超長期の返済期限、倒産手続きなどによる劣後性など、資本に類似した特徴を有しております。

この結果、格付投資情報センターや日本格付研究所から、資金調達額の50パーセントに対し、資本性の認定を受けておりますので、格付上における自己資本比率を算出すると、46.9パーセントというレベルになっております。

財政状態計算書主要項目推移1

財政状態を簡単に、ご説明します。

まず在庫の水準は、在庫金額の総額は前年同期より増加しておりますが、在庫月数は前年同期を下回りました。3月末の数字もお示ししておりますが、最大需要期を終える3月末に比べますと、第4四半期の弾込めをする12月末は在庫が多くなるのが当社の季節性となっております。

財政状態計算書主要項目推移2

自己資本、有利子負債は、先ほどAmbryGenetics社、Invicro社買収の影響をご説明した時にご説明いたしましたので、ここでは割愛します。

2017年度業績見通し

業績見通しです。通期の業績予想は、10月30日時点の業績予想を据え置くことにいたしました。

為替のレートの前提は第3四半期の実績、実勢レートを踏まえ、第4四半期はユーロのみ10円、円安方向に見直して、130円としております。

今年度は、期初から公表値の必達にこだわった経営を進めました。為替効果等もありますが、非常に保守的に考え、前回予想を据え置くことにいたしております。

配当予想も30円で変更はありません。

経営は、対前年増益をしっかり目指してがんばっていきたいと思っているところです。

オフィス・プロフェッショナルプリント事業 4Q以降の重点施策

オフィス・プロフェッショナルプリント事業の第4四半期以降の重点施策をお示ししております。

この通期見通しを達成し、来期に向けて、基盤事業であるオフィス・プロフェッショナルプリントの収益力強化重点施策をしっかり継続していきたいと考えております。

オフィス・プロフェッショナルプリントとともに、第3四半期で成果を出している、また出しつつある施策を強化・継続いたします。

粗利のトップラインは、第3四半期までに販売を開始したカラー高速機新製品の本格寄与を加速、それからMIF・プリントボリューム(PV)増加によるノンハード増加のトレンドの継続、中国など新興国での販売拡大継続を考えております。

オフィスでは、第3四半期で獲得した大型案件の早期設置や受注残の早期解消、ハイブリッド販売の加速が重要施策です。プロフェッショナルプリントは、『IQ-501』の付加価値訴求による商業印刷での需要喚起と新製品のローンチ、産業印刷の利益貢献などが第4四半期における重要施策となります。

粗利の原価側は、デジタルマニファクチャリングの効果の拡大・継続や、サービス原価の低減を考えています。

販売管理費は、先行投資的に行っておりましたWorkplaceHub事業立ち上げを念頭にしたITサービスリソース強化の成果出し、プロフェッショナルプリントで上期に積み増した開発費が下期は抑制されることなどで利益の改善を目指したいと考えております。

中期的な収益力強化に向けた取組み

最後に、中長期的な収益力の強化に向けた取り組みについて、お話ししたいと思います。

第2四半期の決算の説明会において、社長の山野から、基盤事業について、収益力のもう一段の底上げが必要との認識をお示しいたしました。

この認識に基づき、当社は中期視点で視野に入れておりました国内外での構造改革、拠点の再編による運営のスリム化、事業強化の施策を今年度中に前倒しして実行することにしました。

これに関わる国内での損益の影響ですが、第4四半期は10~15億円ぐらい、来期2018年度は20~30億円ぐらいと試算しております。海外には、第4四半期に30~35億円の影響を想定しております。

この施策による構造改革費用は、グローバルなCRE戦略に期初から取り組んでおりますが、一環としてのセール&リースバックなどによる収益を原資とする予定を考えております。

なお、国内外での施策は、組合ほかとの協議事項もあるため、詳細は17年度末の決算発表時に、ご説明したいと考えております。

わたくしからの決算のご説明は以上です。ご清聴どうもありがとうございました。