真冬でも消火栓がめったに破裂しないのはなぜ?

ハンク・グリーン氏:冬に氷点下になる場所に住んでいれば、おそらく寒さで水道管か破裂したという話を聞いたことがあるでしょう。私の家でも一度、水道管が破裂したことがあります。

しかし、消火栓に同じようなことが起こったという話はほとんど聞いたことがありません。それは、さまざまな場所で冬にどれだけ寒くなるかによって、違う種類の消火栓を使っているからであり、寒い場所にある消火栓には凍ってしまう水が入っていないのです。

アメリカ南部のような暖かい気候のところでは、ウェット・バレル・ハイドラントと呼ばれる消火栓がよく使われています。

消火栓が使われていない時でも、水が地下の水道管から、バレルと呼ばれる地上に着き出た消火栓の部分のずっと上まで流れています。消防士が水を必要な時には上のほうにあるバルブを回すだけで、水がドッと溢れ出します。

しかし、ウェット・バレル・ハイドラントは、より寒い冬を迎える場所では外の氷点下の気温で消火栓の中の水まで凍らせてしますので、大変なことになります。

水は、凍るとより大きくなります。ですから、消火栓の中の膨張した氷は内壁を押し、消火栓の中に残った液体の水を圧迫して、ついには消火栓にひびを生じさせるか、爆発します。

これが、冬にパイプが破裂する理由であり、パイプは膨張した氷による圧迫に耐えるに充分な強度がありません。

そのため、どこでもウェット・バレル・ハイドラントを使っていたら冬に消火栓も破裂してしまいます。このような惨事を避けるために、ドライ・バレル・ハイドラントが使われています。この名前からもわかるように、ドライ・バレル・ハイドラントは通常は乾いています。つまり、使われていない時には、バレルに水がないのです。

その代わりに、水は凍結線の下にある地下の給水本管に留まっています。凍結線は、真冬でも温度が氷点下まで下がらない深さであり、ほとんどの場所では足元のわずかに数メートル下にあります。

そして、イギリスや他の数カ国では、これをさらに発展させていて、どの消火栓の部分も地上には全く出ておらず、色のついた標識か、金属のプレートがあるだけです。

消防士がドライ・バレル・ハイドレッドからの水が必要な時には、彼らはバルブを回し、水をバレルの中に引き入れ、ウェット・バレル・ハイドラントと同じように消火栓の外へ放出します。

しかし、使用後はバレルに残った水は排水されるので、水が凍ることはなく、消火栓が破裂することもありません。

どこでもドライ・バレル・ハイドラントを使うほうが便利に思えるかもしれませんが、いくつか不都合な点もあります。

バルブの一部が地下深くにあるために、ウェット・バレル・ハイドラントよりも修理をするのが困難であったり、使用されていない間は基本的に空であることもまた、バレルに物が詰め込まれたりするので問題になり得ます。街では、人々がその場しのぎでゴミ箱として使って、消火栓が詰まったりします。そのために、どこでも使われているというわけではないのです。

しかし、ここモンタナのように寒い場所では、毎冬、破壊的なまでに破裂しない消火栓のためと思えば、大したことではありません。