日本酒をアメリカで売る大変さ

西澤ロイ氏(以下、ロイ):アメリカで日本酒を売る上で、どういうところが難しいかってちょっとお聞きたいですね。

福田:アメリカで日本酒を売る上で。自分が日本でワインを売り始めたのは95年なんです。まだワインブームの前で、けっこうカリフォルニアワインを売ってたんですけど「カリフォルニアワインどうですか?」って日本に営業に行くと「うちはカリフォルニア米はいらない」とか。

日本語でもちろん言ってるわけですけど、聞き間違えて。米不足が昔あったの覚えてます? 米不足になっていろんな国から米を輸入した時ってあったじゃないですか。あの時に売りに行って「カリフォルニアワインどうですか?」って言うと「うちはカリフォルニア米はいらない」とかって。

ロイ:聞き間違えられるわけですね。ワインが。

福田:はい。そういう冗談みたいな話があったんですけど。

ロイ:思い込みみたいな。先入観みたいな。

福田:そうです。そういうのをやりながらも、僕がその小さい、日本ではまだワインがマーケットとしてその当時は小さい。今はだいぶ伸びてきてきたみたいですけど、小さかったんですね。やっぱり小さいマーケットを伸ばすっていうのは、どの国でもどの業種でもけっこう大変なことだと思うんですよ。

今、僕が自分でやってることは、逆に言うとアメリカにおいては、日本酒のマーケットってまだまだ小さい、他の全体から見たらですね。ただそれでも、伸び率はものすごく大きいんですよ。要は、日本食は今ものすごく見直されてますし、日本酒が大好きだって言ってくれるアメリカ人がすごく増えてるんですね。

その、日本人が忘れてしまってた日本酒を、アメリカ人の方が知りたいと言ってくれるわけですよ。「日本食に合う日本酒はどれだ?」とか。そういう感覚がどんどん出てきてるんで、今はまだまだマーケットとしては小さいですけど、僕は日本食にはこだわってませんので、フレンチだろうがイタリアンだろうがどんな料理でも日本酒を勧めていきたいなって考えています。

日本酒は色んな料理に意外と合う?

ロイ:日本酒がとくに合うものはありますか?

福田:あのね、日本酒って実は、ワイン以上にいろんな料理に合うんですよ。これ、すごいんですよ、実は。僕が売りに行くところ、もしくはレストランとかだと、日本食レストランだとまた別ですけど、いわゆるソムリエがいるレストランに営業に行きますよね。例えばなんですけど「キャビアに合うワインは何ですか?」って。キャビアって一番ワインとか合わせにくいんですよ。これはもちろん相手もプロですから、何だと思います?

ロイ:いやーちょっと……。

福田:(笑)。これはなんていうか優等生的な回答を言うと、シャンパンなんですけど。

ロイ:あーなるほど。

福田:要は臭みが強すぎちゃって、ワインの酸が合わないんですね。ところが、日本酒だとこれがすっきり合うんですよ! キャビアと、びっくりするくらい。それを実際に目の前でやると、そこで「あ、本当だ!」って。やっぱりイエスを取ることってすごく重要なんですね。どんなあれでも良いんですけど。

ロイ:なるほど、イエスを取ることね。

福田:イエスを取ることなんですよ。まあロイさんってプロなんでやってらっしゃると思うんですけど。ノーって言わせないようにする方法なんですけど、イエスを取るっていうのはね。そういう小技を使いながらも、イエスを取って最終的に日本酒を売りたいという。

震災復興を支援する「KIBO」

ロイ:新銘柄とかそういう話もお聞きしたいですが。

福田:あ、そうですね。もちろん先ほども言いましたように、オレゴンのお酒も造っているんですけど、日本からのお酒も輸入を今どんどんアメリカにしてまして、今年の9月からカリフォルニアで、10月からニューヨークで売り始めたんですけど。

みなさん覚えてらっしゃいますかね。2011年に震災があって、津波で陸前高田に酔仙酒造さんっていう蔵があったんですね。そこの蔵が津波で流されてしまって、従業員の方も何人か亡くなられてしまって、大変な思いをされた蔵があるんですけど。そこのお酒を弊社が今年から、9月カリフォルニアで、10月ニューヨークで売り始めたんですけど。酔仙酒造さんの、これも私名前をつけたんですけど「KIBO」っていう名前にして。

ロイ:希望、ケーアイビーオーですか。

福田:はい、ケーアイビーオーで「KIBO」っていうお酒で売り始めたんですよ。

ロイ:反応とかはどうですか?

