logmi・ログミー

世界をログする書き起こしメディア

「創業以来ずっと黒字だったのに、倒産しかけた」アスラボ社長が振り返る、資金繰りの苦労

「創業以来ずっと黒字だったのに、倒産しかけた」アスラボ社長が振り返る、資金繰りの苦労

横丁シャッター商店街をよみがえらせ街全体を活性する「エリア・イノベーション事業」で成果を上げている、株式会社アスラボ・片岡義隆氏のインタビュー。本パートでは、米系ヘッジファンドへのキャリアアップを経て、アスラボを起業した経緯、企業哲学を語りました。※このログは(アマテラスの起業家対談の記事)を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。

シリーズ
アマテラス起業家対談 > アスラボ片岡義隆氏
2018年1月15日のログ
スピーカー
株式会社アスラボ 代表取締役社長 片岡義隆 氏
株式会社アマテラス 代表取締役 藤岡清高 氏

起業のために必要なことは必然的に身についていた

アマテラス藤岡清高氏(以下、藤岡) 大阪からスタートし、東京へ。そして外資系不動産投資会社へとステップアップですね。 片岡 米系不動産投資会社AIGグローバル・リアルエステイトは、結果的には自分の肌にあったすごくいい会社でした。不動産鑑定士の業務範囲は広く、民法、会計、バリュエーションの勉強をしていたため、すんなりキャッチアップができました。 基本的に投資の一連の流れである、アクイジション・バリエーション・契約書チェック・会計に関する一通りの基礎知識があるので、最初の案件こそ手こずりましたがすぐに慣れました。 そういう意味でAIGはとてもいい会社で、案件をファインディングするところから関わりました。大きい会社は部署が分かれていて仕事が細分化されていますが、AIGは分かれていなくて全行程を1人で行っていました。 いわゆるソーシングからクロージングまで全部やる。だから起業して自分でやる際には、すべてがもう経験済みでした。先ほども言ったように「ベストを尽くしていれば、過程の選択は神様が導いてくれる」。当時の私にとってはベストなキャリア選択でした。

自らの本心を問うため飛び込んだヘッジファンド

藤岡 その後、米系ヘッジファンドへ転職された経緯を教えてください。 片岡 不動産投資に携わり、4年ほど経って仕事に慣れてきたころ、「一体自分は世の中をこれで良くしているのか。世界平和に貢献しているのか」との迷いが生じてきました。 社会をよくしたいという思いが強いのか、それともある程度会社に慣れてきたから刺激を求めてメンタルが弱くなっているだけなのか。自分の中で何が重要なのかを確かめるべく、金儲けをした人が勝ちという価値感の強い米系の大手ヘッジファンドに転職することにしました。 結果的にはそのような価値観が合わずすぐにヘッジファンドは辞めました。

ようやく結びついた、本当にやりたいこととお金儲け

藤岡 ヘッジファンドを辞めた後、2008年に起業されますが、起業にいたった背景を教えてください。起業当時、リーマンショックのタイミングですね。 片岡 当時はまさにリーマンショックの最中でした(笑)。 創業当初の2年程度は、声をかけてくれた会社のコンサルティングをしていました。リーマンショックで世の中は不景気でしたがしっかりと成果を出していたので、かなりの額の報酬をもらっていました。本格的に今の事業を始める際にも、その会社が資金を貸してくれ、おかげで銀行の借り入れもなく、事業のスタートを切ることができました。 藤岡 起業時に資金を用立ててくれる人がいるというのは片岡さんが信用されていた証ですね。 片岡 創業時の苦労より、5年程経ったころに本当の苦労を味わいました。 一言で世の中変えると言っても、一体何をすればいいのかをずっと悩んでいました。結局自分の得意分野は不動産投資なので、シェアハウス・元麻布農園などのさまざまな事業を運営する一方、より良い社会をつくるための不動産投資をして、利益をしっかりと出さなければいけないと思っていました。 考えていく中でたどり着いたのが2014年「シャッター商店街の再生を通して地域を応援しよう」ということでした。地域を良くしたい、地域創生に携わりたい、その方向に一回舵を切ろうという決断がそのころできました。世の中を変えていきたいという自分の本心と、お金儲けもしっかりとするということがようやく結びついてきました。

