将棋の魅力は以前とどう変わったか

記者2:朝日新聞のムラセです。羽生竜王、どうもおめでとうございました。

羽生善治氏(以下、羽生):どうもありがとうございます。

記者2:これまでたくさんの実績を積み重ねてこられて、今回の受賞にいたったということかと思うんですけれども、2点うかがいたいと思います。ご自身でここまで一貫してやってこられた哲学と言いますか、棋士として心がけてやってきたことがあれば、うかがいたいのと。

あとは、デビューされたころと将棋の環境もだいぶ変わりましたけれども、改めて将棋の魅力が以前と最近とで、どのように変わってきているのか、今後どうなるかというこの2点をうかがえますでしょうか?

羽生:そうですね、将棋の世界はやっぱり非常に変化が速い世界だという認識を持っています。ですから、過去にどんな実績があろうとも、今ある潮流に乗り遅れてしまうと取り残されてしまうということが常にあるので。

自分自身では挑戦していく気持ちと言いますか、まあ負けることがあっても、結果が出ないことがあっても、自分なりに思い切ったことをやっていこうという気持ちを極力失わないように続けてきたつもりではあります。ただ、時には保守的になってしまうこともあるのが実情です。

2つめの質問ですけれども、やはり棋士になって30数年ですけれども、本当に将棋の世界を取り巻く環境が変わったと思っています。本当にさまざまなメディア、かたちで将棋を取り上げていただいたり、あるいは中継があったり、あるいは将棋は指さないけれども見るファンの人が増えたり。

本当にそういう環境が大きく変わってきた。やはりこれはたくさんの人が日々の生活というのはなかなか忙しいと思うんですけれども、その合間合間のちょっとした時間の中の憩いのひとときとして、将棋というものがあり続けられたらいいのではないかなと、個人的には思っていて。

そのための環境と言いますか、そういうことも、これから先は大事になっていくのではないかなというふうにも思っています。

国民栄誉賞といえば「野球の王選手」

記者3:羽生さん、おめでとうございます。国民栄誉賞と聞いてイメージするもの、あるいは過去に23個人と、1団体受賞していらっしゃいますけど、イメージされる方、それの理由を含めてうかがえますでしょうか。

羽生:そうですね、一番最初にイメージするのは野球の王(貞治)選手です。私が小学生の頃にホームランの記録ができるかどうかというようなことが、非常に騒がれていた時期で、そういう意味では王選手はそうですね。

ただ、なんていうかまさか自分がそういうような賞をいただけるようになるとは、夢にも思っていなかったので本当に今回の出来事はたいへん驚いていますし、同時にありがたいことだなと思っております。

人に夢や希望を与える存在、棋士冥利に尽きる

記者4:東京新聞のヒグチと申します。先ほどもありましたけど、「国民に夢と希望を与えた」というのが選考の基準となるんですが、ご自身で王監督の話が出ましたけど、ご自身が人に夢や希望を与える存在として将棋を指しているということは、先生はどんなふうにお感じになられたのでしょうか?

羽生:私自身は一生懸命将棋を指してきて、実際ファンの方々がどんなふうに受け取ってくださるのかっていうのは、なかなか深く知るということはないんですけど、もし、少しでもそういったことを感じていただくことができれば、棋士冥利に尽きることだと考えていますし。

そういうものをこれから先作れるように激励の意味も、今回のお話にもあったんではないかと私自身は受け止めています。

記者4:もう一問だけ。受賞の話が出たあたりから、ファンや広い国民のみなさんからのお祝いや反応で、先生の方になにか印象に残ったものはありましたでしょうか。

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