福田:これからで……まあ、あの、非常にいろんなところから、実を言うとEメールをもらったりとかして、応援したいって言ってくれる人がいたりとか、そういった方もいて。これおもしろいんですけど、180ミリで缶に入ってるんですよ。

ロイ:缶なんですね。

福田:アメリカ人からするとすごくめずらしいっていうかおもしろいっていうか、缶なんだ、っていう。やっぱりあと名前とかもね、簡単な方が良いんで「KIBO」って発音ができるじゃないですか。

ロイ:覚えやすそうですよね。

福田:覚えやすいっていうのもまた必要なんですよね。

ロイ:それはぜひ応援したい銘柄ですね。

福田:ぜひぜひ。今一生懸命やっていますので。

上村:まだまだお話いろいろ聞いていきたいところではあるんですが、そろそろお時間となってしまいました。最後に、リスナーのみなさまに一言いただいてもよろしいでしょうか。

福田:そうですね、ぜひ、日本酒好きな方もいっぱいいると思うんですけど、今日の今この放送を聞いて、今日はちょっと夜は日本酒飲んでみようかなと思っていただければなと思います。

上村:はい、ありがとうございました。

ロイ:今日の忘年会は日本酒で(笑)。

上村:ですね!

福田:よろしくお願いします!

上村:はい、というわけで本日ゲストとしていらしていただきましたのは、SakeOne東海岸営業統括マネージャーの福田真宏さん、お越しいただきました。ありがとうございました。

ロイ:ありがとうございました。

「サケ」よりも「サキ」?

上村:ロイさん、では最後に本日のカタカナ英語、いきましょうか。

ロイ:今日はですね、日本酒ということで、「Sake(サケ)」なんですけど、英語で言うと「Sake(サケ)」とちょっと違うんですよ。なんでかって言うと、ネイティブって「エ」で終わる音って発音できないんですよ。つい「イ」になっちゃうっていう。「Sake(サキ)」みたいに、「イ」になってしまいますね。

だから例えば競馬ジョッキーの武豊選手、「Take(タケ)」ですけど、あれも「Take(タキ)」って言われたり。あとは例えば、「Karaoke(カラオケ)」、「Karaoke(キャラオーキ)」

上村:え、じゃあすき焼きソングの「Sukiyaki(スキヤキ)」も?

ロイ:「Sukiyaki(スキヤキ)」言いやすい!

上村:あ、でもあれは言いやすいか(笑)。「エ」じゃないや(笑)。失礼しました。

ロイ:いえいえ。「Sukiyaki(スキヤキ)」はすごく言いやすいんですよ。

上村:なるほどね、だからこそ浸透したっていうのもあるかもしれないですね。じゃあ「Sake(サケ)」がこれからも浸透していくためには。

ロイ:だから、英語で言う時は「I like sake.(アイライクサーキー)」って言うとバッチリ通じると思います。

上村:ぜひじゃあ、東海岸に行った際には僕も「I like sake.(アイライクサーキー)」と。キョトンとされないように(笑)。

ロイ:ニューヨークとかに日本食バーとかもあるかもしれないんで。

福田:ありますあります。ありますよ。

上村:行ってみたいですね。今日は本当にお酒の話で終始してしまいましたがね(笑)。ぜひとも今後のSakeOneの活躍もそうですし、日本酒がもっとアメリカで普通に飲まれていく、文化として浸透していくっていうのを楽しみにしていきたいと思います。

というわけで、お時間にはなってしまいましたが、本日お送りしました『西澤ロイの頑張らない英語』お送りしましたのはナビゲーター上村潤と。

ロイ:西澤ロイでした。Thanks a lot of listening.see you next week.bye bye!

上村:バイバーイ!