さえり、ピクニックの妄想

犬山紙子氏(以下、犬山):妄想といえば、さえりさんです。例えば将来、結婚・出産あたりの妄想とかはされたりするんですか?

夏生さえり氏(以下、さえり):結婚・出産あたりの妄想……。

犬山:結婚・出産あたりというか、こんなふうに子どもや夫と過ごすみたいなものはあったりするんですか?

さえり:もちろん理想はありますよ。

犬山:どんなどんな?

さえり:理想は、単純に本当に日常ですよ。ピクニックに行って、まだハイハイくらいの赤ちゃんを連れていって、ピクニックシートから出ちゃうのを引き戻したいっていう……。

(シートの)こっちでなにかしてたら、ピクニックシートから出そうになって「あー!」ってことをやりたい。

(会場笑)

犬山:それはなんだろう? 現実的すぎる(笑)。

さえり:現実的なものをすごくやりたくて。

犬山:幸せな「ほのぼの」をツイートしたい。

さえり:ツイートする。「ピクニックシートからすぐ出る〜」と言って(笑)。     (会場笑)

「産後クライシス」の妄想まで行き着く

さえり:そういうのを書きたいとかあるんですけど、現実で考えると、本当に自分が叶えられると思って書いてるわけじゃないので。

こういう女の子だったら、「自分が女の子だったらいいな」「こういう人がいればいいな」とか、もちろんあるんですけど、でも子どもがすごいおとなしくて、ハイハイして出ないかもしれないじゃないですか?

(会場笑)

わからないから。そのときはそのときでいいかなと思ってるんですけど、私の現実的な自分の性格からいくと産後クライシスに陥って、生んだ後に旦那さんと急にうまくいかなくなったりとかするのになりそう。

犬山:なんで(笑)。

さえり:わかんないです。

犬山:その不安すごいですね。さっき打ち合わせしてたんですけど、ずっと「産後クライシス」って言って。

私も産む前は、産後クライシスはけっこうビビってて。夫にもすごい言ってたんですよ。

さえり:気分が悪くなっちゃたりしてね。

犬山:そうそう。だから私がつるちゃん(夫・劔樹人氏)につらく当たっても「産後クライシスだから気にしないで」って最初にずっと言ってたんですけど、ぜんぜんなかったんです。

さえり:「ない」っていうのを聞いてすごく安心しました。

犬山:でも、ある人はあります。

さえり:そうですよね。ある気がする。

子どもは産みたいけど「産後クライシス」が恐ろしい

犬山:私の知り合いも、夫と触れ合うのが嫌すぎて、廊下ですれ違うときも(夫を避ける仕草をしながら)こうやって。

(会場笑)

犬山:それぐらい嫌いになるとか。

さえり:イメージすると私もそういうタイプ。

犬山:おもしろい! 子どもは素直に生みたいと思ってて。産後クライシスはあると(笑)。

さえり:産後クライシスになりそうだから、たぶんピクニックも土日とかに「ちょっと出かけてくるから」とか言って1人で行っちゃいそうだなっていうのがリアルな……。

犬山:だいぶ恋愛に対しては後ろ向きなイメージが。

さえり:それはあるかもしれないです。

犬山:あまり幸せな恋愛されてない……。

さえり:そんなわけはないんですけど、なんかそう思っちゃう。自分の気持ちが変わりやすいんじゃないかなっていうのは、心配のうちの一つなんですよ。

これはどこでも話したことないと思うんですけど、こんな恋愛ツイートとかしてるんですけど、自分の気持ちのほうが変わりやすいんですよ。

犬山:なるほどね。

さえり:振られやすいとか、悪い男にひっかかっちゃうとかじゃなくて、自分が移ろいやすい。

犬山:他の「あの人いいなぁ」みたいな。

さえり:いや、他の人をいいと思うことはめったにないんですけど、他のことの方が楽しく思えちゃう。

犬山:彼や恋愛というよりも。

さえり:そうです。すごいあります。

さえり:仕事の方が楽しいから「この人との時間はあまり作れないなぁ」とか思い始めちゃったりとか。

あとは(付き合って)最初は夢を見るから、付き合い始めのときとかは「この人と結婚するかも」とか、ちょっとは思うんですけど、それが3ヶ月ぐらいで「あれ?」とか思う。「私の気持ちってどうしてこんなに変わりやすいの?」みたいな感じになるんですよね。

犬山:そんなに好きじゃない人と付き合ってるんじゃ?

