2018年8月期第1四半期業績および通期見通し

岡﨑健氏:CFOの岡崎でございます。私から2018年8月期第1四半期の業績および通期の業績見通しについてご説明いたします。

【連結】2018年8月期 第1四半期実績

2018年8月期第1四半期の連結業績です。売上収益は6,170億円、前年同期比16.7パーセント増。売上収益から売上原価、販管費を控除して算出した事業そのものの収益を示す事業利益は1,128億円、前年同期比30.5パーセント増。

営業利益は1,139億円、前年同期比28.6パーセント増。税引前四半期利益は1,178億円、前年同期比13.1パーセント増。親会社の所有者に帰属する四半期利益は785億円、前年同期比12.7パーセント増と計画を上回る増収増益となりました。

【連結】第1四半期 営業利益

まず連結の損益計算書のポイントについてご説明いたします。その前提としまして、ジーユー事業が連結業績に与える影響が大きくなったことから、今期よりジーユー事業のセグメント開示を始めております。

連結売上収益は6,170億円、前年同期比881億円の増収となりました。すべてのセグメントで増収となっております。とくに海外ユニクロ事業が617億円の大幅な増収と大きく寄与しております。

売上総利益率は51.4パーセントと前年同期比で0.2ポイント上昇いたしました。これはジーユー事業と海外ユニクロ事業で粗利益率が改善したためです。

売上販管費率は33.1パーセントと前年同期比で1.7ポイント低下いたしました。これは海外ユニクロ事業、国内ユニクロ事業で売上販管費率が低下したためです。

事業利益は1,128億円と前年同期比30.5パーセントの増益となりました。その他収益・費用の合計は10億円のプラスとなっております。

これは主に11月末の為替レートが期首に比べて円安となったことにより、海外子会社の仕入れにかかわる一時立替金などで為替差益が8億円発生したことによります。これらの結果、営業利益は1,139億円、前年同期比28.6パーセントの増益となりました。

【連結】第1四半期 親会社の所有者に帰属する四半期純利益

次に金融損益は、期首に比べ11月末の為替が円安になったことから、外貨建資産などの換算額が増加し、ネットで39億円のプラスとなっております。

この結果、税引前四半期利益は1,178億円、前年同期比13.1パーセント増。親会社の所有者に帰属する四半期利益は785億円、前年同期比12.7パーセント増となりました。

【セグメント別 第1四半期 実績

6ページはセグメント別の業績です。詳細については次のスライドからご説明いたします。

【国内ユニクロ事業】第1四半期実績

まず国内ユニクロ事業の第1四半期の業績です。売上収益は2,570億円、前年同期比7.6パーセント増。営業利益は541億円、前年同期比18.6パーセント増と計画を大幅に上回る増収増益を達成いたしました。

【国内ユニクロ事業】売上収益

国内ユニクロ事業の既存店売上高は、前年同期比8.4パーセント増収と計画を大きく上回りました。

売上が好調だった要因は、ヒートテック、ダウン、スウェット、メリノセーターなど、ユニクロが強みとする秋冬商品の需要が強く、これらの商品の在庫をしっかり持った商売ができたことによります。

これに加えて、例年に比べて気温が低く推移したことも追い風となりました。なお11月は「ユニクロ感謝祭」の販売も計画を大きく上回り、単月での売上は過去最高を更新いたしました。

客数・客単価は3ヶ月連続で増加いたしました。客数が増加した要因は、キャンペーン商品が集客に寄与したことです。これに加えて、新しく始めたコラボレーションラインのJW ANDERSONや新しいカテゴリーのマタニティ商品などの話題性ある商品も集客に寄与いたしました。

客単価が増加した要因は、比較的単価の高いアウターやボトムスの販売が好調だったことによります。Eコマースの売上は前年同期比25.6パーセントの増収で、売上構成比は(6パーセントから)7パーセントへと上昇いたしました。