「黒字倒産」そんなことは教わっていません

片岡 資金繰りの面では、実はうちは3回くらい黒字倒産をしかけています。 不動産投資の一番辛いところは、例えば1億円の土地を買ったとしたら数千万、建築でも多額の着手金がキャッシュで出ていきます。 とくに創業当時は当然信用もなくローンも多く組めません。人件費もかかるし会社の維持費もかかる。黒字なのにお金が手元にない。「あれ、そんなの教えてもらってないし(笑)」と思いました。 「うちキャッシュないじゃん。来月給料払えないじゃん」。そういうレベルにまでいきました。よく通帳があと10万円しかないとか聞きますが、そんなの私からしたら恵まれている話で「来月2000万円足りない。このままでは倒産してしまう」というところまできていました。「黒字倒産」を身を持って学んだのは、5年ほど前の37歳のころでした。 創業以来ずっと黒字だったのに。要はキャッシュフローのマネジメントがきちんとできていませんでした。今思えば、アホですよね(笑)。 藤岡 社長は経理のプロではないので、ありがちな話ですね。それをどう乗り越えましたか。 片岡 この業界のおもしろいところは、人の信用で成り立っているところがあります。同業の仲間や先輩経営者に「資金が必要です」というと、「お前のとこの物件を担保に1億円貸すよ」と助けてくれる人がいたおかげで切り抜けてきました。 先輩たちも大変な思いをしてきているので事情をわかってくれているのだと思います。金利はかなり高かったですが(笑)。 ただ、借りたお金をしっかり返せるかどうか、不安で眠れない日々が続きました。 起業家教育が必要という人がいますが、本当は黒字倒産とかそっちを教えるべきだと。「確実に倒産する10個のパターン」みたいなことを教えた方が絶対にためになる(笑)。

不動産投資の強みを活かして事業を成長させていく

藤岡 アスラボさんの事業成長のイメージを教えてください。 片岡 今まではベンチャー企業で創業オーナーというのもあり、感覚で経営を行っているところがありました。マーケティングをした結果、どうするとかではなく「社会的にここにこういうものが必要なんじゃないか、あったほうがいいんじゃないか」。そこから事業をつくることが多く、そのたびにマネタイズの壁が大きく立ちはだかります。 また甲府の横丁事業を始める前、渋谷・恵比寿でレストラン経営もやっていました。レストラン事業でもかなりの額のキャッシュが必要でしたし、多額の赤字を出していました。今はエリア・イノベーション事業に集中するために撤退をしています。 少しずつでも儲からないと事業としての存続は難しい。いろいろと考える中で、不動産投資を絡めればどのような事業もできるという結論にいたりました。不動産投資は私の十八番でもありますし、冒頭言ったように不動産はすべてのインフラです。 例えば、教育をするにも校舎が必要、農業をするにしても農地が必要で、そこには絶対不動産が絡みます。地域創生も含め、すべての社会生活において不動産は必要不可欠な存在なので、そこに事業を上手く絡めていけばどのようなこともできるということが私の考えです。 そこにテクノロジーをのせていくことが、今後のアスラボにとって大きな課題になると思っています。

本気で取り組むことで地元の人の信用を勝ち取っていく

藤岡 地域創生のビジネスでは地元の人から信用を得ることは大変だと想像しますが。 片岡 エリア・イノベーション事業ではとにかく「俺たちは目立ってはいけない。あくまで黒子であり、主役は地元の人たちだ」という考え方を徹底させました。 始めは「お前ら誰だ? 若いし、本当にやれるのか?」などと言われていました。でも、きちんとやることをやっていれば、誰かが見ていてくれるし、1,000人が興味なくても、1人でも興味を持ってくれた人が手伝ってくれる。それで乗り越えていきました。 また次の3つのことを大切にしました。①自分たちで地域の物件を買ってきちんとリスク取る、②社員が現地に住み、本気で地元の人たちと向き合う、③補助金を一切あてにしない。 (注:補助金を否定している訳ではありません。よそ者が補助金の話をすると「結局お前ら、補助金目当てで来たのだろう」と思われて信用されない。) 自分たちでお金を出して買うし、社員も出張ベースではなく移住し、補助金には頼らない。そうなった時、我々の本気度が伝わり、地元の人からの見方も大きく変わっていきました。