さえり:そうかもしれないです。もしかしたら。

犬山:(笑)。

犬山紙子が「彼氏できた」と公表したワケ

さえり:つるちゃんと交際して、すぐにネットで公表されてましたよね?

犬山:私これ本当に誤解を解きたいんですけど、「付き合いました!」ってブログで言うって、頭が湧いてるんじゃないかっていうイメージがあると思うんですよ。

彼氏できて浮かれてるイメージがあると思うんですけど、実は理由がありまして、「彼氏がいない」って公表していて、彼氏がいないとか、独身の寂しさとか、そういう仕事をしていたんです。そういう依頼をしてくださる方が多かったんです。

じゃあ、「彼氏ができた」と黙ってたら、その依頼が来て、嘘をついて受けることになるんです。もしくは、「すいません、彼氏ができて」ってめちゃくちゃな理由で断るっていう。

(会場笑)

犬山:「なに、こいつ!」って話じゃないですか!

さえり:それ恥ずかしいです。

犬山:そう、だからそこらへんが後々、しかもバレたりとか隠したりしたとしても、後でバレて信頼を落とすと、たぶん私、もうそこから這い上がるのがけっこう難しいというか。その先、自分の仕事を続けていく自信もあんまりなかったので、恥をしのんで別れる可能性もあるかもしれないけど、できたなら「できた」って言って。

嘘はつかないってことをやっとかないと、ネット社会で速攻ウワサが回りました。本当は裏でコソコソ男と付き合ってるみたいとか言われると、やっぱり信頼がどんどん下がってくるので、そういう理由で公表しました。

さえり:でも、すごいなぁって思いました。勇気いるなって思って。

犬山:勇気はいるんですけどね。でもやっぱり私チキンなんで、嘘がバレたときが怖かったんです。

さえり:たしかに独身を売りにしてたらそれはあるかもしれないです。

犬山:そうですよ。

さえり:独身生活を赤裸々に書くみたいな感じの記事とかはもしあったならばって感じになりますよね。

犬山:なります。

さえり、交際や出産発表の妄想で悩む

さえり:でも、私はちょっと自分の気持ちの方が不安だと思います。ちょっとドキドキしてるんですけど。

だからある日突然、いつか彼氏ができて、結婚することになって、子ども産まれたら、「私、どのタイミングでなにを言うんだろう」っていうのを本気で思ってます。

犬山:えー! そこを妄想してるんですか?

さえり:妄想してます。

犬山:発表の仕方とか?

さえり:なんかしれっと「そういえば結婚しました」とか、やらしいかなとか(笑)。

犬山:どういう言い方が一番?

さえり:「理想はなんだ?」っていうのがすごい悩んでるんです。

犬山:(笑)。

さえり:早めに悩んでる。そういうふうにある日突然、私は子育てほのぼのアカウントになって産後クライシスもなく、暮らしていくのが理想です。

夫がいかに育児に参加したかで愛情曲線が異なる

犬山:産後クライシスは、妊娠してる最中に「父親学級」っていうのがあって、あるグラフを見せられたんですけど、夫がいかに育児に参加したかで愛情曲線がぜんぜん違うんです。

犬山:夫がちゃんと育児に参加した人はぜんぜん愛情が下がらないんです。

やっぱり里帰り出産とかして、旦那がまったくなにもやらない、その後、旦那もどう参加したらいいかわからない。その後ぜんぜん夫が育児に参加しないってなると、夫の妻への愛情っていうのがずーっとこんな(平坦な)感じなんですけど、妻の愛情差がこう(急降下)なんです。      (会場笑)

犬山:本当におもしろいぐらいギュイーンと下がってて、それを先に私は知ってたから。そもそも、つるちゃんは育児参加するつもりが満々だったので、産後クライシスは大丈夫かなって思って。   さえり:えっ! そうなんだ。私、「里帰り出産しないでおこう」って思ってます。

犬山:(笑)。

さえり:もう決めてる。妄想的に現実的に決めてるんですけど。

犬山:それも本当に男の人も休みとりやすくなってくれたら。

さえり:そうですね。

犬山:男の人もつらいですよ。

さえり:たしかに誰と結婚するかによるから言えないですけど。里帰り出産すると、本当に育児にもスタートのハンデができるという話を聞いて。

お母さんの方が赤ちゃんが泣いたときこうしたらいいとかが、最初にちょっとわかると男の人は後から「えっ? どうしたらいいの?」って指示を待つ側になる話を聞いて。

犬山:なるほど。

さえり:養子縁組の取材をしたときに、フローレンス(注:認定NPO法人フローレンス)さんという団体の方からそういう話を聞いて。「なるほど、なるほど」って(笑)。

27歳は価値観が変わる年齢

さえり:私はもし子どもが産めなかったら、養子をもらいたいと思っているので、そのへんの話も聞いてきたんですけど。

犬山:そのときは古泉智浩さんの『うちの子になりなよ』という超名著で、里子をとられた経緯を描かれた本があるので、ぜひぜひ。

うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました

さえり:読みながら、勉強していきたいと思います。みなさん、気になることや、「これが聞きたくて来たんですけど」みたいなことがあれば。それは(Twitterに)書いてほしいと思ってます。