11月末の感謝祭初日、予想を大きく上回るEコマースサイトへのアクセス集中によりシステムがダウンしたことで、多くのお客さまに多大なご迷惑をおかけいたしました。

11月末のEコマース販売の伸び率は20パーセント弱にとどまりましたが、これは感謝祭期間中にオーダー数が極めて多かったことから、一部の発送が12月にずれこんだ影響によるもので、受注ベースで見ると40パーセントを超える伸び率となっております。なお12月の既存店売上高は、前年同期比18.1パーセントの増収と好調なトレンドが継続しております。

【国内ユニクロ事業】売上総利益率

次に売上総利益率は50.9パーセントと前年同期比で0.2ポイント低下いたしました。これはほぼ計画どおりの水準となっております。

粗利益率が前年同期比で低下した要因は、為替の社内レートの円安傾向が続いていることで原価率が上昇したためです。ただし、値引率は前年同期比で改善いたしました。これは「毎日お買い求めやすい価格」戦略による値引率のコントロールを継続したこと、 売上好調による在庫処分の値引きロスが減少したことによります。

【国内ユニクロ事業】売上販管費率

売上販管費比率は30.1パーセントと前年同期比で1.7ポイント改善いたしました。売上が計画を上回ったにも関わらず、金額ベースでも計画以上に経費を削減することができております。とくに広告宣伝費、物流費は計画費・前年同期比ともに大幅に改善することができました。

広告宣伝比率は前年同期比で0.7ポイント改善いたしました。これはチラシや店内販促物の効率化によるものです。

物流費率は0.7ポイント改善いたしました。これはオペレーションの効率化やバッファ倉庫の削減などにより、店舗関連の物流費が大幅に削減できたことによるものです。ただし、Eコマース販売の拡大にともない、Eコマース関連の物流費は増加しております。

その他経費率は0.3ポイント改善いたしました。これは店舗什器などの消耗品費が削減できたことによるものです。

人件費率は横ばいとなりました。時給や賞与など従業員の待遇面を改善したことによる人件費増がありましたが、 業務の効率化、生産性の向上によって、人件費率は横ばいに留めることができました。

【海外ユニクロ事業】第1四半期実績

次に、海外ユニクロ事業についてご説明いたします。売上収益は2,582億円、前年同期比31.4パーセント増。営業利益は466億円、前年同期比54.7パーセント増と、売上・営業利益ともに計画を上回る大幅な増収増益を達成いたしました。

海外ユニクロ事業は着実に事業を拡大しており、この第1四半期の売上収益は初めて国内ユニクロ事業の売上収益を超えております。

また、粗利益率、経費比率も改善し、収益体質が強化されております。エリア別では、とくにグレーターチャイナ、韓国、東南アジア・オセアニアが引き続き大幅な増収増益となり、海外ユニクロ事業の業績を牽引しております。また、赤字が継続していた米国はこの第1四半期で見ると黒字に転じることができました。

【海外ユニクロ事業】各エリアの業績トレンド①

次に、各エリアの業績トレンドについて、ご説明いたします。中国大陸、香港、台湾といったグレーターチャイナは、大幅な増収増益となりました。売上収益はほぼ計画どおり、営業利益は計画を上回る水準となりました。

まず中国大陸は、前年に比べて寒い秋冬シーズンとなったことから、とくに冬物商品の販売が好調でした。また華北・華東・華南といったエリアごとに冬物の発売タイミングを変えるなど、エリアごとの商品構成を改善強化したことで、既存店売上高は計画どおり増収となりました。

引き続き値引きのコントロールを実施したことから、粗利益率は計画どおり、ほぼ前年並みの水準となりました。

また経費比率も改善し、営業利益は計画どおりの大幅な増益を達成しております。Eコマース販売も好調で、2桁増収が継続しております。

香港は、観光客の減少の影響などにより、既存店売上高は減収となりました。ただし経費削減を進めたことで、営業利益は計画どおり前年並みの水準を達成しております。

台湾は、在庫調整が一巡したことで既存店売上高が増収に転じ、粗利益率も大幅改善いたしました。経費も物流費を中心に削減したことから、営業利益は計画を大きく上回り、大幅な増益となりました。

韓国は計画を上回る大幅な増収増益を達成いたしました。秋冬シーズンは前年に比べ気温が低かったことから、ユニクロが強みとしているヒートテックや、ウルトラライトダウンといった防寒衣料の販売が好調で、既存店売上高が2桁増収となりました。値引きに頼る商売から脱却をしたことで、粗利益率は大幅に改善しております。また、経費率も改善いたしました。