信じて支えてくれた仲間がいたからこそ乗り超えられた

藤岡 約20名の社員がいますが、仲間集めというところでは、どのような苦労をされてきましたか? 片岡 一番初めに事業に参画してくれた社員とは、もう十何年の付き合いです。一番しんどい資金繰りのところから一緒に乗り越えてきていて、彼の存在はすごく大きいです。いなかったらもう経営を辞めていたかもしれない。 それこそ毎日死にたかった。何のためにやっているのかもよくわからないし、資金繰りは大変だし、金策ばっかりしなくてはいけない。そんな大変な中社員も次々と辞めていく。今思えば全部自分が悪いのですが、当時はそう思える余裕もないし、何かを責めたくなる精神状態でした。そんな時もずっと信じて一緒にやってくれる仲間がいたから、乗り越えられました。 成長をしていく中で多くの社員が辞めていった原因として上場を目指したところが大きいと思います。上場を目指すとなると、優秀な人材が必要です。 創業前からずっと支えてくれる社員と、AIG時代から一緒に仕事をしている事務の人が2人いて組織としては筋が通っていて会社が崩壊することはない。そう思えた時に、妥協せず優秀な人材を積極採用しようと決めました。その中で、実力主義を徹底してポジションの入れ替えなどを行った結果、しんどく感じてしまったのかもしれません。 採用の際には、とにかく理念というか何のためにこの会社があって、何をしていきたいのかということをしっかりと語るようにしています。 時代の流れもあり、「お金儲けは大事だし、ビジネスマンとしての成長も大事。でも社会の役に立つことも大事」と考える人が増えてきていると感じています。仕事を通じてマズローの法則でいう社会的欲求や尊厳欲求を満たした人が次のステージを求めています。 そのような人たちがアスラボに興味を持ってくれ、理念に賛同してくれる。現在は優秀な社員を採用しやすい環境になっています。

人が思いつかないものを発想しそれを形にしていける、そんな人に来てほしい

藤岡 アスラボさんが求めている人物像を教えてください。 片岡 何かを乗り越えてきている人、あとはどのような時にも前向き・ポジティブな人です。大切なのは分析をすることではなく、未来を見る想像力。イノベーションを起こせるか、クリエイティブな感覚を持っているかです。 アスラボは理想の社会を作ろうとしているわけだから、過去の延長線上というより、人が思いつかないものを発想しそれをきちんと形にしていける、そのような人物を必要としています。 「こういうのがあったらいいよね」と言える人は大勢います。私はいつも社員に「アイディアにはあんまり意味ない。アイディアをちゃんとアクションプランに落とせることに意味がある」と言っています。 例えばLEDを作れるような天才はほぼいません。そこを目指しているわけではなく、普通の人が考えつくことをいかに実務に落としこむか、そこが大切です。それこそまさに今アスラボがやっていることです。

今アスラボに参画する魅力

藤岡 今のアスラボに参画する魅力を教えてください。 片岡 今、社員は20人弱ですが、みんな相当きちんと仕事をしてきていて、とても優秀です。本当に優秀な仲間と仕事ができ、その中で成長ができることだと思います。 どんなに優秀で人柄の良い人でもすぐに採用はせず、お互いのため、その人がきちんと活躍できるポジションがあるかどうかをしっかりと考えてから採用をしています。 ベンチャー企業は、言い方は悪いかもしれませんが、頭を下げて仕事をしてはいけないと思っています。決して謙虚でないという意味ではなく、頭を下げてお願いするビジネススタイルだと、下請けになってしまい成長はしません。 当然謙虚だし、頭も下げるし丁寧ではありますが、下請けにはならない私たちはそう決めています。その立ち位置はだいぶ作れてきていると思います。 また、地方創生ビジネスで成功している会社は実際には少なく、その中でも我々にしかできない強みを持っています。 現在多くの会社からさまざまなオファーがあり「地方でいい事業を展開しています。だから一緒にやりましょう」という話がしっかりとできるようになってきています。そのような環境の中、会社を自分の力で成長させる感覚が味わえると思います。 これはいい意味でも悪い意味でもありますが、まだしっかりと組織が形作られていない部分があるので、本当に優秀であれば、当然社内での声も大きくなるし「こういう会社にしたい。こういう事業をしたい」といったように、自分が中心メンバーになって会社を作っていけると思います。 藤岡 素敵なお話をありがとうございました。

  
×
×
×
×
×
×
×
×
この話をシェアしよう!
シェア ツイート はてブ
「創業以来ずっと黒字だったのに、倒産しかけた」アスラボ社長が振り返る、資金繰りの苦労

編集部のオススメ

無料で求人掲載できる!エン・ジャパンの採用支援ツール、engage(エンゲージ) PR

おすすめログ

人気ログランキング

TOPへ戻る