犬山:うん。1人で子育ては無理です。している方を見ると頭が下がらない。

さえり:あー。

犬山:それは絶対誰かの力を借りないと。 

さえり:育児のスタートダッシュは大事。私はもう、将来の妄想をずっとしてるので。

犬山:うんうん。

さえり:今27歳というのが、本当に価値観が変わる年齢だと思っていて。みんながどうかはわからないですけど、私は将来結婚したいという理想があるので。そう思うと、けっこう27歳とか28歳とか分かれ目にきてる感じがするんですよ。

自分がもちろんあがいたって、待ってることって自分じゃ決められないことがいっぱいあるのでわからないですけど。

なにもしないでボーっとしてるのと、一応なにか意識を持ってるのとでは違うかなと思っていて。これが今、「変わる時期だなぁ」って、2年前ぐらいから妄想してるんですが……。

犬山:2年前から妄想してたというワードがすごいですね。はい。

2年前から「ヒモを飼いたい」と妄想

さえり:2年前ぐらいから「ゆるふわパーマ」とか書き始めたんですけど。2年前に書き始めたときはヒモの妄想とか書いてたんです。「ヒモを飼いたい」って。

犬山:ヒモを飼いたい。

さえり:そうです、そうです。ヒモの男の子が家の前とかで待っててくれて、ちょっとゆるっとした服を着ていて、グレーの鎖骨が出てるような。

犬山:それは『君はペット』じゃないですか。

さえり:そういう感じのを考えてたんですけど、たった2年で「ヒモとか困るんですけど」っていう価値観に変わって。

(会場笑)

犬山:現実的になったんですね。

さえり:そうなんです。「ゆるふわパーマとかかけてなくてもいいや」みたいに、どんどんなり始めて。

犬山:おもしろい(笑)。

さえり:価値観の変わり方もすごい。自分でもおもしろい。

犬山:さっきおっしゃてたとおり、「結婚をしたい」と意識して動くかどうかは、本当に意識して動いた方がいいっていうのをこの間、記事で読みました。それがやっぱり念頭にあるかないかでぜんぜん行動が変わってくるという話で。

さえり:そうだと思います。

犬山:ガツガツ婚活する意味じゃなくて、「自分の中で結婚するぞ」と決めてるのと決めてないのだとぜんぜん違うって。

さえり:そうそう。マインドセットが大事だと思うんですよ。23歳とかそのぐらいのときだったらまだ結婚する気がなかったので、どんな人でも付き合っていいとか思ってました。

結婚するならどんな人?

犬山:どんな人がいいんですか?

さえり:結婚するとしたら? 家事してくれて、おいしいご飯作ってくれて、よく笑う人。

犬山:よく笑う人。

さえり:大事じゃないですか? よく笑って。子どもが好きな人。

犬山:子どもが好きな人。

さえり:うん。子どもが好きな人は大事だし、あとなんだろう? 現実的な話になっちゃうんです。恋愛だと好きなタイプとか言われたら、背が高くて、口が大きくてみたいな。まず見た目から入って……。

犬山:結婚相手だと見た目とかどうでもよくなります。

さえり:どうでもいいです。やっぱりそういうのもあるなぁーって。私けっこう区切ってるタイプだなって。恋愛と結婚で分けちゃうタイプ。

犬山:へぇー。私ぜんぜん同じですよ。

さえり:でも、そっちの方が私憧れるんですよ。

犬山:えっ!

さえり:絶対楽しいじゃないですか。恋愛のその先に結婚がちゃんとあって楽しそうって。でも私、ちょっとこの人と恋愛できるけど、この人と結婚はできませんみたいな気持ちになっちゃう。

犬山:なんだろうね。

さえり:それはけっこう悩みの1つかも。けっこう区切っちゃう。

私、子ども欲しいかもしれない。:妊娠・出産・育児の〝どうしよう〟をとことん考えてみました

口説き文句は決めている