【海外ユニクロ事業】各エリアの業績トレンド②

東南アジア・オセアニア地区は、計画を上回る大幅な増収増益を達成いたしました。とくに東南アジアは引き続き売上が好調で、既存店売上高は2桁増収となっております。常夏の気候に合った夏物商品が好調なことに加え、トラベル需要を捉えた冬物商品の打ち出しにより、ヒートテックやウルトラライトダウンなども増収に寄与いたしました。

収益面では粗利益率、経費率ともに改善し、営業利益は大幅な増益となりました。とくに業績がよかったエリアは、インドネシアとタイです。

米国は営業利益が計画を上回り、この第1四半期については黒字に転じることができました。ウルトラライトダウン、フリース、ブロックテック、ジーンズなどのコア商品や、KAWS×PEANUTSのコラボ商品が好調で、既存店売上高は計画を若干上回り増収となりました。

Eコマース販売は在庫の欠品が改善したこともあり、好調な販売となりました。

収益面では売上が好調だったことから、粗利益率や経費率も大きく改善し、営業利益は計画を上回り、前年の赤字から黒字に転換をいたしました。

ヨーロッパはほぼ計画どおり、営業利益は大幅な増益となりました。既存店売上高は増収となっております。とくに業績が好調だったエリアはフランスとロシアです。2017年9月にはスペインに初出店し、大成功を収めております。

【ジーユー事業】第1四半期実績

次にジーユー事業です。売上収益は608億円、前年同期比5.6パーセント増。営業利益は90億円、前年同期比31.8パーセント増と増収増益となりました。売上収益は計画を下回ったものの、営業利益は計画を上回っております。

国内ジーユー事業の第1四半期の既存店売上高は、計画を下回り減収となりました。9月の既存店売上高はチノボトムスやグレンチェック柄、フェイクファーといったトレンド商品が順調な販売となったことから増収となりましたが、10月以降はトレンド商品の欠品や厚手のニットやアウター類などの防寒衣料のアイテム数が少なかったことで計画を下回り、減収となりました。

一方、粗利益率は前年同期比で大幅に改善しております。前年は売価変更が多かったことで粗利益率が大きく落ち込んでおりましたが、今年は値引き販売をコントロールできたことによります。経費も広告宣伝費や物流費を中心に削減を進め、金額ベースで見ると計画比で削減ができております。

なお、海外ジーユー事業は増収増益を達成いたしました。上海に1店舗を出店し、(2017年)11月末の店舗数は15店舗となっております。

【グローバルブランド事業】第1四半期実績

最後にグローバルブランド事業です。売上収益は400億円、前年同期比13.8パーセント増。営業利益は30億円、前年同期比10.4パーセント増と増収増益となりました。これは売上収益、営業利益ともにほぼ計画どおりの水準です。

セオリー事業は計画を若干上回る増益となり、計画どおり安定的に成長しております。

PLST(プラステ)ブランドは売上が好調なことから粗利益率が改善、経費も削減することができ、大幅な増益となりました。

コントワー・デ・コトニエ事業の営業利益は減益となりました。計画に対しても下回り、業績の不振が続いております。

プリンセス タム・タム事業、J Brand事業についてはほぼ計画どおりの業績で、前年並みの赤字が継続しております。

【連結】2017年11月末 B/S

ここからは2017年11月末のバランスシートについてご説明いたします。

資産の合計は1兆6,330億円と前年同期末比2,221億円増加。負債合計は7,900億円と1,179億円の増加。資本合計は8,429億円と1,041億円増加いたしました。詳細について、次のスライドでご説明いたします。

【連結】B/Sのポイント(前年同期末比)

資産の状況についてご説明します。流動資産が前年同期末比1,996億円増加した要因をご説明いたします。

現金及び現金同等物は前年同期末比3,232億円増加いたしました。これは営業キャッシュ・フローの増加及び3ヶ月超の定期預金の取り崩しによるものです。定期預金を取り崩したことで、その他の短期金融資産は1,832億円減少しております。

