プラスチックを食べてしまう強靭な胃袋の持ち主

ハンク・グリーン氏:2017年は科学にとって驚きの1年でした。中性子星の衝突や、生命体が存在してそうな星の発見から、飛ぶ事でさえずり、警告を発することの出来る鳥に至るまで、私たちは今年、この年の代表的なニュースとなりうる科学ニュースを取り上げてきました。

2018年のニュースを取り上げる前に、今一度2017年のイチオシのお気に入りのニュースを振り返ってみましょう!

2017年の、ガツンと来る、でっかく、アツい、2017年のニュースを!

さて始めに、2017年の地球上最も頑丈な、と言うより、強靭な胃袋の持ち主で賞に輝く生物のご紹介です。

2017年4月に「Current Biology」にて発表された記事によりますと、やっかいな芋虫が発見されたのだとか。何と、他の生物がとてもじゃないけど口にしないものをいとも簡単に食べてしまうのだとか。プラスチックを、です!

プラスチックの浪費は環境災害を引き起こしますが、なかでも、私たちが造り出している製品の40パーセントもの割合を占めている、PE、ポリエチレンがその原因の1つに数えられます。

買い物に行くと貰える袋のようなプラスチックがそうです。ポリエチレンを使うのは、それがとても安定しているプラスチックだからです。炭素と水素の連鎖が単純で、端から端までの強度が弱まることはないのですから。しかし、その強さは同時に何世紀も変わらずその強度を保てるということにもなるのです。

つい先だって、PEを分解出来るバクテリアが発見された時、科学者は胸を躍らせたものですが、ハチミツガの幼虫と比べると、それほどのものでもなかったのです。

ハチミツガは、蜂の巣を食べることからその名が付けられました。ハチミツガはミツバチと養蜂家にとっては、世界的にも天敵です。

そんな折、スペインで科学者と素人の養蜂家がじんましんから逃れようとハチミツガの幼虫をプラスチック袋に入れて始末しようとしたところで、目を見張る発見がありました。幼虫は、プラスチックの袋に穴を開けていたのです。

さらに調査を進めると、それらの幼虫は、単にプラスチックを粉々にできると言うのではなく、たった数分でポリエチレンをも破壊することがわかったのです。

破壊に何週間も、何ヶ月も費やすのではありません。たったの数分で、です。

幼虫のお腹や唾液に含まれる何かが、PEをエチレングリコールの分子に変え、あっという間に減成してしまうのは、酸素を含んでいるからです。

科学者は、幼虫がどうやってPEを分子段階にまで破壊するのかは突き止めていませんが、突き止める研究が続けられていますので、その内再現できるに違いありません。

化学的な方法でプラスチックゴミを破壊する方法が見付かれば、芋虫隊を編成して、プラスチックゴミと戦ってもらわなくても良くなるというわけですよね。

体長37メートルの恐竜

次のびっくりは、今までになく大きな恐竜です。

科学者は何年もの間、文字通り、パタゴニアの羊飼いが牧草地で化石につまずき、専門家に声をかけたあたりから、この恐竜の存在は耳にしていました。

しかし、専門家たちによる調査がなされている間、公にはなっていなかったのです。

8月に出版された「王立協会議事録B」にて、その恐竜についての調査結果と名前がついに発表されました。パタゴティタン・マヨラムと名付けられたその恐竜は、長い首と尻尾、そして太いあし、小さな頭を持つ、竜脚類の一種なのだとか。

その名は期待を裏切らないものでした。古生物学者が化石を掘り進めると、ほぼ完璧だと思われる骨組みが発見されたのです。肢骨、寛骨、肋骨、そして脊椎に至るまで。

そして、この恐竜がかつて私たちが目にしたことの無いくらいの大きさの恐竜であるということは誰の目にも明らかだったのです。大腿骨だけで2.4メートルもの大きさなのですから。

私の大腿骨が2.4メートルもあったなら、私の身長は8メートル以上と言うことになりますからね。それってすごいですね。「よう、調子はどうだい?」、なんてね。

古生物学者の見立てによると、骨から推測するパタゴティタン・マヨラムの大きさは長さ37メートルほどで、62メトリックトンぐらいなのだとか。12匹のアフリカ象に匹敵する大きさですね。陸上を闊歩する生き物で、最大級だったのでしょう。ものすごく大きかった、目玉が飛び出るぐらいの大きさだったのでしょう。

私たちがこれまで発見して来た他の巨大な竜脚類を考えてみると、マヨラムは生理的物理学に反しています。いくらなんでも大き過ぎます。

古生物学者の願いは、マヨラムについての研究が、このような巨大生物が存在できた理由を解明する足がかりとなることなのです。

2017年の気候

そんなにおもしろくもない話もしましょう。2017年はこの先、エルニーニョの訪れのなかった、最高の年として、この先記録に残るでしょう。最高の年の3位以内にこの先君臨し続けるのです。

エルニーニョは太平洋の海流の変化により、南米に向けて暖水が東に押し出される現象です。

一部地域、もしくは世界全体において、天候に変化をもたらします。つまり、平均より高い気温となってしまうのです。例年よりも暖かかった年をエルニーニョ年、と言うのはそのせいなのです。

気象学者は、長期にわたる世界中の観察地域による平均的な気温を読み解くことにより、温暖や寒冷に関する情報を入手しています。  

2014年は、エルニーニョ現象の影響がなかったのに、世界気温の平均が14.64にまで上昇しました。20世紀の平均気温よりも、全ての緯度において0.74高い気温です。

2015年はエルニーニョとぶつかり、記録上2本の指に入る暖かい年となりました。

2016年はほぼ全ての緯度における気温が前世紀よりも高くなった年でした。しかし、その年もエルニーニョ年ではなかったのです。米国海洋大気局の科学者が今まで見てきた気候傾向によると、2017年は2番目か3番目に暖かい年になるだろうと言われています。

エルニーニョの影響などのややこしいことは抜きにしても、この年の暖かさは地球温暖化を象徴する、目に見える例と言えるでしょう。

その熱気は私たちに様々な影響を及ぼしています。ひどい暴風が激しさを増すのを目の当たりにし、グレートバリアリーフの珊瑚は白化し、北極圏の海氷は最低記録範囲を記録しています。

映画や人間にとっては暖かいことは良いことなのでしょうが、それが年間で考えると、惑星で考えると、そうではないのです。

とは言え、2017年にはプラスチック食いの芋虫やどでかい恐竜の発見もあったのですから、悪いことばかりではありません。

2018年はそれ以上に心躍る出来事をご一緒したいですね。