たな卸資産は275億円増加しております。これは主に海外ユニクロ事業の事業拡大に伴って在庫を拡大したことによります。

デリバティブ金融資産は85億円減少いたしました。保有する為替予約の平均レート、11月末の為替レートより円安となったことで、デリバティブ金融資産を計上しており、その乖離幅が前年同期末に比べ縮小したため、デリバティブ金融資産は前年同期比で見ると縮小いたしました。

【連結】第1四半期 キャッシュ・フロー

次に、2018年8月期第1四半期のキャッシュ・フローです。営業活動によるキャッシュ・フローが1,200億円の収入と大幅に増加した結果、2017年11月末における現金及び現金同等物の期末残高は、7,888億円となりました。

【連結】2018年8月期予想 通期業績

2018年8月期の通期の業績予想についてご説明いたします。

第1四半期は国内ユニクロ事業、海外ユニクロ事業の業績が好調だったことから、連結業績は計画を上回るペースで進捗しております。ただ、現段階ではまだ期初の第1四半期であるということ、秋冬シーズンすらまだ終了していないということなので、業績予想については期初予想から変更はしておりません。

2018年8月期 各事業の通期業績予想(1)

セグメント別の通期の業績予想のトレンドについてご説明いたします。

海外ユニクロ事業の第1四半期は、売上収益、営業利益ともに計画を上回って進捗いたしました。通期の業績予想は期初予想どおり大幅な増収増益を予想しております。

エリア別ではグレーターチャイナ、東南アジア・オセアニア地区が引き続き大幅な増収増益となり、業績を牽引する見込みです。韓国、欧州事業も増収増益を見込んでおります。

米国はこの第1四半期では黒字となり、順調な業績となりましたが、第1四半期は売上規模が大きく、利益が出やすいためであり、通期ではまだ黒字になる水準にはいたっておりません。

ただし、今期は米国とカナダを含んだ北米事業全体で赤字幅が半減することを見込んでおり、この計画を上回るペースで進捗をしております。

国内ユニクロ事業の第1四半期は、売上収益、営業利益ともに計画を大幅に上回って進捗いたしました。また、先日発表いたしました12月の既存店売上高は、18.1パーセント増と高い伸び率となり、非常に好調な売上トレンドを継続しております。

通期の業績予想については、まだ秋冬シーズンが終了していないため、期初予想どおり若干の増収増益としております。

通期の粗利益率は、原価率の上昇によって若干の低下を予想しております。一方で、物流費、広告宣伝費の効率化など、経費削減を引き続き強化していく予定です。

2018年8月期 各事業の通期業績予想(2)

ジーユー事業の第1四半期は、売上収益は計画を下回りましたが、営業利益は計画を上回ることができました。

通期の業績予想は、引き続き値引きのコントロール、経費の削減を行うことで、期初予想どおり増収増益を予想しております。なお、ジーユーの12月の既存店売上高は、若干のプラスに転じております。

ジーユー事業の業績向上に向けてさまざまな対策を行っております。

まず、あるべき商品構成の見直しを進めております。具体的にはどの世代のお客さまからも“欲しい”と思われる、ファッションを取り入れたジーユーらしい商品を作ります。

同時に生産数量の精度を高め、欠品による機会ロスをなくしていきます。また、売れ筋商品の追加生産体制の強化を進めております。このために、生産地の見直し、素材備蓄、縫製工場のキャパシティの確保を行っていきます。

グローバルブランド事業の第1四半期はほぼ計画どおりの進捗となりました。通期の業績予想は、期初予想どおり増収増益を予想しております。

セオリー事業は大幅な増収増益を予想しております。

コントワー・デ・コトニエ事業、プリンセス タム・タム事業、J Brand事業は、赤字幅の縮小を目指しております。ファーストリテイリングのグループのグローバルヘッドクオーターが具体的な経営課題に入り込んで、これらのブランドの課題解決に向け、各事業のCEOと共に取り組み、立て直しを図っていきます。

最後に、配当金は期初予想どおり上期175円、下期175円と、通期で350円を見込んでおります。

以上で私からの説明を終わります。ありがとうございました。